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四章:進展 アダム視点
31.違う顔 ※
しおりを挟むあの『毛玉』狩り大会の開催後、週に一度ほどロディは冒険者ギルドに行くようになった。
そんなのは必要ないんだが、ロディも自分で金を稼ぎたいらしい。もっといい剣を買いたいのかもしれない。あの片手剣は安物だからな……
別にいいんだけど、寝る前にロディが楽しそうに冒険者と狩りに出掛けた話をしてくると、ちょっとだけ嫉妬する。
今年はもう帝国は攻めてこないんだろうが、戦争でもあれば思いっきり魔術をぶっ放して発散できるのに。なんて実に『破壊神』らしい思考が出るくらいにはモヤモヤした。
「アダム、どうした? 何か嫌なことがあったのか?」
ロディにはすぐに分かってしまうらしい。僕の顔を至近距離でジッと見つめてくる。
「なんでもない」
嫉妬したなど恥ずかしくて言えるわけがない。言えない気持ちが胸の奥で燻って、酒に逃げたくなる。ロディと寝るようになって、ウォッカは減らなくなったんだけど、今日は久しぶりに飲みたい気分だ。この嫌な感情を忘れたいんだ。しかし、酒など飲んだらまたロディに心配される。何かあったのかと。だから僕は勇気を出してみることにした。
ロディ、僕だけを見て。
「ロディ、格闘したい」
僕が言えるのはこれくらいだ。『格闘』という隠語はなかなかいい。恋愛など全く縁がなかった僕にとって、誘うってのは結構勇気がいるんだ。「抱いてほしい」とか「セックスしたい」なんてとても僕の口からは言えない。隠語を使えば少しだけ恥ずかしさが軽減する気がする。
ロディの甘い口付けがトロリと下りてきて、それだけで僕はもう溺れて窒息しそうになる。
「んん……」
「アダム、可愛い。キス好きなの?」
「ロディとのキスは好き。もっとして」
ロディの甘い蜜に絡め取られると、僕の口からも糖度の高い言葉が出てくる。
「俺もアダムとキスするのが好きだ。でも少しだけにしないと死んでしまうんだろ?」
そんなことを言ったこともあったな。ずっと律儀にロディはそんな言葉を守ってくれていたのか。
「死なないから、たくさんしてほしい」
誰かに何かを強請ったりするのは、子どもの頃にお菓子か何かを強請った時以来だ。ロディは僕の願いを叶えてくれるって分かっている。ちゃんと僕を見て受け止めてくれるって分かっているから言える。
柔らかい唇と、ロディの香りに酔いながら、たくさんキスをした。
「ああっ……」
イケメンにそんなことさせてはいけないと思いつつ、僕の股間に顔を埋めるロディの銀色の髪を眺める。ジュルジュルと音を立てて吸われると、抗えない快楽に落とされていく。
そんなつもりはなかったのに、あっと思った時にはロディの口に出してしまっていた。僕から吐き出されたものがロディの口の横から溢れて、それを指で掬って舐めている。
う、エロい……
なにそれ、わざとなの? 僕に見せつけてるの?
「アダム、気持ちいい? 幸せ?」
「うん。気持ちいい。幸せだよロディ」
あぁ、また不意打ちでイケメンスマイルが発動された。しかもなんだその蕩けるような甘い顔は。僕は一体いつになったらロディの顔に慣れるんだろう?
どんどん顔に熱が集まって、ドキドキと鼓動が高鳴る。
これでもかというくらい丁寧に後ろが開かれ、気持ちいいところを攻め立てられる。本当にどうなってるんだ? ロディだって初心者のはずなのに、眉毛のじいさんは絶対に只者じゃない。
グプンッとロディを一気に飲み込む。
いいところをゴリっと擦られて息が詰まると、ロディがそっと抱き起こして抱きしめてくれた。微かに『モジャ』の香りがする。
「俺だけのアダム。ずっとこうして抱きしめていたい」
吐息混じりに耳元でそんなことを囁くから、なんだか耳の奥まで性感帯になってしまったみたいに、ゾクゾクが止まらなくなった。ロディ、僕だけのロディでいて。
腹の中がジクジクと疼いている。ロディの存在を感じているだけじゃ足りなくなる。もっと強い刺激が欲しくて、顔を上げてロディを見つめた。
「アダム、動いてほしい?」
えー? 今までそんな意地悪なこと聞かれたことないのに。ロディは一体どうしたのかと驚いた。
悪戯な目をしてるし、こんな顔もできるの?
どうしよう。こんな顔をしてもイケメンは最高に格好いい。抗えない僕はロディに素直にお願いするしかなかった。
「うん。動いてほしい」
「いいよ。アダム可愛い」
僕を抱きしめたまま、下からゆっくりと抽挿が始まって、忍び足みたいにゆっくりと高みへ上り詰めていく。
「ああっ、もう……」
「苦しくない? こっちも一緒にしてあげる」
気持ちいいのにギリギリの表面張力みたいにイけないでいると、ロディはそれを知っているかのように、僕の陰茎を握った。
「ダメ、もう出ちゃう……」
「ちょっとだけ我慢して」
そんなこと言われると思ってなかったから、押し寄せる快楽と軽い精神的ショックにどうしていいのか分からなくなる。ロディに嫌われたくなくて必死にイくのを耐えた。
「一緒にイきたい」
「ん……」
僕は必死にロディに縋りついた。
もうダメだと思ったんだけど、僕が吐精する瞬間に、腹の中に熱いものが広がって、僕の中でロディがドクドクと震えていた。
少し汗ばんだ胸に抱きしめられて、またロディの甘い蜜の中で溺れそうになる。
それが最高に幸せなんだ。
「アダム、大好きだ」
「うん。僕も好き」
相変わらずロディはアフターケアと言って、僕の体を拭いたり、飲み物を持ってきて飲ませてくれたり、甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる。
本当はこんなの浄化魔術でサッと綺麗にできるし、飲み物だって一歩も動かず魔術で手元に運べるんだけど、ロディが僕のためにしてくれるってことが嬉しい。
「アダム、嫌なことがあるなら言って。俺が分かってやれたらいいんだが、言ってくれないと分からないんだ」
「嫌なことなんかない。ただ、ロディが僕だけのものから、みんなのものになっていくのが、少しだけ寂しいというか……嫉妬だ」
隠していてもロディには分かってしまう。こうなったらもう開き直るしかない。
「俺はアダムが誰より何より一番大切だ。俺によくしてくれる人は好きだが、それは柔らかいパンが好きなのと同じで、アダムだけは特別なんだ。永遠に愛してるのはアダムだけ。俺はアダムだけのものだ」
パン? 他のみんなはロディにとってパンと同列なのか?
なんか嫉妬して損した。僕のお婿さんは僕だけを一途に愛してくれるらしい。
相変わらずロディは甘くて、次の日はまたずっと僕にべったりくっ付いていた。
朝になると僕を抱えて移動して、風呂に入れてマッサージもしてくれた。
あのちょっと意地悪な一言が気になったが、普段はそんな素振りは全く見せない。
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