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三章:純真 アダム視点

26.格闘 ※

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「できない……ロディが僕に挿れて」
「分かった。やってみる」

 僕は覚悟を決めて、ロディがしていたみたいに仰向けに寝て膝を抱えた。
「ゆっくりで、お願いします」
「分かった。痛かったらすぐに言ってほしい」

「ひゃあっ、な、何してるの?」
「ん? 舐めてる」
 そんなの想定外だよ。ロディは僕のお尻をチロチロと舐めてる。そんなとこ、舐めていいの? 舌のぬるっと温かい感じと、吐息の温かさが恥ずかしくて、もう気持ちいいとかそんなどころじゃない。

 とろりと何かを塗られて、きっと小瓶に入った謎の液体だと思うんだけど、その直後に何かが入ってきた。ロディの指、だろうか?
 痛くはない。変な感覚だ。ジュプジュプと出し入れされて、しばらくすると指が増えた。それでグイーッと広げるような動きになって、なるほど、これが広げるってことかと納得した。
 出し入れされながら広げられて、ずっとそれをしてるから、そんなにするの? とは思ったけど、僕は大人しく膝を抱えていた。

「ああっ!」
 自分でも驚いた。何が起きたのか分からなくて、体の中を鋭い感覚が突き抜けて、目の前がチカチカした。
「痛かったか?」
「痛くはない。何したの?」
「たぶん気持ちいいところを触った」
 さっきの感覚は気持ちいいって感覚だったの? それにしては、鋭い感覚だった気がする。

「ああっ」
 ロディがさっきのところを何度も触るから、僕は膝を抱えていられなくなって、ロディの腕を掴んで力を込めた。
 声が止まらなくなって、息もうまくできない。肩で息をするみたいに、必死に息を吸って、それでもまだ足りない。苦しい。でもその苦しさの奥に確かに快感があって、どんどん昇り詰めていって怖いと思った。

「ろでぃ……あっ、やっ、待って」
 そう言ったら、ロディはすぐに手を止めた。
 待ってって言ったけど、また寸止めみたいに、もどかしい。僕は淫らだ。もっと気持ちよくなりたいなんて……

「ごめん、やりすぎたか?」
「違うの。その…………何でもない」
 もっとしてほしいとは、言えなかった。少しの怖さと、淫らだってロディに思われるのが恥ずかしくて、言えなかった。

「そうだ、こっちも一緒にすると気持ちいいと言っていた。ちょっとやってみる」
「あ、うん」
 そう言うとロディは、また僕の中に指を入れて、さっきの気持ちいいところを触って、もう片方の手で僕の陰茎を扱き始めた。

「ああっ」
 両方なんて気が狂うかと思った。思考はもう意味をなさない。全身が気持ちよくて震えて、喉が枯れるくらい声が止まらなくなった。それで僕は「待って」と言う暇も無く、一気に昇り詰めて、呆気なく吐精した。

「気持ちよかったか?」
 そんなこと聞かなくても分かるでしょ?
 僕は言葉にはできなくて、必死に頷いたら、眩しいイケメンスマイルが投下されて、ドキドキしているうちにギュッと抱きしめられた。

「可愛い。アダムが可愛すぎて、俺はおかしくなりそうだ」
 僕はもう既にロディにおかしくされました。


「怖いか?」
「怖くない」
 ロディは優しい。僕の手を握ってくれるし、ここまで一度も痛いことはしなかった。
 待ってって言ったら待ってくれるし、僕はロディに任せておけばいいって思えたから、彼に身を預けるのは全然怖くなかった。眉毛のおじいちゃん先生って結構すごい人?

 小瓶の液体をロディは自分の陰茎に塗っているみたいだった。ドキドキしながら待っていると、グププと硬いものがゆっくり入ってきた。
 指なんて全然細かったんだと分かる、圧倒的な質量が腸壁を掻き分けて押し入ってくる。ちゃんと広げないと痛いって言った理由も理解できた。
 そんなにする? ってくらい執拗にグイグイと広げてくれたから、ちょっと苦しいけど裂けたりすることはなかった。
 本当にそんなところに入れるんだな。

「んあっ」
 油断していたら、さっき散々弄られた気持ちいいところをゴリっと擦られて、声が漏れてしまった。

「痛いか?」
「痛くない。ちょっと苦しい」
「ごめん、やめておくか?」
「痛くないから、きて」
「分かった」
 こんなところで止めたらロディが辛いだろ? 自分だけ気持ちよくなって終わるとか、申し訳なさすぎる。

 ロディは途中で奥に進むのを止めた。そのままジッと待ってる。
「全部入ったの?」
「まだだ」
「じゃあ何してるの?」
「アダムが苦しくないよう馴染むのを待ってる」
「大丈夫だよ。奥まできて」
 ロディが僕のことを大切にしてくれていることが分かる。僕のお婿さんは優しい。

 ゆっくり進んで、ロディはふぅ~と息を吐いた。
 もしかして僕の中は期待外れだった?
「ロディ、どうしたの?」
「負けないように戦っている」
「ん? どういう意味?」
 まさかこんな時にロディは空想世界にでも旅立った? 一体何と戦ってるんだ?

「アダムの中が気持ちよくて、ここから出し入れをするんだが、欲望に負けて酷くしてしまいそうで……」
「大丈夫だよ。ロディの好きに動いて」
「ダメだ。そんなことをしたら、小さくて華奢なアダムが壊れてしまう」
 そんな簡単に人間が壊れたりはしないと思う。ロディが不安なら、僕はほとんど使ったことはないけど、身体強化でも使ってみるか?

「僕は魔術で身体強化もできる。だから好きなように動いていいよ」
「魔術は便利だな」
 身体がキツくなったら身体強化を使うことにしよう。

 大丈夫だって言ったのに、ロディは僕の体を気遣って、ゆっくり動いてくれた。
 お互い初めてなんだから、手探りなのは仕方ない。これからいくらでも時間はあるんだから、ゆっくり進めていけばいいと思う。
 そんな余裕は最初だけだった。
 途中から何も考えられなくなって、ロディに必死にしがみついていることしかできなかった。


「アダム、無理させたか?」
「だい、じょぶ……」
 中に出したままにしておくと、腹が痛くなるらしいと、ロディは僕のお尻にあの錠剤を入れてくれて、どこにも力が入らない僕の体を拭いてシーツも替えてくれた。
 そしてそのまま、ロディに包まれて寝た。


 
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