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49.結婚
しおりを挟むドキドキしている。
控え室でリーナに着替えを手伝ってもらう。
髪も綺麗に整えてくれた。
私の支度が整うと、隣の部屋にいるノアを訪ねた。
「エリオ凄い綺麗!」
「ノアもとても素敵だ。」
手を繋いで参列者が待つ教会に入ると、私は光魔法で会場全体に虹色の光をキラキラと飛ばした。
「綺麗!さすがエリオだね。」
「気に入ってくれたなら嬉しい。」
お祝いの言葉を次々へとかけられて、通路を歩いていく。たくさんの祝いの品や手紙も届いている。
キャスからも手紙と品が届いているのを見た。
祭壇の前で2人並んで祈りを捧げ、婚姻書類にサインをした。
「ノア、幸せになろう。2人で。」
「うん。約束ね。2人でね。」
戻る時には会場全体に雪の結晶と花びらの光魔法を降り注ぎ、入り口のドアまで光の道を作る。
ゆっくりと2人で歩いて扉を出ると、そのまま2人で飛翔魔法で空へ飛び立った。
「エリオ、どこいくの?」
「どこへでも。ノアが行きたい場所。」
「楽しみだね。」
「もう、あの子たちったら仕方ないわね。」
「エリオが幸せならワシはそれでいい。」
と会場にはエリオの両親の会話が聞こえてきたが、エリオとノアにその声は届かなかった。
「海っての見てみたいね。」
「じゃあ最初は海に行くか。」
「海の魔物は美味しいって言われてるよね。」
「そうなのか?じゃあ狩ってくるからノアはそこの砂のところで待っていてくれ。」
「うん。エリオは頼もしいねー」
飛びながら海の中を見ていると牙が鋭い大きな魚を見つけた。
あれが美味しいかは分からないが危険そうな感じがするから討伐しておこう。
位置情報をつけた氷の槍を脳天に向かって撃ち込むと、海が荒れる勢いで暴れていたが、何本か撃ち込むと大人しくなって水面に浮かんだ。
槍の部分に紐をかけて引きずって浜まで運ぶと、海が荒れるのを見ていた村の者が浜に集まってきた。
「エリオ、なんかとんでもないもの倒してきたんだね。」
「牙が鋭く危険そうだったから倒してみたが、美味しいのかは分からないな。」
遠目で見ていた者たちが、魚が動かないと分かると寄ってきた。
「兄ちゃん、それ倒したのか?」
「あぁ、倒した。この魚は食べられるのか?」
「そいつは美味いぞ。最近そいつが棲みついて漁に出られなくて困っていたんだ。兄ちゃんありがとな。」
「解体できる者はいるか?私たちが食べる分は欲しいが、他はみんなで分けてくれ。」
漁師を名乗る者数人で解体してくれて、料理もしてくれ、浜で村人たちと宴会になった。
私とノアが結婚したのだと言うと、みんなでお祝いしてくれて、焚き火を囲んで踊ったり歌ったりしているのを眺めた。
「ノア、こんな旅も楽しいな。」
「そうだね。魚も美味しいし、みんなと一緒に食べるのも楽しいね。」
「次はどこへ行く?」
「氷の山とかどう?寒いかな?」
「大丈夫だ。周りの空間を暖めて向かえば寒くない。」
「エリオはそんなこともできるんだね。」
「さぁ掴まって。飛んでいくぞ。」
ノアが私の腕を掴んだのを確認して飛び上がる。
「だんだん飛ぶのも慣れてきた。」
「そうか。それはよかった。」
「ノア、見てみろ。そこに竜がいる。」
「エェェェ!?竜?大丈夫なの?」
「近付いたり、縄張りを荒らさなければ大丈夫だろう。」
ノアが動揺して腕を離しそうになったから、私はそっちの方が焦った。
ノアが大声で叫んだからか、竜がこちらに気がついて目が合った。
「エリオ・・・竜、こっち見たよね?」
「見たな。」
「なんかこっちに向かってきてない?」
「そうか?」
「絶対向かってきてるって!逃げて!」
「分かった。」
ノアが焦って逃げろというので竜から離れることにした。
「追いかけてくるからスピードをあげるぞ。」
「わ、分かった。」
叫ぶノアを掴んでスピードを上げていくと、しばらくして竜は諦めて引き返していった。
「ノア、大丈夫か?」
「死ぬかと思った。色んな意味で・・・」
しばらく休んでから氷山も見に行った。
「ノア、楽しいな。」
「僕はちょっと疲れた。」
「帰るか?」
「帰ってエリオと愛し合いたい。」
「愛し・・・分かった。」
ノアがそんなことを言うから、どんどん顔に熱が集まっていく。
「なに~?エリオ想像しちゃった?淫らなこと。」
「その、少しだけ。」
「エリオ、キスしよ。」
「ここは外だぞ?」
「誰もいないから大丈夫。」
「でも・・・んん、、ぁ、、」
ノアに腰を引き寄せられて唇を奪われた。舌が侵入してくるともう抵抗なんてできない。温かい舌が口内をなぞり、私の舌を追いかけてきた。
必死に逃げてもやっぱりノアに捕まって、舌をジュッと吸われると、力が抜けて立っていられなくなる。
「エリオ可愛い。早く帰ろ?それともここで続きする?」
「すぐに帰ろう。」
「副団長ってさ、結婚して美しさに磨きがかかったよな。」
「惚れそう。」
「やめとけ。副団長は夫一筋だ。」
「先週街で手を繋いで歩いてるのを見たぞ。」
「俺も見たことある。仲良しだよなあの夫夫。」
「羨ましい。俺も早く結婚したい。」
「俺らは相手を見つけるところからだなー」
「カルムお前、そんなに落ち込んで、副団長のこと本気で好きだったのか?」
「そうだ。悪いか?」
「可愛いな。」
「キーノ、揶揄うな。」
「俺で我慢しろ。」
「え?」
こんなところで意外な恋が始まりそうな予感もする。
(終)
最後までお読みいただきありがとうございましたm(_ _)m
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感想をいただきありがとうございます🥰
こちらも読んでいただき嬉しいです🥹
エリオは凍りついた心も体もノアに溶かされちゃいますからね💕
私は密かに応援しているエリオのお父さんが気に入っています笑
退会済ユーザのコメントです
感想ありがとうございます🥰
想いが通じ合うまで長かったですが、少しずつ自分の気持ちと向き合って、迷いながら成長していくエリオとノアをこれからも応援していただけると嬉しいです😊
他の作品も読んでいただいているようで、ありがとうございます💕褒めていただけて嬉しいです🥹
感想ありがとうございます🥰
優しい両親がいるのに何事にも自信が持てないエリオの心の中には、幼い頃のトラウマがあるのでしょう。
きっとノアはそんなエリオの弱い部分も丸ごと包んでくれると思います😊