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48.結婚するということ※
しおりを挟む「副団長!おはようございます。」
「おはよう。」
「ご婚約おめでとうございます!」
「ありがとう。」
騎士団に出勤すると、すれ違う者みんなにそう声をかけられる。
ずっと一緒にいたいからと結婚を申し出た。ノアもそれを了承してくれて、婚約することになった。結婚準備も進んでいる。
みんなにおめでとうと言ってもらえるのは嬉しい。しかし、弱い私にはまた不安の虫が忍び寄ってきていた。
側にいたいという理由だけで結婚するのは正しいのだろうか?
幸せとはなんだろうか?金を与えれば幸せというわけではない。婚約披露パーティーではノアを傷つけることになったし、私がもっと初めから上手いことやれていれば、あんなことにはならなかったのではないかという後悔もある。
どうやったらノアを幸せにできる?
私にできるんだろうか?
ノアを側に置いて私は幸せだが、あのようにノアを軽視した発言をする者が今後も出るだろう。だとしたら私と結婚することはノアにとって幸せなのか?
ではそれ以上の幸せをノアに与えればいいのか?
ノアを招いての晩餐の席でもそんなことを考えていた。
「・・・ット、エリオット?」
「あ、すみません母上、何か?」
母上の呼びかけにも気付かずに私は考え込んでしまっていたようだ。
「メインを子牛のステーキにしたのが気に入らなかったのかしら?」
「いえ、そんなことはありません。美味しいです。」
父上と母上は顔を見合わせた。
「ノアさん、あとはよろしくお願いします。」
「はい。」
私は食事が終わるとノアと共に部屋に戻った。
「エリオ、何か心配なことがあるんでしょ?僕のこと?それとも騎士団のこと?」
「その・・・」
ノアを幸せにできるか分からないなど、ノアには言えない。
そんな気分にもなれず、ノアのこともお茶を振る舞うと早々に帰してしまった。
ノアが兄たちに話したのか、騎士団でも部屋で考え込んでいると兄たちが来た。
「エリオ、何かあったのか?」
「俺たちは家族なんだから話を聞くぞ。」
「何でもありません。」
兄たちにはもっと言えない。応援してくれたのに、ノアを幸せにする自信がないなどと話したら、この結婚の話も無くなってしまうのではないかと恐ろしくなった。
それでも時を止めることはできず、悩んでいる間にも時間は過ぎていく。
「結婚が決まったのに最近の副団長は機嫌が悪いよな。」
「訓練には参加しているが、話しかけるなと言われているようだ。」
「確かに話しかけ難くなったな。」
「相手に不満があるのか?」
「それはないだろ。生涯相手だけ愛すると宣言したというし。」
ある日、仕事を終えて騎士団を出るとノアが騎士団の門のところで待っていた。
「エリオ、飲みに行こう。」
「分かった。」
ノアに手を引かれて歩いていく。私は幸せだがノアはどうだろう?
「ノア、私は幸せだ。ノアはどうだ?」
「幸せだよ。」
「そうか。」
いつものように個室の店に入ると、私はどんどん酒を煽った。自分が情けなくて、どうしようもなかった。
「エリオ、飲み過ぎだよ。」
「大丈夫だ。」
「今日こそ話、聞かせてもらうからね。」
ノアに担がれて屋敷に帰ると、ベッドに傾れ込んだ。
「ノア、好きだ。愛してるんだ。」
「うん。僕もエリオのこと好きだし愛してるよ。」
「キスしたい。」
「いいよ。」
今日は飲み過ぎて舌が上手く動かなくて、追いかけてくるノアの舌からあまり逃げられなかった。
捕まって舌をジュッと吸われると、快感に震える。
「んん、、ぁ、、」
「エリオは何を心配してるのかな?教えて?」
「・・・」
「エリオが好きなところ攻めちゃおうかな。」
「ぁあ、、のあ、、」
「まだ足りない?」
ノアの柔らかい指が私の胸の先端をフニフニと揉んで舌を這わせると、ピリリと背中まで痺れる快感が襲ってくる。
「ここもほら、こんなに僕に触って欲しいって言ってる。」
「あぁ、、のあ、そんなことしなくていいから、、」
ノアは私の中心で立ち上がった部分を優しく手で扱くと、咥えてジュルジュルと音を立てて吸っている。
我慢できなくて、ノアを退けようと手を伸ばすのに力が入らなくて、少し震えながらノアの口に出してしまった。
そうしたらまたノアは私のものを飲んでしまったんだ。
「エリオ、まだ話してくれないの?」
「・・・ひぁ、、あ、のあ、、だめ、、」
ノアは私の中に指を差し入れて、私の急所ばかり攻めてくる。気持ちよくて涙が溢れて、甘い声ばかり出てしまう。
「エリオが言うまでやめないからね。」
「お願い、もうノアが欲しい、、きて、、」
涙ながらに訴えると、ノアはやっと指を引き抜いてジュププと私の中に入ってきた。
「言わないなら奥、激しく攻めちゃうからね。」
「あっ、あっ、、のあ、、あぁ、、」
「足りない?もっとする?こっちも一緒に扱いてあげるね。」
そう言うと、激しく抽挿を繰り返しながら、私のものを温かい手で扱かれ、私はすぐに達してしまった。
「あっ、のあ、、いまイッたばかりだから、、」
「うん。だからいいんでしょ?ほら、気持ちいい?」
「あっ、あっ、、のあ、、ゆるして、、」
ノアは全く手加減してくれなくて、私がイッても止めてくれないし、ガクガクと震えて涙も止まらなくなった。
「言います、、言います、、言うから、、ゆるして、、」
そう言うと、やっとノアは動きを止めてくれた。
ハァハァと息を乱して、体を震わせていると、優しいキスをしてくれた。
落ち着く。ノアのキスで、心も体も落ち着きを取り戻していく。
「ごめんなさい。私はノアのことを幸せにする自信がありません。」
婚約披露パーティーでノアが傷つけられたこと、私が一緒にいたいという理由だけで結婚を決めたこと、ノアをどうしたら幸せにできるか分からないことを話した。
「エリオは馬鹿だな。もう、馬鹿!」
「すまない。」
「エリオ、一方的に与えられる幸せなんて僕は嬉しくないよ。結婚するんだからさ、2人で幸せになるんだよ。幸せにするんじゃなくて、幸せになるの。」
「うん。」
「僕も一緒にいたいって理由で結婚を決めたよ。あと、誰にも取られたくないって理由もある。それでいいんだよ。
僕はマナーとか足りないから勉強してるけど。一緒にいたいからだよ。」
「そうなのか。」
「家が決めた結婚なんてさ、一緒にいたいって思いさえないんだよ?仕方なく一緒にいることもある。だから一緒にいたいと思ってもらえるだけで幸せなことだよ。だから心配しないで。僕は幸せ。」
「ノア・・・続き、お願いします。できれば優しいのが希望です。」
「うん。いいよ。」
「あっ、のあ、、あいしてる、、」
「エリオ、僕も愛してるよ。」
ノアはさっきの激しさが嘘みたいに、優しく抱いてくれた。そっか、2人で幸せになるのか。
結婚とはそういうことだったのか。
ノアの腕の中で柔らかい体に包まれて、温かい気持ちがどんどん湧いてきた。
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