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43.再会※
しおりを挟む>>>ノア視点
エリオ・・・
ホワイト公爵家の屋敷に着いてエリオの部屋まで行ったけれど、ノックをしても返事はなかった。ドアノブに手をかけてみたけど、鍵がかかっている。
こんなことは初めてだ。
今までだって何度かエリオが疑心暗鬼になったことはあったけど、完全に拒絶されたのは初めてだった。
侍女のリーナさんに話を聞いてみたけど、もうずっとこのような感じなのだとか。
僕はエリオが聞いていると信じて、扉に背中をつけて話し始めた。
「僕はエリオに無理を言った。ごめんね。
エリオの才能を継ぐ子どもがいた方がいいって思ったんだ。僕ではエリオとの子どもが作れないから。」
「でもそれってさ、僕の勝手な意見で、エリオの気持ち無視してた。エリオがそんなに追い詰められてたなんて知らなくて、さっきエリオの両親が来て初めて知った。」
「エリオはまだ僕と結婚したいと思ってくれる?
エリオが望んでくれるなら僕はエリオと結婚したい。」
「嘘だ。」
低い掠れた声で、ドアの向こうから微かにエリオの声が聞こえた。
やっぱりエリオは聞いてくれてたんだ。
「嘘じゃないよ。僕はエリオのこと愛してる。好きだよ、エリオ。誰より好き。」
「遠回しに断ったんだろ?私なんかと結婚したい者がいるわけない。」
僕は分かってしまった。
エリオの父である公爵様はエリオが僕と結婚するために正室探しを頑張ってたと言ってた。でも、今は誰にも姿を見せないで心を閉ざしていると。
上手くいかずに落ち込んでいるのではなく、心を閉ざしたのはそれだ。エリオの中で僕が断ったんだと結論付けたんだ。
きっとエリオは、周りもそれを知っているのに言わなかったと思って心を閉ざしたんだな。
「エリオ、僕は断ってない。結婚したいって言ってくれたこと、本当に嬉しかったんだ。断ったりしない。
エリオ、結婚しよう。」
「・・・それが本当だとしても、私はダメな人間なんだ。ノアを愛しているし一緒にいたいから頑張ってみたけど、ノアを迎えに行けそうにない。」
「いいよ。エリオが迎えにこないから、僕が迎えに来た。だから顔を見せて。僕が好きなエリオの顔を見せて。」
「本当か?」
カチャリと鍵の開く音がした。
僕はその音を聞き逃さなかった。すぐにドアを開けてエリオを抱きしめる。
「エリオ、ごめんね。本当にごめんね。もう苦しまなくていいから。ずっと側にいるから。」
「ノア、こんなに情けない私なのに、いいのか?」
「情けなくない。僕と結婚するために頑張ったんでしょ?」
「でも・・・ダメだった。
ノアのこと、迎えに行きたかった。」
「うん。」
>>>エリオ視点
両親がどこかに出かけたのは知っていた。
しかしノアの屋敷に行くなど知らなかった。
ノアは、結婚したいと言った。それはやはり私の両親が権力を振り翳したんだろうかと申し訳ない気持ちでいっぱいになったが、ノアは迎えに来たと言う。私のことを好きだと言う。
不安しかないけど、私にはノアしかいないし、信じたいという気持ちもある。
こんなに情けない私でもいいのか?本当に私なんかでいいのか?
恐る恐る鍵を開けると、その瞬間に勢いよくドアが開いてノアに抱きしめられた。
もう一度ノアに抱きしめてもらえるなんて思っていなかったから、じわじわと涙が滲んでノアの姿が霞んでいく。
「エリオ、ごめんね。本当にごめんね。もう苦しまなくていいから。ずっと側にいるから。」
「ノア、こんなに情けない私なのに、いいのか?」
「情けなくない。僕と結婚するために頑張ったんでしょ?」
「でも・・・ダメだった。
ノアのこと、迎えに行きたかった。」
「うん。」
「ノア、好き。私は、ノアだけがいい。」
「うん。僕もそう思ってる。エリオだけがいい。」
頬に添えられた手が柔らかくて温かくて、ノアがここにいるんだと実感できた。
唇が重なって、優しく私の口内を撫でていく。逃げなくても追いかけてこないなんて初めてで、どうしたらいいのか分からなくなった。
「エリオ、会いたかった。」
「うん。私も会いたかった。」
「エリオ、騎士団でも頑張ってたんでしょ?」
「大したことはしていない。」
「そんなことないと思うよ。」
「私でも役に立てることがあるなら嬉しいが・・・」
「うん。役に立ってるよ。」
涙が止まらなくなってしまった私のことをノアは抱き抱えて運んで、一緒にベッドに横になった。
抱きしめられたままずっとノアは私の背中を摩ってくれていて、たまに額や頬や唇にも触れるだけの優しいキスをしてくれる。
ずっと眠れなかった。用意された食事も半分くらいしか食べれなくて、悲しくて苦しかった。
それなのに、ノアがいるだけで私の心は解れて、力が抜けていく。
もっとノアを感じていたいのに、瞼が重くて、意識がトロリと溶けていく。
目が覚めると暖かくて柔らかいものに包まれているような感触があった。
夢か。そう思ったのに、ノアの香りがするんだ。ノアの魔力を感じるんだ。
これは夢じゃないのか?
「・・・ノア、なのか?」
「うーん?エリオ?起きた?」
「ノア、なんでここにいる?」
「えー?忘れちゃったの?エリオが迎えにきてくれないから、僕がエリオを迎えに来た。」
「そんな馬鹿な。夢か?これは夢なのか?」
ノアがここにいるわけない。これはきっと夢だと思った。
とうとう私は頭がおかしくなってしまったのかもしれない。
「エリオ、夢じゃないよ。僕はエリオを愛してる。夢じゃないってどうしたら信じてくれるかな?」
「あぁ、、」
幻かもしれないノアの指先が、私の上衣を捲り上げて胸の先端をキュッと摘んだ。
「エリオが好きなここ、気持ちいいでしょ?夢じゃないでしょ?ほら、キスだってしてあげるし、こっちだっていっぱい触ってあげるよ。」
「んん、、ぁ、、、」
「可愛い。逃げても捕まえるから。」
「ノア、夢ならもっといっぱいキスして?」
「いいよ。夢じゃないけどね。」
本物みたいな感触。追いかけてくる舌から必死に逃げても、やっぱりノアに捕まって、ジュッと吸われると気持ちよくて震えてしまう。
「エリオ、好きだよ。愛してるよ。」
「私も。ノアのこと愛してる。ずっと側にいてほしい。ずっとずっと。」
「ぁああ、のあ、、、ゃ、、、だめ、、」
ノアは私の胸の先を指でフニフニと摘みながら、私の中心で立ち上がったものを咥えた。
いやらしい音がジュルジュルと響いて耳まで甘く溶けてしまいそうになる。
「あ、、だめ、、、」
私が我慢できずに吐き出した精をノアはゴクリと音を立てて飲み込んだ。
あんなものをまたノアに飲ませてしまった・・・。
「ごめん、、ノア、、」
「謝らなくていいんだよ。僕がしたくてしてるんだから。」
いつも優しいノアは夢の中でも変わらず優しいらしい。
でも、少し意地悪なノアはやっぱり夢の中でも少し意地悪だった。
私の急所ばかり執拗に攻め立てる。
「のあ、、ぁ、、あ、、やぁ、、そんなにだめ、、あ、、」
「夢じゃないよ。エリオ、ほら僕はここにいるでしょ?」
「うん、、のあ、、ノアをください、、ノアの全部をください、、」
「いいよ。あげる。エリオに全部あげる。全部受け止めてね。」
「あぁ、、のあ、、」
「エリオ、大好きだよ、愛してるよ。ずっと一緒だからね。」
「のあ、、、愛してる、、ずっと側にいてください、、」
私はノアに抱かれながら、ずっとノアに愛していると側にいてほしいと言っていた。
これが夢でもいい。私の気持ちはやっぱりノアだけに向いていて、ノア以外を抱くとか抱かれるなんて無理で、だから起きたらちゃんとノアに会いに行って言おうと思った。
私は弱くて情けないけど、ノアのことを真剣に愛していて、ノアが必要だと。
どうしてもノアでないとダメで、ノアと結婚したいと言おう。
許してくれなくても、怒られても、伝わるまで何度でも何度でも言おうと思った。
すぐに弱音を吐いて、逃げてしまいそうになる私だけど、ノアだけは諦められない。
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