【完結】うちの子は可愛い弱虫

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39.続き※

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「エリオ、噂の件以外にも何か悩みがあるの?僕のことだよね?」
「・・・。」

「僕がちゃんとエリオのこと理解してあげられたらいいんだけど、ごめんね。」
「ちが・・・違うんだ。私が、全て悪い。本当にすまない。」

 嫌われることが怖い。

 今は好きだと言ってくれるが、好きでなくなってもノアは私に従うのではないか。そう思うととても怖い。
 ごめんなさい。やっぱり私に他人と関わるなんて無理だったのかもしれない。

 膝を抱えて体をギュッと丸めていると、ノアが私を背中から抱きしめてくれた。

「エリオ、話して。怖いならこのままでいい。ずっと側にいるから。」
「ノア、ごめん。嫌なことをさせて。断れなかったんだろ?私が、公爵家の人間だから。」
「え?何のこと?嫌なことって?」
「今まで嫌なことをさせてすまなかった。」
「え?え?何のこと?そんなことされた覚えないんだけど。」

 やっぱりノアは優しい。そんなことをされていないなんて、また気を使わせてしまった。

「さっきも、嫌なことをさせてしまった。本当に申し訳ない。」
「え?嫌なことなんてないけど。」
「口でさせて、飲めと・・・。すまない。」
「嫌じゃないよ。エリオ、怒らないからちゃんと話して。」

 私は、ノアがいつも私の要望に答えてくれるから、どこまでなら許されるのかと気になったこと、嫌だと言われることを前提として嫌なことを要求したのだと伝えた。

「もう、エリオは本当に可愛いな。高位貴族だから断らないなんてそんなことないよ。僕は結構自由人だし、余計なことも言っちゃう。嫌な時はちゃんと断るから。心配しないで。
 エリオが男娼か誰かに教えてもらって練習するって言った時、嫌だって言ったよ。忘れちゃった?」
「そう、だった気がする。」
「ほら、嫌な時は嫌ってちゃんと言ってるでしょ?エリオはもっと僕に甘えて我儘言っていいんだよ。」

 そうか。嫌だと言う時もちゃんとあるんだな。いつも従っているわけじゃないんだな。
 それでもいつも私の希望を聞いてくれている気がする。それにいつも甘えて我儘言っているんだが、もっと?

「大好きだよ、エリオ。こっち向いて。」

 私はゆっくりと抱えた膝を解いて、寝返りを打つようにノアの方を向いた。

「ノア、ごめん。色々。」
「続きしていい?エリオが可愛くて、もう我慢できない。」

 私はゆっくりと頷いた。
 するとノアの手が伸びてきて、頬に触れてキスをされた。

「んん、、」

 優しい手。いつも私を不安の渦から救い出してくれる。
 でも今日のノアはちょっと意地悪だった。


「のあ、、あっ、やぁ、、」
「いっぱい気持ちよくしてあげるね。僕が好きな可愛いエリオをたくさん見せて。」

「だめぇ、、のあ、、あっ、、おかしくなる、、あっ、、ぁああ、、」

 ノアは私の急所ばかり執拗に攻めて、全然やめてくれなかった。


「エリオ、乱れるエリオはすごく綺麗だよ。」

 呼吸を乱しながら甘い声ばかり出て、ノアにギュッとしがみついた。

「おねがい、、もう挿れて、、のあ、、おねがい、、」

 もう何もな考えられない。ノアの温度と質量と、柔らかい体が気持ちよくて、ふわふわと揺さぶられて頭が馬鹿になったみたいだ。

「すきです、、のあ、すきぃ、、あっ、、」



 目が覚めると、小さな蝋燭の火だけがゆらゆらと揺らめいて、真夜中なのかシンと静まり返っていた。
 でも1人じゃない。柔らかい腕に抱かれて、耳を澄ますとノアの小さな寝息が聞こえる。

 ノア、私はちゃんとできているのか?
 私に不満はないのか?ちゃんとしたいのにまた快楽に呑まれて正気を保つことができなかった。
 みんなこんな風になってしまうんだろうか?誰かに聞いてみたいけど、誰にも聞けない。

 解剖学で人体のことを調べても、正常な反応や快楽を感じる指標などは載っていない。これほど難しい問題は初めてかもしれない。

「んんー、、」

 私が動いたせいで起こしてしまったか?そう思ってジッと息を潜めてみたら、少し体勢を変えただけで起きたわけではなかったようだ。

 ノアの腕の中で微睡んでいると、どんどん瞼が重くなっていく。ノアに包まれていれば、私は社会の不安から解放されて安心して眠れる。

 ・・・ノアがずっとここにいてくれればいいのに。

  
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