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26.報告
しおりを挟む「最近、また副団長機嫌悪いのか?」
「いつもに増して厳しい表情をしているよな。」
「何かあったのか?」
ノアと両思い。ノアと恋人になった。
こんな幸せがあっていいのか?無理だと思っていたのに、これから慈しんでノアに振り向いてもらえるよう努力してようと思っていたのに、もう恋人になってしまった。それに、いたしてしまった。嬉しすぎる。幸せすぎる。
ダメだダメだ。こんな緩んだ気持ち悪い顔など誰にも見せられない。いつも以上に気を引き締めなければ。
最近サボりがちだった鍛錬も再開しよう。
そんなことを考えていると、団長が私の部屋を訪ねてきた。
何かトラブルでもあったんだろうか?
「副団長、最近調子はどうだ?」
「悪くない。」
「そうか。」
「団長、何か言いたそうですね。何ですか?」
「いや、大したことじゃない。そろそろ強化遠征の時期だからな。たまには行ってみないか?」
「私がですか?」
「嫌なら無理にとは言わない。」
そんなこと一度だって頼まれたことはない。珍しいな。目的は何だ?
「それで?本当の目的は何なんです?」
「その魔法の技術を下にも教えてやってくれると助かる。魔法騎士の底上げということになるかな。」
「部下の育成か。なるほど、分かりました。参加します。」
「そうか。行ってくれるか。助かる。」
最近浮かれすぎていたからな。少し離れて頭を冷やさないといけないとは思ってたんだ。
ちょうどいい。
「ノア、遠征に行くことになった。」
「そうなんだ。」
「だからしばらく会えない。」
「分かった。仕事なら仕方ないね。」
「寂しい・・・。」
思わず口から出た言葉に自分でも驚いた。
わがままな子供のような言葉・・・。大の大人がそんなことを言って恥ずかしい。恥ずかしすぎる。
ーーーーー
ノアside
エリオが少し硬い表情で、遠征に行くことになったと告げてきた。
そして寂しいと。
嬉しい。エリオがそんな風に思っていてくれることが嬉しかったのに、エリオはなぜか顔を赤くして目を背けてしまった。
恥ずかしかったんだろうか?
可愛いな。
襲いたくなるが、ここは個室とはいえ店なんだからそんなことはできない。
「エリオ、僕も寂しいよ。帰ってきたら寝かさないからね。」
「え?寝ずに夜通し何かするのか?ちょっと寒いが星でも見に行くか?」
「エリオ・・・ずっとそのままのエリオでいてね。僕はそんなエリオが大好きだから。」
「分かった。私もノアのことが大好きだ。」
仕方ないから今日はキスだけで我慢しよう。
エリオは本当に純粋で可愛い。僕みたいな真面目でもないような奴がエリオの恋人でいいんだろうか?
悪影響を及す原因となってしまっているような気さえしてくるんだが。
それでも、僕は心からエリオのことが好きで、心からエリオのことを大切に思ってる。
この恋が報われなかったとしても、エリオを愛せる今を大切にしたい。
「エリオ、キスしていい?」
「ここでか?」
「前もしたでしょ?」
「・・・した。」
なんでそんな気まずそうな顔するかな?エリオと初めてキスしたのはこんな個室の店だった。
エリオにとってはあれは酔っ払って失態を犯したんだと思ってるのかもしれない。
あれはエリオの失態じゃなくて、僕が可愛いエリオに強引にキスしただけなんだけどね。
「エリオ、好きだよ。」
「私もノアのことが好きだ。」
「んん、、、はぁ、、、ぁ、、、」
今日もエリオの舌は僕から逃げて逃げて、でも結局最後は僕に捕まる。
エリオは可愛いな。僕しか知らないエリオの可愛い姿。いつかみんなに知られて、そうしたら僕は追いやられて、そして手が届かなくなってしまうんだろうか。
今は考えない。そんなシリアス思考は僕には似合わないからね。
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