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14.エリオの思い
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エリオside
幼い頃の私に辛く当たってきたキャスが一時的であってもこの国に戻ってくると聞いて、平常心を保てなくなった。
ギュッと膝を抱えても、震えは治らなくて、もうすぐノアが来るというのに、一歩も動けなかった。
10年近く会っていなかったから、もう大丈夫だと思っていたのに、ダメだった。
本当に私は情けない。
コンコン
「ノアです。」
今は会いたくない。そう告げて帰ってもらうしかないのに、声が出なかった。
そのまま帰ってくれるかと思ったが、ノアは部屋を覗いて、そして入ってきた。
見つかりませんように・・・。
そう願ったが無駄だった。
「エリオ。」
「ノア、見ないでくれ。」
「何で?」
「こんな情けない姿。」
震える声でそう告げると、ノアはこんな情けない私を抱きしめてくれた。
「何があったか知らないけど、大丈夫。僕が付いてる。」
やはりノアは心を癒す魔法を放出しているのかもしれないと思った。
ガチガチに固まって動かなかった腕が少し動くようになって、手の震えも落ち着いていった。
絶望に押し潰されそうだった心も、ノアがずっと背中を撫でていてくれる手が優しくて温かくて、少し軽くなった気がする。
ノアが体を離すと、途端に恥ずかしさが湧き上がってきて、私はノアの顔を見ることができなかった。
するとノアは私の頬に手を当てて無理やりノアの方を向かせた。
「綺麗。」
「え?」
「エリオの目、すごく綺麗。」
ノアが私の目を綺麗だと言った直後、ノアの唇が私の唇と重なった。
「ごめん。許可もなくキスして。」
「ノア、もう一回して。」
心細くて誰かに縋りたくて、いやノア以外ではダメだ。ノアに縋りつきたくなって、私はノアを求めた。
するとノアは、触れるだけのキスを何度もして、そして私の口の中に舌を滑り込ませた。
驚いて逃れようとしたけど、ノアは逃してくれなくて、どんどん力が抜けていった。
苦しい・・・どうやって息をすればいいのか分からない。苦しくて死んでしまうと思ったら、ノアの口が離れていって、やっと息ができた。
なぜノアは平気なんだ?
そしてノアは私のことを好きだと言った。こんな情け無い私を見ても嫌いにならないと言った。
もっとしてほしい。
恐れ多いことだが、私はノアに恋をしてしまったんだと思った。
「はぅ、、ぁ、、、んん、、、」
どれだけ逃げてもノアの舌が私の舌を追いかけてきて、とうとう捕まってしまうと、ノアに舌をジュッと吸われた。
この感覚は何だ?口内を舌でなぞられるのもゾクゾクして力が抜けていくが、舌をジュッと吸われるのは気持ちよくて体が痺れる。
「エリオ可愛い。気持ち良かったの?」
「気持ちよかった。ノア、もう一回して?」
「何度でもしてあげる。」
「うん。嬉しい。」
私たちは何度もキスを繰り返した。
逃げても逃げても追いかけてくるノアの舌に、キスとはこういうものなのだと学習した。
楽しいし気持ちいいと思って夢中でノアの舌から逃げていると、ノアは急に私の股間を撫でた。
私はビックリして魔法まで発動して部屋の隅まで逃げた。
私のものが硬く立ち上がっていたことにも驚いたし、ノアがそんなところに触れたのも驚いた。
話には聞いたことがあった。
騎士団は男所帯だから、性の話なども飛び交う。男女間でなく、男同士でもそういった行為があるのは知っていたし、私は高位貴族だからその対象にならなかったが、入団間も無い容姿が優れた者が上官に相手をさせられるという話も聞いたことがある。
戦闘後など、熱を治めるために、互いに合意の上でそのような行為に及んだりすることもあると聞いてはいた。
ノアは、私の体を求めているのか?
ノアの私へ向ける好きは、友情ではなく恋?性欲?そういった行為をしたいのか?
ずっと友達でいてほしいと言った。もうこんなキスをしている時点で友達と言えるかも怪しいが、ノアがどういうつもりなのかが分からない。
では私はどうだろうか?・・・分からない。
絶対に無理、というわけではない。
だからと言ってノアの体を性的対象として見ることに罪悪感がある。
ノアを失いたくないと思う気持ちだけは確かだが、私の想いが友情から恋になってしまったことで、失ってしまうのではないかと思うと怖くなった。
友達だったらずっと一緒にいられたかもしれないのに、恋だと言ったら嫌われるのではないかと思うと決して言ってはいけないと思った。
ノアはすぐに謝ってきた。もうしないと。
もしかして、たまたま触れてしまっただけか?私が過剰に反応しただけなのか?
そうだったら本当に申し訳ない。
私はノアの元に戻ったが、とても気まずかった。なんて言えばいいのか分からないし、もしノアが私の体を求めていたらと思うと、私の気持ちが恋であることがバレてしまったらどうしようと、緊張してまともな受け答えなどできなかった。
どうしたものかと悩んでいると、ノアが今日うちに来た目的を告げた。
ノアは私のために魔力回復ポーションを作ってくれたのだとか。
しかも、森で一緒に摘んだ薬草は、そのポーションを作るためのものだったのだと。
あぁ、やっぱりノアはノアだ。
好きだ。
断られると思いながらキスしたいと言うと、ノアは了承してくれて、また口の中で舌の追いかけっこが始まった。
たまにノアの舌に捕まってしまうとジュッと吸われて気持ちよくて震えてしまうけど、キスは気持ちよくて楽しいものだとノアが教えてくれた。
幼い頃の私に辛く当たってきたキャスが一時的であってもこの国に戻ってくると聞いて、平常心を保てなくなった。
ギュッと膝を抱えても、震えは治らなくて、もうすぐノアが来るというのに、一歩も動けなかった。
10年近く会っていなかったから、もう大丈夫だと思っていたのに、ダメだった。
本当に私は情けない。
コンコン
「ノアです。」
今は会いたくない。そう告げて帰ってもらうしかないのに、声が出なかった。
そのまま帰ってくれるかと思ったが、ノアは部屋を覗いて、そして入ってきた。
見つかりませんように・・・。
そう願ったが無駄だった。
「エリオ。」
「ノア、見ないでくれ。」
「何で?」
「こんな情けない姿。」
震える声でそう告げると、ノアはこんな情けない私を抱きしめてくれた。
「何があったか知らないけど、大丈夫。僕が付いてる。」
やはりノアは心を癒す魔法を放出しているのかもしれないと思った。
ガチガチに固まって動かなかった腕が少し動くようになって、手の震えも落ち着いていった。
絶望に押し潰されそうだった心も、ノアがずっと背中を撫でていてくれる手が優しくて温かくて、少し軽くなった気がする。
ノアが体を離すと、途端に恥ずかしさが湧き上がってきて、私はノアの顔を見ることができなかった。
するとノアは私の頬に手を当てて無理やりノアの方を向かせた。
「綺麗。」
「え?」
「エリオの目、すごく綺麗。」
ノアが私の目を綺麗だと言った直後、ノアの唇が私の唇と重なった。
「ごめん。許可もなくキスして。」
「ノア、もう一回して。」
心細くて誰かに縋りたくて、いやノア以外ではダメだ。ノアに縋りつきたくなって、私はノアを求めた。
するとノアは、触れるだけのキスを何度もして、そして私の口の中に舌を滑り込ませた。
驚いて逃れようとしたけど、ノアは逃してくれなくて、どんどん力が抜けていった。
苦しい・・・どうやって息をすればいいのか分からない。苦しくて死んでしまうと思ったら、ノアの口が離れていって、やっと息ができた。
なぜノアは平気なんだ?
そしてノアは私のことを好きだと言った。こんな情け無い私を見ても嫌いにならないと言った。
もっとしてほしい。
恐れ多いことだが、私はノアに恋をしてしまったんだと思った。
「はぅ、、ぁ、、、んん、、、」
どれだけ逃げてもノアの舌が私の舌を追いかけてきて、とうとう捕まってしまうと、ノアに舌をジュッと吸われた。
この感覚は何だ?口内を舌でなぞられるのもゾクゾクして力が抜けていくが、舌をジュッと吸われるのは気持ちよくて体が痺れる。
「エリオ可愛い。気持ち良かったの?」
「気持ちよかった。ノア、もう一回して?」
「何度でもしてあげる。」
「うん。嬉しい。」
私たちは何度もキスを繰り返した。
逃げても逃げても追いかけてくるノアの舌に、キスとはこういうものなのだと学習した。
楽しいし気持ちいいと思って夢中でノアの舌から逃げていると、ノアは急に私の股間を撫でた。
私はビックリして魔法まで発動して部屋の隅まで逃げた。
私のものが硬く立ち上がっていたことにも驚いたし、ノアがそんなところに触れたのも驚いた。
話には聞いたことがあった。
騎士団は男所帯だから、性の話なども飛び交う。男女間でなく、男同士でもそういった行為があるのは知っていたし、私は高位貴族だからその対象にならなかったが、入団間も無い容姿が優れた者が上官に相手をさせられるという話も聞いたことがある。
戦闘後など、熱を治めるために、互いに合意の上でそのような行為に及んだりすることもあると聞いてはいた。
ノアは、私の体を求めているのか?
ノアの私へ向ける好きは、友情ではなく恋?性欲?そういった行為をしたいのか?
ずっと友達でいてほしいと言った。もうこんなキスをしている時点で友達と言えるかも怪しいが、ノアがどういうつもりなのかが分からない。
では私はどうだろうか?・・・分からない。
絶対に無理、というわけではない。
だからと言ってノアの体を性的対象として見ることに罪悪感がある。
ノアを失いたくないと思う気持ちだけは確かだが、私の想いが友情から恋になってしまったことで、失ってしまうのではないかと思うと怖くなった。
友達だったらずっと一緒にいられたかもしれないのに、恋だと言ったら嫌われるのではないかと思うと決して言ってはいけないと思った。
ノアはすぐに謝ってきた。もうしないと。
もしかして、たまたま触れてしまっただけか?私が過剰に反応しただけなのか?
そうだったら本当に申し訳ない。
私はノアの元に戻ったが、とても気まずかった。なんて言えばいいのか分からないし、もしノアが私の体を求めていたらと思うと、私の気持ちが恋であることがバレてしまったらどうしようと、緊張してまともな受け答えなどできなかった。
どうしたものかと悩んでいると、ノアが今日うちに来た目的を告げた。
ノアは私のために魔力回復ポーションを作ってくれたのだとか。
しかも、森で一緒に摘んだ薬草は、そのポーションを作るためのものだったのだと。
あぁ、やっぱりノアはノアだ。
好きだ。
断られると思いながらキスしたいと言うと、ノアは了承してくれて、また口の中で舌の追いかけっこが始まった。
たまにノアの舌に捕まってしまうとジュッと吸われて気持ちよくて震えてしまうけど、キスは気持ちよくて楽しいものだとノアが教えてくれた。
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