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11.ノアの気持ち
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ノアside
エリオはたぶん僕のことを好きになりかけているんだと思う。きっとそれが恋だとは気付いていない。
キスしたいなんて友情の好きとは明らかに違う。
全然望みなんて無かったけど、僕に想いが傾きかけているなら、エリオの心が欲しいと思った。
それなのに兄貴たちに邪魔をされた。
せっかく2人で仲良く森を散策して、ちょっと距離を縮めてみようかと思ってたのに。
兄貴たちのエリオに対する態度にも腹が立って、エリオの手を掴んで逃走した。
「エリオ、好きだよ。」
「え?あぁ、私もノアのことが好きだ。」
「ちょっと違うんだけどね~、でもいいや。嬉しい。」
きっとエリオはこの好きは友情の好きだと思ってるんだろう。
それでも好きだと言ってくれたことが嬉しかった。初めは友情でもいいと思ってたんだけどな~
これをどうやって恋だと分からせるか、かなり難しいかもしれない。
そしてもっと僕に燃え上がるように恋してほしい。
「そろそろ行くか?足が辛いなら回復促進の魔法をかけよう。」
「エリオって何でもできるんだね。本当格好いい。」
「そうかな。」
あーヤバイ。またそんな頬を染めたりなんてして。
これ、僕以外の誰にも見せたくないな。
たぶん、あんまり見せることはないんだと思うけど。普段からこの顔してたら冷酷なんて言われるわけないし。
「ノア、私は人付き合いが苦手なんだ。だから正しいことが分からない。間違えたら教えて欲しい。」
「うん。僕と違ってエリオが間違えたことなんてないよ。」
「そうか。」
エリオは明らかにホッとした顔をした。
そんなに気にしてたの?
人付き合い、苦手なんだ?
それを僕に話してくれたことが嬉しい。信頼してくれてるって思っていいのかな。
「あれ?あの草。」
そんなことを考えながらエリオの綺麗な横顔を眺めていると、エリオの向こうに見たことのある紫色の花が見えた。
「ん?どれだ?」
「これ~」
「この紫の小さい花が付いたものか。そこにもあるぞ。」
「本当だ。意外にも群生地発見?」
これで特製魔力回復ポーションが作れる。
多めに採っておきたいな。
薬草を摘みながら移動していくと、思った以上の量になった。
「たくさん採れてよかった~」
「そうだな。
ん?ノアの兄たちが来たようだ。」
「もー、帰ってくれてよかったのに~」
「そう言ってやるな。」
「ノア!やっと見つけた!大丈夫か?何もされてないか?」
まだそんなこと言うの?
僕は兄貴たちを睨んだ。
こういう時は何も言葉を発さずに睨む方が効果的だ。
「うっ、、」
狼狽える兄貴たちに、とどめにふんっと外方を向いた。
「すまない。ホワイト副団長・・・。」
「すまない。」
「別に気にしていない。ノアが大切なんだろう?それは私も同じだから。」
「もー、エリオは優しすぎるんだよ。兄貴たちはもっと反省して!」
不思議なものを見たように首を傾げて兄貴たちは顔を見合わせた。
たぶんエリオが冷酷だって噂を信じてたから、本当のエリオに戸惑ってるんだろう。
このベンチみたいな岩だって、明らかに切り取ったと思われる部分が隣に置いてあるし、エリオがやったことはすぐに分かる。
それに、木で作ったカップも置かれている。僕が何もされていないどころか、ちゃんと休憩をとって、エリオが言った僕のことを大切だという言葉が本当だと気づいたんだろうな。
「エリオ、帰ろうか。」
「そうだな。」
僕は思い切ってエリオの手を握って歩き出した。そしたらエリオは拒否するどころか握り返してくれた。一瞬驚いた顔をしてたけど、僕に優しく微笑んでくれた。嬉しい。
その顔、好きだな~
帰り道、エリオは疲れた僕に回復促進の魔法をかけてくれたし、休憩の時には兄貴たちの分までカップを作って水を用意してくれた。
これで兄貴たちも、エリオが本当は優しい人だってことに気付いたと思う。
一旦領都に戻ると、僕たち4人は一緒に王都まで帰ることになった。
別に僕も兄貴たちも今日中に急いで帰らなければならないわけじゃないけど、僕は早くエリオにあげるポーションを作ってあげたかったし、兄貴たちは僕のおまけみたいなものだ。
エリオも兄貴たちも自分の馬があるけど、僕は長時間の乗馬は慣れてないから、僕はエリオの馬に一緒に乗せてもらうことになった。
「副団長、いいのか?」
「あぁ、構わない。」
「そうか。ノアを頼む。」
走り出すと、2人乗りしているとは思えないくらい速かった。
しかも全く落ちそうにないくらい安定してる。
きっとエリオが何か魔法を使っているんだと思うけど、何をしてるのかは全然分からなかった。
それより、エリオに後ろから抱きついていることにドキドキする。温かいし、手綱を握る腕も逞しくて格好いい。
僕が長時間の乗馬に慣れていないと言ったからか、エリオは休憩を多くとってくれた。
「ホワイト副団長、俺たちはあなたのことを誤解していたのかもしれない。」
「そうか。」
エリオは兄貴たちには塩対応だった。
表情も僕の前で見せる柔らかい表情ではなく、冷酷と噂されるような冷たい表情で、口数も少ない。
まぁ、あれだけ嫌な態度を取られればそうなるよな。兄貴たちが騎士団で立場を失いませんように。
エリオはたぶん僕のことを好きになりかけているんだと思う。きっとそれが恋だとは気付いていない。
キスしたいなんて友情の好きとは明らかに違う。
全然望みなんて無かったけど、僕に想いが傾きかけているなら、エリオの心が欲しいと思った。
それなのに兄貴たちに邪魔をされた。
せっかく2人で仲良く森を散策して、ちょっと距離を縮めてみようかと思ってたのに。
兄貴たちのエリオに対する態度にも腹が立って、エリオの手を掴んで逃走した。
「エリオ、好きだよ。」
「え?あぁ、私もノアのことが好きだ。」
「ちょっと違うんだけどね~、でもいいや。嬉しい。」
きっとエリオはこの好きは友情の好きだと思ってるんだろう。
それでも好きだと言ってくれたことが嬉しかった。初めは友情でもいいと思ってたんだけどな~
これをどうやって恋だと分からせるか、かなり難しいかもしれない。
そしてもっと僕に燃え上がるように恋してほしい。
「そろそろ行くか?足が辛いなら回復促進の魔法をかけよう。」
「エリオって何でもできるんだね。本当格好いい。」
「そうかな。」
あーヤバイ。またそんな頬を染めたりなんてして。
これ、僕以外の誰にも見せたくないな。
たぶん、あんまり見せることはないんだと思うけど。普段からこの顔してたら冷酷なんて言われるわけないし。
「ノア、私は人付き合いが苦手なんだ。だから正しいことが分からない。間違えたら教えて欲しい。」
「うん。僕と違ってエリオが間違えたことなんてないよ。」
「そうか。」
エリオは明らかにホッとした顔をした。
そんなに気にしてたの?
人付き合い、苦手なんだ?
それを僕に話してくれたことが嬉しい。信頼してくれてるって思っていいのかな。
「あれ?あの草。」
そんなことを考えながらエリオの綺麗な横顔を眺めていると、エリオの向こうに見たことのある紫色の花が見えた。
「ん?どれだ?」
「これ~」
「この紫の小さい花が付いたものか。そこにもあるぞ。」
「本当だ。意外にも群生地発見?」
これで特製魔力回復ポーションが作れる。
多めに採っておきたいな。
薬草を摘みながら移動していくと、思った以上の量になった。
「たくさん採れてよかった~」
「そうだな。
ん?ノアの兄たちが来たようだ。」
「もー、帰ってくれてよかったのに~」
「そう言ってやるな。」
「ノア!やっと見つけた!大丈夫か?何もされてないか?」
まだそんなこと言うの?
僕は兄貴たちを睨んだ。
こういう時は何も言葉を発さずに睨む方が効果的だ。
「うっ、、」
狼狽える兄貴たちに、とどめにふんっと外方を向いた。
「すまない。ホワイト副団長・・・。」
「すまない。」
「別に気にしていない。ノアが大切なんだろう?それは私も同じだから。」
「もー、エリオは優しすぎるんだよ。兄貴たちはもっと反省して!」
不思議なものを見たように首を傾げて兄貴たちは顔を見合わせた。
たぶんエリオが冷酷だって噂を信じてたから、本当のエリオに戸惑ってるんだろう。
このベンチみたいな岩だって、明らかに切り取ったと思われる部分が隣に置いてあるし、エリオがやったことはすぐに分かる。
それに、木で作ったカップも置かれている。僕が何もされていないどころか、ちゃんと休憩をとって、エリオが言った僕のことを大切だという言葉が本当だと気づいたんだろうな。
「エリオ、帰ろうか。」
「そうだな。」
僕は思い切ってエリオの手を握って歩き出した。そしたらエリオは拒否するどころか握り返してくれた。一瞬驚いた顔をしてたけど、僕に優しく微笑んでくれた。嬉しい。
その顔、好きだな~
帰り道、エリオは疲れた僕に回復促進の魔法をかけてくれたし、休憩の時には兄貴たちの分までカップを作って水を用意してくれた。
これで兄貴たちも、エリオが本当は優しい人だってことに気付いたと思う。
一旦領都に戻ると、僕たち4人は一緒に王都まで帰ることになった。
別に僕も兄貴たちも今日中に急いで帰らなければならないわけじゃないけど、僕は早くエリオにあげるポーションを作ってあげたかったし、兄貴たちは僕のおまけみたいなものだ。
エリオも兄貴たちも自分の馬があるけど、僕は長時間の乗馬は慣れてないから、僕はエリオの馬に一緒に乗せてもらうことになった。
「副団長、いいのか?」
「あぁ、構わない。」
「そうか。ノアを頼む。」
走り出すと、2人乗りしているとは思えないくらい速かった。
しかも全く落ちそうにないくらい安定してる。
きっとエリオが何か魔法を使っているんだと思うけど、何をしてるのかは全然分からなかった。
それより、エリオに後ろから抱きついていることにドキドキする。温かいし、手綱を握る腕も逞しくて格好いい。
僕が長時間の乗馬に慣れていないと言ったからか、エリオは休憩を多くとってくれた。
「ホワイト副団長、俺たちはあなたのことを誤解していたのかもしれない。」
「そうか。」
エリオは兄貴たちには塩対応だった。
表情も僕の前で見せる柔らかい表情ではなく、冷酷と噂されるような冷たい表情で、口数も少ない。
まぁ、あれだけ嫌な態度を取られればそうなるよな。兄貴たちが騎士団で立場を失いませんように。
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