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おじさん遠征に参加する
しおりを挟む少し緊張する。
帯剣はした。革鎧も一応着たし、まぁ私は騎士ではないから力は強いが戦いが得意なわけではない。
「さぁ、行こうか。はいそこ、もっと寄って。転移するよ~」
ラウロは私の手をギュッと握ってる。私もラウロの手をいつもより強く握った。
一瞬で辺りの景色が訓練場から森の中に移った。
「シモン、一応魔力遮断かけてるけど、少しでも体調がおかしくなったらすぐに魔力溜まりから距離を取ってね」
「分かりました」
しばらく森を進むと、禍々しい気配が肌にピリピリと感じるようになった。
これはどうなんだろう? これも体調の変化なのか?
「かなり強いな。肌にピリピリくる」
「だなー、これは追加人員が必要になるかもな」
「魔物が見当たらないのが幸いか」
「確かにな」
魔術師たちがそんな会話をしているのを聞いて、ピリピリするのは普通のことなのだと思った。
あれか。森の奥に空間が歪んで濃い紫のような霧が固まったところが見えた。
初めて見た。あれが魔力溜まりか。
「ん~、これくらいならこの人数で大丈夫じゃない? とりあえずそこのお前からそっちのお前まで、結界展開ね。それ以外は浄化最大で。さっさと終わらせよう」
「「「はい!」」」
「シモンはここにいて。体調が悪くなるようなら離れていいけど、魔物なら出てきたとしても俺が倒すから心配しないで」
「分かりました」
ん? 何だか少し暑いな。
体の奥からじんわりと熱が広がっているような感じがした。
「シモン!? 離れろ!!」
「え? わ、分かりました」
ラウロに凄い形相でそう言われて、後ろを向いて踏み出したが足がもつれた。
あ、倒れるかも。クラリと視界が揺れて、私は地面に接触する寸前でラウロに抱き止められた。
はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、、、
なぜか息が苦しい。そして暑い。起きあがろうとするが、力が入らなくて起き上がれなかった。
「ラウロ、ごめん。なんか暑い。ちょっと苦しい」
「すぐ帰ろう。全員すぐに集合しろ!」
「「「はい!」」」
すると、次の瞬間には城の演習場だった。
「誰でもいいから医療班をすぐに呼べ!」
珍しいな。ラウロが声を荒げるなんて。
「ラウロ、魔力溜まりは?」
「恐らくシモンが殆どの魔力を吸ったから消えた」
「そっか」
「苦しいか? 痛いか?」
「痛くは、ない。暑い。息苦しさは、少しある。私は、大丈夫です」
間も無くバタバタと誰かが走ってくる音がして、数人で抱えられながら私は医務室へ運ばれた。
申し訳ない。そんな重篤ではないし、私は無駄に体格がいいから重いだろうな。そんなことを考えながら大人しく運ばれていった。
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