【完結】おじさんの私に最強魔術師が結婚を迫ってくるんですが

cyan

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おじさん怒る

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「……んん」
「あ、起きましたか? シモンさん」
「うわぁ!」

「大丈夫ですか?」
「な、ナリオさん、どうしたんですか? ラウロは?」
「あそこ。反省中らしいです」

 ナリオさんの指差す方向を見ると、部屋の隅で膝を抱えて項垂れるラウロがいた。


「あぁ、なるほど。反省中……ふふふ」
「あら意外ですね。シモンさん絶対怒っていると思ったのに」
「少しは怒っていますよ。それよりナリオさん何か用があったのではないですか?」
「あぁ、そうそう。国の南方に魔力溜まりができたようで、遠征の必要が出てきたんですよね。ラウロさんに報告に来たんですが、あの調子で……」
「分かりました。なんとかします」

「ラウロ、仕事ですよ」
「シモン、ごめん。俺のこと嫌いにならないで」
「好きですから、安心して仕事してください」
「本当?」
「えぇ、本当ですよ」

 ラウロの不安に揺れる目から、ポロリと涙が溢れた。反省してると言っていたのは本当みたいだ。


「分かった。仕事する」
「はい。被害が出ないうちに迅速にお願いします」

「はぁ~、やっぱりシモンさんは凄いな。本当に助かっています」
「ナリオ、俺のシモンの寝顔見たな?」
「は?」

 寝顔? 確かに見られたが、私のようなおじさんの寝顔を見たところで何だと言うんだ?


「近くまで転移で送るから詳細な場所の特定と周辺の状況調査な。終わったら通信で連絡寄越せ。迎えに行ってやる」
「え!?」

 そう言うとラウロはナリオさんを連れてどこかへ転移したらしい。そしてラウロだけがすぐに戻ってきた。
 ナリオさん、可哀想に。
 ラウロが送っていくということはナリオさんは転移を使えないのか。

「ラウロ、ナリオさん1人で大丈夫なんですか?」
「大丈夫大丈夫。あいつ意外と強いから」
「そうですか」

「シモン、ギューして」
「ダメです。そういうのは家だけ。私は怒っているんです」
「ごめんなさい。でもさっき俺のこと好きだって」
「そうですよ。それはそれ。仕事中にこんなところで行為に至ったことは怒っています」
「ごめん。家ならいい?」
「家ならいいですよ」
「そっか。分かった。我慢する。俺、ちゃんと我慢するよ」
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