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おじさんデートをする
しおりを挟む「ヤバイ。シモンの中、気持ちよすぎた~
やっぱり俺たち相性抜群だね。結婚しよ?あ、その前に清浄かけとくね。お腹痛くなるといけないから。それと腰痛い?治癒もかけておくね。」
「ありがとう。」
「シモン、気持ちよかった?」
「・・・気持ち良かった、です。はぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~~」
「え?え?何その長いため息。何か不満?俺のテク不足とか?それ困る~」
「こんなの知りたくなかった。こんなの知ったら抜け出せなくなりそうです・・・。」
「抜け出さないでよ~、逃げないよね?ね?ね?逃げないで?
ホント、何にも制限しないし、仕事も好きなようにしていいし。だから結婚しよ?」
「なぜそんなに結婚に拘るんです?」
「好きだから。俺以外の誰のものにもなってほしくないし。」
「少し考えさせてもらえませんか?」
「・・・分かった。」
眉尻を下げて泣きそうな顔をされると心が痛むが、結婚なんてそんなすぐに決められないだろう。
「私はそろそろ家に帰ります。」
「え?なんで?ここにいればいいじゃん。」
「1人で考えたいんです。」
「そっか・・・じゃあ、帰り送っていくし、ご飯一緒に食べようよ。」
「分かりました。」
食事くらいは、いいか。
彼は私の手を指を絡ませるように握ると、ニコニコしながら歩いていく。
私の子供でもおかしくない年齢の彼と結婚?
しかも彼はこの国でもかなり重要なポストについている。そんな偉い人と私が結婚?
考えを放棄したいほどに色々な情報が頭の中をぐるぐると回っている。
今までの人生の中でこれほど頭が混乱したことはあっただろうか?
「シモン、何が好き~?何食べたい~?」
「何でもいいです。ラウロの好きなもので。」
「ん~、ピザ。あとトマトとチーズのサラダと、野菜スープかな。」
「いいですよ。」
意外にもラウロは肉より野菜が好きなのか。
若いから肉をガツガツ食べるのかと思った。
適当な店に入ると、ラウロはメニューを見て勝手に色々頼んでくれた。
「これ、美味しいよ。シモンも食べてみて。」
「あ、はい。」
「シモンと一緒にご飯食べれるなんて嬉しい。」
「そうですか。」
「シモンは?楽しい?」
「あ、えっと、楽しいです。」
人と一緒に食事をするなどいつぶりだろうか?魔力がないせいで友達などいなかったからな。まだ両親が生きていた頃に食事をしたのが最後かもしれない。
ニコニコしながら美味しそうにピザを頬張るラウロを見ているのは楽しいし、嬉しい。
友人がいればこんな楽しい時間もあったのかもしれない。
貴重な体験をさせてくれるラウロには感謝しないとな。
店を出ると、ここでいいと言っているのにラウロは私の家まで付いてきた。
「シモン、寂しい。離れたくない。結婚しよ?」
「少し考えさせてください。」
「・・・分かった。明日の仕事は何時から?」
「9時からです。」
「そっか。何時に家出るの?」
「え?8時半です。」
「そっか。シモン、おやすみ。」
「送ってくれてありがとうございました。おやすみなさい。」
そう言うと、ラウロは私の首に腕を絡めてキスをしてから去っていった?いや、消えた。
これも魔術か。
私はその夜、あまり寝れなかった。
ラウロが私を騙そうとか貶めようとか考えているわけではないことは分かったが、受け止めきれない自分がいる。
嫌いではない。好きかは分からない。ただ、私の中に分不相応という言葉が大きくのしかかってきて、やはり断ろうと思った。
ラウロの悲しそうな顔を想像すると胸が痛むが、ラウロのためにはそれがいいんだと思った。
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