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終戦
しおりを挟むテオが俺の精神安定剤になってくれているおかげで、しばらくするとまた階級が上がって、自分の部隊を持つことになった。
このこともすぐにテオに報告に言ってテオのおかげだとお礼を言ったけど、僕は何もしてないと言うだけだった。
俺は気付いていた。俺がテオに惚れていることを。散々迷ったけど告げるだけ告げてみることにした。
「テオ、俺はテオに惚れている。」
「そうなんだ。」
「だからといって、何をしてほしいとかそういうことではなくて、ただ伝えたかっただけだ。だから何も答えたりしなくていい。」
「うん。そうする。キース、僕のこと抱かないの?」
「抱きたい気持ちと抱きたくない気持ちがある。抱きしめているだけで満足というのは本当で、抱きたいのは好きだから抱きたいんだが、抱いてしまったらテオとの関係が終わってしまいそうで怖い。」
「関係?」
「何だろうな?関係と言っても、俺はただの客だし、従業員と客の関係で、それ以上でもそれ以下でもないんだが、なんだか怖いんだ。テオが俺に見せてくれる笑顔が変わってしまう気がして。」
「よく分かんない。」
「俺も。よく分からない。」
「ふふふ、そうなんだ。キスは?」
「キスは、してみたい気もする。」
「もしかしてキースって、キスも他も経験無い?」
「・・・ない。」
「そっか。じゃあ初めては本当に愛する人がいいよね。」
「それはテオなんだけどな。」
「またまた~」
「テオ、キスして。」
「いいの?」
「テオにキスしてほしい。最初のキスはテオがいい。」
「分かった。」
それはただ触れるだけのキスだったけど、テオの唇が柔らかくて、幸福で満たされる感じがした。
「テオありがとう。」
「・・・こんなのでいいの?」
「え?キスってこういうものだよな?」
「もっと舌を絡めたりするものもあるよ。」
「じゃあそれはまた別の機会の楽しみに取っておく。」
「ふふふ、何それ変なの。」
その日から、俺たちは抱き合うだけでなく、触れるだけのキスをするようになった。
幸せだった。テオの心は俺に向いてくれることは無かったけど、客だからか拒否されることもなく、幸せな時間を過ごしていた。
そんな時に、戦争が終結を迎えた。
俺はテオの元に走った。もし、男娼をやめるなら、本当にテオを引き取りたいと思って、それを伝えるために行ったが、娼館は畳まれており、テオの姿はどこにも無かった。
もう2度と会えないのか?
もう会えないのなら、最後にもっとちゃんと想いを伝えておけばよかった。
本気で引き取りたいんだと伝えておけばよかった。
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