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29.新しい部屋と驚き ※
しおりを挟む夕飯が終わってヒューゴ様の部屋に戻ると、荷物の移動が終わったとメイドのリサが知らせに来てくれた。
「リサ、ありがとう」
「いいえ、お仕事ですから」
丁寧なお辞儀をすると、リサは部屋を出ていった。
「寝巻きに着替えてきます」
「ああ、そうだな」
私は寝室を通り抜けて従者用の部屋に入った。
ベッドが無い。
チェストと、ソファーとローテーブルはあるが、クローゼットには私の服もかけられているが、ベッドが無いんだ。
隣の従者用の部屋は呼べばいつでも来られるから、もう一緒には寝ないのかと思ったんだが、ベッドが無いということはこれからも一緒に寝てくれるんだろうか?
それとも従者はベッドなど使わないのか? 熟睡などして主人の呼び出しに気付けないのはいけないと、床か、ソファーで寝るんだろうか?
とにかくすぐに寝巻きに着替えよう。少しでも仮眠をとっておかないと、夜中に呼び出された時に起きれないかもしれない。
私は廊下側の扉から入ってきたリサに、着替えを手伝ってもらうと、リサには今日はもういいと退室してもらった。
大判の膝掛けに包まってソファーに横になるが眠れない。
寒くて、膝を抱えて丸くなると、少しは休めそうな気がした。
だんだんウトウトしてくる。でもやっぱり寒いな。
「こんなところで寝て、風邪を引くぞ。心配だな」
そんな声が聞こえた気がした。
温かい。ヒューゴ様の匂いがする。
ん? ヒューゴ様の匂い?
私はハッとして目を覚ました。
すると、ヒューゴ様に抱きしめられてベッドで寝ていた。
あれ? いつの間に? 寒くて寝ぼけてベッドに来てしまったんだろうか?
「ジョシュア、ダメだぞ。寒いのにソファーで寝たら」
「え?」
「ちっとも戻ってこないから、心配して見に行ったんだ。そしたらソファーで丸まって寝ていたから、ここに連れてきた」
「私はこれからも、このベッドでヒューゴ様と一緒に寝ていいのですか?」
「当たり前だろ? そのために部屋を移動したんだから」
そうなのか。だからベッドが無かったのか。ソファーか床で寝なくていいんだな。
そうか、寝ている時にも何があるか分からない。そんな時にも常に側にいる存在、それが従者なのか。
一国を背負う皇帝ともなると、そのような者も必要になるんだな。
「ジョシュア、何か勘違いしてそうな気もするが、まあいい。寝るか」
「ヒューゴ様、今日は淫らなことをしないのですか?」
「なんだ? してほしいのか?」
「違います。昼間は途中だったので、続きをした方がいいのかと」
ヒューゴ様は少しムッとすると「する」と言って私に覆い被さってきた。
キスを繰り返すと、私はすぐにヒューゴ様の下半身に移動しようとしたんだが、手首を掴まれて無理だった。
「私はいいですから」
「ダメだ。俺がしたい」
寝巻きを少し強引に剥ぎ取られて、その唇は首から鎖骨を通って胸の先を捉えた。
「あっ……」
体がピクリと跳ねて、体の奥から、快感と熱が引っ張り出されて全身へと広がっていく。息をしたいだけなのに甘えた声が出て、変な声が出ないように口を塞ごうとするのに、その両手はヒューゴ様に掴まれていて動かせない。
「あっ……や……ん……」
「気持ちいいか?」
必死に唇を噛み締めて声を押し殺す。
やっぱり涙が出て出てしまった。
するとヒューゴ様はまた昼間のように動きを止めた。
「どうした?」
涙が溢れてしまった私を、ヒューゴ様は抱き起こしてその腕に包んで、背中を優しく撫でてくれた。
「ほら、思っていることを言ってみろ。俺はそれを望んでる」
「はい。気持ちよくて、快感に囚われておかしくなってしまうようで怖かったんです」
「大丈夫だ。怖くなったら俺だけを見ていろ。手を握っていてやるから」
「はい」
息が乱れた私のことを抱きしめて、背中を撫でてくれる手が大きくて温かい。
私もそっとヒューゴ様の背中に手を回した。
「先にヒューゴ様のしてもいいですか?」
「いいぞ」
そう言うと、ヒューゴ様は仰向けになってくれた。よかった。ホッと胸を撫で下ろして、私はヒューゴ様の下半身に移動した。
まだ柔らかいそこを咥えて、舌でヌルヌルしながら手で上下に扱いていると、どんどん硬く大きくなっていく。
教えてもらったことをちゃんとできるように、真剣に向き合う。
ビュビューっと出る時に、ヒューゴ様の体もブルリと少し震えることに気付いた。人は気持ちいいと震えてしまうものなんだろうか?
「気持ちいいですか?」
「ああ、気持ちよかったよ」
よかった。上手くできた。
きっとヒューゴ様は満足して、もう寝ると言ってくれる。そう思っていたのに、そんなことはなかった。
「ジョシュア、声は我慢しなくてもいいんだからな。むしろ我慢するな。俺は聞きたい」
「はい」
「俺の名前を呼べ」
「ヒューゴ様」
「いや、今じゃなくて気持ちいい時には俺の名前を呼べ」
「はい」
間違えてしまった。恥ずかしい。
甘えたような変な声を、ヒューゴ様は聞きたいんだ。恥ずかしいけど、ヒューゴ様の望みなら頑張るしかない。名前も頑張って呼ぼう。
「あっ……ひゅ、ご、さま……」
「ジョシュア、気持ちいいのか? 可愛いな」
また怖くて涙がポロッと流れていったけど、怖いときはヒューゴ様の黒曜石のような目を見ればいい。
え、見えない。私の胸に顔を埋めているから頭しか……
手を握って、ギュッと力を込めた。
「ひゅ、ご、さま……あっ……」
ヒューゴ様の手が私の中心に触れて、ゆっくり上下に扱かれると気持ちよくて、また声が出てしまう。
「ダメです……あっ……んん……」
またヒューゴ様の口に出してしまった。そしたら、ヒューゴ様はそれをゴクッと飲んだ。
なぜ? 私は嬉しいという気持ちは分からなくて、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「本当はもう少し進めたいところだけど、まだだな」
「進める?」
「では話だけしておこう」
私がヒューゴ様と自分に清浄魔法をかけると、裸のまま抱きしめられて、布団に潜り込む。
「男同士でも性交渉はできる」
「え? 子どもができるんですか?」
「いや、子どもは無理だ」
「ですよね。体の構造が違いますもんね」
「俺はジョシュアとしたい」
「はい」
「ジョシュアと体を重ねたい。その、ここに俺のを入れるんだ」
「えぇー!!」
ヒューゴ様が私のお尻に手を忍び込ませて、その窄まりをそっと撫でるから、私は驚きすぎて大きな声を出してしまった。
「すみません。大きな声を出して」
「気にするな」
「分かりました」
「本当かよ。怖くないのか?」
ヒューゴ様が望むのなら、私は応えるしかない。
怖いかどうかは分からない。怖いかどうかよりも、汚いんじゃないか、ヒューゴ様を汚してしまうんじゃないかという不安の方が大きい。
「汚いと思うんですが、いいんですか?」
「そんなのは些細なことだ。ちゃんと専用の洗浄剤がある。中に入れる魔法薬の錠剤が」
「なるほど。分かりました」
口に含んで口の中を洗浄する洗浄剤のようなものなんだろう。専用のものが作られているということは、私が知らないだけで、一般的に行われている行為なんだから、心配することもないと思った。
「だが、今日はもう寝よう。また今度な」
「はい。おやすみなさい」
「おやすみ」
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