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新しい関係(ディオ視点)2
しおりを挟む「ディオ、おはよう。」
「おはよう、ジョル。」
「服を綺麗にしてくれたのか?ありがとう。」
「いいんだ。私がしたくてしたことだから。」
そう答えてジョルに笑いかけると、ジョルが息を飲んだのが分かった。
「ジョル、どうした?」
「あ、いや、昨日ギルドで会った時のディオから随分変わったと思ってな。」
「変わった?」
「あぁ、冷たい目をして表情など無かったから、こんなに穏やかな顔で笑う奴だと思わなかった。」
「笑わない私の方がいいか?」
「いや、今の方がいい。今の方が可愛い。」
ジョルの表情も随分柔らかくなった気がする。
記憶がなくても、私に向ける眼差しはどこか優しい。
あぁ、キスしたい。抱きしめたい。もっと体を重ねたい。
ジョルは懇願されれば二度までなら抱くことがあると言った。しかし、三度目は無いと。二度抱かれてしまったら、捨てられるかもしれないと思うと、とても抱いてくれとは言えなかった。
それに、記憶が戻った私は、もう他の誰かを抱いたり抱かれたりなど無理だと思った。
そんなことを考えていると、ふとジョルの視線を感じた。
「ん?ジョル、そんなに私を凝視してどうかした?」
「もしかしたらディオは俺が失った記憶の一部かもしれないと思ってな。思い出せないかと思ったんだがダメだった。」
「そうか。」
記憶は戻っていなくても、何か私に感じるものがあるんだろうか?
それなら一緒にいてくれるかもしれない。
「ディオ、もし嫌じゃなければ、一緒に冒険者活動をしないか?」
「え?」
「嫌なら無理にとは言わない。」
「いいよ。」
「そうか。ありがとう。」
どう誘おうかと思っていたが、まさかジョルから誘ってくれるなんて思わなかった。
もしかしたら記憶は戻りかけているのかもしれない。
私のように何かきっかけがあれば。
「朝食をとったらギルドに行こう。」
「あぁ。」
手、繋ぎたいな。
ジョルの手をじっと眺めて、いけないと首を横に振った。
屋台でスープとパンを買ってベンチに並んで座って食べた。
そのスプーンの持ち方、変わってないんだな。ジョルの変わっていない部分を見つけると、とても嬉しくなった。
ギルドに行くと、適当な魔物討伐依頼を受けた。
学園にいた頃は演習で森に入ったとしても戦うのは弱い魔物だったが、今はBランク冒険者のため魔物ランクも上がっている。
私たちが受けた討伐依頼は、ミノタウロスという大きな牛のような魔物の討伐だった。
森へ入ると、索敵を広げる。
これはいつも私の役割だった。
「ディオ、近づいたら教えてくれ。」
「え?」
「あれ?すまん。ディオが索敵を使えるとなぜか勝手に思ってしまった。」
「使える。近づいたら教えるから、このまま真っ直ぐ走ろう。」
「そうだな。」
その後も、何度か記憶が戻っているのではないかと思うような行動や発言があったが、ジョル自身もそれには戸惑っていた。
「ジョル、見つけた。ここから南西に約2キロだ。」
「分かった。行こう。」
私たちは走って向かい、見つけると戦闘に入った。
私がジョルの攻撃の合間を縫って魔法を放つ、そして適宜ジョルに回復や強化をかけていく。
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