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皇帝視点1
しおりを挟む余は第23代グローリエ帝国皇帝フレディー・レイ・グローリエ
この辺りの国の中でもかなり大きな面積を治める帝国の皇帝になって3年、両親が馬車の事故で死んで皇帝になるための引き継ぎが終わった頃だった。
隣国であれば参加することもあるが、普段は一つ国を挟んで向こうの小国の式典になど参加することはない。
しかし、皇帝を継いだばかりということもあり、顔を広めるためにも色々な国の式典に参加してみようと気まぐれに思っていた時にちょうど湧いて出た話だった。
小さな国だな。こんなところには来ても意味が無かったか。
隣接する国と、あとはもっと大きな周りに影響があるような国だけに絞ればよかった。
そう思いながら、一昔前に流行ったような料理を摘んで、挨拶してくる者があれば、適当に流していた。
かなり待たされて、やっと王族が一段高い場所に現れた。
王と王妃、側妃が数名に王子や王女が数名並んだ。
小国なだけあって、大したことないなと眺めていると、一番端にとんでもなく美しい子を発見した。
シルバーの髪に雪のように白い肌、目は美しいアイスブルーで精霊か妖精の血を引いているのかと思った。一瞬で目を奪われ、運命だと思った。
王族というのは大体太々しい面構えをしているものだが、その子は儚げな表情をしており、向こうが透けて見えるのではないかと思うほどの透明感は、1人だけ異質に見えた。
すぐに近くにいた給仕にあの子は誰なのかを尋ねると、名はシオン。第4王子の彼は母親は街の平民の娘だったそうで王が手を出してできた子なのだとか。
母親は産んですぐに亡くなったそうだ。
何やら街の娘に手を出したことが許せない様子の妃たちに肩身の狭い思いをさせられているとか。
「王よ、第4王子を貰い受けたい。」
「グローリエ帝国の皇帝陛下ともあろうお方があのような出自の卑しい者ではなく第2王女などはいかがですか?」
「そうですわ。あんなカリカリの見窄らしい者より他の王女の方が優秀でしてよ。」
卑しいのはどちらだ。見窄らしいのもどっちだ。側妃のくせに王と皇帝の会話に割って入るなど不敬にあたることも知らんのか。王子を貰い受けたらこの国との関係は断ち切ってもいいな。
「いいや、第4王子以外を貰い受ける気はない。この国では金塊は貴重だと聞いている。金塊3つでどうだ?」
「まぁ、金塊?あんな者とこの金塊を交換して下さるの?」
「お気に召したのであればどうぞどうぞ。お持ち帰り下さいな。」
この国に長居する気は無かったので、交渉も面倒だと金塊をチラつかせてみたが、こんなに簡単に釣れるとは思わなかった。
シオン、可哀想に。余が大切に育ててやろう。
「献上されるのだからリボンを結んであげるわ。」
趣味の悪いリボンなどを巻き付けられ、シオンはすぐに余に差し出された。
何とも胸糞悪い対応に眉を顰めながら、やはりさっさと帰ろうと決め、彼を連れてその日のうちに国を出た。
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