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初めての帝国
しおりを挟む皇帝陛下の馬車は、魔道馬車という特殊なもので、馬もスレイプニルという足がたくさんあるとんでもなく速い馬を使っているから、3日で皇都に到着した。
宿には泊まらず、大きな天幕を張ってその中のベッドで寝た。
皇帝陛下は、なぜか僕を抱きしめて寝て、たまに額や頬にキスをした。
幼い頃に、一応お父さんである王様が何度かしてくれたのを覚えている。
何でそんなことをしてくれたのか分からないけど、それが嬉しくて僕は皇帝の厚い胸板に頬を寄せて寝た。
「可愛いな。」
お城は、僕が生まれた国と比べるのが申し訳ないくらい大きくて、柱には彫刻なども施されていてとても綺麗だった。
「どうした?」
「とても大きくて美しいお城で感動していました。」
馬車を降りて城を見上げて立ち止まっていると、皇帝に頭を撫でられながらそう聞かれたから、僕は皇帝を見上げてそう答えた。
「そうか。これからシオンはここに住むんだよ。迷子になるといけないから手を繋ごう。」
「はい。」
僕の右手をとった皇帝の温かい手を僕はギュッと握り返した。
後宮には僕にも部屋があてがわれて、ほとんど無い僕の荷物はそこに運び込まれた。
「シオンはずっと余の隣にいるように。」
「はい。」
「目を閉じて。」
「はい。」
目を閉じると、皇帝の手が頬に触れて上を向かされ口にキスをされた。
「ん・・・」
キスを口にするのは愛する人だから。お城で読んだ本にはそう書いてあった。皇帝は僕を愛してくれるの?誰にも愛されないのだと思ってた。嬉しい。
それから僕は皇帝の隣で過ごした。
綺麗な衣装を着て、手を繋いで移動する。
そして口に額に頬にキスをされて、後宮の僕の部屋じゃなくて皇帝の部屋のベッドで寝た。
皇帝が仕事をしてる時は、皇帝の椅子の隣に椅子を置かれて横に座ってるか、皇帝の膝の上だった。
仕事も少し教えてくれた。僕は計算が得意だから、書類の計算の間違いを正したりすることもあって、そうすると皇帝は僕を褒めてキスをしてくれる。
だんだん僕は書類の整理などを手伝うようになって、皇帝の執務室には皇帝の机の隣に僕の机も用意された。掃除の仕事より楽しかった。
「シオンはここにいる誰より優秀で信頼できる。余がシオンを得たことはとても幸運なことだ。」
「陛下、ありがとうございます。」
皇帝は夜になると、たまに1人でどこかにいくことがある。でも、僕が寝るまでには戻ってくる。
僕は皇帝に抱きしめられて眠るのが好きで、皇帝と手を繋ぐのが好きで、皇帝とキスするのが好き。ドキドキして、温かくなる。
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