【短編】吸血鬼討伐作戦

cyan

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取り掛かり

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吸血鬼が幅を利かせている国には、外部からは他の者が滅多に入ってこないし、争いも少ないらしい。
そのせいで全く警戒されずに城下というかちょっと豪華な吸血鬼のトップが住んでいるという屋敷がある街にも難なく侵入した。
幸い吸血鬼と人間は見た目に差異がない。口を開ければ牙がないことが分かるだろうが、私は魔術師のためそんなものは幻影の魔法でなんとでもなる。
そして、この街には人間がいるのかは分からないが、吸血鬼の他に獣人も普通に歩いている。なんなら私が魔物と認識してたようなオークやゴブリンまで普通に歩いていた。

こんな国があるのか。
吸血鬼か・・・。街を見て回る限り、私が住む人間の国よりも平和に見えた。
いや、しかし私は私の計画を進める必要がある。


「もし、そこのお方。私は田舎から出てきたばかりなのだが、この国のトップのお方はお目にかかることができるのだろうか?」
「ん?吸血鬼のセラータ様ならさっきあっちの公園で遊んでいたぞ?」
「国のトップが街の公園で遊ぶのか?」
「あんた本当に遠い田舎から出てきたんだな。セラータ様はまだ80歳と若いから公園で遊ぶだろ。この国は女子供が夜に歩いても襲われることがないくらい安全だからな。よくその辺で遊んでいるさ。」
「そうなんだな。」

ふむ。80歳は公園で遊ぶほど若いのか。人間の感覚とはやはり違うんだな。
まぁ私も魔力が多いせいで老い難く60を過ぎたが見た目は20かそれくらいに見えると言われる。
案外この国にこのまま住み着くのもありかもしれないな。そんなことを一瞬思ったが、慌てて首を振ってその思いを断ち切った。
私には使命がある。あの計画を完遂しなければならないんだ。

それにしても本当に警戒心がないんだな。トップに君臨する者がその辺で遊んで、今は公園にいるとか。
これならどうやって屋敷に入るかなどと考えずとも簡単に攫えるな。
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