【短編】吸血鬼討伐作戦

計画

今の吸血鬼のトップは若いらしい。
吸血鬼を見たことはないが、なんでも人の血を吸って生きているとか。人間が鳥や豚を食べるように、人肉も食べるとか食べないとか。
とにかく人間にとっては脅威の存在なんだ。

私はまぁ一応この国の魔法騎士団で魔術師として働いている。一部は封印されているが、それでも人並みかこの国の上位魔術師と同じくらいの実力があるから、重用されている。

私は吸血鬼討伐計画を立てた。
計画はこうだ。
まず私が吸血鬼のトップをたらし込んで囲い込む。まぁこの国で抱え込んでしまおうという計画。
それだけでは脅威は消えないので、その吸血鬼を使って吸血鬼幹部を斬滅してやろうというものだ。

私は古い文献から面白いものを見つけて、この計画を立てた。
それは、吸血鬼が名を呼んでからその人物の吸血を行うと、相手が死ぬというものだ。
太古の昔、その理を利用して大陸の吸血鬼をかなり減らしたことがあるらしい。
実際にはどの程度減らしたのかは分からないが、それを私は利用することにした。

その計画の成功率を上げるために、吸血すると我を忘れて吸血衝動に駆られるような薬の研究を進め、吸血蝙蝠と死刑囚で実験を重ねた。

王や団長他、国の重臣たちにもこの計画は好評で、私は計画を実行に移すことにした。
この計画が、なぜ好評だったのか。それは吸血鬼の幹部を一網打尽にできるという点もあるのだが、他の団員などに被害が出る可能性が低く、ほとんど私1人で行えるという点が特に気に入られたらしい。
要するに失敗したとしても私だけが死ぬことになると、そういうことだ。
吸血鬼を取り込むために私は騎士団の任務から外れ、この計画に集中することも了承された。吸血鬼の心を掌握するには、片手間では無理だと力説したからだ。

さっそく私は国を出て吸血鬼が多数いるという大陸の北の地へ向かった。
現地付近で調査をすると、何やら現在のトップは80歳ほどの年齢だとか。
若いらしいという情報はどこへいった？
老人だと計画が変わってくるぞ？私は焦りながらも調査を進めていくと、吸血鬼は長寿だとか。人間の10倍ほど生きるらしい。
そしてトップは可愛らしい子供のような容姿なのだとか。
これは私にも、ツキが回ってきたと思い、当初の予定通り計画を進めることにした。