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5.初めての

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「……キさん、タキさん、放して。もう限界。漏れちゃう。おしっこ漏れちゃうから」
 いつの間にか俺も寝ていたようで、ミツルが俺の腕から必死に逃れようとしていた。

「あぁ、すまん」
 腕の力を抜くと、ミツルは慌ててトイレに走っていった。
 そうかミツルの力では寝ている俺の腕さえ解けないのか。それほど力に差があるんだな。女の子みたいに華奢だったもんな。ちょっと力の入れ加減を間違えば怪我をさせてしまうのかと思ったら、途端に不安になった。

「タキさん好き。
 さっきは本当に焦りました。漏らすかと思って。そんな焦る僕を見て楽しんでたんでしょ? さすがタキさんです。この小さな意地悪を日常に散りばめてくるところも素敵です」
「……」

 別にそんなつもりはない。うっかり寝ていただけなんだが……
 そんなに期待に満ちた目で見られても、全くそんなつもりがなかった俺はどうすればいいのか分からない。
 しかし一つ分かったことがある。日常にも小さな意地悪を散りばめなければならないということだ。これはまた勉強する項目が増えた。
 可愛いミツルを側に置くためには、ちゃんと努力しなければならないということだ。頑張ろう。

「ドキドキする」
「ん? ドキドキ?」
「僕を早く痣だらけにして犯してほしい。一応受け身は取ってみるつもりだけど。痣があるうちは愛されたことを実感できるし、思う存分痛めつけて下さい。数本くらい骨折ってもいいですよ」

 いやいやいや、骨を折るとかダメだろ。生活どうすんだよ。そんなに痛くされたいのか? しかしミツルを病院送りにするのは俺が嫌だ。
 音で誤魔化すとかそんなことではミツルは満足しないかもしれない。

「うるせーな、早く風呂に入るぞ。犯してやるから」
 俺はミツルの髪を掴んで引き摺るように風呂に連れていった。これは正解か? 大丈夫か?

「はぅ……ぁ……すきぃ」
 正解だったらしい。行動一つ一つにも気を配らなければならないのは結構大変だ。不良漫画や極道映画で勉強するのもありか?

「早く脱げよ」
「はい」
「中は自分で洗えるか?」
「はい」
「見ててやるから早く洗え」
「やだぁ……見ないで。そんなとこ見ないで……」

 俺から目を逸らしたミツルは、恥ずかしそうに真っ赤になりながら洗っていた。
 一生懸命俺の指示に従おうとするミツルに胸がキュッと締め付けられる。可愛い。抱きしめたい。

「洗いました」
「いい子だGood boy」
「ん。あぁ、タキさんのCareケア、気持ちいい……すき」

 俺がミツルを抱きしめると、背中に腕を回してギュウギュウと締め上げるように抱きついてきた。可愛いな。全然痛くも苦しくもないというところがまた可愛い。

「離れろ。洗えん」
「はい」

 俺は自分とミツルの体をゴシゴシと洗うと、サッと風呂を出て髪を乾かしミツルを肩に担いでベッドへ運んだ。

 ドサッ

「はぁ……ぁ、格好いい。タキさん好き」
Crawl四つん這いになれ
「はい」
「Good boyいい子だ。ご褒美をやろう」

 俺はミツルを四つん這いにしたまま尻を叩いた。

 バチーン
「あぅ……」

 バチーン
「あぁ……」

 バチーン
「くぅ……」

 平手とはいえ、それなりの力で叩けばミツルの尻は真っ赤に染まっていった。
 しかし、チラリと見るとミツルの中心は硬く立ち上がり蜜を溢れさせている。合っていたらしい。ネットで調べておいてよかった。

「尻を叩いただけでこんなにして、淫らな奴だな」
「あぁ、だめ、出ちゃう……」
 俺がゆっくりミツルのものを扱いてやると、どんどん蜜を溢れさせて、ヌチャヌチャと卑猥な音が響く。

「まだイくなよ」
「はい、くぅ……んん……ぁ……だめ……や、だめ、はぁ……イッちゃう……あ、だめだめ、や、やぁああ……」

 ビュルっとシーツにミツルのものが吐き出された。

「イくなと言ったはずだ」
「ごめんなさい……」
Stand Up立て
「はい」

 少し強めに、大丈夫だよな?
 俺はミツルの頬を平手で叩くと思った以上に威力が出てしまい、体重の軽いミツルが飛ばされて床にズザーっと転がった。
 やりすぎた……

「ごめんなさい。嫌わないで」
「うん。大丈夫だ。嫌ってなんかいないから。よく耐えたな。いい子だGood boy」

 俺はミツルを抱き抱えてベッドに運ぶと、ミツルにキスをした。
 ミツルの口内に舌を滑り込ませると血の味がして、さっき口の中を切ったことが分かった。
 加減が難しい……

「ん……ん……ぁ……」

 可愛い。上気した顔で甘い吐息を吐くミツルに、俺の中心もどんどん硬さを増していった。

 唇から離れてその首筋を通って鎖骨を噛む。

「あぁ……」
 これも好きなんだな。正解みたいでよかった。
 ガブガブとミツルの肌を噛みながら下におりて、胸の尖は焦らすように優しくそっと舐める。
 ちゃんとそこは硬くなったことから、別に痛い刺激を与えないと感じないというわけでもないことが分かったが、たぶん物足りないんだろう。もじもじと体をくねらせている。

「ミツル、どうした?」
「えっと」
「何をしてほしい? Say言え
「ギュッてつまんで噛みついてほしい」
「ちゃんと言えていいこだGood boy、ご褒美をやろう」

「ぁああああ」
 俺が左右同時にギュッと強く摘むと、ミツルは背を反らせて気持ちいいと表現してくれた。
 力加減はこのくらいでいいんだろうか?

「もっと、もっとして下さい」
「分かった」

「ぁぁあああ、タキさん、すきぃ……」

 今度は捻りを加えてギュッと潰すように摘むと、目に涙を溜めながら好きだと言ってくれる。可愛い。噛みついたり強く摘んだりを何度も繰り返すと、ミツルのそこは真っ赤に腫れ上がって、そっと舐めるだけでも嬌声を上げるようになった。

「タキさん、挿れて。タキさんがほしい。解すのは自分でやるから……」
「ダメだ。俺がちゃんと解してやるから、お前は快感だけに集中していろ」
「ん」

 ローションを垂らしてミツルの中に指を入れた。ん? 随分狭いな。

「ミツル、お前まさか未経験か?」
「ん」
「そんなんでよく自分で中洗ったな」
「ん」

 これも母親から教えてもらったんだろうか?
 あんなに犯されたいと煽ってきたし暴力まで要求してきたから、それなりに経験があるのかと思っていたが、そうではないのか。
 だから家に連れ帰った朝、セックスしたのかを気にしていたのか。なるほど。
 それになんだかまた様子が変だ。

 裂けたりしないよう、俺は丁寧に解していった。入り口の一番狭い部分さえ解せばあとは挿れてから慣らせばいいか。
 初めてか。それならまだ感じないか?
 そう思って前立腺に触れてみると、ミツルがビクッと反応した。

「んん……はぁ……ぁ……すきぃ……んん……」

 触れる度にビクビクと体を揺らしていることから感じていることが分かって、俺はそこを攻めてやった。

「痛みじゃない攻め方もいいだろ?」
「ん。あぁ……んん……ぁ、ぁ……すきぃ……」

 何か様子が変だと感じていたが、その違和感の正体にやっと気づいた。よく喋るミツルの口数が少ない。返事も「ん」だけだし、まともな言葉を発していない気がする。

「もう挿れていいか?」
「ん。すきぃ」

 大丈夫か? 蕩けたように微笑んでいるし、体調が悪いということもなさそうだ。

「ゆっくりするからな」
「ん」

「んん……はぁ……ぁ……」

 俺は自分のものにもローションを馴染ませると、ゆっくりとミツルの中に入っていった。

「タキさん、すきぃ」
 甘えたようにそんなことばかり言うミツル。
 もしかして、Sub spaceサブスペースに入ったのか?
 Subが完全にDomに支配権を渡して酩酊状態に入ってしまうというあれか?
 それならこのミツルの態度にも説明がつく。今まで風俗でしかプレイしたことがなかった俺はSub spaceサブスペースに入ったSubを見るのは初めてだった。

 そんなに俺のことを信用してくれているのか。
 だとしたら、やっぱり優しく抱いてやろう。

「ミツル、Good boy」
「あぁ……ぁ……んん……」

 その日俺は、ミツルを労るように優しく抱いて、たくさんキスをして、そして抱きしめて寝た。


「タキさん、好き。大好き。頭がふわふわして、でもちゃんと覚えています。
 僕が初めてだから優しくしてくれたんでしょ? そんなことしなくてもよかったのに。でも嬉しかったです」
「そうか。ならよかった」

 朝起きると、いつものミツルに戻っていた。
 Sub spaceサブスペースに入ってくれるのは嬉しいが、俺はこの方が安心するし好きだ。

「はぁ~、あの平手も最高でした。ご褒美ありがとうございます。口の中が切れて血の味がして、それを満足そうに舐めてくれたタキさんも素敵でした。痺れます」
「そうか」

 満足そうに……
 そんなつもりはなかった。満足というよりは口の中が切れてしまった罪悪感だったんだが、ミツルにはそう見えていたのか。
 あの程度の平手ならミツルにとってはご褒美になるということが分かった。やり過ぎたのだと思っていたから戸惑いはあるが、喜んでもらえたのならよかったのだと思おう。

「噛みつかれる感じも、乳首の攻め方も、全部気持ちよすぎました。自分でやるのとは全然違いますね。タキさん大好き!」

「体は大丈夫か? 初めてだったんだろ?」
 裸のままぎゅっと抱きついてくるミツルを受け止めながら聞いてみた。

「タキさんが優しくしてくれたから全然大丈夫。タキさんは物足りなかったでしょ? 僕がもっと強そうだったらタキさんも遠慮せずに殴りながら犯せた?」
 俺、別にそんな趣味ないんだけど……そんなことしたことないし。

「ミツルは殴りながら犯してほしいのか?」
「うん。タキさんは本気で殴ったら僕が死んじゃうんじゃないかって怖いんでしょ? 僕も死ぬのは怖い。でもいつかタキさんをちゃんと受け止めたい」
「そうか」

 俺はこのままでいいんだけど。ミツルの期待には応えてやりたいが、あまり自信はない。

 なんでもない時はこうして甘えてくるし、四六時中殴ってほしいとか痛みを求めているわけではないようだ。そりゃあそうか。きっと性欲と同じようなものなんだろう。

「タキさん、大好きです」
 誰もが避けて歩くような俺に、笑顔で大好きと言ってくれるミツルのために頑張ろう。

「もっとだ。Say言え
「大好き。タキさん、大好き。大好きです」

「Good boy、いいこだ」
 もちろん俺はミツルを抱きしめた。可愛くて仕方ないのに、もっと甘やかしてやりたいのに、もどかしい。

 
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