【完結】戸惑いのDom -DomSubユニバース-

cyan

文字の大きさ
上 下
4 / 14

4.デート

しおりを挟む
 
 
 ふむ、平手は正解だったようだ。
 痛みとしてはミツルは物足りないのかもしれないが、拳で殴るより音がでて叩かれている実感をするのだとか。
 あとはダメージを受けにくい尻か。
 なるべく音を出して衝撃は軽くする方向でいきたいな。力を逃せるように角度も考えなければならない。
 首を絞めたりすることもあるらしいが、俺にはハードルが高い。力の入れ加減が分からないし、何よりそんなことをするということが怖い。
 蹴るというのも怖いな。甘噛みや抓ることくらいならできそうだ。

 今日は体力が続く限り激しめに攻め立てて様子を見よう。
 手探りで何とかミツルが満足できる加減を知っていかなければ。

 俺はミツルを連れて海の近くのショッピングモールに来ると色々な店を見て回った。食事をとると予習のためにトイレに向かった。
 ピッタリとくっ付いているからトイレくらいしか離れる隙がなかったんだ。個室に入ってスマホを眺めて色々と検索していた。
 おっと、ミツルを待たせすぎたか?


「可愛いじゃん。お前Subだろ? 俺らとも遊んでくんね? さっき隣にいた凶悪なDomよりは優しくしてやるよ~」

 ミツルを1人にしておくべきではなかったか。
 変な奴らに絡まれているミツルを見つけて思わずGlare威圧が漏れ出ていた。

「タキさん。好き好き好き~」

 俺のGlare威圧に気付いたミツルが振り向いて全力で駆けてきた。
 そして俺の腹に激突する勢いで抱きついた。

「大丈夫だったか? 何もされてないか?」
「大丈夫。タキさん好き。はぁ、タキさんのGlare威圧震えるほど気持ちいい」
「おい、それ俺のGlare威圧に当てられてSub dropサブドロップに陥りかけてんじゃねぇか。お前は危なっかしいな」
「大丈夫。大好きなタキさんのGlareグレアなら大丈夫だよ」

 にこやかな表情ではあるが、血の気が引いた青白い顔で、小刻みに震えながらそんなことを言われても、全然説得力はない。
 もしかして俺は自分のSubが傷つけられそうになった時にDomが攻撃的になって強いGlare威圧が出てしまうというdefenseディフェンスという状態になっていたのか?
 実際に殴りかかったり攻撃的にならなかったのは元々の性格なのか、それともミツルが声をかけられただけで手を出されたりはしていないからか、どっちだろう?

 とにかくミツルのCareケアが先だ。ミツルに絡んでいた奴らは倒れても知らんが、ミツルがこんなに震えているのを放っておくわけにはいかない。

「ちょっとこっち来い」
 俺はミツルの手を取って建物の影まで連れていった。

「ミツル、いい子だGood boy、変な奴に絡まれてもよく一人で耐えたな。いい子だ」
「ん。あぁ……タキさん、好き」

 抱きしめて背中を撫でていると、だんだんとミツルの震えがおさまってきた。

「歩けるか?」
「ん。大丈夫」
「しんどかったら俺の腕に掴まっていろ」
「ん。ありがと」

 まだ昼を食べて少ししたところだが、体調が万全でないミツルを連れ歩くわけにはいかないと、ミツルを連れてホテルに入った。

「無理すんなよ。しんどい時はちゃんと言えよ」
「ん」

 どうも様子がおかしい気がする。
 とにかく今は休ませよう。
 ミツルを抱き上げてベッドに寝かせ、靴を脱がせて襟元をくつろげると、俺も隣に横になった。

「タキさん、好き」
 俺は擦り寄ってくるミツルを抱きしめてひたすら背中を撫でていた。

 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

仕事ができる子は騎乗位も上手い

冲令子
BL
うっかりマッチングしてしまった会社の先輩後輩が、付き合うまでの話です。 後輩×先輩。

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

隠れSubは大好きなDomに跪きたい

みー
BL
⚠️Dom/Subユニバース 一部オリジナル表現があります。 ハイランクDom×ハイランクSub

【完結】あなたに撫でられたい~イケメンDomと初めてのPLAY~

金色葵
BL
創作BL Dom/Subユニバース 自分がSubなことを受けれられない受け入れたくない受けが、イケメンDomに出会い甘やかされてメロメロになる話 短編 約13,000字予定 人物設定が「好きになったイケメンは、とてつもなくハイスペックでとんでもなくドジっ子でした」と同じですが、全く違う時間軸なのでこちらだけで読めます。

きみをください

すずかけあおい
BL
定食屋の店員の啓真はある日、常連のイケメン会社員に「きみをください」と注文されます。 『優しく執着』で書いてみようと思って書いた話です。

お客様と商品

あかまロケ
BL
馬鹿で、不細工で、性格最悪…なオレが、衣食住提供と引き換えに体を売る相手は高校時代一度も面識の無かったエリートモテモテイケメン御曹司で。オレは商品で、相手はお客様。そう思って毎日せっせとお客様に尽くす涙ぐましい努力のオレの物語。(*ムーンライトノベルズ・pixivにも投稿してます。)

【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集

あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。 こちらの短編集は 絶対支配な攻めが、 快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす 1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。 不定期更新ですが、 1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 書きかけの長編が止まってますが、 短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。 よろしくお願いします!

家事代行サービスにdomの溺愛は必要ありません!

灯璃
BL
家事代行サービスで働く鏑木(かぶらぎ) 慧(けい)はある日、高級マンションの一室に仕事に向かった。だが、住人の男性は入る事すら拒否し、何故かなかなか中に入れてくれない。 何度かの押し問答の後、なんとか慧は中に入れてもらえる事になった。だが、男性からは冷たくオレの部屋には入るなと言われてしまう。 仕方ないと気にせず仕事をし、気が重いまま次の日も訪れると、昨日とは打って変わって男性、秋水(しゅうすい) 龍士郎(りゅうしろう)は慧の料理を褒めた。 思ったより悪い人ではないのかもと慧が思った時、彼がdom、支配する側の人間だという事に気づいてしまう。subである慧は彼と一定の距離を置こうとするがーー。 みたいな、ゆるいdom/subユニバース。ふんわり過ぎてdom/subユニバースにする必要あったのかとか疑問に思ってはいけない。 ※完結しました!ありがとうございました!

処理中です...