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エピローグ
188 虹のたもとに3
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「そうなのかな、判らないよ」
彼を見据えたまま呟いた。
「相変わらず気弱だな」
甲高い声がケタケタ笑い声を立てる。
僕を覗き込む赤い髪、キラキラと光を爆ぜる瞳。揶揄うような意地悪な口許。
「おかえり」
「ただいま」
彼は当たり前に僕の横に腰を下ろす。
そうか、また夏至の日が巡って来たんだ。やっと人形に創られた入り口を見つけたのに、戻って来るには、この世とあの世の境が一番薄くなるこの日まで無理だった訳だ。
「久しぶりに逢いに来てやったのに、何不貞腐れてるんだ、コウ! 俺のいない間につがいにまでなって好き勝手してたくせに!」
「どうせきみが彼を操っていたんだろ、あの指輪で」
「まさか! グノームの庇護下にある奴をそう簡単に操れるものか!」
「どうだか! 地の精霊の血を受け継ぐ彼が、火の精霊の指輪を創ることからして変じゃないか」
「協調関係が成立したってことさ」
「きみの言うことなんて信じられないよ。さんざん僕の記憶を改竄して……。僕は本気で彼を好きになったのに。どうしてくれるんだよ!」
「俺は関係ないって! まさかこんな展開になるなんて思ってなかった、てのはこっちの台詞だ! だいたいオス同士で交尾とか、どうかしてるとしか思えないぞ!」
「その直接的な言い方、やめてくれる?」
寝転がったまま、彼を睨んだ。相変わらず、自分勝手で傍若無人な僕の友人を。
僕の半分は、こんな彼で成り立っている。四大精霊が揃って初めて執り行える受肉の儀式を、彼と二人で仕切った結果だ。足りない霊力を彼は僕の魂で補い、大きく欠けた僕の生命力を補うために、彼自身で僕を埋めた。
こんな不完全で混沌とした僕だから、アルビーは僕から逃げるんだ。僕の中の彼が、彼を焼き尽くしてしまわないように……。
「あいつはそんな軟じゃないぞ」
「勝手に心を読むなよ」
「お前、相変わらず馬鹿だな。グノームの宝が焔に焼かれる訳がないだろうが」
「道を修復する手伝いはするけどさ、きみたちの諍いに、僕や、彼を巻き込むなよ」
「そりゃ無理ってもんさ」
またケタケタと彼は笑う。金属質な高い声で。彼と僕との間で会話が成り立ったためしがない。
僕は思い切りため息を吐く。僕のため息は、蒼く、透き通る空に吸い込まれていった。
「コウ、」
誰? 一瞬、誰だか判らなかったほど、地に沈み込んでいくような低い声だった。
「きみの友人を、僕にも紹介してもらえるかな?」
怒っている……。
この声音はマズい……。
僕は慌てて立ち上がる。
「アルビー、えっと、彼は、その、」
何て説明すればいいんだ? 名前、そう名前は?
「よぉ、白雪姫、ようやっと逢えたな」
彼が差し出した右手を、アルビーは冷ややかに見つめている。
何だって、わざわざ地雷を踏み抜くんだよ!
「アルビー、彼は僕の友だちで、サラマ、いや、火蜥蜴、そう、ドレイクだよ、ドレイクって言うんだ」
「ドレイク、何?」
「フランシス・ドレイク」
ぱっと浮かんできた名前を答えていた。アルビーは怪訝な顔をし、当の本人は噴き出し、ケタケタ笑っている。
「ドラコでいいぞ」
もう一度差し出された手を、アルビーは渋々握り返している。ピリピリした火花が散っているみたいだ。
後で冷静になってやっと、フランシス・ドレイクは、エリザベス時代のスペインの無敵艦隊を破った有名な海賊で海軍提督、ドラコは、彼のスペインでの呼び名、スペイン語で悪魔の化身でもあるドラゴンを意味することに思い至った。
「初めまして、よろしく、ドラコ。きみがあの噂の友人だな。お逢いできて光栄だよ」
ショーンが瞳を輝かせて彼に握手を求めている。びっくり眼で成り行きを見つめていたマリーとミラは、未だにぼんやりしている。こうして初めて対面したミラはショーンには勿体ないような、金髪碧眼の美女だった。僕は彼女に憎まれているかとビクビクものだったけれど、幸いなことに、今の彼女の眼中に僕は入っていない。
そりゃそうだ。この彼ときたら……。
燃えるような赤毛に、焔のような金がかった瞳。この季節に赤のインバネスコート。その人形のように白い肌以外、上から下まで赤尽くめなんだもの。
いつの間にか肩に回されていた腕に、ぐいっと引っ張られる。
「留学するの、やめようかな……」
「冗談だろ、アルビー?」
ぼそりと呟かれたその口調が、あながち冗談には聞こえなくて、恐る恐る彼を見上げた。
「冗談だよ」
冷ややかに微笑んだ彼の深緑の瞳は、いつもにも増して深い森の色彩を湛えている。
「おい、お前もうじきドイツに行くんだろ? 部屋が空くだろ、俺に貸してくれよ」
「申し訳ないが、もう決まってるんだ」
「え?」
僕は思わずミラとマリーに目を遣った。マリーは眉を寄せて小さく顔を横に振っている。
「彼が入居することになってる」
「冗談でしょ!」
素っ頓狂に叫んだのはマリーだ。皆に一斉に視線を向けられたショーンは唖然としている。
「あー、うん、そんな話してたよな、確かに。でもきみは断るって」
「歓迎する、って言ったはずだよ」
途中で遮って、アルビーは有無を言わせない。
「ちょっと待ってよ、アル、私は聞いてない、そんな話!」
「だから今話してるだろ」
「ちょっと、アル!」
愕然としているマリーを無視してアルビーは昼食の用意に掛かっている。ミラの作って来てくれたランチボックスを、僕も淡々とシートに並べた。アルビーは持参したワインを、カップに黙々と注いでいる。ミラはというと、そんな彼の優雅な仕草にぽーと見とれている。ショーンもショーンだけど、彼女も大概だ。
「これ、プレタマンジェのサラダにサンドイッチだな。鶏肉入りの奴、旨いよな」
火蜥蜴、言わなくてもいいことを!
蒼褪めた彼女に気づかない振りをして、僕は取り皿を配っていった。他の皆も、彼の不作法は無視してくれた。寿命が縮まるよ。
乾杯を交わすとショーンは早速、彼に質問の嵐だ。アルビーは不機嫌さを隠そうともせず何も言わない。マリーとミラの気まずさがピリピリと伝わってくる。
「虹だ」
「不思議、向こうの方は雨が降ってたのかしら?」
アルビーの声に頭上を仰いだ。蒼い空にふわふわの雲が流れる。その向こう、薄っすらと霞むロンドンの街並みに掛かる虹は朧で儚い。
アルビーが、シートの上に落としていた僕の手にその手を重ねた。僕は手のひらを返し、指を絡めた。
彼と僕は、たぶん、今、同じ世界を視ている。
霧を抜けて辿り着いた、虹のたもとに想いを馳せて。
了
――後書き――
長期に渡る連載にお付き合いいただき、ありがとうございます。
作中で張った伏線をほとんど回収できないまま、続編へ続くという形で一旦〆させていただきました。
作者もコウと一緒にもっと様々な知識を身に着けてから、次作へ挑もうと思います。
余りお待たせすることなく続きを書けるよう、精進します。
また、こうしてお読みいただけますように!
彼を見据えたまま呟いた。
「相変わらず気弱だな」
甲高い声がケタケタ笑い声を立てる。
僕を覗き込む赤い髪、キラキラと光を爆ぜる瞳。揶揄うような意地悪な口許。
「おかえり」
「ただいま」
彼は当たり前に僕の横に腰を下ろす。
そうか、また夏至の日が巡って来たんだ。やっと人形に創られた入り口を見つけたのに、戻って来るには、この世とあの世の境が一番薄くなるこの日まで無理だった訳だ。
「久しぶりに逢いに来てやったのに、何不貞腐れてるんだ、コウ! 俺のいない間につがいにまでなって好き勝手してたくせに!」
「どうせきみが彼を操っていたんだろ、あの指輪で」
「まさか! グノームの庇護下にある奴をそう簡単に操れるものか!」
「どうだか! 地の精霊の血を受け継ぐ彼が、火の精霊の指輪を創ることからして変じゃないか」
「協調関係が成立したってことさ」
「きみの言うことなんて信じられないよ。さんざん僕の記憶を改竄して……。僕は本気で彼を好きになったのに。どうしてくれるんだよ!」
「俺は関係ないって! まさかこんな展開になるなんて思ってなかった、てのはこっちの台詞だ! だいたいオス同士で交尾とか、どうかしてるとしか思えないぞ!」
「その直接的な言い方、やめてくれる?」
寝転がったまま、彼を睨んだ。相変わらず、自分勝手で傍若無人な僕の友人を。
僕の半分は、こんな彼で成り立っている。四大精霊が揃って初めて執り行える受肉の儀式を、彼と二人で仕切った結果だ。足りない霊力を彼は僕の魂で補い、大きく欠けた僕の生命力を補うために、彼自身で僕を埋めた。
こんな不完全で混沌とした僕だから、アルビーは僕から逃げるんだ。僕の中の彼が、彼を焼き尽くしてしまわないように……。
「あいつはそんな軟じゃないぞ」
「勝手に心を読むなよ」
「お前、相変わらず馬鹿だな。グノームの宝が焔に焼かれる訳がないだろうが」
「道を修復する手伝いはするけどさ、きみたちの諍いに、僕や、彼を巻き込むなよ」
「そりゃ無理ってもんさ」
またケタケタと彼は笑う。金属質な高い声で。彼と僕との間で会話が成り立ったためしがない。
僕は思い切りため息を吐く。僕のため息は、蒼く、透き通る空に吸い込まれていった。
「コウ、」
誰? 一瞬、誰だか判らなかったほど、地に沈み込んでいくような低い声だった。
「きみの友人を、僕にも紹介してもらえるかな?」
怒っている……。
この声音はマズい……。
僕は慌てて立ち上がる。
「アルビー、えっと、彼は、その、」
何て説明すればいいんだ? 名前、そう名前は?
「よぉ、白雪姫、ようやっと逢えたな」
彼が差し出した右手を、アルビーは冷ややかに見つめている。
何だって、わざわざ地雷を踏み抜くんだよ!
「アルビー、彼は僕の友だちで、サラマ、いや、火蜥蜴、そう、ドレイクだよ、ドレイクって言うんだ」
「ドレイク、何?」
「フランシス・ドレイク」
ぱっと浮かんできた名前を答えていた。アルビーは怪訝な顔をし、当の本人は噴き出し、ケタケタ笑っている。
「ドラコでいいぞ」
もう一度差し出された手を、アルビーは渋々握り返している。ピリピリした火花が散っているみたいだ。
後で冷静になってやっと、フランシス・ドレイクは、エリザベス時代のスペインの無敵艦隊を破った有名な海賊で海軍提督、ドラコは、彼のスペインでの呼び名、スペイン語で悪魔の化身でもあるドラゴンを意味することに思い至った。
「初めまして、よろしく、ドラコ。きみがあの噂の友人だな。お逢いできて光栄だよ」
ショーンが瞳を輝かせて彼に握手を求めている。びっくり眼で成り行きを見つめていたマリーとミラは、未だにぼんやりしている。こうして初めて対面したミラはショーンには勿体ないような、金髪碧眼の美女だった。僕は彼女に憎まれているかとビクビクものだったけれど、幸いなことに、今の彼女の眼中に僕は入っていない。
そりゃそうだ。この彼ときたら……。
燃えるような赤毛に、焔のような金がかった瞳。この季節に赤のインバネスコート。その人形のように白い肌以外、上から下まで赤尽くめなんだもの。
いつの間にか肩に回されていた腕に、ぐいっと引っ張られる。
「留学するの、やめようかな……」
「冗談だろ、アルビー?」
ぼそりと呟かれたその口調が、あながち冗談には聞こえなくて、恐る恐る彼を見上げた。
「冗談だよ」
冷ややかに微笑んだ彼の深緑の瞳は、いつもにも増して深い森の色彩を湛えている。
「おい、お前もうじきドイツに行くんだろ? 部屋が空くだろ、俺に貸してくれよ」
「申し訳ないが、もう決まってるんだ」
「え?」
僕は思わずミラとマリーに目を遣った。マリーは眉を寄せて小さく顔を横に振っている。
「彼が入居することになってる」
「冗談でしょ!」
素っ頓狂に叫んだのはマリーだ。皆に一斉に視線を向けられたショーンは唖然としている。
「あー、うん、そんな話してたよな、確かに。でもきみは断るって」
「歓迎する、って言ったはずだよ」
途中で遮って、アルビーは有無を言わせない。
「ちょっと待ってよ、アル、私は聞いてない、そんな話!」
「だから今話してるだろ」
「ちょっと、アル!」
愕然としているマリーを無視してアルビーは昼食の用意に掛かっている。ミラの作って来てくれたランチボックスを、僕も淡々とシートに並べた。アルビーは持参したワインを、カップに黙々と注いでいる。ミラはというと、そんな彼の優雅な仕草にぽーと見とれている。ショーンもショーンだけど、彼女も大概だ。
「これ、プレタマンジェのサラダにサンドイッチだな。鶏肉入りの奴、旨いよな」
火蜥蜴、言わなくてもいいことを!
蒼褪めた彼女に気づかない振りをして、僕は取り皿を配っていった。他の皆も、彼の不作法は無視してくれた。寿命が縮まるよ。
乾杯を交わすとショーンは早速、彼に質問の嵐だ。アルビーは不機嫌さを隠そうともせず何も言わない。マリーとミラの気まずさがピリピリと伝わってくる。
「虹だ」
「不思議、向こうの方は雨が降ってたのかしら?」
アルビーの声に頭上を仰いだ。蒼い空にふわふわの雲が流れる。その向こう、薄っすらと霞むロンドンの街並みに掛かる虹は朧で儚い。
アルビーが、シートの上に落としていた僕の手にその手を重ねた。僕は手のひらを返し、指を絡めた。
彼と僕は、たぶん、今、同じ世界を視ている。
霧を抜けて辿り着いた、虹のたもとに想いを馳せて。
了
――後書き――
長期に渡る連載にお付き合いいただき、ありがとうございます。
作中で張った伏線をほとんど回収できないまま、続編へ続くという形で一旦〆させていただきました。
作者もコウと一緒にもっと様々な知識を身に着けてから、次作へ挑もうと思います。
余りお待たせすることなく続きを書けるよう、精進します。
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ありがとうございます!
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>>105 旅23 洞窟まで
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