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七章
憧憬
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全然、駄目だ――。こんなもの、完全に失敗じゃないか。
コンサバトリーの壁面ガラスに映るクリスマスコンサートの映像を睨みつけて、飛鳥は口をへの字に曲げて渋面を作っている。
「ヘンリー、どうしてこんなに音が走っているの?」
傍らに座っているサラも、不思議そうにソファーにいるヘンリーを振り返る。
「映像と音が合っていないよ。吉野は何をしてたんだよ!」
ヘンリーは淹れたての湯気の立ち昇るティーカップを持ちあげると、苛立たしげに何度も長い前髪を梳きあげている飛鳥の前に置く。
「砂糖は二つだったね? いろいろトラブルがあったんだよ。彼の責任外のところでね。こんなこともあるさ、生演奏だもの」
「吉野だったらなにがあったって大丈夫と思ってたんだ――」
膨れっ面のまま、飛鳥はティーカップを口に運ぶ。
「第二楽章には戻ってきたよ、彼」
ヘンリーも飛鳥と並んで、流れる映像を淡白な視線で追いかける。
「ああ、第一楽章から第二楽章の繋がりもまずい――」
「第一楽章はかなり速弾きしてるんだ。曲の長さの調節をしていたからね。後半は、ヨシノが映像を調節して曲に合わせてくれたから、ずっといいはずだよ。もうこの辺りから大丈夫なんじゃないかな」
「本当だ……」
ふっと、飛鳥の険が解ける。
「見て判るの?」
「当然だろ」
それまで以上の真剣さで、飛鳥は画面を見つめている。
「文句なしだよ。でもどうするの? このステージ、DVDにして売りだすんだろ? 問題の第一楽章がむごすぎるよ」
「それ以前にプログラムと演目が違うからね。僕としては、リハーサルで録画した方を――、」
そこまで言いかけて、何気なく見ていた映像の思わぬ展開に仰天したヘンリーは続く言葉を忘れた。そして、ただただ唖然と画面に見入っている。
「やっぱり吉野だ!」
飛鳥は嬉しそうに声をあげ、ほっとしたように相好を崩して、ヘンリーに誇らしげな視線を向けた。
「即興でプログラムしたの!」
サラはライムグリーンの瞳を輝かせて、ヘンリーの背中に飛びついていた。
TSガラスの大画面に流れている映像は、第三楽章の最後の場面だ。
雪の結晶が舞い散るなかを青い鳥が群れなして飛びたつ。舞台上ではヴァイオリンをかまえるヘンリーと、ピアノに向かうアレンの背中に透き通る羽がゆっくりと伸びて開かれてゆく。
舞い散る雪が渦となってステージを巻き込むその中心に、演奏を終えた二人が立ち並んだ。荘厳な金の光が舞台を金に染め、羽音まで聞こえるかのような白く透き通る羽ばたきとともに彼らの姿は薄れて、溶けるように消えていった。
「わけが解らないよ。僕もアレンも、普通に歩いてステージをおりたよ」
感嘆の吐息をつきながら、ヘンリーは説明を求めて、サラと飛鳥を代わる代わる見やる。
「錯覚を利用しているのね」
サラが関心して唸った。
「理論上は難しいことじゃない」
言いながら、サラは終わったばかりの映像を巻き戻し、早速同じ場面を再生している。
「でも、実際にできるかどうかは別だ」
飛鳥は先ほどまでとは打って変わって、満足げに笑っている。
「彼、そろそろ着くんじゃないのかな?」
「気に入らないところもあるけど――、祝杯でよさそうだね」
肩の力が抜けたように笑う飛鳥に、ヘンリーも微笑んで頷く。
「ヨシノに任せておけば間違いない、そう言ったろ?」
「それを言ったのは、僕だよ!」
安心しきって笑い合う二人の横で、サラはまだ食い入るようにTSガラスに流れる映像を眺めていた。
だがそんな彼らの一仕事終えた後の安堵とは裏腹に、冬学期最後の日を慌ただしく終えたエリオット校では、クリスマス休暇に寮を引き払う楽し気な生徒たちに紛れて、アレンの失望の声が静かに呟かれていた。
「戻らない?」
唖然と目を瞠るアレンに、吉野は平然と言い放つ。
「ロンドンのサウードん家に行くから。用事があるんだ」
「クリスマスなのに?」
「ごめんな。飛鳥には連絡入れておくからさ、向こうの奴らによろしく言っといて」
そんな言い訳もそこそこに、吉野はサウードと、そしてロンドンまで同乗するフレデリックとともに歩きだす。
フレデリックは申し訳なさそうに、ぽかんと佇んでいるアレンを肩越しに振り返り、「メリークリスマス! 良い休暇を!」と手を振っている。
「彼女がいるもんな」
クリスがぽつりと呟いた。
「あ――」
「僕たちも行こうか。同じ方向だし送っていくよ」
「でも、きみは遠まわりになるんじゃないの?」
「ついで、っていうと何だけどさ、ヘンリー卿にお礼も言いたいんだ。僕の危機を救ってもらったのに、お礼もお詫びも言えてないんだもの。僕はベッドに縛りつけられていて、やっと解放されたときには、なにもかも終わっていたからね」
クリスはひょいっと肩をすくめ、おどけるように言う。
「ありがとう、クリス」
アレンも素直な笑みを返した。
あんなことがあった後、お互い帰路につくまでの数時間を孤独でいたくない。そんな思いが多分にあったのだ。クリスマスの今日、この日くらいは、明るい顔で家路に着きたい。
アレンとクリスは、二人並んで歩きだした。胸中に渦巻く暗い思いを押し殺して。家族と穏やかなクリスマスを迎えるために。
「なぁ、フランシス・キングスリーって、誰だ? お前、フランク以外にも兄弟いるの?」
ロンドンに向かうリムジンの中で、ふと思いだしたような何げない吉野の質問に、フレデリックは頬を緩めて睫毛を瞬かせた。
「はは、兄のことだよ。フランクはフランシスの愛称。兄はこの名前が好きじゃなかったんだ。女の子みたいだろ? 兄がヘンリーのことをハリーって呼ぶとね、お返しに彼はフランシスって呼ぶんだって話してくれたよ。僕は、兄一流の冗談だと思ってたんだ。だって相手はあのヘンリー・ソールスベリーだよ? きみから聴いたときでさえ、信じられなかったよ」
「なんだ、俺の言ったこと、信じてなかったのか?」
「何だか、夢みたいでさ――」
フレデリックの目に、またじんわりと涙が滲んでくる。
――やっときみのお兄さんとの約束が守れたよ。
アレンと入れ替わりで会議のために学舎に戻ったフレデリックは、校長との歓談を終えて帰路に着く途中のヘンリーに、偶然出遭ったのだ。
――フランクは、きみのためにメンデルスゾーンを弾きたいと言っていてね、僕が彼に教えていたんだ。ところが彼、ヴァイオリンは壊滅的に苦手でね。僕の方が先に根をあげてしまった。だから彼に約束したんだよ。いつか僕がきみの弟にヴァイオリン協奏曲を弾いてあげるってね。フランクは不満そうだったけどね。彼は負けず嫌いで、決して物事を途中で投げだすような奴ではなかったからね。僕はそんな彼が、本当に好きだったよ。
「もう、涙腺が崩壊しちゃってさ――」
フレデリックはポケットからくしゃくしゃのハンカチを取りだし、また目頭に当てている。昨日からこれで涙を拭くのは何度目だか知れない。
「彼のあの追悼の言葉のお陰で、周囲の目すら変わった気がする」
零れでた、滅多に表に出されることのない友人の本音ともいえる言葉に、吉野は呆れたようにため息を漏らした。
「何言ってんだ、馬鹿だな。周りはずっと以前から、お前のこと、優秀な学年代表で監督生、エリオットを代表するキングススカラーの集まるカレッジ寮の副寮長だって認めてるよ。ヘンリーもフランクも関係ないだろ。お前自身が築きあげて掴んだ地位じゃないか」
――きみはフランクによく似ているよ。彼と同じ、どんな逆向にも負けない。自分の力で自分の居場所を築きあげる強さがある。
「もうヘンリー崇拝はやめろよ。これからは、お前らがこの学校を変えていくんだからさ」
――亡くなったお兄さんの遺志を継ぐ――。そんな気持ちが少しでもあるのなら、自分自身のために精一杯生きてほしい。それが、きみのお兄さんの遺志だからね。
吉野の声に、ヘンリーに言われた言葉が重なる。
フレデリックは鼻を啜りあげ、涙を拭いて深く頷いた。
「今だけ。今だけだよ、感傷に浸るのは。僕らは監督生だもの。ね、サウード」
隣に座る吉野の向こう側にいる同じ監督生のサウードに、フレデリックはそう呼びかけた。
コンサートの一件で、監督生と生徒会との対立が明るみに出た以上、このまま終わるはずがない――。
胸中の不安を押し殺して口許を引き締めるフレデリックに、サウードは、ただいつもの鷹揚な笑みを返すだけだった。
コンサバトリーの壁面ガラスに映るクリスマスコンサートの映像を睨みつけて、飛鳥は口をへの字に曲げて渋面を作っている。
「ヘンリー、どうしてこんなに音が走っているの?」
傍らに座っているサラも、不思議そうにソファーにいるヘンリーを振り返る。
「映像と音が合っていないよ。吉野は何をしてたんだよ!」
ヘンリーは淹れたての湯気の立ち昇るティーカップを持ちあげると、苛立たしげに何度も長い前髪を梳きあげている飛鳥の前に置く。
「砂糖は二つだったね? いろいろトラブルがあったんだよ。彼の責任外のところでね。こんなこともあるさ、生演奏だもの」
「吉野だったらなにがあったって大丈夫と思ってたんだ――」
膨れっ面のまま、飛鳥はティーカップを口に運ぶ。
「第二楽章には戻ってきたよ、彼」
ヘンリーも飛鳥と並んで、流れる映像を淡白な視線で追いかける。
「ああ、第一楽章から第二楽章の繋がりもまずい――」
「第一楽章はかなり速弾きしてるんだ。曲の長さの調節をしていたからね。後半は、ヨシノが映像を調節して曲に合わせてくれたから、ずっといいはずだよ。もうこの辺りから大丈夫なんじゃないかな」
「本当だ……」
ふっと、飛鳥の険が解ける。
「見て判るの?」
「当然だろ」
それまで以上の真剣さで、飛鳥は画面を見つめている。
「文句なしだよ。でもどうするの? このステージ、DVDにして売りだすんだろ? 問題の第一楽章がむごすぎるよ」
「それ以前にプログラムと演目が違うからね。僕としては、リハーサルで録画した方を――、」
そこまで言いかけて、何気なく見ていた映像の思わぬ展開に仰天したヘンリーは続く言葉を忘れた。そして、ただただ唖然と画面に見入っている。
「やっぱり吉野だ!」
飛鳥は嬉しそうに声をあげ、ほっとしたように相好を崩して、ヘンリーに誇らしげな視線を向けた。
「即興でプログラムしたの!」
サラはライムグリーンの瞳を輝かせて、ヘンリーの背中に飛びついていた。
TSガラスの大画面に流れている映像は、第三楽章の最後の場面だ。
雪の結晶が舞い散るなかを青い鳥が群れなして飛びたつ。舞台上ではヴァイオリンをかまえるヘンリーと、ピアノに向かうアレンの背中に透き通る羽がゆっくりと伸びて開かれてゆく。
舞い散る雪が渦となってステージを巻き込むその中心に、演奏を終えた二人が立ち並んだ。荘厳な金の光が舞台を金に染め、羽音まで聞こえるかのような白く透き通る羽ばたきとともに彼らの姿は薄れて、溶けるように消えていった。
「わけが解らないよ。僕もアレンも、普通に歩いてステージをおりたよ」
感嘆の吐息をつきながら、ヘンリーは説明を求めて、サラと飛鳥を代わる代わる見やる。
「錯覚を利用しているのね」
サラが関心して唸った。
「理論上は難しいことじゃない」
言いながら、サラは終わったばかりの映像を巻き戻し、早速同じ場面を再生している。
「でも、実際にできるかどうかは別だ」
飛鳥は先ほどまでとは打って変わって、満足げに笑っている。
「彼、そろそろ着くんじゃないのかな?」
「気に入らないところもあるけど――、祝杯でよさそうだね」
肩の力が抜けたように笑う飛鳥に、ヘンリーも微笑んで頷く。
「ヨシノに任せておけば間違いない、そう言ったろ?」
「それを言ったのは、僕だよ!」
安心しきって笑い合う二人の横で、サラはまだ食い入るようにTSガラスに流れる映像を眺めていた。
だがそんな彼らの一仕事終えた後の安堵とは裏腹に、冬学期最後の日を慌ただしく終えたエリオット校では、クリスマス休暇に寮を引き払う楽し気な生徒たちに紛れて、アレンの失望の声が静かに呟かれていた。
「戻らない?」
唖然と目を瞠るアレンに、吉野は平然と言い放つ。
「ロンドンのサウードん家に行くから。用事があるんだ」
「クリスマスなのに?」
「ごめんな。飛鳥には連絡入れておくからさ、向こうの奴らによろしく言っといて」
そんな言い訳もそこそこに、吉野はサウードと、そしてロンドンまで同乗するフレデリックとともに歩きだす。
フレデリックは申し訳なさそうに、ぽかんと佇んでいるアレンを肩越しに振り返り、「メリークリスマス! 良い休暇を!」と手を振っている。
「彼女がいるもんな」
クリスがぽつりと呟いた。
「あ――」
「僕たちも行こうか。同じ方向だし送っていくよ」
「でも、きみは遠まわりになるんじゃないの?」
「ついで、っていうと何だけどさ、ヘンリー卿にお礼も言いたいんだ。僕の危機を救ってもらったのに、お礼もお詫びも言えてないんだもの。僕はベッドに縛りつけられていて、やっと解放されたときには、なにもかも終わっていたからね」
クリスはひょいっと肩をすくめ、おどけるように言う。
「ありがとう、クリス」
アレンも素直な笑みを返した。
あんなことがあった後、お互い帰路につくまでの数時間を孤独でいたくない。そんな思いが多分にあったのだ。クリスマスの今日、この日くらいは、明るい顔で家路に着きたい。
アレンとクリスは、二人並んで歩きだした。胸中に渦巻く暗い思いを押し殺して。家族と穏やかなクリスマスを迎えるために。
「なぁ、フランシス・キングスリーって、誰だ? お前、フランク以外にも兄弟いるの?」
ロンドンに向かうリムジンの中で、ふと思いだしたような何げない吉野の質問に、フレデリックは頬を緩めて睫毛を瞬かせた。
「はは、兄のことだよ。フランクはフランシスの愛称。兄はこの名前が好きじゃなかったんだ。女の子みたいだろ? 兄がヘンリーのことをハリーって呼ぶとね、お返しに彼はフランシスって呼ぶんだって話してくれたよ。僕は、兄一流の冗談だと思ってたんだ。だって相手はあのヘンリー・ソールスベリーだよ? きみから聴いたときでさえ、信じられなかったよ」
「なんだ、俺の言ったこと、信じてなかったのか?」
「何だか、夢みたいでさ――」
フレデリックの目に、またじんわりと涙が滲んでくる。
――やっときみのお兄さんとの約束が守れたよ。
アレンと入れ替わりで会議のために学舎に戻ったフレデリックは、校長との歓談を終えて帰路に着く途中のヘンリーに、偶然出遭ったのだ。
――フランクは、きみのためにメンデルスゾーンを弾きたいと言っていてね、僕が彼に教えていたんだ。ところが彼、ヴァイオリンは壊滅的に苦手でね。僕の方が先に根をあげてしまった。だから彼に約束したんだよ。いつか僕がきみの弟にヴァイオリン協奏曲を弾いてあげるってね。フランクは不満そうだったけどね。彼は負けず嫌いで、決して物事を途中で投げだすような奴ではなかったからね。僕はそんな彼が、本当に好きだったよ。
「もう、涙腺が崩壊しちゃってさ――」
フレデリックはポケットからくしゃくしゃのハンカチを取りだし、また目頭に当てている。昨日からこれで涙を拭くのは何度目だか知れない。
「彼のあの追悼の言葉のお陰で、周囲の目すら変わった気がする」
零れでた、滅多に表に出されることのない友人の本音ともいえる言葉に、吉野は呆れたようにため息を漏らした。
「何言ってんだ、馬鹿だな。周りはずっと以前から、お前のこと、優秀な学年代表で監督生、エリオットを代表するキングススカラーの集まるカレッジ寮の副寮長だって認めてるよ。ヘンリーもフランクも関係ないだろ。お前自身が築きあげて掴んだ地位じゃないか」
――きみはフランクによく似ているよ。彼と同じ、どんな逆向にも負けない。自分の力で自分の居場所を築きあげる強さがある。
「もうヘンリー崇拝はやめろよ。これからは、お前らがこの学校を変えていくんだからさ」
――亡くなったお兄さんの遺志を継ぐ――。そんな気持ちが少しでもあるのなら、自分自身のために精一杯生きてほしい。それが、きみのお兄さんの遺志だからね。
吉野の声に、ヘンリーに言われた言葉が重なる。
フレデリックは鼻を啜りあげ、涙を拭いて深く頷いた。
「今だけ。今だけだよ、感傷に浸るのは。僕らは監督生だもの。ね、サウード」
隣に座る吉野の向こう側にいる同じ監督生のサウードに、フレデリックはそう呼びかけた。
コンサートの一件で、監督生と生徒会との対立が明るみに出た以上、このまま終わるはずがない――。
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