379 / 758
六章
矜持
しおりを挟む
「市場原理には勝てないよ」
遮るものもなく、朝の光を反射して白く輝くレマン湖を眼下に眺めながら、吉野はのんびりとした口調で呟き、クロワッサンをサックリと齧る。
ホテルの部屋の窓を開け放ち、二人がけのテーブルに着くともう余裕のない猫の額ほどのバルコニーで朝食を取っているところなのだ。
遊覧船でのパーティーからすでに三日目。一昨日には、中央銀行総裁のスイスフラン上限レートの重要性についての発言がなされている。
だがそれ以上の進展のない日々に、向かいに座るアーネストは若干の焦燥を感じながら朝食に付き合っている。吉野の主張と数字上での裏付けを信頼してはいる、だが政治的な駆け引きはまた別もの、と半信半疑で成行きを見守っている。
「そうは言っても、ユーロ売りのスワップポイントの支払いも馬鹿にならないんじゃないの?」
「稼げる額に比べたら、大した金額じゃないよ」
吉野は平然として口を動かしながら答え、ロートアイアンの手摺に腕をかけると、身を乗りだして中庭の芝生を見下ろした。
「ほら、デヴィとアレンだ。チェスを始めている。こっちに気づくかな?」
見ると、芝生の一角に巨大なチェス盤が設置されている。彼らの胸の高さほどの駒の間を、アレンとデヴィッドは、行ったり来たりしながら思案している様子で、駒を引きずり動かして次の一手を打っている。
「アッシェンバッハ家の負債って、いくらあるの?」
唐突に発せられた問いに、吉野は地上のチェス盤を見据えたまま答えた。
「五十億ユーロ」
「すごいな――」
ヒュー、とアーネストは小さく口笛を鳴らす。
「総資産の三分の一近い額だよ」
「そりゃ、きみに泣きつくわけだ」
アーネストは呆れた面持ちで苦笑をも漏らした。
「やっぱり、あれかい? 例のフォレスト社の不祥事がらみ?」
吉野は首を横に振った。
「欧州金融危機のときの不良債権だよ。それを何とかしようとして、ドツボにハマったんだ。――あ~あ、だめじゃないか、あいつ。あのままじゃ、すぐチェックメイトだ」
吉野は眼下でチェスに興じる二人を、いまだ目で追っていたのだ。そしてバルコニーの吉野達に気づいた二人も、こちらに向かって大きく手を振っている。このバルコニーからも、彼らに応じて手を振り返した。
「アーニー、手鏡持ってる?」
キョトンとしたアーネストに、「いいや」と吉野は悪戯な瞳を輝かせ、バターナイフを持ちあげて、また中庭の二人を見下ろす。
腕を伸ばし、ナイフの先を小刻みに動かして光を反射させている吉野に、アーネストは唖然とした目を向けていたかと思うと、いきなり笑いだした。
「ズルだ! アレンに好手を教えただろう!」
「なんだ、もうバレた」
悪びれた様子もなく笑う吉野に対抗しようと、アーネストも真剣に眼下の二人の勝負を見遣った。
「それなら僕はデイヴの加勢をしよう!」
ところが、芝生の二人は揃って頭上で腕を交差させ、バッテンを作っているではないか。
「ははは、邪魔するなって」と、吉野は顔を傾げて目を眇めた。
ピーン! ピーン!
高い金属音が鳴り響く。
「来た! アラームだ、アーニー!」
吉野は室内に駆け戻ると、ベッド脇の壁に並べていた8つのTS画面を見、その前に置かれたソファーに陣取った。
「サラ、見ているか?」
『準備は万全!』
「アーニー、テレビをつけて!」
視野角に入ることで初めて気づいた、壁にずらりと並ぶTS画面を驚愕の面持ちで眺めていたアーネストは、慌ててテレビのスイッチを入れる。そして今度は、ニュース画面に流れている驚きの内容に釘づけにされ、そのまま動けなくなっていた。
「対ユーロ、為替介入上限撤廃――。本当にやるなんて……」
茫然とした呟きに、「だから言ったろ! フォン・ヴォルフとなら話が早いって!」と上擦った声がすぐさま返ってくる。
だがそう答えたきり、吉野は食いいるように下落していく為替チャートをじっと睨みつけたまま黙りこんだ。アーネストも傍らに立ち尽くしたまま、画面を凝視している。
「ユーロ、まだ落ちるのか――?」
スイスフランは、対ユーロで中央銀行の発表直前のレートからすでに30%も高騰しているのだ。
『ヨシノ、』
机に置かれたTSネクストから聞こえてくる場違いに澄んだ、そして落ち着いた声音に二人揃ってびくりと反応していた。吉野はソファーから跳ねあがり、机のネクストを掴んでいる。
『もうじき。0.90で決済する』
「OK」
吉野の口から、深く、長い吐息が漏れた。そのまま身体中の空気とともに力をも吐ききり、魂までもが抜けてしまったかのように、椅子の背にもたれかかっている。
「操作は?」
「もう済んでる。あとは自動的にポジションクローズして終わりだよ」
「そう――」
アーネストも脱力して、ベッドの端に腰を下ろしていた。
「戻し始めたね」
「うん。サラに頼んで、積み上がっていたユーロ買いポジションの予定ロスカット数量をコズモスで計算してもらっておいたんだ。最大値に近い辺りでユーロを買い戻せてるはずだよ」
「お疲れさま」
「どういたしまして」
吉野は朗らかに柔らかな声音で応えた。
「なぁ、アーニー、人相学って信じる?」
椅子に浅く腰かけ、すっかりだらりと脚を投げだしていた吉野が、声を弾ませて訊ねていた。
「アリストテレスの? あまり詳しくは知らないな。知識としてちょっと齧ったくらいで」
「クレッチマーは?」
「名前だけ」
首を横に振るアーネストに、吉野は楽しげに目を細めて説明を始める。
「簡単に言うとね、クレッチマーの類型論は、体型ごとに、性格の分類を関連づけしたんだ。痩せている人は分裂気質、太っている人は循環気質ってね。俺なんかは、そんな大雑把な分け方じゃ、納得いかないけどね。でも顔つきとか、雰囲気とか似てるな、って思う二人がいるとするじゃん、やっぱり性格も似てたりすることがあるんだ。面白いよね」
「フォン・ヴォルフとパトリック・ウェザー?」
「知ってるの?」
「今度オックスフォードの一年生だろ? 確か、ベンジャミンの姻戚だね」
「貴族って、みんな知り合いなんだね」
くっくっと肩を震わせて笑う吉野に、「知っているくせに」と、アーネストは呆れたように腕を広げる。
「似てるだろ? あの二人」
「血縁関係はないはずだよ」
「うん。だから人相学の登場だよ。似てるからさ、同じような行動をするかなって思ったんだよ」
「ウェザーと?」
頷く吉野にアーネストは小首を傾げる。
「冷静沈着。機械のように正確な奴だって聞いてるけれど?」
「ストイックで純情。俺、あいつのこと、エリオットで会った奴の中で一番気にいってた」
「へぇ~……」
「あいつみたいな愛し方ができれば、相手を傷つけずにすむのになって、ずっと尊敬していたんだ」
「きみが!」
揶揄おうと声をあげたアーネストだったが、吉野の憂いを帯びた瞳に、はっと言葉を呑み込んでいた。
「だから、フォン・ヴォルフはマリーネを愛してるって、会った瞬間に分かったよ。それが、俺が終始強気でいれた理由だよ」
クスクスと息を吐いて笑っているのにどこか物哀しげだった。アーネストは、初めて見るそんな表情の吉野に、なんと声をかけるべきか、と戸惑いを覚えていた。
「それにさ、あんな顔の奴には、俺みたいなのは好かれない、ってところまで同じだったよ!」
鼻の頭に皺を寄せて自虐的に言い放つ、アーネストに向けられた鳶色の瞳は、もういつもの揶揄うような楽しげな色に戻っている。
ピーン、と甲高く鳴った先ほどと同じアラーム音を合図に、吉野は全てのTS画面を閉じた。
「決済完了!」
遮るものもなく、朝の光を反射して白く輝くレマン湖を眼下に眺めながら、吉野はのんびりとした口調で呟き、クロワッサンをサックリと齧る。
ホテルの部屋の窓を開け放ち、二人がけのテーブルに着くともう余裕のない猫の額ほどのバルコニーで朝食を取っているところなのだ。
遊覧船でのパーティーからすでに三日目。一昨日には、中央銀行総裁のスイスフラン上限レートの重要性についての発言がなされている。
だがそれ以上の進展のない日々に、向かいに座るアーネストは若干の焦燥を感じながら朝食に付き合っている。吉野の主張と数字上での裏付けを信頼してはいる、だが政治的な駆け引きはまた別もの、と半信半疑で成行きを見守っている。
「そうは言っても、ユーロ売りのスワップポイントの支払いも馬鹿にならないんじゃないの?」
「稼げる額に比べたら、大した金額じゃないよ」
吉野は平然として口を動かしながら答え、ロートアイアンの手摺に腕をかけると、身を乗りだして中庭の芝生を見下ろした。
「ほら、デヴィとアレンだ。チェスを始めている。こっちに気づくかな?」
見ると、芝生の一角に巨大なチェス盤が設置されている。彼らの胸の高さほどの駒の間を、アレンとデヴィッドは、行ったり来たりしながら思案している様子で、駒を引きずり動かして次の一手を打っている。
「アッシェンバッハ家の負債って、いくらあるの?」
唐突に発せられた問いに、吉野は地上のチェス盤を見据えたまま答えた。
「五十億ユーロ」
「すごいな――」
ヒュー、とアーネストは小さく口笛を鳴らす。
「総資産の三分の一近い額だよ」
「そりゃ、きみに泣きつくわけだ」
アーネストは呆れた面持ちで苦笑をも漏らした。
「やっぱり、あれかい? 例のフォレスト社の不祥事がらみ?」
吉野は首を横に振った。
「欧州金融危機のときの不良債権だよ。それを何とかしようとして、ドツボにハマったんだ。――あ~あ、だめじゃないか、あいつ。あのままじゃ、すぐチェックメイトだ」
吉野は眼下でチェスに興じる二人を、いまだ目で追っていたのだ。そしてバルコニーの吉野達に気づいた二人も、こちらに向かって大きく手を振っている。このバルコニーからも、彼らに応じて手を振り返した。
「アーニー、手鏡持ってる?」
キョトンとしたアーネストに、「いいや」と吉野は悪戯な瞳を輝かせ、バターナイフを持ちあげて、また中庭の二人を見下ろす。
腕を伸ばし、ナイフの先を小刻みに動かして光を反射させている吉野に、アーネストは唖然とした目を向けていたかと思うと、いきなり笑いだした。
「ズルだ! アレンに好手を教えただろう!」
「なんだ、もうバレた」
悪びれた様子もなく笑う吉野に対抗しようと、アーネストも真剣に眼下の二人の勝負を見遣った。
「それなら僕はデイヴの加勢をしよう!」
ところが、芝生の二人は揃って頭上で腕を交差させ、バッテンを作っているではないか。
「ははは、邪魔するなって」と、吉野は顔を傾げて目を眇めた。
ピーン! ピーン!
高い金属音が鳴り響く。
「来た! アラームだ、アーニー!」
吉野は室内に駆け戻ると、ベッド脇の壁に並べていた8つのTS画面を見、その前に置かれたソファーに陣取った。
「サラ、見ているか?」
『準備は万全!』
「アーニー、テレビをつけて!」
視野角に入ることで初めて気づいた、壁にずらりと並ぶTS画面を驚愕の面持ちで眺めていたアーネストは、慌ててテレビのスイッチを入れる。そして今度は、ニュース画面に流れている驚きの内容に釘づけにされ、そのまま動けなくなっていた。
「対ユーロ、為替介入上限撤廃――。本当にやるなんて……」
茫然とした呟きに、「だから言ったろ! フォン・ヴォルフとなら話が早いって!」と上擦った声がすぐさま返ってくる。
だがそう答えたきり、吉野は食いいるように下落していく為替チャートをじっと睨みつけたまま黙りこんだ。アーネストも傍らに立ち尽くしたまま、画面を凝視している。
「ユーロ、まだ落ちるのか――?」
スイスフランは、対ユーロで中央銀行の発表直前のレートからすでに30%も高騰しているのだ。
『ヨシノ、』
机に置かれたTSネクストから聞こえてくる場違いに澄んだ、そして落ち着いた声音に二人揃ってびくりと反応していた。吉野はソファーから跳ねあがり、机のネクストを掴んでいる。
『もうじき。0.90で決済する』
「OK」
吉野の口から、深く、長い吐息が漏れた。そのまま身体中の空気とともに力をも吐ききり、魂までもが抜けてしまったかのように、椅子の背にもたれかかっている。
「操作は?」
「もう済んでる。あとは自動的にポジションクローズして終わりだよ」
「そう――」
アーネストも脱力して、ベッドの端に腰を下ろしていた。
「戻し始めたね」
「うん。サラに頼んで、積み上がっていたユーロ買いポジションの予定ロスカット数量をコズモスで計算してもらっておいたんだ。最大値に近い辺りでユーロを買い戻せてるはずだよ」
「お疲れさま」
「どういたしまして」
吉野は朗らかに柔らかな声音で応えた。
「なぁ、アーニー、人相学って信じる?」
椅子に浅く腰かけ、すっかりだらりと脚を投げだしていた吉野が、声を弾ませて訊ねていた。
「アリストテレスの? あまり詳しくは知らないな。知識としてちょっと齧ったくらいで」
「クレッチマーは?」
「名前だけ」
首を横に振るアーネストに、吉野は楽しげに目を細めて説明を始める。
「簡単に言うとね、クレッチマーの類型論は、体型ごとに、性格の分類を関連づけしたんだ。痩せている人は分裂気質、太っている人は循環気質ってね。俺なんかは、そんな大雑把な分け方じゃ、納得いかないけどね。でも顔つきとか、雰囲気とか似てるな、って思う二人がいるとするじゃん、やっぱり性格も似てたりすることがあるんだ。面白いよね」
「フォン・ヴォルフとパトリック・ウェザー?」
「知ってるの?」
「今度オックスフォードの一年生だろ? 確か、ベンジャミンの姻戚だね」
「貴族って、みんな知り合いなんだね」
くっくっと肩を震わせて笑う吉野に、「知っているくせに」と、アーネストは呆れたように腕を広げる。
「似てるだろ? あの二人」
「血縁関係はないはずだよ」
「うん。だから人相学の登場だよ。似てるからさ、同じような行動をするかなって思ったんだよ」
「ウェザーと?」
頷く吉野にアーネストは小首を傾げる。
「冷静沈着。機械のように正確な奴だって聞いてるけれど?」
「ストイックで純情。俺、あいつのこと、エリオットで会った奴の中で一番気にいってた」
「へぇ~……」
「あいつみたいな愛し方ができれば、相手を傷つけずにすむのになって、ずっと尊敬していたんだ」
「きみが!」
揶揄おうと声をあげたアーネストだったが、吉野の憂いを帯びた瞳に、はっと言葉を呑み込んでいた。
「だから、フォン・ヴォルフはマリーネを愛してるって、会った瞬間に分かったよ。それが、俺が終始強気でいれた理由だよ」
クスクスと息を吐いて笑っているのにどこか物哀しげだった。アーネストは、初めて見るそんな表情の吉野に、なんと声をかけるべきか、と戸惑いを覚えていた。
「それにさ、あんな顔の奴には、俺みたいなのは好かれない、ってところまで同じだったよ!」
鼻の頭に皺を寄せて自虐的に言い放つ、アーネストに向けられた鳶色の瞳は、もういつもの揶揄うような楽しげな色に戻っている。
ピーン、と甲高く鳴った先ほどと同じアラーム音を合図に、吉野は全てのTS画面を閉じた。
「決済完了!」
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
伊藤とサトウ
海野 次朗
歴史・時代
幕末に来日したイギリス人外交官アーネスト・サトウと、後に初代総理大臣となる伊藤博文こと伊藤俊輔の活動を描いた物語です。終盤には坂本龍馬も登場します。概ね史実をもとに描いておりますが、小説ですからもちろんフィクションも含まれます。モットーは「目指せ、司馬遼太郎」です(笑)。
基本参考文献は萩原延壽先生の『遠い崖』(朝日新聞社)です。
もちろんサトウが書いた『A Diplomat in Japan』を坂田精一氏が日本語訳した『一外交官の見た明治維新』(岩波書店)も参考にしてますが、こちらは戦前に翻訳された『維新日本外交秘録』も同時に参考にしてます。さらに『図説アーネスト・サトウ』(有隣堂、横浜開港資料館編)も参考にしています。
他にもいくつかの史料をもとにしておりますが、明記するのは難しいので必要に応じて明記するようにします。そのまま引用する場合はもちろん本文の中に出典を書いておきます。最終回の巻末にまとめて百冊ほど参考資料を載せておきました。
(※この作品は「NOVEL DAYS」「小説家になろう」「カクヨム」にも転載してます)
夏の嵐
萩尾雅縁
キャラ文芸
垣間見た大人の世界は、かくも美しく、残酷だった。
全寮制寄宿学校から夏季休暇でマナーハウスに戻った「僕」は、祖母の開いた夜会で美しい年上の女性に出会う。英国の美しい田園風景の中、「僕」とその兄、異国の彼女との間に繰り広げられる少年のひと夏の恋の物話。 「胡桃の中の蜃気楼」番外編。


サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
霧のはし 虹のたもとで
萩尾雅縁
BL
大学受験に失敗した比良坂晃(ひらさかあきら)は、心機一転イギリスの大学へと留学する。
古ぼけた学生寮に嫌気のさした晃は、掲示板のメモからシェアハウスのルームメイトに応募するが……。
ひょんなことから始まった、晃・アルビー・マリーの共同生活。
美貌のアルビーに憧れる晃は、生活に無頓着な彼らに振り回されながらも奮闘する。
一つ屋根の下、徐々に明らかになる彼らの事情。
そして晃の真の目的は?
英国の四季を通じて織り成される、日常系心の旅路。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる