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最終章
199 その日5
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明日、明日、そして明日、
時は一日一日忍び足で歩を進め、
やがて最後の音節がやってくる。
涙に濡れた目を瞬かせて、奨学生の子は不思議そうに振り返った。
「お前の兄貴はな、生徒会内に蔓延っていたドラッグを一掃するために闘っていたんだ。そのためにヘンリーの動画で資金を作り、生徒会選挙の投票操作を仕掛けて、悪しき慣習を断ち切ろうとしていたんだ。直接にお前の兄貴をボコって死に至らしめたのは当時の生徒会の奴らだろうけれど、大元はこいつだ」
大鴉は、狼に向かって顎をしゃくる。
「『そんなの、友人じゃない』ヘンリーはそう言ったんだろ? この言葉には続きがあったんだ。『きみは、僕を見くびっているのかい? そんな危険なことに一人で立ち向かうなんて。相談してくれれば、僕はいくらでもきみの力になったのに。それが、友人ってものだろ?』って。嘘じゃないよ。ヘンリー自身に聞いたんだ。お前の兄貴が死んで、後悔して、苦しんでいたのはヘンリーも同じだったんだ」
白い彼――。そうか、白い彼だったのか――!
狼を追い続け、ここにこうして追い詰めたのは……。
大鴉のここまでの不可解な言動に納得がいき、泣きだしてしまわないように、ぐっと奥歯を噛みしめた。
銀狐も唇を噛み、眉根を寄せて涙を堪えている。
僕を白い彼と間違えて道路を渡ろうとした、死んだ奨学生。
梟が死に追いやった彼――。
その彼の無念を晴らすために、銀狐だけではなく大鴉も、ずっと真実を探していたのだ。
おそらくは、兄を理不尽に奪われたこの弟くんと、白い彼のために。
銀狐、大鴉、そして白い彼――。
白い彼も、この学校を去ってすら、狼の影の覆うこの病み爛れた学校を憂いて闘っていたのだ。僕の知らないところで、ずっと……。もうこの世にはいない、親友のために。
そうして、今、ここにたどり着いた。
きみたちの願いが天に届いた。
あの奨学生の弟くんは、その場に崩れ落ちるようにしゃがみ込んで、声を上げて泣いた。その彼の背中を、天使くんが包みこむように抱きしめている。
僕には、彼らを正視することができなかった。伏せた面をあげることすらできなかった……。
と、ガシッと人を殴りつける音と、視界に飛びこんで来た床に転がる狼の姿に、僕は身をすくめ目を瞠った。
泣き濡れている弟くんに代わり、監督生代表がプラチナブロンドを振り乱して、拳を狼に振りおろしたのだ。「セディの敵だ」と言って――。
子爵さま――。
子爵さまの傍にも、やはりジョイントに溺れる子爵さまを心配して、その心を痛めていた友人がいたのだ。僕が知らなかっただけで……。僕がなにも知らなかっただけで……。
「さぁ、次はこっちだ」
大鴉は小さく息をつくと、ボート部の二人を逃がさないよう、出入り口で陣を張るように横並び、成り行きを見守っていた寮長たちをぐるりと見廻しながら、こちらに足を向けた。
そして、僕の前で立ち止まった。ふわりと浮かんだ彼のローブが、その羽をたたむように静かに沈んだ。
「逃げ損ねたな、マシュー・モーガン」
彼の、あの澄んだ鳶色の瞳が僕を捉えた。
その刹那、彼の瞳に映った僕は、とてもちっぽけなこの世界の欠片だった。
僕の意志とは関係なしに世界は廻り、動いている。
それなのに、その欠片は、ちっぽけでもこの世界の一部で、虚空に漂う粒子ではない、生きて呼吸する僕だった。
僕は確かに、ここにいる。
俯いて顔を背けるだけで、僕はなにも応えることができなかった。
「パトリック、俺、もういいだろう? 後はお前らで、こいつら三人締め上げて関係者を吐かせろよ。証券詐欺の被害総額が出たら、俺んとこ連絡入れて。金は取り返すからさ」
面倒くさそうに大鴉は踵を返し、張りのある声を響かせる。
僕は俯いたまま、目を閉じた。
本当にこれで終わったのだ――。
安堵感が全身に広がり、この躰を支えていられないほど弛緩しきっていた。と同時に、ふわふわと解放された自由で浮きあがりそうな僕を、湧きあがっていた別な感情がこの地上に繋ぎ留め、徐々に緊張で縛りあげていた。
彼の瞳に僕が映り、彼の唇が僕の名を刻んだのだ。
この事実に、僕の胸は打ち震えていた。
この全身を満たす歓喜に、僕は微笑まずにはいられなかった。
こんな場では不謹慎だと解っていたのに。
彼が、僕の名前を知っていたなんて――。
それだけで、奇跡のように思えた。今まで僕に目を留めることなく通りすぎていくだけだった神が、初めて僕に目を向けてくれたような悦びが全身を満たしていた。
大鴉、きみが僕の前に舞い降りたあの日から、僕は信じていたんだ。
きみは、漆黒の翼を持つ天使に違いないと。
僕を断罪し、僕を救う。
きみこそが、僕の見出した僕だけの神。
もう、本当に思い残すことは無い。
僕の憧れだったきみ。
僕の夢だったエリオット校。
ここは僕のすべてだった。
ここに僕のすべてがあった。
過去が影絵のように踊り、くるくると舞う。
白い彼の幻影に支配されていた僕のこの爛れた日々を終わらせてくれたのも、やはり白い彼の尽きぬ想いだった。真実の彼が、大鴉という漆黒の天使を遣わして、僕に、今この時という時間をくれたのだ。
今を生き、未来に真実の夢を見るために、僕は過去を償おう。
愚かな僕が一人で思い悩んでいた以上の結末を、大鴉はつけてくれたのだ。僕には思いもつかない彼の知力と人脈で、狼を罠に嵌め、捕え、僕たちの上に覆い被さっていた暗雲を薙ぎ払ってくれたのだ。
けれど、そのための囮にされた天使くんが、顔を真っ赤にして怒っている。大鴉に喰ってかかっている。
銀狐が怒っていたのはこの事だったのだ。
狼を現行犯で捕まえるために天使くんを囮に使い、彼を危険に晒してしまったこと。
そしてあの黒髪の子。
あの狼をその名前で震えあがらせる背景がどのようなものか、僕には判らない。でも、銀狐が決して納得して頷くことはできないような権力を使って、大鴉は狼を頷かせたに違いない。
毒を以て毒を制す。つまるところ、そういうことだ。
今や銀狐が、悲痛な面で僕を見ている。
これから僕が受けるであろう糾弾を憂いている。僕が受けるであろう叱責に心を痛めてくれている。
彼と大鴉は、決して足並み揃えてこの場にいるのではない。僕がすべてを知った上でこの場にいるということを、大鴉は知らない。
だから大鴉は、銀狐よりもよほど厳しい視線を僕に向けていた。その声もとても冷ややかだった。
銀狐はあくまでも、僕から情報をひき出すために僕に近づき傍にいた、ということにしておかなければ、僕と親しい彼が大鴉の信用を得て、ともにこの計画を練りあげることは不可能だったから。
そして、それは強ち嘘でもないしね。
――きみはきみの、生徒総監としての務めを果たして。
それだけを、僕は、きみに願っている。
ね、そんな顔しないで、銀狐。
僕はどんな処罰も犯した罪の報いとして受け入れる覚悟はできているんだ。
これは罰じゃない。救済だ。
今こそやっと、僕を覆う白い霧は完全に晴れ、僕の頭上には青空が広がっている。
僕はようやく本当の意味で、歩きだすことができるんだ。
……この学校を離れて。たとえ行き先が、高い塀の中だとしても。
僕はいつの間にか頭を高く掲げ、唇を引き結んだまま微笑んでいた。緊張のあまり震えの止まらない右手をトラウザーズのポケットに滑りこませ、ぎゅっと携帯を握りしめて。
僕の長い一日は始まったばかりだ。
この務めを果たすには、きっと、まだまだかかるに違いない。
今日一日では済まないほどに――。
――それでもきみは、僕を待っていてくれる?
ずっと、待っていてくれる?
ジョナス――。
了
時は一日一日忍び足で歩を進め、
やがて最後の音節がやってくる。
涙に濡れた目を瞬かせて、奨学生の子は不思議そうに振り返った。
「お前の兄貴はな、生徒会内に蔓延っていたドラッグを一掃するために闘っていたんだ。そのためにヘンリーの動画で資金を作り、生徒会選挙の投票操作を仕掛けて、悪しき慣習を断ち切ろうとしていたんだ。直接にお前の兄貴をボコって死に至らしめたのは当時の生徒会の奴らだろうけれど、大元はこいつだ」
大鴉は、狼に向かって顎をしゃくる。
「『そんなの、友人じゃない』ヘンリーはそう言ったんだろ? この言葉には続きがあったんだ。『きみは、僕を見くびっているのかい? そんな危険なことに一人で立ち向かうなんて。相談してくれれば、僕はいくらでもきみの力になったのに。それが、友人ってものだろ?』って。嘘じゃないよ。ヘンリー自身に聞いたんだ。お前の兄貴が死んで、後悔して、苦しんでいたのはヘンリーも同じだったんだ」
白い彼――。そうか、白い彼だったのか――!
狼を追い続け、ここにこうして追い詰めたのは……。
大鴉のここまでの不可解な言動に納得がいき、泣きだしてしまわないように、ぐっと奥歯を噛みしめた。
銀狐も唇を噛み、眉根を寄せて涙を堪えている。
僕を白い彼と間違えて道路を渡ろうとした、死んだ奨学生。
梟が死に追いやった彼――。
その彼の無念を晴らすために、銀狐だけではなく大鴉も、ずっと真実を探していたのだ。
おそらくは、兄を理不尽に奪われたこの弟くんと、白い彼のために。
銀狐、大鴉、そして白い彼――。
白い彼も、この学校を去ってすら、狼の影の覆うこの病み爛れた学校を憂いて闘っていたのだ。僕の知らないところで、ずっと……。もうこの世にはいない、親友のために。
そうして、今、ここにたどり着いた。
きみたちの願いが天に届いた。
あの奨学生の弟くんは、その場に崩れ落ちるようにしゃがみ込んで、声を上げて泣いた。その彼の背中を、天使くんが包みこむように抱きしめている。
僕には、彼らを正視することができなかった。伏せた面をあげることすらできなかった……。
と、ガシッと人を殴りつける音と、視界に飛びこんで来た床に転がる狼の姿に、僕は身をすくめ目を瞠った。
泣き濡れている弟くんに代わり、監督生代表がプラチナブロンドを振り乱して、拳を狼に振りおろしたのだ。「セディの敵だ」と言って――。
子爵さま――。
子爵さまの傍にも、やはりジョイントに溺れる子爵さまを心配して、その心を痛めていた友人がいたのだ。僕が知らなかっただけで……。僕がなにも知らなかっただけで……。
「さぁ、次はこっちだ」
大鴉は小さく息をつくと、ボート部の二人を逃がさないよう、出入り口で陣を張るように横並び、成り行きを見守っていた寮長たちをぐるりと見廻しながら、こちらに足を向けた。
そして、僕の前で立ち止まった。ふわりと浮かんだ彼のローブが、その羽をたたむように静かに沈んだ。
「逃げ損ねたな、マシュー・モーガン」
彼の、あの澄んだ鳶色の瞳が僕を捉えた。
その刹那、彼の瞳に映った僕は、とてもちっぽけなこの世界の欠片だった。
僕の意志とは関係なしに世界は廻り、動いている。
それなのに、その欠片は、ちっぽけでもこの世界の一部で、虚空に漂う粒子ではない、生きて呼吸する僕だった。
僕は確かに、ここにいる。
俯いて顔を背けるだけで、僕はなにも応えることができなかった。
「パトリック、俺、もういいだろう? 後はお前らで、こいつら三人締め上げて関係者を吐かせろよ。証券詐欺の被害総額が出たら、俺んとこ連絡入れて。金は取り返すからさ」
面倒くさそうに大鴉は踵を返し、張りのある声を響かせる。
僕は俯いたまま、目を閉じた。
本当にこれで終わったのだ――。
安堵感が全身に広がり、この躰を支えていられないほど弛緩しきっていた。と同時に、ふわふわと解放された自由で浮きあがりそうな僕を、湧きあがっていた別な感情がこの地上に繋ぎ留め、徐々に緊張で縛りあげていた。
彼の瞳に僕が映り、彼の唇が僕の名を刻んだのだ。
この事実に、僕の胸は打ち震えていた。
この全身を満たす歓喜に、僕は微笑まずにはいられなかった。
こんな場では不謹慎だと解っていたのに。
彼が、僕の名前を知っていたなんて――。
それだけで、奇跡のように思えた。今まで僕に目を留めることなく通りすぎていくだけだった神が、初めて僕に目を向けてくれたような悦びが全身を満たしていた。
大鴉、きみが僕の前に舞い降りたあの日から、僕は信じていたんだ。
きみは、漆黒の翼を持つ天使に違いないと。
僕を断罪し、僕を救う。
きみこそが、僕の見出した僕だけの神。
もう、本当に思い残すことは無い。
僕の憧れだったきみ。
僕の夢だったエリオット校。
ここは僕のすべてだった。
ここに僕のすべてがあった。
過去が影絵のように踊り、くるくると舞う。
白い彼の幻影に支配されていた僕のこの爛れた日々を終わらせてくれたのも、やはり白い彼の尽きぬ想いだった。真実の彼が、大鴉という漆黒の天使を遣わして、僕に、今この時という時間をくれたのだ。
今を生き、未来に真実の夢を見るために、僕は過去を償おう。
愚かな僕が一人で思い悩んでいた以上の結末を、大鴉はつけてくれたのだ。僕には思いもつかない彼の知力と人脈で、狼を罠に嵌め、捕え、僕たちの上に覆い被さっていた暗雲を薙ぎ払ってくれたのだ。
けれど、そのための囮にされた天使くんが、顔を真っ赤にして怒っている。大鴉に喰ってかかっている。
銀狐が怒っていたのはこの事だったのだ。
狼を現行犯で捕まえるために天使くんを囮に使い、彼を危険に晒してしまったこと。
そしてあの黒髪の子。
あの狼をその名前で震えあがらせる背景がどのようなものか、僕には判らない。でも、銀狐が決して納得して頷くことはできないような権力を使って、大鴉は狼を頷かせたに違いない。
毒を以て毒を制す。つまるところ、そういうことだ。
今や銀狐が、悲痛な面で僕を見ている。
これから僕が受けるであろう糾弾を憂いている。僕が受けるであろう叱責に心を痛めてくれている。
彼と大鴉は、決して足並み揃えてこの場にいるのではない。僕がすべてを知った上でこの場にいるということを、大鴉は知らない。
だから大鴉は、銀狐よりもよほど厳しい視線を僕に向けていた。その声もとても冷ややかだった。
銀狐はあくまでも、僕から情報をひき出すために僕に近づき傍にいた、ということにしておかなければ、僕と親しい彼が大鴉の信用を得て、ともにこの計画を練りあげることは不可能だったから。
そして、それは強ち嘘でもないしね。
――きみはきみの、生徒総監としての務めを果たして。
それだけを、僕は、きみに願っている。
ね、そんな顔しないで、銀狐。
僕はどんな処罰も犯した罪の報いとして受け入れる覚悟はできているんだ。
これは罰じゃない。救済だ。
今こそやっと、僕を覆う白い霧は完全に晴れ、僕の頭上には青空が広がっている。
僕はようやく本当の意味で、歩きだすことができるんだ。
……この学校を離れて。たとえ行き先が、高い塀の中だとしても。
僕はいつの間にか頭を高く掲げ、唇を引き結んだまま微笑んでいた。緊張のあまり震えの止まらない右手をトラウザーズのポケットに滑りこませ、ぎゅっと携帯を握りしめて。
僕の長い一日は始まったばかりだ。
この務めを果たすには、きっと、まだまだかかるに違いない。
今日一日では済まないほどに――。
――それでもきみは、僕を待っていてくれる?
ずっと、待っていてくれる?
ジョナス――。
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