1 / 3
第1話
しおりを挟む※グロ注意です。
💭 🔁 ❤×????
眩しくて、目が覚めた。
「ん……ぅ……」
起き上がる。ここは実家の前。僕は何故か、実家の玄関に倒れていたらしい。
何故? ここで寝入る前、一体何が――
「――――あッ!?」
思い出した!
『呪い』の正体が星狩さんで、僕は星狩さんから逃げようとしているうちに、ここに行きついたんだった。それで、でも、星狩さんに追いつかれて――
ふと、背後に気配を感じた。
振り向くと――
「――ヒッ!?」
星狩さんが立っていた。彼女はスマホを操作して、
『ヒッ、って何。ヒッ、って』
という文を僕に見せてくる。
その表情はいつもの彼女のように、穏やかだ。昨夜感じたあの禍々しさが無い。それに気づけば、あの赤黒いオーラも纏っていない。まるで今まで通りのような――
いや、そんな事よりも!!
「じゅ、余命!! 僕の余命は!?」
ポケットをまさぐる。よかった! スマホはちゃんとある!
震える指でスマホを立ち上げ、Twittooを開く。
果たして――
『🔁 + ❤ = ????』
スマホに新しいヒビが入っていて、余命が分からない!
「あぁ、あぁぁ……」
『ひどいなぁ、私の事を無視するなんて』
視界に星狩さんのスマホが差し込まれた。
「え?」
顔を上げると、星狩さんが恥ずかしそうな顔でスマホに文字を打ち込んでから、
『ね、生まれて初めてのキスの味、どうだった?』
「~~~~ッ!!」
思い、出した。僕は昨夜、星狩さんに、き、き、キキキキスされたんだ!!
「きゅ、急に何だってあんな事――」
味!? 味って何だよ!? そもそも僕には視力以外の霊感は無い。星狩さんの唇の感触なんて、感じられるわけがない。
……いや? 昨日の夜、気絶する前に、わずかに感触を覚えたんじゃなかっただろうか? でも、それも気が動転して勘違いしただけだろう、と思う。
『さぁ、どうしてだろう?』
「ああいうのは、好きな人に対してやるもんやろ!?」
『物部くんは私の事、好きじゃないの?』
「は、はぁっ!?」
『私の事好きだから、いっぱいいっぱい守ってくれてたんじゃないの?』
「いやっ、その! それは――そもそも君は!!」
言い淀んで、星狩さんの顔を直視できなくなり、手癖でスマホをいじる。手が勝手に、ここ数日でルーチンと化した作業を始める――つまり、2年4組のアカウント巡りを、だ。
良かった。みんなまだ生きて――――……
「うっ――…」
『サブカル男子組』の一人、【撮り鉄】寄道くんのアカウントに――――……1分間動画が、上がって、いた。
震える指で、動画を再生する。
『はぁ……はぁ……いいね……いいねを集めないと……』
寄道くんと思しき声がする。わずかな喧噪、チチチ、という雀の声。映っているのは、
「駅のホーム……三ノ宮駅?」
寄道くんは撮り鉄だ。大方、関西でしか見られない車両を撮ってUPして、いいねに変えようとしていたんだろう……そう、『いた』んだろう。
1分間動画がUPされているというのは、そういう事だ。
『き、来た!! 225系統だ!!』
寄道くんの声とともに、身を乗り出すようにして線路に近づく映像。寄道くんがスマホで撮影しているのだろうか。
ファーーーーーンッ!!
『お客様! 危ないですので黄色い線の内側までお下がりください!!』
激しいクラクションの音と、駅員さんの慌てた声。
そして、
『あ…れ……?』
駅のホームに入って来る電車が、不自然なほど真正面から映し出される。
ファーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!
ギギギギギャイーーーンギャリギャリギャリンッ!!
ドカシッゴボッグガガガガガガボガボ!!
ガココココココバキバキバキャキャキャ!!
ガコッガコッガコッガコッグゴゴゴゴゴ!!
グモッチュイーーンボゴゴゴゴゴッ!!
――――ィィィイイイキキキキキキキキキッ!!
急停車した車両と、その前に転がる寄道くんの体が、動画に映し出されている。
跳ね飛ばされたはずのスマホが、不自然なほど高いアングルから、寄道くんの姿を捉えている。
『君、大丈夫――』駅員さんが飛び降りて来て――、『うっ』
――言葉を、失った。
それはそうだろう。
『た、たすけ…く……だ…………』
寄道くんが、ずりずりと匍匐前進をするかのようにして、駅員さんの方へ進もうとする。
『ヒッ……』
けれど逆に、駅員さんは後退る。
『たす……ごぼッ』
大量の血を吐く寄道くん。
駅員さんは駆け寄るでもなく、立ちすくんでいる。
駅のあちこちから悲鳴が上がる。
それは、そうだろう。
だって寄道くんには、下半身が無いんだから。
動画はそこで終わっている。
💭 🔁 ❤×????
眩しくて、目が覚めた。
「ん……ぅ……」
起き上がる。ここは実家の前。僕は何故か、実家の玄関に倒れていたらしい。
何故? ここで寝入る前、一体何が――
「――――あッ!?」
思い出した!
『呪い』の正体が星狩さんで、僕は星狩さんから逃げようとしているうちに、ここに行きついたんだった。それで、でも、星狩さんに追いつかれて――
ふと、背後に気配を感じた。
振り向くと――
「――ヒッ!?」
星狩さんが立っていた。彼女はスマホを操作して、
『ヒッ、って何。ヒッ、って』
という文を僕に見せてくる。
その表情はいつもの彼女のように、穏やかだ。昨夜感じたあの禍々しさが無い。それに気づけば、あの赤黒いオーラも纏っていない。まるで今まで通りのような――
いや、そんな事よりも!!
「じゅ、余命!! 僕の余命は!?」
ポケットをまさぐる。よかった! スマホはちゃんとある!
震える指でスマホを立ち上げ、Twittooを開く。
果たして――
『🔁 + ❤ = ????』
スマホに新しいヒビが入っていて、余命が分からない!
「あぁ、あぁぁ……」
『ひどいなぁ、私の事を無視するなんて』
視界に星狩さんのスマホが差し込まれた。
「え?」
顔を上げると、星狩さんが恥ずかしそうな顔でスマホに文字を打ち込んでから、
『ね、生まれて初めてのキスの味、どうだった?』
「~~~~ッ!!」
思い、出した。僕は昨夜、星狩さんに、き、き、キキキキスされたんだ!!
「きゅ、急に何だってあんな事――」
味!? 味って何だよ!? そもそも僕には視力以外の霊感は無い。星狩さんの唇の感触なんて、感じられるわけがない。
……いや? 昨日の夜、気絶する前に、わずかに感触を覚えたんじゃなかっただろうか? でも、それも気が動転して勘違いしただけだろう、と思う。
『さぁ、どうしてだろう?』
「ああいうのは、好きな人に対してやるもんやろ!?」
『物部くんは私の事、好きじゃないの?』
「は、はぁっ!?」
『私の事好きだから、いっぱいいっぱい守ってくれてたんじゃないの?』
「いやっ、その! それは――そもそも君は!!」
言い淀んで、星狩さんの顔を直視できなくなり、手癖でスマホをいじる。手が勝手に、ここ数日でルーチンと化した作業を始める――つまり、2年4組のアカウント巡りを、だ。
良かった。みんなまだ生きて――――……
「うっ――…」
『サブカル男子組』の一人、【撮り鉄】寄道くんのアカウントに――――……1分間動画が、上がって、いた。
震える指で、動画を再生する。
『はぁ……はぁ……いいね……いいねを集めないと……』
寄道くんと思しき声がする。わずかな喧噪、チチチ、という雀の声。映っているのは、
「駅のホーム……三ノ宮駅?」
寄道くんは撮り鉄だ。大方、関西でしか見られない車両を撮ってUPして、いいねに変えようとしていたんだろう……そう、『いた』んだろう。
1分間動画がUPされているというのは、そういう事だ。
『き、来た!! 225系統だ!!』
寄道くんの声とともに、身を乗り出すようにして線路に近づく映像。寄道くんがスマホで撮影しているのだろうか。
ファーーーーーンッ!!
『お客様! 危ないですので黄色い線の内側までお下がりください!!』
激しいクラクションの音と、駅員さんの慌てた声。
そして、
『あ…れ……?』
駅のホームに入って来る電車が、不自然なほど真正面から映し出される。
ファーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!
ギギギギギャイーーーンギャリギャリギャリンッ!!
ドカシッゴボッグガガガガガガボガボ!!
ガココココココバキバキバキャキャキャ!!
ガコッガコッガコッガコッグゴゴゴゴゴ!!
グモッチュイーーンボゴゴゴゴゴッ!!
――――ィィィイイイキキキキキキキキキッ!!
急停車した車両と、その前に転がる寄道くんの体が、動画に映し出されている。
跳ね飛ばされたはずのスマホが、不自然なほど高いアングルから、寄道くんの姿を捉えている。
『君、大丈夫――』駅員さんが飛び降りて来て――、『うっ』
――言葉を、失った。
それはそうだろう。
『た、たすけ…く……だ…………』
寄道くんが、ずりずりと匍匐前進をするかのようにして、駅員さんの方へ進もうとする。
『ヒッ……』
けれど逆に、駅員さんは後退る。
『たす……ごぼッ』
大量の血を吐く寄道くん。
駅員さんは駆け寄るでもなく、立ちすくんでいる。
駅のあちこちから悲鳴が上がる。
それは、そうだろう。
だって寄道くんには、下半身が無いんだから。
動画はそこで終わっている。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説

転生の際に抵抗したらオッサンに転生しちゃったので、神様に頼んで何とかして貰いました。
武雅
ファンタジー
突然の雷に打たれて死んでしまったらしい。
打たれた瞬間目の前が真っ白になり、視界が戻るとそこは神様が作った空間だった。
どうやら神様が落とした雷の狙いが外れ自分に直撃したらしく転生をさせてくれるとの事。
とりあえずチート能力はもらえる様なので安心してたら異世界へ転生させる方法が…。
咄嗟に抵抗をするもその結果、タイミングがズレてまさかの小汚く体形もダルンダルンの中年転生してしまった…。
夢のチートでハーレム生活を夢見ていたのに、どう考えても女の子に近づこうとしても逃げられんじゃね?
ただ抵抗した事で神様の都合上、1年間はある意味最強のチート状態になったのでその間に何とかしよう。
そんな物語です。
※本作は他の作品を作っている時に思い付き冒頭1万文字ぐらい書いて後、続きを書かず眠っていた作品を消化する一環で投稿させて頂きました。
…冒頭だけ書いた作品が溜まり過ぎたので今後も不定期でチョイチョイ消化させて頂きます。
完結まで作成しておりますので毎日投降させて頂きます。
稚作ではございますがお読み頂ければ幸いでございます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

生活魔法しか使えない少年、浄化(クリーン)を極めて無双します(仮)(習作3)
田中寿郎
ファンタジー
壁しか見えない街(城郭都市)の中は嫌いだ。孤児院でイジメに遭い、無実の罪を着せられた幼い少年は、街を抜け出し、一人森の中で生きる事を選んだ。武器は生活魔法の浄化(クリーン)と乾燥(ドライ)。浄化と乾燥だけでも極めれば結構役に立ちますよ?
コメントはたまに気まぐれに返す事がありますが、全レスは致しません。悪しからずご了承願います。
(あと、敬語が使えない呪いに掛かっているので言葉遣いに粗いところがあってもご容赦をw)
台本風(セリフの前に名前が入る)です、これに関しては助言は無用です、そういうスタイルだと思ってあきらめてください。
読みにくい、面白くないという方は、フォローを外してそっ閉じをお願いします。
(カクヨムにも投稿しております)

破滅する悪役五人兄弟の末っ子に転生した俺、無能と見下されるがゲームの知識で最強となり、悪役一家と幸せエンディングを目指します。
大田明
ファンタジー
『サークラルファンタズム』というゲームの、ダンカン・エルグレイヴというキャラクターに転生した主人公。
ダンカンは悪役で性格が悪く、さらに無能という人気が無いキャラクター。
主人公はそんなダンカンに転生するも、家族愛に溢れる兄弟たちのことが大好きであった。
マグヌス、アングス、ニール、イナ。破滅する運命にある兄弟たち。
しかし主人公はゲームの知識があるため、そんな彼らを救うことができると確信していた。
主人公は兄弟たちにゲーム中に辿り着けなかった最高の幸せを与えるため、奮闘することを決意する。
これは無能と呼ばれた悪役が最強となり、兄弟を幸せに導く物語だ。

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

婚約破棄騒動に巻き込まれたモブですが……
こうじ
ファンタジー
『あ、終わった……』王太子の取り巻きの1人であるシューラは人生が詰んだのを感じた。王太子と公爵令嬢の婚約破棄騒動に巻き込まれた結果、全てを失う事になってしまったシューラ、これは元貴族令息のやり直しの物語である。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる