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無気力転生者、うさ耳族と出会う
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誘われるままにテーブルについたが、さてどうしたものか。
向かい合う形で座ったから、どこを見てれば良いのか分からない。
無難に額……いや、眉間? いっそ壁?
困った。容姿が良過ぎる!
まんまるな桜色の瞳に、ふさふさなキャラメル色の垂れ耳。
シルクシフォンの様な素材の服は、彼女の可愛いらしい雰囲気に合っている。
………ゴツい短剣はそのままだけど。
「さっ、何でも頼んでいいわよ。この店、ステーキが美味しいの」
「ありがとうございます。
とりあえず、こいつ用に肉のスープをお願いしたいんですが」
「あら、スープでいいの?
ガッツリ食べなきゃ、ご主人様を守れないわよ」
朝からステーキは、ちょっとキツイかもしれない。
ああっ、クロの機嫌が。苛立ちながら、尻尾をベシベシ打ち付けてくる。
当然、クロは俺の膝の上だから、被害は俺にくるわけで。
「まだ起きたばっかりなんで、スープにしときます」
「そうなの? じゃあ、貴方は食べるよね。
おっちゃん、煮込みスープとステーキ2枚!」
「はいよっ」
「えっちょっと」
俺もステーキ食べんの?
というか、うさ耳のお姉さんも食べるの? 朝から。
あれ。うさぎって肉食だったっけ。
「はいよ、お待ち」
「きゃーっ美味しそう!
ねっ、早く食べて食べて」
これ何グラムあるんだ。
400gはあるんじゃないか。
まって、ドン引きじゃん、クロ。
お前も手伝えよ。見た目ライオンなんだから。
結論から言おう。
うさ耳のお姉さんは、肉食だった。しかもフードファイター系の。
「全然減ってないじゃん。ステーキ苦手?」
「や、美味しいんですけど、朝からは重たいと言うか」
「ええっ? そういうものなの?
私、もう1枚食べようとしてのに。やめとこうかな」
「ゲホッ。も、もう1枚!
すごいですね!」
まだ俺、1/3しか食べてないぞ。
肉を噛むことに必死で気がつかなかったが、彼女のお皿はほぼ空だ。
「食べないと身体大きくならないよ?」
「………そっ、すね」
女の子に。可愛い女の子に小さいって言われた。
どーせもやしですよ、俺は。
これでも171cmはあるのに!
「ぷっ」
おいクロ。笑いやがったな、コラ。
「ねぇ、その子って君の獣魔なんだよね?
何て魔物なの?」
「いえ、コイツは相棒なんです。種族も分からないですけど、子供の頃からずっと一緒で」
言うて5年ちょっとだけど。
「へえ~そうなんだ。
見た事ないからレアな魔物なのかなって」
「あはは。まあ、そうなのかもしれないですね」
尻尾攻撃やめい。俺に当たるな。
魔物扱いが相当お気に召さないらしい。爪が太ももに食い込んで地味に痛い。
そうだ。獣魔といえば、まだ太陽ギルドに行ってなかったな。門番の人には悪いけど、長く滞在するわけでもないし……。まあ、行かなくていいか。
「それで君は、テイマーを目指してるの?」
「いや、違います」
魔物とか分からん。なんせ田舎は平和だから。道中だってクロがいれば問題なし!
……たぶん。
「えっ、そうなの?
私ったら、てっきり」
「いやー、ただの農民なんで。今回だって、王都におつかいがあるから、ココに寄っただけなんです」
王都に向かう商人か誰かを見つけて、乗せてってもらうつもりだ。
徒歩とかマジで無理。さすがに魔物も出そうだし。
自慢じゃないけど、スライムにさえ遭遇した事ないね。
自慢じゃないけど!
「そうなんだ。テイマーの才能ありそうなのに」
「冒険者は、ちょっと」
うさ耳さんは、何やら悩んでいる様子だ。
もしや、ステーキ2枚目を?
「王都に行くんだよね」
「はい」
「そっか。わかった」
何が?
めっちゃ良い笑顔で頷いてますけど、こっちはさっぱりなんだが。
というか、ステーキどうしよ。腹一杯になってきた。
クロ~、食べてくれてもいいんだぞー。
クロに目で訴えてみたが、プイと逸らされた。
ですよね。うん、わかってた。
「私も一緒に王都へ行くわ」
「は?」
突然何を言い出してるの、この人。
思わず咽せちまったじゃねーか。
「だって君、冒険者ってわけでもないんでしょ。
だったら危ないから、私が護衛するわ」
「え? いや、え?」
「大丈夫。これでもBランクよ。君1人なら、無事に王都へ送り届けられるわ」
ぜんっぜん、話が飲み込めない。
うちのクロだって、ポカーンと口開けて驚いてるじゃん。
可愛いな、おい。
「えっと、大丈夫です」
「何でっ?! 私、本当にBランクよっ!
ほら、見て、ギルドカード!」
Bって言われても、ランクの仕組みとか知らない。
だいたい、馬車に乗るお金ケチって、商人に頼み込もうとしてるんだ俺は。
護衛料なんて絶対払えない。帰りの路銀叩いても無理。
「そもそも、貴女の名前まだ知らないですし」
「………………あ」
だよね。俺達自己紹介まだだよね。
良かった。名前聞いたのに、ど忘れしたのかと一瞬悩んじゃった。
向かい合う形で座ったから、どこを見てれば良いのか分からない。
無難に額……いや、眉間? いっそ壁?
困った。容姿が良過ぎる!
まんまるな桜色の瞳に、ふさふさなキャラメル色の垂れ耳。
シルクシフォンの様な素材の服は、彼女の可愛いらしい雰囲気に合っている。
………ゴツい短剣はそのままだけど。
「さっ、何でも頼んでいいわよ。この店、ステーキが美味しいの」
「ありがとうございます。
とりあえず、こいつ用に肉のスープをお願いしたいんですが」
「あら、スープでいいの?
ガッツリ食べなきゃ、ご主人様を守れないわよ」
朝からステーキは、ちょっとキツイかもしれない。
ああっ、クロの機嫌が。苛立ちながら、尻尾をベシベシ打ち付けてくる。
当然、クロは俺の膝の上だから、被害は俺にくるわけで。
「まだ起きたばっかりなんで、スープにしときます」
「そうなの? じゃあ、貴方は食べるよね。
おっちゃん、煮込みスープとステーキ2枚!」
「はいよっ」
「えっちょっと」
俺もステーキ食べんの?
というか、うさ耳のお姉さんも食べるの? 朝から。
あれ。うさぎって肉食だったっけ。
「はいよ、お待ち」
「きゃーっ美味しそう!
ねっ、早く食べて食べて」
これ何グラムあるんだ。
400gはあるんじゃないか。
まって、ドン引きじゃん、クロ。
お前も手伝えよ。見た目ライオンなんだから。
結論から言おう。
うさ耳のお姉さんは、肉食だった。しかもフードファイター系の。
「全然減ってないじゃん。ステーキ苦手?」
「や、美味しいんですけど、朝からは重たいと言うか」
「ええっ? そういうものなの?
私、もう1枚食べようとしてのに。やめとこうかな」
「ゲホッ。も、もう1枚!
すごいですね!」
まだ俺、1/3しか食べてないぞ。
肉を噛むことに必死で気がつかなかったが、彼女のお皿はほぼ空だ。
「食べないと身体大きくならないよ?」
「………そっ、すね」
女の子に。可愛い女の子に小さいって言われた。
どーせもやしですよ、俺は。
これでも171cmはあるのに!
「ぷっ」
おいクロ。笑いやがったな、コラ。
「ねぇ、その子って君の獣魔なんだよね?
何て魔物なの?」
「いえ、コイツは相棒なんです。種族も分からないですけど、子供の頃からずっと一緒で」
言うて5年ちょっとだけど。
「へえ~そうなんだ。
見た事ないからレアな魔物なのかなって」
「あはは。まあ、そうなのかもしれないですね」
尻尾攻撃やめい。俺に当たるな。
魔物扱いが相当お気に召さないらしい。爪が太ももに食い込んで地味に痛い。
そうだ。獣魔といえば、まだ太陽ギルドに行ってなかったな。門番の人には悪いけど、長く滞在するわけでもないし……。まあ、行かなくていいか。
「それで君は、テイマーを目指してるの?」
「いや、違います」
魔物とか分からん。なんせ田舎は平和だから。道中だってクロがいれば問題なし!
……たぶん。
「えっ、そうなの?
私ったら、てっきり」
「いやー、ただの農民なんで。今回だって、王都におつかいがあるから、ココに寄っただけなんです」
王都に向かう商人か誰かを見つけて、乗せてってもらうつもりだ。
徒歩とかマジで無理。さすがに魔物も出そうだし。
自慢じゃないけど、スライムにさえ遭遇した事ないね。
自慢じゃないけど!
「そうなんだ。テイマーの才能ありそうなのに」
「冒険者は、ちょっと」
うさ耳さんは、何やら悩んでいる様子だ。
もしや、ステーキ2枚目を?
「王都に行くんだよね」
「はい」
「そっか。わかった」
何が?
めっちゃ良い笑顔で頷いてますけど、こっちはさっぱりなんだが。
というか、ステーキどうしよ。腹一杯になってきた。
クロ~、食べてくれてもいいんだぞー。
クロに目で訴えてみたが、プイと逸らされた。
ですよね。うん、わかってた。
「私も一緒に王都へ行くわ」
「は?」
突然何を言い出してるの、この人。
思わず咽せちまったじゃねーか。
「だって君、冒険者ってわけでもないんでしょ。
だったら危ないから、私が護衛するわ」
「え? いや、え?」
「大丈夫。これでもBランクよ。君1人なら、無事に王都へ送り届けられるわ」
ぜんっぜん、話が飲み込めない。
うちのクロだって、ポカーンと口開けて驚いてるじゃん。
可愛いな、おい。
「えっと、大丈夫です」
「何でっ?! 私、本当にBランクよっ!
ほら、見て、ギルドカード!」
Bって言われても、ランクの仕組みとか知らない。
だいたい、馬車に乗るお金ケチって、商人に頼み込もうとしてるんだ俺は。
護衛料なんて絶対払えない。帰りの路銀叩いても無理。
「そもそも、貴女の名前まだ知らないですし」
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