10 / 12
入学式②
しおりを挟む
クラウスに連れられ人混みから避難していたがそろそろ席に着くようにと教員達から促されてしまった。
どうやらそろそろ入学式が始まるらしい。
席に着くと先程までとは違い集団で囲まれるようなことは無く、私はほっと胸を撫で下ろした。
(どうやら私の知らぬところでお近付きになりたい方々の椅子取りゲームは勃発したようだが)
初等部には貴族の子供達のみが入学するため、そこまで数が多いわけでは無いが社交界デビューもまだしていないお坊ちゃんお嬢様方には待ては少し難しいらしく、全員が席に着いた後も会場は少しざわついていた。
それが急にシン…と収まりを見せたのは壇上にとある人物が現れてからだった。
静まり返った会場に、白髪の老人の声が響き渡る。
「まずは諸君、レヴィアンタ魔導学園への入学おめでとう。我々は君達を心から歓迎する。」
そう挨拶したのはレヴィアンタ魔導学園初等部~高等部までを纏める学長デビット・レズリーだ。
渋い青色に金色の刺繍が施されたローブを身に纏い、新入生達を壇上から見下ろしていた。
確か彼は元宮廷魔導師でかなりのお偉いさんだったはずだ。
私たちに語りかける物腰は柔らかだが、その声色と立ち姿には何か威厳を感じさせるものがあった。
「君達は選ばれた優秀な人材だ、この国の未来を支える宝でもある。この学園で学び、知見を広げ、どうか将来この国を導く存在となって欲しい。そして、この学園での生活が諸君にとって実りあるものになるよう心から願っている。……さて、挨拶はこれぐらいにして。皆気になっているであろう、クラス発表に移ろうか。」
デビットが手を軽く上げた瞬間、新入生全員の目の前に白い一輪の花が現れた。
「その花に触れなさい、触れた瞬間色が変化するようになっておる。色が変わった花を胸元に刺し、その後は先生の誘導に従って各クラスに移動するように。」
促されるまま花に触れると、私の花はじわじわと白から黄色に色が変化し始めた。
「わぁ…!」
「すっげぇ…!」
所々で歓声が上がっている。
私は黄色の花を胸元に刺すと教員の指示に従ってクラスへと向かった。
ちらっとクラウスの方を見ると彼の胸元の花は赤色に変わっていた。
どうやら彼とは同じクラスにはなれなかったらしい。
(…まあ、まだ本編は始まる前だし。本編始まってたらさすがに同じクラスで状況を把握しておきたかったところだけど、仲良くならなきゃ行けないのはクラウスだけじゃないしね。)
攻略対象の中ではレオンハルトと同じクラスになったらしい。レオンハルトの婚約者であるウルティアは彼とは別のクラス、青色のクラスになったようだ。
恐らく私のクラスはほぼ間違いなくレオンハルトが中心になるだろう。自分にその役が回ってこなさそうで一安心だ。
(…だけど油断してる時間はない。)
来たるエンディングまでに信頼できる仲間を増やさなければ。
わいわいと皆がクラスに移動する中私は密かに仲間獲得に向けて闘志を燃やしていた。
ちなみに表情筋はまだ氷のように硬いままである。
…前途多難だ。
どうやらそろそろ入学式が始まるらしい。
席に着くと先程までとは違い集団で囲まれるようなことは無く、私はほっと胸を撫で下ろした。
(どうやら私の知らぬところでお近付きになりたい方々の椅子取りゲームは勃発したようだが)
初等部には貴族の子供達のみが入学するため、そこまで数が多いわけでは無いが社交界デビューもまだしていないお坊ちゃんお嬢様方には待ては少し難しいらしく、全員が席に着いた後も会場は少しざわついていた。
それが急にシン…と収まりを見せたのは壇上にとある人物が現れてからだった。
静まり返った会場に、白髪の老人の声が響き渡る。
「まずは諸君、レヴィアンタ魔導学園への入学おめでとう。我々は君達を心から歓迎する。」
そう挨拶したのはレヴィアンタ魔導学園初等部~高等部までを纏める学長デビット・レズリーだ。
渋い青色に金色の刺繍が施されたローブを身に纏い、新入生達を壇上から見下ろしていた。
確か彼は元宮廷魔導師でかなりのお偉いさんだったはずだ。
私たちに語りかける物腰は柔らかだが、その声色と立ち姿には何か威厳を感じさせるものがあった。
「君達は選ばれた優秀な人材だ、この国の未来を支える宝でもある。この学園で学び、知見を広げ、どうか将来この国を導く存在となって欲しい。そして、この学園での生活が諸君にとって実りあるものになるよう心から願っている。……さて、挨拶はこれぐらいにして。皆気になっているであろう、クラス発表に移ろうか。」
デビットが手を軽く上げた瞬間、新入生全員の目の前に白い一輪の花が現れた。
「その花に触れなさい、触れた瞬間色が変化するようになっておる。色が変わった花を胸元に刺し、その後は先生の誘導に従って各クラスに移動するように。」
促されるまま花に触れると、私の花はじわじわと白から黄色に色が変化し始めた。
「わぁ…!」
「すっげぇ…!」
所々で歓声が上がっている。
私は黄色の花を胸元に刺すと教員の指示に従ってクラスへと向かった。
ちらっとクラウスの方を見ると彼の胸元の花は赤色に変わっていた。
どうやら彼とは同じクラスにはなれなかったらしい。
(…まあ、まだ本編は始まる前だし。本編始まってたらさすがに同じクラスで状況を把握しておきたかったところだけど、仲良くならなきゃ行けないのはクラウスだけじゃないしね。)
攻略対象の中ではレオンハルトと同じクラスになったらしい。レオンハルトの婚約者であるウルティアは彼とは別のクラス、青色のクラスになったようだ。
恐らく私のクラスはほぼ間違いなくレオンハルトが中心になるだろう。自分にその役が回ってこなさそうで一安心だ。
(…だけど油断してる時間はない。)
来たるエンディングまでに信頼できる仲間を増やさなければ。
わいわいと皆がクラスに移動する中私は密かに仲間獲得に向けて闘志を燃やしていた。
ちなみに表情筋はまだ氷のように硬いままである。
…前途多難だ。
1
お気に入りに追加
67
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
モブに転生したはずですが?
佐倉穂波
恋愛
乙女ゲームっぽい世界のモブに転生したラズベルトは、悪役令嬢レティシアの断罪イベントを「可哀想だけど、自分には関係がないこと」と傍観していた。
しかし、断罪イベントから数日後、ラズベルトがレティシアの婚約者になることが決まり──!?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた
アリエール
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。
【完結】もったいないですわ!乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢は、今日も生徒会活動に勤しむ~経済を回してる?それってただの無駄遣いですわ!~
鬼ヶ咲あちたん
恋愛
内容も知らない乙女ゲームの世界に転生してしまった悪役令嬢は、ヒロインや攻略対象者たちを放って今日も生徒会活動に勤しむ。もったいないおばけは日本人の心! まだ使える物を捨ててしまうなんて、もったいないですわ! 悪役令嬢が取り組む『もったいない革命』に、だんだん生徒会役員たちは巻き込まれていく。「このゲームのヒロインは私なのよ!?」荒れるヒロインから一方的に恨まれる悪役令嬢はどうなってしまうのか?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【コミカライズ】今夜中に婚約破棄してもらわナイト
待鳥園子
恋愛
気がつけば私、悪役令嬢に転生してしまったらしい。
不幸なことに記憶を取り戻したのが、なんと断罪不可避の婚約破棄される予定の、その日の朝だった!
けど、後日談に書かれていた悪役令嬢の末路は珍しくぬるい。都会好きで派手好きな彼女はヒロインをいじめた罰として、都会を離れて静かな田舎で暮らすことになるだけ。
前世から筋金入りの陰キャな私は、華やかな社交界なんか興味ないし、のんびり田舎暮らしも悪くない。罰でもなく、単なるご褒美。文句など一言も言わずに、潔く婚約破棄されましょう。
……えっ! ヒロインも探しているし、私の婚約者会場に不在なんだけど……私と婚約破棄する予定の王子様、どこに行ったのか、誰か知りませんか?!
♡コミカライズされることになりました。詳細は追って発表いたします。
【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。
樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」
大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。
はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!!
私の必死の努力を返してー!!
乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。
気付けば物語が始まる学園への入学式の日。
私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!!
私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ!
所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。
でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!!
攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢!
必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!!
やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!!
必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。
※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。
※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
悪役令嬢は婚約破棄したいのに王子から溺愛されています。
白雪みなと
恋愛
この世界は乙女ゲームであると気づいた悪役令嬢ポジションのクリスタル・フェアリィ。
筋書き通りにやらないとどうなるか分かったもんじゃない。それに、貴族社会で生きていける気もしない。
ということで、悪役令嬢として候補に嫌われ、国外追放されるよう頑張るのだったが……。
王子さま、なぜ私を溺愛してらっしゃるのですか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる