無表情令嬢は死亡フラグを回避したい!!

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入学式②

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クラウスに連れられ人混みから避難していたがそろそろ席に着くようにと教員達から促されてしまった。
どうやらそろそろ入学式が始まるらしい。


席に着くと先程までとは違い集団で囲まれるようなことは無く、私はほっと胸を撫で下ろした。
(どうやら私の知らぬところでお近付きになりたい方々の椅子取りゲームは勃発したようだが)

初等部には貴族の子供達のみが入学するため、そこまで数が多いわけでは無いが社交界デビューもまだしていないお坊ちゃんお嬢様方には待ては少し難しいらしく、全員が席に着いた後も会場は少しざわついていた。

それが急にシン…と収まりを見せたのは壇上にとある人物が現れてからだった。



静まり返った会場に、白髪の老人の声が響き渡る。

「まずは諸君、レヴィアンタ魔導学園への入学おめでとう。我々は君達を心から歓迎する。」


そう挨拶したのはレヴィアンタ魔導学園初等部~高等部までを纏める学長デビット・レズリーだ。
渋い青色に金色の刺繍が施されたローブを身に纏い、新入生達を壇上から見下ろしていた。
確か彼は元宮廷魔導師でかなりのお偉いさんだったはずだ。
私たちに語りかける物腰は柔らかだが、その声色と立ち姿には何か威厳を感じさせるものがあった。


「君達は選ばれた優秀な人材だ、この国の未来を支える宝でもある。この学園で学び、知見を広げ、どうか将来この国を導く存在となって欲しい。そして、この学園での生活が諸君にとって実りあるものになるよう心から願っている。……さて、挨拶はこれぐらいにして。皆気になっているであろう、クラス発表に移ろうか。」

デビットが手を軽く上げた瞬間、新入生全員の目の前に白い一輪の花が現れた。

「その花に触れなさい、触れた瞬間色が変化するようになっておる。色が変わった花を胸元に刺し、その後は先生の誘導に従って各クラスに移動するように。」

促されるまま花に触れると、私の花はじわじわと白から黄色に色が変化し始めた。

「わぁ…!」

「すっげぇ…!」

所々で歓声が上がっている。
私は黄色の花を胸元に刺すと教員の指示に従ってクラスへと向かった。


ちらっとクラウスの方を見ると彼の胸元の花は赤色に変わっていた。
どうやら彼とは同じクラスにはなれなかったらしい。

(…まあ、まだ本編は始まる前だし。本編始まってたらさすがに同じクラスで状況を把握しておきたかったところだけど、仲良くならなきゃ行けないのはクラウスだけじゃないしね。)

攻略対象の中ではレオンハルトと同じクラスになったらしい。レオンハルトの婚約者であるウルティアは彼とは別のクラス、青色のクラスになったようだ。
恐らく私のクラスはほぼ間違いなくレオンハルトが中心になるだろう。自分にその役が回ってこなさそうで一安心だ。

(…だけど油断してる時間はない。)

来たるエンディングまでに信頼できる仲間を増やさなければ。
わいわいと皆がクラスに移動する中私は密かに仲間獲得に向けて闘志を燃やしていた。

ちなみに表情筋はまだ氷のように硬いままである。
…前途多難だ。




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