17 / 26
世界を世界たらしめるのは……
しおりを挟む
世界の存在、概念、基準、その他etc.……。それを確定、確立させるのは、いつでもどこでも世界が選んだ主人公である。
────────────
黒い球体はその殺気に気付くとすぐに警戒する。そして、その殺気が自分に向けられていないと気付くと、その殺気の方向へと向かい始める。距離にして約10㎞。殺気は二つあることを理解するとそのままその殺気を喰らおうと捕食モードへと移る。木々と地面を抉り、食らいながら進むと数分で二つの殺気は消え、こちらへと矛先が向いた。
『来る。』
球体の確信と自信に満ちたその判断は見事的中する。視線の先にはコートの青年と一瞬男と見まがうほどの少女が並んでいる。魂の臭いと形で青年がこの世界の人間ではなく、自分を追ってきている神の使いだと瞬時に理解する。
「神の使い……」
「……どうやら、顔は割れているようだな。」
「魂の形だ。お前の魂の形……この世界ではなく、また別の世界の魂の形をしている。」
恐らく指を差しているであろう球体の口調だが、姿がうまく見えないのでどこを見て、どこを指さしているか分からない。
そのため、いくらでも奇襲できる。
話を終えると球体は、無田へいきなり突進攻撃を仕掛ける。無田はその速さをギリギリ目でとらえ、四夜華をかばいながら避ける。その際、コートの端が球体へと吸い込まれてしまう巻き添えを避けるため、コートをそのまま脱ぎ捨てる。
「惜しかったな……神の使いの肉はどんな味か喰えるかと思ったんだが。」
「こいつ…異常な魔力量だ。」
四夜華は球体の異常な魔力量に驚愕している。纏っている黒い靄もそうだが、その内側に巡る魔力量は人間に換算すると、約1万人分。術式と魔力の使い方を知っていれば大魔導師が何人束になって鳴かろうと勝てない強さを誇るだろう。
「大丈夫か。四夜華。」
四夜華は静かに頷くと無田の横に並び球体の様子を見る。が、球体はすでに二人が避けられないほどの距離におり、ターゲットになっているのはもちろん無田である。
無田は自分が標的になっているのを理解した上で即刻で実力行使に出ることを決め、能力を使用する。
「抹消無効」
抹消無効。異能的なもの、者、物の効果、効能を無効化する能力。しかしながら、制約を神と結んでいるため一部、数分しか持たない。
抹消無効を受けた球体の黒い靄は飛散し、球体の中からはトカゲの怪人が出てきた。やせ細った身体をさすると、トカゲ怪人は細い頬を怒りで吊り上げ、二入を睨む。
その殺気が二人を包み込んだが、そんな中一番先に動いたのは四夜華であった。
「鉄糸式魔法術ジャグリングショット!!」
赤、青、黄色、緑、紫、橙、白。の七色の火の玉を出し、そのままトカゲ怪人へと狙いを定めて射撃する。七色の火炎弾はトカゲ怪人へ向かうが、怪人はそのことごとくを避けると、四夜華の首を掴む。
「ぐっ……!」
「余計な事をしないでくれ。ワタシが喰らいたいのは神の使いただ一人。」
「俺が狙いならば、その手を放せ。」
怪人の頬に無田の拳がめり込む。トカゲ怪人はそのまま地面へとバウンドすると二人から距離を取り、抹消無効の効果がなくなったのを確認すると、再び自分の能力を発動させる。
「暴食の繭」
空気か渦を巻くと、やがて最初の黒い球体へと姿を変えた。
「自己紹介でもしておこうか。七つの大罪 暴食の罪………g」
「大罪みーっけ!!!」
名前を言おうとした暴食の暴食の繭に関係なく真上から人影が降ってきた。その影は何か光るものを手に持ち、暴食の暴食の繭へと吸い込まれる。吸い込まれそうな身体をギリギリで離すことができ、無田の方へと跳躍した。無田はその姿を見ると、溜息をつきあからさまに嫌そうな顔をする。
「布田。お前、バカだろ。」
「お互い様だな。皆無さんよぉ……で、そっちは説得成功したのかよ。」
「協力しているんだ。分かるだろう?お前は?」
「あー?俺だってほら、説得成功したぜ?」
親指で後ろを差すと、目視できる程度の遠い距離にはヘロヘロになりながらも走っている晴山大介がいた。
「おい、あれ……」
「あー、はいはいそうですね~これは俺が悪かったよーっと。」
大介の様子を見た龍兎はひらひらと手を振り、二人の前に出る。そして、虚空から剣を出し暴食に向かい切っ先を向ける。
「さぁて、暴食の大罪。有るべき場所に還してやるからおとなしくしろよ?」
「君も神の使いか……おいしそうだ。」
暴食は舌なめずりすると、黒い渦をさらに加速させた。
続く。
────────────
黒い球体はその殺気に気付くとすぐに警戒する。そして、その殺気が自分に向けられていないと気付くと、その殺気の方向へと向かい始める。距離にして約10㎞。殺気は二つあることを理解するとそのままその殺気を喰らおうと捕食モードへと移る。木々と地面を抉り、食らいながら進むと数分で二つの殺気は消え、こちらへと矛先が向いた。
『来る。』
球体の確信と自信に満ちたその判断は見事的中する。視線の先にはコートの青年と一瞬男と見まがうほどの少女が並んでいる。魂の臭いと形で青年がこの世界の人間ではなく、自分を追ってきている神の使いだと瞬時に理解する。
「神の使い……」
「……どうやら、顔は割れているようだな。」
「魂の形だ。お前の魂の形……この世界ではなく、また別の世界の魂の形をしている。」
恐らく指を差しているであろう球体の口調だが、姿がうまく見えないのでどこを見て、どこを指さしているか分からない。
そのため、いくらでも奇襲できる。
話を終えると球体は、無田へいきなり突進攻撃を仕掛ける。無田はその速さをギリギリ目でとらえ、四夜華をかばいながら避ける。その際、コートの端が球体へと吸い込まれてしまう巻き添えを避けるため、コートをそのまま脱ぎ捨てる。
「惜しかったな……神の使いの肉はどんな味か喰えるかと思ったんだが。」
「こいつ…異常な魔力量だ。」
四夜華は球体の異常な魔力量に驚愕している。纏っている黒い靄もそうだが、その内側に巡る魔力量は人間に換算すると、約1万人分。術式と魔力の使い方を知っていれば大魔導師が何人束になって鳴かろうと勝てない強さを誇るだろう。
「大丈夫か。四夜華。」
四夜華は静かに頷くと無田の横に並び球体の様子を見る。が、球体はすでに二人が避けられないほどの距離におり、ターゲットになっているのはもちろん無田である。
無田は自分が標的になっているのを理解した上で即刻で実力行使に出ることを決め、能力を使用する。
「抹消無効」
抹消無効。異能的なもの、者、物の効果、効能を無効化する能力。しかしながら、制約を神と結んでいるため一部、数分しか持たない。
抹消無効を受けた球体の黒い靄は飛散し、球体の中からはトカゲの怪人が出てきた。やせ細った身体をさすると、トカゲ怪人は細い頬を怒りで吊り上げ、二入を睨む。
その殺気が二人を包み込んだが、そんな中一番先に動いたのは四夜華であった。
「鉄糸式魔法術ジャグリングショット!!」
赤、青、黄色、緑、紫、橙、白。の七色の火の玉を出し、そのままトカゲ怪人へと狙いを定めて射撃する。七色の火炎弾はトカゲ怪人へ向かうが、怪人はそのことごとくを避けると、四夜華の首を掴む。
「ぐっ……!」
「余計な事をしないでくれ。ワタシが喰らいたいのは神の使いただ一人。」
「俺が狙いならば、その手を放せ。」
怪人の頬に無田の拳がめり込む。トカゲ怪人はそのまま地面へとバウンドすると二人から距離を取り、抹消無効の効果がなくなったのを確認すると、再び自分の能力を発動させる。
「暴食の繭」
空気か渦を巻くと、やがて最初の黒い球体へと姿を変えた。
「自己紹介でもしておこうか。七つの大罪 暴食の罪………g」
「大罪みーっけ!!!」
名前を言おうとした暴食の暴食の繭に関係なく真上から人影が降ってきた。その影は何か光るものを手に持ち、暴食の暴食の繭へと吸い込まれる。吸い込まれそうな身体をギリギリで離すことができ、無田の方へと跳躍した。無田はその姿を見ると、溜息をつきあからさまに嫌そうな顔をする。
「布田。お前、バカだろ。」
「お互い様だな。皆無さんよぉ……で、そっちは説得成功したのかよ。」
「協力しているんだ。分かるだろう?お前は?」
「あー?俺だってほら、説得成功したぜ?」
親指で後ろを差すと、目視できる程度の遠い距離にはヘロヘロになりながらも走っている晴山大介がいた。
「おい、あれ……」
「あー、はいはいそうですね~これは俺が悪かったよーっと。」
大介の様子を見た龍兎はひらひらと手を振り、二人の前に出る。そして、虚空から剣を出し暴食に向かい切っ先を向ける。
「さぁて、暴食の大罪。有るべき場所に還してやるからおとなしくしろよ?」
「君も神の使いか……おいしそうだ。」
暴食は舌なめずりすると、黒い渦をさらに加速させた。
続く。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
完結【R―18】様々な情事 短編集
秋刀魚妹子
恋愛
本作品は、過度な性的描写が有ります。 というか、性的描写しか有りません。
タイトルのお品書きにて、シチュエーションとジャンルが分かります。
好みで無いシチュエーションやジャンルを踏まないようご注意下さい。
基本的に、短編集なので登場人物やストーリーは繋がっておりません。
同じ名前、同じ容姿でも関係無い場合があります。
※ このキャラの情事が読みたいと要望の感想を頂いた場合は、同じキャラが登場する可能性があります。
※ 更新は不定期です。
それでは、楽しんで頂けたら幸いです。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる