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本章
帝国 城内にて 4
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「こちらの翻訳をと思いまして」
巻物を渡すとドリール内務大臣はサッと目を通し、
「エルフ語とアーチ語で良いな、グアニア語に文字は無いぞ」
「はい、結構です、内容については法務大臣と筆頭将軍に確認頂きました」
ガネスは話の速さに感心し軽い微笑みを浮かべる、
「ふむ、明日の朝迄で良いかな、急ぎであれば・・・アーチ語は貴殿も解するであろう、やってみるか」
ドリールは片眉を上げガネスを見る、
「明日の朝迄で良いです、翻訳は御勘弁を、私が解するのは読みと聞くだけであります、国史に残る文章ですので、内務大臣の御助力をと考えた次第」
「そうでなくても持ってきたであろう、カオラこれを」
ドリールは自身の秘書を呼びつけると細かく指示を出す、
「アーチ語とエルフ語に翻訳して、清書の前に確認を、うん、いつもの通りに清書は2部?広報用に3部作成で良いかな」
仔細をガネスに確認する、ガネスはいちいち了解を伝える、
「空間を上手く使ってな署名は陛下のみで、この間の文書は全体の釣り合いが悪かったぞ、文書が悪い?そこはそれ上手くやるのがだな」
やや小言臭い口調になっている、
「では、お任せいたしました、宜しくお願い致します」
ガネスが腰を上げると、
「まぁ、待て私も伺おうと思っておったのだ」
ドリールは片手を上げてガネスを押し止めると席を立ち自身の机から一枚の書類を持ってきた、
「ドルノンからの密書だ、先程届いたばかりなのだが」
すっとガネスの前に書類を置いた、
「ドルノンというと、マンチーニ伯ですか、では、失礼」
ガネスは書類に目を落す、ドルノンとはマンチーニ伯領の首都であり、マンチーニ伯領は北方戦線のすぐ西側の山脈を超えた地域にあった、
「これは、マンチーニ伯の謀反?とまでは言えないですね今の所は・・・」
書類の内容はマンチーニ伯の軍の動向であった、ドルノンに集められた後市民に送られ南下するも同日の夜には北へ転進したとの事である、兵数は歩兵5000騎兵500従属2000、マンチーニ伯の手勢の3割程度であると考えられた、
「そう思うか、うん、しかし南下した後で夜の内に北上とはありえない行軍であると思う、兵数も少ない」
「なるほど、今朝の将軍からの報告ですと地方領主からの兵はまだ合流していないとの事でしたな、必要も無い・・・とも考えておられるようでしたが」
「しかし、北方制圧はマンチーニ伯の嘆願から始まった戦争だぞ、ここに来てマンチーニ伯が軍を出さないのは道理に合わない」
「そうでしたか・・・、そうですね、確かにマンチーニ伯領北側山脈での獣狼被害が発端でしたね、えぇ、思い出しました」
ガネスは恥ずかし気に額を摩った、
「獣狼と山猫は決着が着いたようなものだから興味を無くしたのかもな、あの伯爵は・・・」
「それだけであれば軍を出さないか、それとなく連絡があっても良いかとも思いますが、北上しているという事は、自領の拡幅を狙っているとも考えれらますね、アラバスが順調とは言えない事も気付いているのでは無いですか?」
「うむ、しかし、軍でどうこうできる地勢ではないのは伯爵も知っていると思うのだがなぁ」
「山脈と森ですからね、そう考えると確かに・・・獣狼の難民が流れ込んでいるとか?」
「であれば堂々と軍なり冒険者なりで対応するだろうさ、わざわざ不要な労力を掛けることはない」
不要な労力とは夜の行軍の事であろう、
「となると現時点ではなんとも」
「そうなるかな、明日の朝議に出しておこう、将軍の反応が知りたい、明日はまだいるのだろう御二方供に」
「えぇ、いらっしゃると思います、御二方と言えば」
とガネスは思い出したように言葉を続ける、
「カミュ将軍が嫌な予感がすると、先程伺いまして、西と南になります、特に西ですか」
「それはカミュ将軍ならずとも、今朝の件だろう?スフォルツァ伯か・・・」
「そうですね、例の書状も内容は分らぬままですが、陛下は確認されたとは思いますが」
「であればそれで良かろう、そのうち何らかの指示が飛んでくるのではないかな?何もなければそれで良いし」
ドリールは腕を組むと天を仰いで、
「南も警戒しておくか、どうやら春ボケが開けたらしいからな」
「春ボケですか、カミュ将軍も全方向に触覚を立てるべしと」
「全方向・・・確かにな」
ドリールはポンと膝を叩くと、
「各地方の軍と食料動向を調査させておこう、南は管轄外だな貴殿に頼む」
「はい、家令に指示を出しておきます」
二人は同時に腰を上げ、ガネスは退室しドリールは自席に着くと秘書官を呼び各所へ緊急の指令書を廻すよう段取りをつけた。
巻物を渡すとドリール内務大臣はサッと目を通し、
「エルフ語とアーチ語で良いな、グアニア語に文字は無いぞ」
「はい、結構です、内容については法務大臣と筆頭将軍に確認頂きました」
ガネスは話の速さに感心し軽い微笑みを浮かべる、
「ふむ、明日の朝迄で良いかな、急ぎであれば・・・アーチ語は貴殿も解するであろう、やってみるか」
ドリールは片眉を上げガネスを見る、
「明日の朝迄で良いです、翻訳は御勘弁を、私が解するのは読みと聞くだけであります、国史に残る文章ですので、内務大臣の御助力をと考えた次第」
「そうでなくても持ってきたであろう、カオラこれを」
ドリールは自身の秘書を呼びつけると細かく指示を出す、
「アーチ語とエルフ語に翻訳して、清書の前に確認を、うん、いつもの通りに清書は2部?広報用に3部作成で良いかな」
仔細をガネスに確認する、ガネスはいちいち了解を伝える、
「空間を上手く使ってな署名は陛下のみで、この間の文書は全体の釣り合いが悪かったぞ、文書が悪い?そこはそれ上手くやるのがだな」
やや小言臭い口調になっている、
「では、お任せいたしました、宜しくお願い致します」
ガネスが腰を上げると、
「まぁ、待て私も伺おうと思っておったのだ」
ドリールは片手を上げてガネスを押し止めると席を立ち自身の机から一枚の書類を持ってきた、
「ドルノンからの密書だ、先程届いたばかりなのだが」
すっとガネスの前に書類を置いた、
「ドルノンというと、マンチーニ伯ですか、では、失礼」
ガネスは書類に目を落す、ドルノンとはマンチーニ伯領の首都であり、マンチーニ伯領は北方戦線のすぐ西側の山脈を超えた地域にあった、
「これは、マンチーニ伯の謀反?とまでは言えないですね今の所は・・・」
書類の内容はマンチーニ伯の軍の動向であった、ドルノンに集められた後市民に送られ南下するも同日の夜には北へ転進したとの事である、兵数は歩兵5000騎兵500従属2000、マンチーニ伯の手勢の3割程度であると考えられた、
「そう思うか、うん、しかし南下した後で夜の内に北上とはありえない行軍であると思う、兵数も少ない」
「なるほど、今朝の将軍からの報告ですと地方領主からの兵はまだ合流していないとの事でしたな、必要も無い・・・とも考えておられるようでしたが」
「しかし、北方制圧はマンチーニ伯の嘆願から始まった戦争だぞ、ここに来てマンチーニ伯が軍を出さないのは道理に合わない」
「そうでしたか・・・、そうですね、確かにマンチーニ伯領北側山脈での獣狼被害が発端でしたね、えぇ、思い出しました」
ガネスは恥ずかし気に額を摩った、
「獣狼と山猫は決着が着いたようなものだから興味を無くしたのかもな、あの伯爵は・・・」
「それだけであれば軍を出さないか、それとなく連絡があっても良いかとも思いますが、北上しているという事は、自領の拡幅を狙っているとも考えれらますね、アラバスが順調とは言えない事も気付いているのでは無いですか?」
「うむ、しかし、軍でどうこうできる地勢ではないのは伯爵も知っていると思うのだがなぁ」
「山脈と森ですからね、そう考えると確かに・・・獣狼の難民が流れ込んでいるとか?」
「であれば堂々と軍なり冒険者なりで対応するだろうさ、わざわざ不要な労力を掛けることはない」
不要な労力とは夜の行軍の事であろう、
「となると現時点ではなんとも」
「そうなるかな、明日の朝議に出しておこう、将軍の反応が知りたい、明日はまだいるのだろう御二方供に」
「えぇ、いらっしゃると思います、御二方と言えば」
とガネスは思い出したように言葉を続ける、
「カミュ将軍が嫌な予感がすると、先程伺いまして、西と南になります、特に西ですか」
「それはカミュ将軍ならずとも、今朝の件だろう?スフォルツァ伯か・・・」
「そうですね、例の書状も内容は分らぬままですが、陛下は確認されたとは思いますが」
「であればそれで良かろう、そのうち何らかの指示が飛んでくるのではないかな?何もなければそれで良いし」
ドリールは腕を組むと天を仰いで、
「南も警戒しておくか、どうやら春ボケが開けたらしいからな」
「春ボケですか、カミュ将軍も全方向に触覚を立てるべしと」
「全方向・・・確かにな」
ドリールはポンと膝を叩くと、
「各地方の軍と食料動向を調査させておこう、南は管轄外だな貴殿に頼む」
「はい、家令に指示を出しておきます」
二人は同時に腰を上げ、ガネスは退室しドリールは自席に着くと秘書官を呼び各所へ緊急の指令書を廻すよう段取りをつけた。
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