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本章
帝国 城内にて 3
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最後はとガネス秘書官は思考を廻らす、ドリール内務大臣に翻訳を頼んで、ドリュー財務大臣とダルトワ国土大臣の確認は不要だろうと結論付けると内務大臣の執務室へ駆け出した、執務室の扉を叩くと応接にはドリール内務大臣とダルトワ国土大臣の姿が在った、応対に出た秘書官に用向きを伝えるとダルトワ国土大臣の目に止まり当たり前のように同席させられる、
「ガネス秘書官少しばかり知恵を借りたい、新しい入植地の件でな」
ドリール内務大臣が頭を書きながら書類を見る、
「と言いますと?」
ガネスは身を乗り出した、
「北方入植地の二つ、農業計画の構想案がやっと上がって来てな、しかし、何とも・・・」
「農業計画ですか?それは国土大臣の・・・」
と言い掛けて隣りに座るダルトワを見るとニヤリと彼は笑顔を見せた、
「そういうことですか」
とガネスは納得した、ドリール内務大臣はその博学と人柄で相談相手として重宝される人物であり、ダルトワ国土大臣は首脳陣の中では最も年少でドリール内務大臣を師のように慕っている人物である、ちょうど国土大臣の相談の席にかち合ってしまったという事であった。
「水源が乏しいのですどちらの土地も、現地事務官の報告ですと小川が少なく大河に遠い、獣人族は農耕民族ではありませんから飲料用の水があれば良かったのでしょうし、森と林に囲まれた平地であるという事は、恐らく地面の直下は岩か石灰でしょう、さらに言えば山猫の方のカタスにいたっては丘ですからね、街、集落を築くには良いですが農耕となるとなんとも」
ダルトワ国土大臣は流麗に状況を説明する、彼は元町長であり農業開発で皇帝の目に留まった人物である、彼のおかげでここ十年の食糧事情の改善は間覚ましいものがあった、
「水源の確保の為森を切り開き計画的な溜池の建設が必要なのです、畑にしろ田にしろ水ですから、しかし・・・」
「では森の開墾と水道の建設ですか、開墾は入植者としても水道は軍が必要になりますね」
ガネスは要点を整理する、
「要はそういう事なのだがね、私が思うに入植はやや早すぎたかなと思う、現状をより整理すると街作りに力点を置いて食料の大半は国庫から出されているだろう、それは良い、しかし残党狩りが続いてはいるが森は奴等の領域である事はどうしようもない、さらに魔物も多いと聞く、冒険者が活躍している様子ではあるが、森を切り開くにはまだ危険であると認識せざるを得ないのだ、退役兵を中心とした血気盛んな入植者でもだ」
ドリール内務大臣は言葉を区切り腕を組む、
「蜥蜴とエルフが控えている以上、軍の助力は冬季中心となるし、そうなったとしても我々の権限の範囲外となる、無論計画の策定には全力を上げるが戦線の状況しだいとなると今すぐどうこうできる事は少ないと言える・・・かな」
ドリール内務大臣はガネス秘書官を見る、
「アラバスとカタスからの税収入は暫く難しいとなりますね」
アラバスとはケイネス族の中心地に作られた街の名であり、カタスはレオパルディ族の中心地に作られた街の名である、
「難しいどころか暫くはお荷物だよ、財務大臣に嫌みを言われてしまいますね、せめて自足できればと考えていたのですが」
ダルトワ国土大臣は額を摩った、
「北方戦線以前であれば帝国人を送り込めば何とかなったのですが、未開の地がこれほど悩ましいとは思いませなんだ」
「では、一旦朝議に出しますか、お二人の権限を超えるというのであればそれが速い、将軍も滞在しております、明日にでもと思いますが?」
ガネスが二人を見ると、共に眉根を寄せつつ同意した、
「では明日迄に概要と対策それと対策による結果を纏めておきます、雑なものですが叩き台にはなるでしょう」
そう言ってダルトワ国土大臣は立ち上がる、
「結局、そうなるな、これも返すよ」
ドリール内務大臣は手にした書類をダルトワに渡すと、
「で、ガネス秘書官は何用だ」
とガネスに向き直る、ダルトワ国土大臣は静かに退出した。
「ガネス秘書官少しばかり知恵を借りたい、新しい入植地の件でな」
ドリール内務大臣が頭を書きながら書類を見る、
「と言いますと?」
ガネスは身を乗り出した、
「北方入植地の二つ、農業計画の構想案がやっと上がって来てな、しかし、何とも・・・」
「農業計画ですか?それは国土大臣の・・・」
と言い掛けて隣りに座るダルトワを見るとニヤリと彼は笑顔を見せた、
「そういうことですか」
とガネスは納得した、ドリール内務大臣はその博学と人柄で相談相手として重宝される人物であり、ダルトワ国土大臣は首脳陣の中では最も年少でドリール内務大臣を師のように慕っている人物である、ちょうど国土大臣の相談の席にかち合ってしまったという事であった。
「水源が乏しいのですどちらの土地も、現地事務官の報告ですと小川が少なく大河に遠い、獣人族は農耕民族ではありませんから飲料用の水があれば良かったのでしょうし、森と林に囲まれた平地であるという事は、恐らく地面の直下は岩か石灰でしょう、さらに言えば山猫の方のカタスにいたっては丘ですからね、街、集落を築くには良いですが農耕となるとなんとも」
ダルトワ国土大臣は流麗に状況を説明する、彼は元町長であり農業開発で皇帝の目に留まった人物である、彼のおかげでここ十年の食糧事情の改善は間覚ましいものがあった、
「水源の確保の為森を切り開き計画的な溜池の建設が必要なのです、畑にしろ田にしろ水ですから、しかし・・・」
「では森の開墾と水道の建設ですか、開墾は入植者としても水道は軍が必要になりますね」
ガネスは要点を整理する、
「要はそういう事なのだがね、私が思うに入植はやや早すぎたかなと思う、現状をより整理すると街作りに力点を置いて食料の大半は国庫から出されているだろう、それは良い、しかし残党狩りが続いてはいるが森は奴等の領域である事はどうしようもない、さらに魔物も多いと聞く、冒険者が活躍している様子ではあるが、森を切り開くにはまだ危険であると認識せざるを得ないのだ、退役兵を中心とした血気盛んな入植者でもだ」
ドリール内務大臣は言葉を区切り腕を組む、
「蜥蜴とエルフが控えている以上、軍の助力は冬季中心となるし、そうなったとしても我々の権限の範囲外となる、無論計画の策定には全力を上げるが戦線の状況しだいとなると今すぐどうこうできる事は少ないと言える・・・かな」
ドリール内務大臣はガネス秘書官を見る、
「アラバスとカタスからの税収入は暫く難しいとなりますね」
アラバスとはケイネス族の中心地に作られた街の名であり、カタスはレオパルディ族の中心地に作られた街の名である、
「難しいどころか暫くはお荷物だよ、財務大臣に嫌みを言われてしまいますね、せめて自足できればと考えていたのですが」
ダルトワ国土大臣は額を摩った、
「北方戦線以前であれば帝国人を送り込めば何とかなったのですが、未開の地がこれほど悩ましいとは思いませなんだ」
「では、一旦朝議に出しますか、お二人の権限を超えるというのであればそれが速い、将軍も滞在しております、明日にでもと思いますが?」
ガネスが二人を見ると、共に眉根を寄せつつ同意した、
「では明日迄に概要と対策それと対策による結果を纏めておきます、雑なものですが叩き台にはなるでしょう」
そう言ってダルトワ国土大臣は立ち上がる、
「結局、そうなるな、これも返すよ」
ドリール内務大臣は手にした書類をダルトワに渡すと、
「で、ガネス秘書官は何用だ」
とガネスに向き直る、ダルトワ国土大臣は静かに退出した。
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