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本章
逃避行 漁村とオーガ 1
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オークの一件から6日が過ぎた、旅は表面上は順調でタンガ川の河口に至り海にでる事が出来た、エルステとフリンダは海は初見であった様子でその雄大さに大はしゃぎしあやうく崖から落ちかけたりもした、旅程としては七割は消化した形となる。
旅程が順調なのはゴブリンやオーク、カバといった外敵の存在が当然の脅威として一行の意識を変えた事もあるが、ジュウシの有効活用に彼等が気付いた点も大きかった、当初テインの足と荷馬としてのみ機能していたジュウシであったが今ではフリンダがジュウシの頭の上に跨りテインの背に自分の背を密着させてエルステが騎乗してその側をキーツが歩く旅姿が一行の基本形態として定着していた、子供達が静かでいいのと危なっかしい彼等の姿をいちいち監視しなければならない労苦から開放された上距離も稼げるのだから何も問題は無いのだが、キーツは何とも解せないなと感じる所ではある。
この6日の間、エルステとフリンダの間に問題は無くなったように見える、エルステの傷はあっという間に塞がり包帯はおろか薬草も使用していない、その傷跡は知っているものがあるものとして確認しなければ認識出来ない程である、獣人族の野性の力強さが発揮された様子であった。
二人の関係については主にフリンダがエルステを認めたようでありキーツやテインに対する態度も若干軟化したようであった、といっても相変わらずテインにはべったりだがキーツにはよそよそしくエルステには悪態を吐いている、傷を負わせた事もまるで当然のような態度であった為、表だった問題が見えないだけで根本原因は解決されていないのだろうかとキーツは考えるがまぁ暴力的な諍いが無くなっただけでも進歩であると思う事とした、半面エルステとテインはキーツに対する態度があからさまに変化していた、エルステはキーツをより慕うようになったが、テインとは若干の距離を感じるようになった。
テインは警戒しているのである、オークの一件をフリンダとエルステは興奮してしゃべりまくったのだがその内容が進むにつれ怒りを超えて恐れの念を頂いたらしい、彼女からすればオーク3体を相手に大立ち回り等言語道断であり、その上子供二人と共に生存しているのである、さらに傷一つ無く平気な顔をしているのであるからその感情を想像するとむべなるかなといった所であろうか。
折角無力な旅人を演じていたつもりのキーツであったが、その仮面はあっさりと剥がれ落ちたという事である、キーツの経験上これほど被保護者との距離が近くさらに長期間に渡って行動を共にする事が無かった、その上組織の陰ながらの助勢も無い、この状況で彼の本質を隠し続ける事は例え相手が未開人でも不可能な事であったのだ、キーツは何とは無しに自身の仮面をどう繕うかを思案しながら旅程を進んでいた。
特にテインに対しては頭の痛い所であった、時折テインの冷たい視線がキーツの背に刺さる事が多くなり、キーツに頼るよりもフリンダやエルステに頼る事が多くなっている、キーツはまるで気にしていないように振舞ってはいたが彼女からすれば察しろとでも思っているのであろうか、しかし彼女の中には旅の当初に感じた生汚さは確実に存在し、それは生命活動の当然の発露ではあるのだがその本能に従うようにこの一行の維持を最優先として彼女は自身を機能させていると感じられた。
取り合えず今は彼女の意思に乗って韜晦しておくこととした。
旅程が順調なのはゴブリンやオーク、カバといった外敵の存在が当然の脅威として一行の意識を変えた事もあるが、ジュウシの有効活用に彼等が気付いた点も大きかった、当初テインの足と荷馬としてのみ機能していたジュウシであったが今ではフリンダがジュウシの頭の上に跨りテインの背に自分の背を密着させてエルステが騎乗してその側をキーツが歩く旅姿が一行の基本形態として定着していた、子供達が静かでいいのと危なっかしい彼等の姿をいちいち監視しなければならない労苦から開放された上距離も稼げるのだから何も問題は無いのだが、キーツは何とも解せないなと感じる所ではある。
この6日の間、エルステとフリンダの間に問題は無くなったように見える、エルステの傷はあっという間に塞がり包帯はおろか薬草も使用していない、その傷跡は知っているものがあるものとして確認しなければ認識出来ない程である、獣人族の野性の力強さが発揮された様子であった。
二人の関係については主にフリンダがエルステを認めたようでありキーツやテインに対する態度も若干軟化したようであった、といっても相変わらずテインにはべったりだがキーツにはよそよそしくエルステには悪態を吐いている、傷を負わせた事もまるで当然のような態度であった為、表だった問題が見えないだけで根本原因は解決されていないのだろうかとキーツは考えるがまぁ暴力的な諍いが無くなっただけでも進歩であると思う事とした、半面エルステとテインはキーツに対する態度があからさまに変化していた、エルステはキーツをより慕うようになったが、テインとは若干の距離を感じるようになった。
テインは警戒しているのである、オークの一件をフリンダとエルステは興奮してしゃべりまくったのだがその内容が進むにつれ怒りを超えて恐れの念を頂いたらしい、彼女からすればオーク3体を相手に大立ち回り等言語道断であり、その上子供二人と共に生存しているのである、さらに傷一つ無く平気な顔をしているのであるからその感情を想像するとむべなるかなといった所であろうか。
折角無力な旅人を演じていたつもりのキーツであったが、その仮面はあっさりと剥がれ落ちたという事である、キーツの経験上これほど被保護者との距離が近くさらに長期間に渡って行動を共にする事が無かった、その上組織の陰ながらの助勢も無い、この状況で彼の本質を隠し続ける事は例え相手が未開人でも不可能な事であったのだ、キーツは何とは無しに自身の仮面をどう繕うかを思案しながら旅程を進んでいた。
特にテインに対しては頭の痛い所であった、時折テインの冷たい視線がキーツの背に刺さる事が多くなり、キーツに頼るよりもフリンダやエルステに頼る事が多くなっている、キーツはまるで気にしていないように振舞ってはいたが彼女からすれば察しろとでも思っているのであろうか、しかし彼女の中には旅の当初に感じた生汚さは確実に存在し、それは生命活動の当然の発露ではあるのだがその本能に従うようにこの一行の維持を最優先として彼女は自身を機能させていると感じられた。
取り合えず今は彼女の意思に乗って韜晦しておくこととした。
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