48 / 62
本章
逃避行 漁村とオーガ 1
しおりを挟む
オークの一件から6日が過ぎた、旅は表面上は順調でタンガ川の河口に至り海にでる事が出来た、エルステとフリンダは海は初見であった様子でその雄大さに大はしゃぎしあやうく崖から落ちかけたりもした、旅程としては七割は消化した形となる。
旅程が順調なのはゴブリンやオーク、カバといった外敵の存在が当然の脅威として一行の意識を変えた事もあるが、ジュウシの有効活用に彼等が気付いた点も大きかった、当初テインの足と荷馬としてのみ機能していたジュウシであったが今ではフリンダがジュウシの頭の上に跨りテインの背に自分の背を密着させてエルステが騎乗してその側をキーツが歩く旅姿が一行の基本形態として定着していた、子供達が静かでいいのと危なっかしい彼等の姿をいちいち監視しなければならない労苦から開放された上距離も稼げるのだから何も問題は無いのだが、キーツは何とも解せないなと感じる所ではある。
この6日の間、エルステとフリンダの間に問題は無くなったように見える、エルステの傷はあっという間に塞がり包帯はおろか薬草も使用していない、その傷跡は知っているものがあるものとして確認しなければ認識出来ない程である、獣人族の野性の力強さが発揮された様子であった。
二人の関係については主にフリンダがエルステを認めたようでありキーツやテインに対する態度も若干軟化したようであった、といっても相変わらずテインにはべったりだがキーツにはよそよそしくエルステには悪態を吐いている、傷を負わせた事もまるで当然のような態度であった為、表だった問題が見えないだけで根本原因は解決されていないのだろうかとキーツは考えるがまぁ暴力的な諍いが無くなっただけでも進歩であると思う事とした、半面エルステとテインはキーツに対する態度があからさまに変化していた、エルステはキーツをより慕うようになったが、テインとは若干の距離を感じるようになった。
テインは警戒しているのである、オークの一件をフリンダとエルステは興奮してしゃべりまくったのだがその内容が進むにつれ怒りを超えて恐れの念を頂いたらしい、彼女からすればオーク3体を相手に大立ち回り等言語道断であり、その上子供二人と共に生存しているのである、さらに傷一つ無く平気な顔をしているのであるからその感情を想像するとむべなるかなといった所であろうか。
折角無力な旅人を演じていたつもりのキーツであったが、その仮面はあっさりと剥がれ落ちたという事である、キーツの経験上これほど被保護者との距離が近くさらに長期間に渡って行動を共にする事が無かった、その上組織の陰ながらの助勢も無い、この状況で彼の本質を隠し続ける事は例え相手が未開人でも不可能な事であったのだ、キーツは何とは無しに自身の仮面をどう繕うかを思案しながら旅程を進んでいた。
特にテインに対しては頭の痛い所であった、時折テインの冷たい視線がキーツの背に刺さる事が多くなり、キーツに頼るよりもフリンダやエルステに頼る事が多くなっている、キーツはまるで気にしていないように振舞ってはいたが彼女からすれば察しろとでも思っているのであろうか、しかし彼女の中には旅の当初に感じた生汚さは確実に存在し、それは生命活動の当然の発露ではあるのだがその本能に従うようにこの一行の維持を最優先として彼女は自身を機能させていると感じられた。
取り合えず今は彼女の意思に乗って韜晦しておくこととした。
旅程が順調なのはゴブリンやオーク、カバといった外敵の存在が当然の脅威として一行の意識を変えた事もあるが、ジュウシの有効活用に彼等が気付いた点も大きかった、当初テインの足と荷馬としてのみ機能していたジュウシであったが今ではフリンダがジュウシの頭の上に跨りテインの背に自分の背を密着させてエルステが騎乗してその側をキーツが歩く旅姿が一行の基本形態として定着していた、子供達が静かでいいのと危なっかしい彼等の姿をいちいち監視しなければならない労苦から開放された上距離も稼げるのだから何も問題は無いのだが、キーツは何とも解せないなと感じる所ではある。
この6日の間、エルステとフリンダの間に問題は無くなったように見える、エルステの傷はあっという間に塞がり包帯はおろか薬草も使用していない、その傷跡は知っているものがあるものとして確認しなければ認識出来ない程である、獣人族の野性の力強さが発揮された様子であった。
二人の関係については主にフリンダがエルステを認めたようでありキーツやテインに対する態度も若干軟化したようであった、といっても相変わらずテインにはべったりだがキーツにはよそよそしくエルステには悪態を吐いている、傷を負わせた事もまるで当然のような態度であった為、表だった問題が見えないだけで根本原因は解決されていないのだろうかとキーツは考えるがまぁ暴力的な諍いが無くなっただけでも進歩であると思う事とした、半面エルステとテインはキーツに対する態度があからさまに変化していた、エルステはキーツをより慕うようになったが、テインとは若干の距離を感じるようになった。
テインは警戒しているのである、オークの一件をフリンダとエルステは興奮してしゃべりまくったのだがその内容が進むにつれ怒りを超えて恐れの念を頂いたらしい、彼女からすればオーク3体を相手に大立ち回り等言語道断であり、その上子供二人と共に生存しているのである、さらに傷一つ無く平気な顔をしているのであるからその感情を想像するとむべなるかなといった所であろうか。
折角無力な旅人を演じていたつもりのキーツであったが、その仮面はあっさりと剥がれ落ちたという事である、キーツの経験上これほど被保護者との距離が近くさらに長期間に渡って行動を共にする事が無かった、その上組織の陰ながらの助勢も無い、この状況で彼の本質を隠し続ける事は例え相手が未開人でも不可能な事であったのだ、キーツは何とは無しに自身の仮面をどう繕うかを思案しながら旅程を進んでいた。
特にテインに対しては頭の痛い所であった、時折テインの冷たい視線がキーツの背に刺さる事が多くなり、キーツに頼るよりもフリンダやエルステに頼る事が多くなっている、キーツはまるで気にしていないように振舞ってはいたが彼女からすれば察しろとでも思っているのであろうか、しかし彼女の中には旅の当初に感じた生汚さは確実に存在し、それは生命活動の当然の発露ではあるのだがその本能に従うようにこの一行の維持を最優先として彼女は自身を機能させていると感じられた。
取り合えず今は彼女の意思に乗って韜晦しておくこととした。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
魔石と神器の物語 ~アイテムショップの美人姉妹は、史上最強の助っ人です!~
エール
ファンタジー
古代遺跡群攻略都市「イフカ」を訪れた新進気鋭の若き冒険者(ハンター)、ライナス。
彼が立ち寄った「魔法堂 白銀の翼」は、一風変わったアイテムを扱う魔道具専門店だった。
経営者は若い美人姉妹。
妹は自ら作成したアイテムを冒険の実践にて試用する、才能溢れる魔道具製作者。
そして姉の正体は、特定冒険者と契約を交わし、召喚獣として戦う闇の狂戦士だった。
最高純度の「超魔石」と「充魔石」を体内に埋め込まれた不死属性の彼女は、呪われし武具を纏い、補充用の魔石を求めて戦場に向かう。いつの日か、「人間」に戻ることを夢見て――。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
強制フラグは、いりません! ~今いる世界が、誰かの二次小説の中だなんて思うかよ! JKと禁断の恋愛するなら、自力でやらせてもらうからっ!~
ハル*
ファンタジー
高校教師の俺。
いつもと同じように過ごしていたはずなのに、ある日を境にちょっとずつ何かが変わっていく。
テスト準備期間のある放課後。行き慣れた部室に向かった俺の目の前に、ぐっすり眠っているマネージャーのあの娘。
そのシチュエーションの最中、頭ん中で変な音と共に、俺の日常を変えていく声が聞こえた。
『強制フラグを、立てますか?』
その言葉自体を知らないわけじゃない。
だがしかし、そのフラグって、何に対してなんだ?
聞いたことがない声。聞こえてくる場所も、ハッキリしない。
混乱する俺に、さっきの声が繰り返された。
しかも、ちょっとだけ違うセリフで。
『強制フラグを立てますよ? いいですね?』
その変化は、目の前の彼女の名前を呼んだ瞬間に訪れた。
「今日って、そんなに疲れるようなことあったか?」
今まで感じたことがない違和感に、さっさと目の前のことを終わらせようとした俺。
結論づけた瞬間、俺の体が勝手に動いた。
『強制フラグを立てました』
その声と、ほぼ同時に。
高校教師の俺が、自分の気持ちに反する行動を勝手に決めつけられながら、
女子高生と禁断の恋愛?
しかも、勝手に決めつけているのが、どこぞの誰かが書いている某アプリの二次小説の作者って……。
いやいや。俺、そんなセリフ言わないし!
甘い言葉だなんて、吐いたことないのに、勝手に言わせないでくれって!
俺のイメージが崩れる一方なんだけど!
……でも、この娘、いい子なんだよな。
っていうか、この娘を嫌うようなやつなんて、いるのか?
「ごめんなさい。……センセイは、先生なのに。好きに…なっちゃ、だめなのに」
このセリフは、彼女の本心か? それともこれも俺と彼女の恋愛フラグが立たせられているせい?
誰かの二次小説の中で振り回される高校教師と女子高生の恋愛物語が、今、はじまる。

お願いだから俺に構わないで下さい
大味貞世氏
ファンタジー
高校2年の9月。
17歳の誕生日に甲殻類アレルギーショックで死去してしまった燻木智哉。
高校1年から始まったハブりイジメが原因で自室に引き籠もるようになっていた彼は。
本来の明るい楽観的な性格を失い、自棄から自滅願望が芽生え。
折角貰った転生のチャンスを不意に捨て去り、転生ではなく自滅を望んだ。
それは出来ないと天使は言い、人間以外の道を示した。
これは転生後の彼の魂が辿る再生の物語。
有り触れた異世界で迎えた新たな第一歩。その姿は一匹の…

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜
霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……?
生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。
これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。
(小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる