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「・・・冒険者が?奴等がそんな事をする理由が無いと思うが」
兵士は訝し気に考え込んだ、キーツはありゃ違ったかと薄っすらと汗を掻く、
「すいません、なにぶん暗がりでしたので、冒険者かとお見受けしましたが、それに私も出来るだけ隠れるようにとの指示でしたし、その・・・現場を直接は見てはいないのです」
キーツは恐縮してそう付け加える、重要な事物特に対象の要求物は知らない事にするのが嘘の得策である、無知である事は無知であるとし、嘘に嘘を重ねてはならない。
少女は会話を続ける二人を睨み続けていた、キーツはそちらの三人をチラチラと視界に捕らえているが表情迄は読み取れない、有難い事に誰も恐慌状態にならずこの場から去ろうとしなかった、ゴブリンに襲われ気を失ったかと思ったら焚火の側で目を覚ましたのである、状況を考えれば不必要に騒ぎだす者があっても不思議では無いが彼等は冷静であった、
「しかしだ、先程腕を千切られたばかリで、既に痛みも無いんだぞ、教会の治療師でもこんな鮮やかな手技は行えないだろう、まして冒険者が報酬も無しにここまで・・・」
兵士はぶつぶつと呟き続ける、キーツはあぁ包帯は私が巻きました、血止めや治療はその人達でしたけどと言い添える。
「あ、あの・・・、命を救ってくださった事に御礼を申します」
涼やかな声が蚊の鳴くような音で聞こえる、少女の声であった、二人を抱き締めたまましっかりとキーツを見詰めそう言った、抱かれた二人もその大きな瞳を四つキーツに向けており、それは焚火の光を爛乱と照り返していた。
「よかった、そう言って頂けると嬉しいです」
キーツはそう言って彼女に向き直るも、
「奴隷は黙っていろ」
キーツの態度に眉根を寄せつつ兵士は一喝する、
「私を置いて奴隷と会話する等失礼千万だ、貴様何処の生まれだ」
と続けキーツを睨みつける、
「あれらは軍の所有物だ、よって今は私がその管理者である、直接話す等双方にとって良い事はないぞ」
兵士の言葉に再び三人は身を竦め縮こまる、奴隷の扱い迄は環境対応装置には入ってないなぁ等と考えながらキーツは言葉を選ぶ、
「申し訳ありません、騎士様、今夜は私にとっても慣れない事続きでして・・・」
御容赦をと続け柔らかく微笑んだ、兵士は不愉快そうな態度は崩さなかったがフンと一息吐いてまぁいいと残った手を大袈裟に振った、
「お前にしてもその冒険者にしても不可解な事ばかりだが、助けてもらった事には違いない、確かに先に礼を述べるべきであったな、改めて私と我が軍の資産を守ってくれた事に感謝する」
兵士はそう言ってキーツに向かい右腕を胸に当て一礼した、
「礼は不要と申しはずですが、恐縮です」
とキーツは返し、頭を下げ照れたような微笑みを浮かべる、
「名も名乗っていなかった、ギャエル・ギャル・ボアルネと申す、ボアルネ家門ギャル男爵家のものだ」
慇懃に言い放つ、キーツは御丁寧にありがとうございますと答え、私の事はキーツとお呼び下さいとだけ言った、
「家門を持たないのか?」
「いろいろありまして、家門は捨てました」
キーツはわざとらしく俯いて見せる、
「・・・そうか、まぁいい、ではキーツ、私の事はギャエルと呼んで構わない、それからそっちの奴隷共にはまだ名が無い、正式な売買契約が未締結でなそういう事にしておいてくれ」
はぁとキーツは答え三人を伺うと少女は悔しそうにギャエルを睨むだけであった、キーツは魚の焼き加減を見つつポットのお湯を確認する、丁度よさそうだと沸かしたお湯を木製の杯に注ぎギャエルを通じて全員に杯を回す、少女は嫌そうにギャエルから杯を受け取った。
恐らくはとキーツが考えた通りの作法があるらしい、この場合奴隷は主人から下げ渡された物しか受け取らないし口にもしない、出来ないと表現するのが正しいか、奴隷と呼ばれた彼等がどう考えていようとギャエルが主人である事を主張している以上その形を保った方が事は無難に進みそうだとキーツは考える、
「少し熱いですが、身体を温めましょう」
キーツはそう言って先に口を付ける、ただの白湯であるが肌寒く感じる月夜の下ではとても美味しく感じた、
「なにからなにまですまない」
そういってギャエルは杯に口を付け、三人もそれに倣うが獣人二人には熱すぎたようでペロペロと舌先で杯を舐めている、それでも乾いた身体には染み渡っている様子で、四苦八苦しながら懸命に舐め続けていた。
「いえいえ、何か腹に入れば落ち着きますし、力もでます」
キーツはそう言って、魚の焼き加減を確認する、
「魚の方ももう少しですね、塩を持ってきましょう」
ではと立ち上がるとジュウシの側に歩み寄る、
「馬がいたのか、気付かなんだ、名はなんという?」
ギャエルがキーツの背に問い掛ける、
「ジュウシといいます、大事な友人です」
キーツは答え塩の瓶を携え席に戻った、
「珍しい名前だな」
「あぁ、私生まれは南の方でして、向うの言葉で召使とか、従卒とかそんな意味です」
「ほう、では砂漠の向うか半島か」
「えぇ、そんな所です」
キーツは誤魔化しつつ焼けた魚を取り上げて塩の瓶と共にギャエルに渡す、こちらもギャエル経由で全員に手渡された、ギャエルは再び感謝の言葉を述べつつ塩を振り掛け上手そうに口に運ぶ、獣人は塩を振らず少女も塩を振って齧り付いている、獣人はやはりその熱さに閉口しているようだが空腹には勝てないようで一心不乱に魚と格闘していた。
そんな四人の様子を見て、体調は充分だとキーツは判断し、
「まだ、あります、足りない方はどうぞ」
と大き目の葉に焼き終えた魚を並べギャエルの前に置いた、
「貴様は良いのか?」
と魚に手を付けないキーツを見詰めた、
「私は充分です、夜は食べない事にしているもので」
と適当にはぐらかすと、
「うむ、では頂こう、貴様等も感謝して頂くのだぞ」
興味や警戒心より空腹感が勝ったのか言葉少なに渡された魚を食べきると葉の上の大振りの一匹を取り、残りを三人の前へ置く。
暫く会話は途切れ、焚火の周りは咀嚼音と鼻を啜る音が続く、焚火に薪をくべながらさてどうしたものかとキーツは思案する。
彼等を助けた時に感じた違和感はやはり正解であった、兵士が貴族階級である事は薄々感づいていたが、残り三人の地位は著しく下か捕虜かと勘ぐったが大凡当たっていた様子である、こうなるとこのままこの兵士の言いなりに事を進めるべきか、奴隷と呼ばれた三人を味方につけるべきか、それともより良い案はあるだろうか。
浸透同化としては兵士に付いて行った方が得策と考える、恐らくこの地域の有力な軍隊に侵入可能であり、そうなれば彼等の社会を実地で体験できる、浸透同化としてはこれ以上無い状況ではある、しかしその場合三人は奴隷として扱われるのが明らかだ。
では三人側につく方法はどのようにすれば良いか、現時点で彼等からは何も引き出せていない、兵士のお陰で彼等との会話は著しく制限されている、獣人との会話は難しそうだが、少女は会話が可能である、単純に趣味に走れば少女を助けたいと思うし、獣人との交友も捨て難い。
自分としては奴隷に対して良い思いは無いし良い思い出も無い、様々な社会体制、文化、経済、政治を連合で学んだが、奴隷制度はそれらの過渡期に於いて必ずと言っていいほど採用され一部を残し衰退していた、若しくは経済に組み込まれたと考えるのが正しいか。自分の故郷である地球でさえ形態は違えど奴隷制度は複数存在していた、恐らくこの惑星でもそれぞれの社会で奴隷制度が運用されているのであろう、それを否定する事は自分には出来ないが、嫌う事はできる、それは自分やアヤコの生い立ちに関する諸問題の大事な一要素であり、なによりも自分もそうであった事が嫌悪の原因であった。あの頃の記憶は大分薄れているが、権力を背景にした人格の剥奪に暴力を見せびらかした服従は振う側とその社会は容認するのであろうが、される側にその社会的理屈が理解できない限りは到底受け入れる事はできなかった、あの頃の不条理と怒りとひもじさを忘れる事は難しい。
焚火の奥に座る小さな三つの影を見詰める、兵士のいう奴隷制度が自分が体験した奴隷制度とは異なっているのは明らかなようである、より高潔といって良いのかもしれない、食事を与え生活を保全し労働力とする、しかし意思決定は出来ず恐らくは自身の生殺与奪は権利者の物、より彼等の社会を知る必要があるが重要な資産として運用されているとすれば、全てを否定する事は出来ない、しかし、このような子供を奴隷扱いするのは実に、不愉快だ。
ならばとキーツは思う、彼等をせめてその立場から開放する事は出来まいかと。
方法としては簡単であろう、ギャエルと名乗るこの男を排除すれば良いのだ、存在の排除は難しく無い、ましてキーツが手を出さなければ既に亡き人であったのだから、物理的にキーツに抗う能力はこの男にはないであろう、単純で分かりやすく最も速い方法である、暴力とは時に何にもまして有効な手段である事をキーツは身を以て知っていた、しかし、その手段を選んだ場合助けようとしている三人は恐らくキーツを信用する事は無い、キーツの目の届かぬ時に逃げ出して森で死ぬか再び奴隷になるかであろう、この場合暴力での解決は良い回答ではない。
では彼等の社会的に正当な手段を行使するのはどうであろう、詳細は不明だが契約云々をギャエルは口にしていた、正当な方法で奴隷売買をすれば彼等はキーツの所有物となるのである、この場合ギャエルの元からキーツの元へ所有権は移り、自然ギャエルはこちらの関係性に口出しはできなくなる、その後キーツの所有物をどう扱おうがそれはキーツの自由になるのだ、奴隷として使役しても良いし開放する事も可能である、なにより実に平和敵な解決策である。
ではどうやって売買を持ちかけるか、キーツは薪をくべながらギャエルを伺う。
兵士は訝し気に考え込んだ、キーツはありゃ違ったかと薄っすらと汗を掻く、
「すいません、なにぶん暗がりでしたので、冒険者かとお見受けしましたが、それに私も出来るだけ隠れるようにとの指示でしたし、その・・・現場を直接は見てはいないのです」
キーツは恐縮してそう付け加える、重要な事物特に対象の要求物は知らない事にするのが嘘の得策である、無知である事は無知であるとし、嘘に嘘を重ねてはならない。
少女は会話を続ける二人を睨み続けていた、キーツはそちらの三人をチラチラと視界に捕らえているが表情迄は読み取れない、有難い事に誰も恐慌状態にならずこの場から去ろうとしなかった、ゴブリンに襲われ気を失ったかと思ったら焚火の側で目を覚ましたのである、状況を考えれば不必要に騒ぎだす者があっても不思議では無いが彼等は冷静であった、
「しかしだ、先程腕を千切られたばかリで、既に痛みも無いんだぞ、教会の治療師でもこんな鮮やかな手技は行えないだろう、まして冒険者が報酬も無しにここまで・・・」
兵士はぶつぶつと呟き続ける、キーツはあぁ包帯は私が巻きました、血止めや治療はその人達でしたけどと言い添える。
「あ、あの・・・、命を救ってくださった事に御礼を申します」
涼やかな声が蚊の鳴くような音で聞こえる、少女の声であった、二人を抱き締めたまましっかりとキーツを見詰めそう言った、抱かれた二人もその大きな瞳を四つキーツに向けており、それは焚火の光を爛乱と照り返していた。
「よかった、そう言って頂けると嬉しいです」
キーツはそう言って彼女に向き直るも、
「奴隷は黙っていろ」
キーツの態度に眉根を寄せつつ兵士は一喝する、
「私を置いて奴隷と会話する等失礼千万だ、貴様何処の生まれだ」
と続けキーツを睨みつける、
「あれらは軍の所有物だ、よって今は私がその管理者である、直接話す等双方にとって良い事はないぞ」
兵士の言葉に再び三人は身を竦め縮こまる、奴隷の扱い迄は環境対応装置には入ってないなぁ等と考えながらキーツは言葉を選ぶ、
「申し訳ありません、騎士様、今夜は私にとっても慣れない事続きでして・・・」
御容赦をと続け柔らかく微笑んだ、兵士は不愉快そうな態度は崩さなかったがフンと一息吐いてまぁいいと残った手を大袈裟に振った、
「お前にしてもその冒険者にしても不可解な事ばかりだが、助けてもらった事には違いない、確かに先に礼を述べるべきであったな、改めて私と我が軍の資産を守ってくれた事に感謝する」
兵士はそう言ってキーツに向かい右腕を胸に当て一礼した、
「礼は不要と申しはずですが、恐縮です」
とキーツは返し、頭を下げ照れたような微笑みを浮かべる、
「名も名乗っていなかった、ギャエル・ギャル・ボアルネと申す、ボアルネ家門ギャル男爵家のものだ」
慇懃に言い放つ、キーツは御丁寧にありがとうございますと答え、私の事はキーツとお呼び下さいとだけ言った、
「家門を持たないのか?」
「いろいろありまして、家門は捨てました」
キーツはわざとらしく俯いて見せる、
「・・・そうか、まぁいい、ではキーツ、私の事はギャエルと呼んで構わない、それからそっちの奴隷共にはまだ名が無い、正式な売買契約が未締結でなそういう事にしておいてくれ」
はぁとキーツは答え三人を伺うと少女は悔しそうにギャエルを睨むだけであった、キーツは魚の焼き加減を見つつポットのお湯を確認する、丁度よさそうだと沸かしたお湯を木製の杯に注ぎギャエルを通じて全員に杯を回す、少女は嫌そうにギャエルから杯を受け取った。
恐らくはとキーツが考えた通りの作法があるらしい、この場合奴隷は主人から下げ渡された物しか受け取らないし口にもしない、出来ないと表現するのが正しいか、奴隷と呼ばれた彼等がどう考えていようとギャエルが主人である事を主張している以上その形を保った方が事は無難に進みそうだとキーツは考える、
「少し熱いですが、身体を温めましょう」
キーツはそう言って先に口を付ける、ただの白湯であるが肌寒く感じる月夜の下ではとても美味しく感じた、
「なにからなにまですまない」
そういってギャエルは杯に口を付け、三人もそれに倣うが獣人二人には熱すぎたようでペロペロと舌先で杯を舐めている、それでも乾いた身体には染み渡っている様子で、四苦八苦しながら懸命に舐め続けていた。
「いえいえ、何か腹に入れば落ち着きますし、力もでます」
キーツはそう言って、魚の焼き加減を確認する、
「魚の方ももう少しですね、塩を持ってきましょう」
ではと立ち上がるとジュウシの側に歩み寄る、
「馬がいたのか、気付かなんだ、名はなんという?」
ギャエルがキーツの背に問い掛ける、
「ジュウシといいます、大事な友人です」
キーツは答え塩の瓶を携え席に戻った、
「珍しい名前だな」
「あぁ、私生まれは南の方でして、向うの言葉で召使とか、従卒とかそんな意味です」
「ほう、では砂漠の向うか半島か」
「えぇ、そんな所です」
キーツは誤魔化しつつ焼けた魚を取り上げて塩の瓶と共にギャエルに渡す、こちらもギャエル経由で全員に手渡された、ギャエルは再び感謝の言葉を述べつつ塩を振り掛け上手そうに口に運ぶ、獣人は塩を振らず少女も塩を振って齧り付いている、獣人はやはりその熱さに閉口しているようだが空腹には勝てないようで一心不乱に魚と格闘していた。
そんな四人の様子を見て、体調は充分だとキーツは判断し、
「まだ、あります、足りない方はどうぞ」
と大き目の葉に焼き終えた魚を並べギャエルの前に置いた、
「貴様は良いのか?」
と魚に手を付けないキーツを見詰めた、
「私は充分です、夜は食べない事にしているもので」
と適当にはぐらかすと、
「うむ、では頂こう、貴様等も感謝して頂くのだぞ」
興味や警戒心より空腹感が勝ったのか言葉少なに渡された魚を食べきると葉の上の大振りの一匹を取り、残りを三人の前へ置く。
暫く会話は途切れ、焚火の周りは咀嚼音と鼻を啜る音が続く、焚火に薪をくべながらさてどうしたものかとキーツは思案する。
彼等を助けた時に感じた違和感はやはり正解であった、兵士が貴族階級である事は薄々感づいていたが、残り三人の地位は著しく下か捕虜かと勘ぐったが大凡当たっていた様子である、こうなるとこのままこの兵士の言いなりに事を進めるべきか、奴隷と呼ばれた三人を味方につけるべきか、それともより良い案はあるだろうか。
浸透同化としては兵士に付いて行った方が得策と考える、恐らくこの地域の有力な軍隊に侵入可能であり、そうなれば彼等の社会を実地で体験できる、浸透同化としてはこれ以上無い状況ではある、しかしその場合三人は奴隷として扱われるのが明らかだ。
では三人側につく方法はどのようにすれば良いか、現時点で彼等からは何も引き出せていない、兵士のお陰で彼等との会話は著しく制限されている、獣人との会話は難しそうだが、少女は会話が可能である、単純に趣味に走れば少女を助けたいと思うし、獣人との交友も捨て難い。
自分としては奴隷に対して良い思いは無いし良い思い出も無い、様々な社会体制、文化、経済、政治を連合で学んだが、奴隷制度はそれらの過渡期に於いて必ずと言っていいほど採用され一部を残し衰退していた、若しくは経済に組み込まれたと考えるのが正しいか。自分の故郷である地球でさえ形態は違えど奴隷制度は複数存在していた、恐らくこの惑星でもそれぞれの社会で奴隷制度が運用されているのであろう、それを否定する事は自分には出来ないが、嫌う事はできる、それは自分やアヤコの生い立ちに関する諸問題の大事な一要素であり、なによりも自分もそうであった事が嫌悪の原因であった。あの頃の記憶は大分薄れているが、権力を背景にした人格の剥奪に暴力を見せびらかした服従は振う側とその社会は容認するのであろうが、される側にその社会的理屈が理解できない限りは到底受け入れる事はできなかった、あの頃の不条理と怒りとひもじさを忘れる事は難しい。
焚火の奥に座る小さな三つの影を見詰める、兵士のいう奴隷制度が自分が体験した奴隷制度とは異なっているのは明らかなようである、より高潔といって良いのかもしれない、食事を与え生活を保全し労働力とする、しかし意思決定は出来ず恐らくは自身の生殺与奪は権利者の物、より彼等の社会を知る必要があるが重要な資産として運用されているとすれば、全てを否定する事は出来ない、しかし、このような子供を奴隷扱いするのは実に、不愉快だ。
ならばとキーツは思う、彼等をせめてその立場から開放する事は出来まいかと。
方法としては簡単であろう、ギャエルと名乗るこの男を排除すれば良いのだ、存在の排除は難しく無い、ましてキーツが手を出さなければ既に亡き人であったのだから、物理的にキーツに抗う能力はこの男にはないであろう、単純で分かりやすく最も速い方法である、暴力とは時に何にもまして有効な手段である事をキーツは身を以て知っていた、しかし、その手段を選んだ場合助けようとしている三人は恐らくキーツを信用する事は無い、キーツの目の届かぬ時に逃げ出して森で死ぬか再び奴隷になるかであろう、この場合暴力での解決は良い回答ではない。
では彼等の社会的に正当な手段を行使するのはどうであろう、詳細は不明だが契約云々をギャエルは口にしていた、正当な方法で奴隷売買をすれば彼等はキーツの所有物となるのである、この場合ギャエルの元からキーツの元へ所有権は移り、自然ギャエルはこちらの関係性に口出しはできなくなる、その後キーツの所有物をどう扱おうがそれはキーツの自由になるのだ、奴隷として使役しても良いし開放する事も可能である、なにより実に平和敵な解決策である。
ではどうやって売買を持ちかけるか、キーツは薪をくべながらギャエルを伺う。
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