24 / 62
本章
接触 2
しおりを挟む
「・・・冒険者が?奴等がそんな事をする理由が無いと思うが」
兵士は訝し気に考え込んだ、キーツはありゃ違ったかと薄っすらと汗を掻く、
「すいません、なにぶん暗がりでしたので、冒険者かとお見受けしましたが、それに私も出来るだけ隠れるようにとの指示でしたし、その・・・現場を直接は見てはいないのです」
キーツは恐縮してそう付け加える、重要な事物特に対象の要求物は知らない事にするのが嘘の得策である、無知である事は無知であるとし、嘘に嘘を重ねてはならない。
少女は会話を続ける二人を睨み続けていた、キーツはそちらの三人をチラチラと視界に捕らえているが表情迄は読み取れない、有難い事に誰も恐慌状態にならずこの場から去ろうとしなかった、ゴブリンに襲われ気を失ったかと思ったら焚火の側で目を覚ましたのである、状況を考えれば不必要に騒ぎだす者があっても不思議では無いが彼等は冷静であった、
「しかしだ、先程腕を千切られたばかリで、既に痛みも無いんだぞ、教会の治療師でもこんな鮮やかな手技は行えないだろう、まして冒険者が報酬も無しにここまで・・・」
兵士はぶつぶつと呟き続ける、キーツはあぁ包帯は私が巻きました、血止めや治療はその人達でしたけどと言い添える。
「あ、あの・・・、命を救ってくださった事に御礼を申します」
涼やかな声が蚊の鳴くような音で聞こえる、少女の声であった、二人を抱き締めたまましっかりとキーツを見詰めそう言った、抱かれた二人もその大きな瞳を四つキーツに向けており、それは焚火の光を爛乱と照り返していた。
「よかった、そう言って頂けると嬉しいです」
キーツはそう言って彼女に向き直るも、
「奴隷は黙っていろ」
キーツの態度に眉根を寄せつつ兵士は一喝する、
「私を置いて奴隷と会話する等失礼千万だ、貴様何処の生まれだ」
と続けキーツを睨みつける、
「あれらは軍の所有物だ、よって今は私がその管理者である、直接話す等双方にとって良い事はないぞ」
兵士の言葉に再び三人は身を竦め縮こまる、奴隷の扱い迄は環境対応装置には入ってないなぁ等と考えながらキーツは言葉を選ぶ、
「申し訳ありません、騎士様、今夜は私にとっても慣れない事続きでして・・・」
御容赦をと続け柔らかく微笑んだ、兵士は不愉快そうな態度は崩さなかったがフンと一息吐いてまぁいいと残った手を大袈裟に振った、
「お前にしてもその冒険者にしても不可解な事ばかりだが、助けてもらった事には違いない、確かに先に礼を述べるべきであったな、改めて私と我が軍の資産を守ってくれた事に感謝する」
兵士はそう言ってキーツに向かい右腕を胸に当て一礼した、
「礼は不要と申しはずですが、恐縮です」
とキーツは返し、頭を下げ照れたような微笑みを浮かべる、
「名も名乗っていなかった、ギャエル・ギャル・ボアルネと申す、ボアルネ家門ギャル男爵家のものだ」
慇懃に言い放つ、キーツは御丁寧にありがとうございますと答え、私の事はキーツとお呼び下さいとだけ言った、
「家門を持たないのか?」
「いろいろありまして、家門は捨てました」
キーツはわざとらしく俯いて見せる、
「・・・そうか、まぁいい、ではキーツ、私の事はギャエルと呼んで構わない、それからそっちの奴隷共にはまだ名が無い、正式な売買契約が未締結でなそういう事にしておいてくれ」
はぁとキーツは答え三人を伺うと少女は悔しそうにギャエルを睨むだけであった、キーツは魚の焼き加減を見つつポットのお湯を確認する、丁度よさそうだと沸かしたお湯を木製の杯に注ぎギャエルを通じて全員に杯を回す、少女は嫌そうにギャエルから杯を受け取った。
恐らくはとキーツが考えた通りの作法があるらしい、この場合奴隷は主人から下げ渡された物しか受け取らないし口にもしない、出来ないと表現するのが正しいか、奴隷と呼ばれた彼等がどう考えていようとギャエルが主人である事を主張している以上その形を保った方が事は無難に進みそうだとキーツは考える、
「少し熱いですが、身体を温めましょう」
キーツはそう言って先に口を付ける、ただの白湯であるが肌寒く感じる月夜の下ではとても美味しく感じた、
「なにからなにまですまない」
そういってギャエルは杯に口を付け、三人もそれに倣うが獣人二人には熱すぎたようでペロペロと舌先で杯を舐めている、それでも乾いた身体には染み渡っている様子で、四苦八苦しながら懸命に舐め続けていた。
「いえいえ、何か腹に入れば落ち着きますし、力もでます」
キーツはそう言って、魚の焼き加減を確認する、
「魚の方ももう少しですね、塩を持ってきましょう」
ではと立ち上がるとジュウシの側に歩み寄る、
「馬がいたのか、気付かなんだ、名はなんという?」
ギャエルがキーツの背に問い掛ける、
「ジュウシといいます、大事な友人です」
キーツは答え塩の瓶を携え席に戻った、
「珍しい名前だな」
「あぁ、私生まれは南の方でして、向うの言葉で召使とか、従卒とかそんな意味です」
「ほう、では砂漠の向うか半島か」
「えぇ、そんな所です」
キーツは誤魔化しつつ焼けた魚を取り上げて塩の瓶と共にギャエルに渡す、こちらもギャエル経由で全員に手渡された、ギャエルは再び感謝の言葉を述べつつ塩を振り掛け上手そうに口に運ぶ、獣人は塩を振らず少女も塩を振って齧り付いている、獣人はやはりその熱さに閉口しているようだが空腹には勝てないようで一心不乱に魚と格闘していた。
そんな四人の様子を見て、体調は充分だとキーツは判断し、
「まだ、あります、足りない方はどうぞ」
と大き目の葉に焼き終えた魚を並べギャエルの前に置いた、
「貴様は良いのか?」
と魚に手を付けないキーツを見詰めた、
「私は充分です、夜は食べない事にしているもので」
と適当にはぐらかすと、
「うむ、では頂こう、貴様等も感謝して頂くのだぞ」
興味や警戒心より空腹感が勝ったのか言葉少なに渡された魚を食べきると葉の上の大振りの一匹を取り、残りを三人の前へ置く。
暫く会話は途切れ、焚火の周りは咀嚼音と鼻を啜る音が続く、焚火に薪をくべながらさてどうしたものかとキーツは思案する。
彼等を助けた時に感じた違和感はやはり正解であった、兵士が貴族階級である事は薄々感づいていたが、残り三人の地位は著しく下か捕虜かと勘ぐったが大凡当たっていた様子である、こうなるとこのままこの兵士の言いなりに事を進めるべきか、奴隷と呼ばれた三人を味方につけるべきか、それともより良い案はあるだろうか。
浸透同化としては兵士に付いて行った方が得策と考える、恐らくこの地域の有力な軍隊に侵入可能であり、そうなれば彼等の社会を実地で体験できる、浸透同化としてはこれ以上無い状況ではある、しかしその場合三人は奴隷として扱われるのが明らかだ。
では三人側につく方法はどのようにすれば良いか、現時点で彼等からは何も引き出せていない、兵士のお陰で彼等との会話は著しく制限されている、獣人との会話は難しそうだが、少女は会話が可能である、単純に趣味に走れば少女を助けたいと思うし、獣人との交友も捨て難い。
自分としては奴隷に対して良い思いは無いし良い思い出も無い、様々な社会体制、文化、経済、政治を連合で学んだが、奴隷制度はそれらの過渡期に於いて必ずと言っていいほど採用され一部を残し衰退していた、若しくは経済に組み込まれたと考えるのが正しいか。自分の故郷である地球でさえ形態は違えど奴隷制度は複数存在していた、恐らくこの惑星でもそれぞれの社会で奴隷制度が運用されているのであろう、それを否定する事は自分には出来ないが、嫌う事はできる、それは自分やアヤコの生い立ちに関する諸問題の大事な一要素であり、なによりも自分もそうであった事が嫌悪の原因であった。あの頃の記憶は大分薄れているが、権力を背景にした人格の剥奪に暴力を見せびらかした服従は振う側とその社会は容認するのであろうが、される側にその社会的理屈が理解できない限りは到底受け入れる事はできなかった、あの頃の不条理と怒りとひもじさを忘れる事は難しい。
焚火の奥に座る小さな三つの影を見詰める、兵士のいう奴隷制度が自分が体験した奴隷制度とは異なっているのは明らかなようである、より高潔といって良いのかもしれない、食事を与え生活を保全し労働力とする、しかし意思決定は出来ず恐らくは自身の生殺与奪は権利者の物、より彼等の社会を知る必要があるが重要な資産として運用されているとすれば、全てを否定する事は出来ない、しかし、このような子供を奴隷扱いするのは実に、不愉快だ。
ならばとキーツは思う、彼等をせめてその立場から開放する事は出来まいかと。
方法としては簡単であろう、ギャエルと名乗るこの男を排除すれば良いのだ、存在の排除は難しく無い、ましてキーツが手を出さなければ既に亡き人であったのだから、物理的にキーツに抗う能力はこの男にはないであろう、単純で分かりやすく最も速い方法である、暴力とは時に何にもまして有効な手段である事をキーツは身を以て知っていた、しかし、その手段を選んだ場合助けようとしている三人は恐らくキーツを信用する事は無い、キーツの目の届かぬ時に逃げ出して森で死ぬか再び奴隷になるかであろう、この場合暴力での解決は良い回答ではない。
では彼等の社会的に正当な手段を行使するのはどうであろう、詳細は不明だが契約云々をギャエルは口にしていた、正当な方法で奴隷売買をすれば彼等はキーツの所有物となるのである、この場合ギャエルの元からキーツの元へ所有権は移り、自然ギャエルはこちらの関係性に口出しはできなくなる、その後キーツの所有物をどう扱おうがそれはキーツの自由になるのだ、奴隷として使役しても良いし開放する事も可能である、なにより実に平和敵な解決策である。
ではどうやって売買を持ちかけるか、キーツは薪をくべながらギャエルを伺う。
兵士は訝し気に考え込んだ、キーツはありゃ違ったかと薄っすらと汗を掻く、
「すいません、なにぶん暗がりでしたので、冒険者かとお見受けしましたが、それに私も出来るだけ隠れるようにとの指示でしたし、その・・・現場を直接は見てはいないのです」
キーツは恐縮してそう付け加える、重要な事物特に対象の要求物は知らない事にするのが嘘の得策である、無知である事は無知であるとし、嘘に嘘を重ねてはならない。
少女は会話を続ける二人を睨み続けていた、キーツはそちらの三人をチラチラと視界に捕らえているが表情迄は読み取れない、有難い事に誰も恐慌状態にならずこの場から去ろうとしなかった、ゴブリンに襲われ気を失ったかと思ったら焚火の側で目を覚ましたのである、状況を考えれば不必要に騒ぎだす者があっても不思議では無いが彼等は冷静であった、
「しかしだ、先程腕を千切られたばかリで、既に痛みも無いんだぞ、教会の治療師でもこんな鮮やかな手技は行えないだろう、まして冒険者が報酬も無しにここまで・・・」
兵士はぶつぶつと呟き続ける、キーツはあぁ包帯は私が巻きました、血止めや治療はその人達でしたけどと言い添える。
「あ、あの・・・、命を救ってくださった事に御礼を申します」
涼やかな声が蚊の鳴くような音で聞こえる、少女の声であった、二人を抱き締めたまましっかりとキーツを見詰めそう言った、抱かれた二人もその大きな瞳を四つキーツに向けており、それは焚火の光を爛乱と照り返していた。
「よかった、そう言って頂けると嬉しいです」
キーツはそう言って彼女に向き直るも、
「奴隷は黙っていろ」
キーツの態度に眉根を寄せつつ兵士は一喝する、
「私を置いて奴隷と会話する等失礼千万だ、貴様何処の生まれだ」
と続けキーツを睨みつける、
「あれらは軍の所有物だ、よって今は私がその管理者である、直接話す等双方にとって良い事はないぞ」
兵士の言葉に再び三人は身を竦め縮こまる、奴隷の扱い迄は環境対応装置には入ってないなぁ等と考えながらキーツは言葉を選ぶ、
「申し訳ありません、騎士様、今夜は私にとっても慣れない事続きでして・・・」
御容赦をと続け柔らかく微笑んだ、兵士は不愉快そうな態度は崩さなかったがフンと一息吐いてまぁいいと残った手を大袈裟に振った、
「お前にしてもその冒険者にしても不可解な事ばかりだが、助けてもらった事には違いない、確かに先に礼を述べるべきであったな、改めて私と我が軍の資産を守ってくれた事に感謝する」
兵士はそう言ってキーツに向かい右腕を胸に当て一礼した、
「礼は不要と申しはずですが、恐縮です」
とキーツは返し、頭を下げ照れたような微笑みを浮かべる、
「名も名乗っていなかった、ギャエル・ギャル・ボアルネと申す、ボアルネ家門ギャル男爵家のものだ」
慇懃に言い放つ、キーツは御丁寧にありがとうございますと答え、私の事はキーツとお呼び下さいとだけ言った、
「家門を持たないのか?」
「いろいろありまして、家門は捨てました」
キーツはわざとらしく俯いて見せる、
「・・・そうか、まぁいい、ではキーツ、私の事はギャエルと呼んで構わない、それからそっちの奴隷共にはまだ名が無い、正式な売買契約が未締結でなそういう事にしておいてくれ」
はぁとキーツは答え三人を伺うと少女は悔しそうにギャエルを睨むだけであった、キーツは魚の焼き加減を見つつポットのお湯を確認する、丁度よさそうだと沸かしたお湯を木製の杯に注ぎギャエルを通じて全員に杯を回す、少女は嫌そうにギャエルから杯を受け取った。
恐らくはとキーツが考えた通りの作法があるらしい、この場合奴隷は主人から下げ渡された物しか受け取らないし口にもしない、出来ないと表現するのが正しいか、奴隷と呼ばれた彼等がどう考えていようとギャエルが主人である事を主張している以上その形を保った方が事は無難に進みそうだとキーツは考える、
「少し熱いですが、身体を温めましょう」
キーツはそう言って先に口を付ける、ただの白湯であるが肌寒く感じる月夜の下ではとても美味しく感じた、
「なにからなにまですまない」
そういってギャエルは杯に口を付け、三人もそれに倣うが獣人二人には熱すぎたようでペロペロと舌先で杯を舐めている、それでも乾いた身体には染み渡っている様子で、四苦八苦しながら懸命に舐め続けていた。
「いえいえ、何か腹に入れば落ち着きますし、力もでます」
キーツはそう言って、魚の焼き加減を確認する、
「魚の方ももう少しですね、塩を持ってきましょう」
ではと立ち上がるとジュウシの側に歩み寄る、
「馬がいたのか、気付かなんだ、名はなんという?」
ギャエルがキーツの背に問い掛ける、
「ジュウシといいます、大事な友人です」
キーツは答え塩の瓶を携え席に戻った、
「珍しい名前だな」
「あぁ、私生まれは南の方でして、向うの言葉で召使とか、従卒とかそんな意味です」
「ほう、では砂漠の向うか半島か」
「えぇ、そんな所です」
キーツは誤魔化しつつ焼けた魚を取り上げて塩の瓶と共にギャエルに渡す、こちらもギャエル経由で全員に手渡された、ギャエルは再び感謝の言葉を述べつつ塩を振り掛け上手そうに口に運ぶ、獣人は塩を振らず少女も塩を振って齧り付いている、獣人はやはりその熱さに閉口しているようだが空腹には勝てないようで一心不乱に魚と格闘していた。
そんな四人の様子を見て、体調は充分だとキーツは判断し、
「まだ、あります、足りない方はどうぞ」
と大き目の葉に焼き終えた魚を並べギャエルの前に置いた、
「貴様は良いのか?」
と魚に手を付けないキーツを見詰めた、
「私は充分です、夜は食べない事にしているもので」
と適当にはぐらかすと、
「うむ、では頂こう、貴様等も感謝して頂くのだぞ」
興味や警戒心より空腹感が勝ったのか言葉少なに渡された魚を食べきると葉の上の大振りの一匹を取り、残りを三人の前へ置く。
暫く会話は途切れ、焚火の周りは咀嚼音と鼻を啜る音が続く、焚火に薪をくべながらさてどうしたものかとキーツは思案する。
彼等を助けた時に感じた違和感はやはり正解であった、兵士が貴族階級である事は薄々感づいていたが、残り三人の地位は著しく下か捕虜かと勘ぐったが大凡当たっていた様子である、こうなるとこのままこの兵士の言いなりに事を進めるべきか、奴隷と呼ばれた三人を味方につけるべきか、それともより良い案はあるだろうか。
浸透同化としては兵士に付いて行った方が得策と考える、恐らくこの地域の有力な軍隊に侵入可能であり、そうなれば彼等の社会を実地で体験できる、浸透同化としてはこれ以上無い状況ではある、しかしその場合三人は奴隷として扱われるのが明らかだ。
では三人側につく方法はどのようにすれば良いか、現時点で彼等からは何も引き出せていない、兵士のお陰で彼等との会話は著しく制限されている、獣人との会話は難しそうだが、少女は会話が可能である、単純に趣味に走れば少女を助けたいと思うし、獣人との交友も捨て難い。
自分としては奴隷に対して良い思いは無いし良い思い出も無い、様々な社会体制、文化、経済、政治を連合で学んだが、奴隷制度はそれらの過渡期に於いて必ずと言っていいほど採用され一部を残し衰退していた、若しくは経済に組み込まれたと考えるのが正しいか。自分の故郷である地球でさえ形態は違えど奴隷制度は複数存在していた、恐らくこの惑星でもそれぞれの社会で奴隷制度が運用されているのであろう、それを否定する事は自分には出来ないが、嫌う事はできる、それは自分やアヤコの生い立ちに関する諸問題の大事な一要素であり、なによりも自分もそうであった事が嫌悪の原因であった。あの頃の記憶は大分薄れているが、権力を背景にした人格の剥奪に暴力を見せびらかした服従は振う側とその社会は容認するのであろうが、される側にその社会的理屈が理解できない限りは到底受け入れる事はできなかった、あの頃の不条理と怒りとひもじさを忘れる事は難しい。
焚火の奥に座る小さな三つの影を見詰める、兵士のいう奴隷制度が自分が体験した奴隷制度とは異なっているのは明らかなようである、より高潔といって良いのかもしれない、食事を与え生活を保全し労働力とする、しかし意思決定は出来ず恐らくは自身の生殺与奪は権利者の物、より彼等の社会を知る必要があるが重要な資産として運用されているとすれば、全てを否定する事は出来ない、しかし、このような子供を奴隷扱いするのは実に、不愉快だ。
ならばとキーツは思う、彼等をせめてその立場から開放する事は出来まいかと。
方法としては簡単であろう、ギャエルと名乗るこの男を排除すれば良いのだ、存在の排除は難しく無い、ましてキーツが手を出さなければ既に亡き人であったのだから、物理的にキーツに抗う能力はこの男にはないであろう、単純で分かりやすく最も速い方法である、暴力とは時に何にもまして有効な手段である事をキーツは身を以て知っていた、しかし、その手段を選んだ場合助けようとしている三人は恐らくキーツを信用する事は無い、キーツの目の届かぬ時に逃げ出して森で死ぬか再び奴隷になるかであろう、この場合暴力での解決は良い回答ではない。
では彼等の社会的に正当な手段を行使するのはどうであろう、詳細は不明だが契約云々をギャエルは口にしていた、正当な方法で奴隷売買をすれば彼等はキーツの所有物となるのである、この場合ギャエルの元からキーツの元へ所有権は移り、自然ギャエルはこちらの関係性に口出しはできなくなる、その後キーツの所有物をどう扱おうがそれはキーツの自由になるのだ、奴隷として使役しても良いし開放する事も可能である、なにより実に平和敵な解決策である。
ではどうやって売買を持ちかけるか、キーツは薪をくべながらギャエルを伺う。
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
魔石と神器の物語 ~アイテムショップの美人姉妹は、史上最強の助っ人です!~
エール
ファンタジー
古代遺跡群攻略都市「イフカ」を訪れた新進気鋭の若き冒険者(ハンター)、ライナス。
彼が立ち寄った「魔法堂 白銀の翼」は、一風変わったアイテムを扱う魔道具専門店だった。
経営者は若い美人姉妹。
妹は自ら作成したアイテムを冒険の実践にて試用する、才能溢れる魔道具製作者。
そして姉の正体は、特定冒険者と契約を交わし、召喚獣として戦う闇の狂戦士だった。
最高純度の「超魔石」と「充魔石」を体内に埋め込まれた不死属性の彼女は、呪われし武具を纏い、補充用の魔石を求めて戦場に向かう。いつの日か、「人間」に戻ることを夢見て――。
強制フラグは、いりません! ~今いる世界が、誰かの二次小説の中だなんて思うかよ! JKと禁断の恋愛するなら、自力でやらせてもらうからっ!~
ハル*
ファンタジー
高校教師の俺。
いつもと同じように過ごしていたはずなのに、ある日を境にちょっとずつ何かが変わっていく。
テスト準備期間のある放課後。行き慣れた部室に向かった俺の目の前に、ぐっすり眠っているマネージャーのあの娘。
そのシチュエーションの最中、頭ん中で変な音と共に、俺の日常を変えていく声が聞こえた。
『強制フラグを、立てますか?』
その言葉自体を知らないわけじゃない。
だがしかし、そのフラグって、何に対してなんだ?
聞いたことがない声。聞こえてくる場所も、ハッキリしない。
混乱する俺に、さっきの声が繰り返された。
しかも、ちょっとだけ違うセリフで。
『強制フラグを立てますよ? いいですね?』
その変化は、目の前の彼女の名前を呼んだ瞬間に訪れた。
「今日って、そんなに疲れるようなことあったか?」
今まで感じたことがない違和感に、さっさと目の前のことを終わらせようとした俺。
結論づけた瞬間、俺の体が勝手に動いた。
『強制フラグを立てました』
その声と、ほぼ同時に。
高校教師の俺が、自分の気持ちに反する行動を勝手に決めつけられながら、
女子高生と禁断の恋愛?
しかも、勝手に決めつけているのが、どこぞの誰かが書いている某アプリの二次小説の作者って……。
いやいや。俺、そんなセリフ言わないし!
甘い言葉だなんて、吐いたことないのに、勝手に言わせないでくれって!
俺のイメージが崩れる一方なんだけど!
……でも、この娘、いい子なんだよな。
っていうか、この娘を嫌うようなやつなんて、いるのか?
「ごめんなさい。……センセイは、先生なのに。好きに…なっちゃ、だめなのに」
このセリフは、彼女の本心か? それともこれも俺と彼女の恋愛フラグが立たせられているせい?
誰かの二次小説の中で振り回される高校教師と女子高生の恋愛物語が、今、はじまる。
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。

お願いだから俺に構わないで下さい
大味貞世氏
ファンタジー
高校2年の9月。
17歳の誕生日に甲殻類アレルギーショックで死去してしまった燻木智哉。
高校1年から始まったハブりイジメが原因で自室に引き籠もるようになっていた彼は。
本来の明るい楽観的な性格を失い、自棄から自滅願望が芽生え。
折角貰った転生のチャンスを不意に捨て去り、転生ではなく自滅を望んだ。
それは出来ないと天使は言い、人間以外の道を示した。
これは転生後の彼の魂が辿る再生の物語。
有り触れた異世界で迎えた新たな第一歩。その姿は一匹の…

異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!
理太郎
ファンタジー
坂木 新はリサイクルショップの店員だ。
ある日、買い取りで査定に不満を持った客に恨みを持たれてしまう。
仕事帰りに襲われて、気が付くと見知らぬ世界のベッドの上だった。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

初めて入ったダンジョンに閉じ込められました。死にたくないので死ぬ気で修行したら常識外れの縮地とすべてを砕く正拳突きを覚えました
陽好
ファンタジー
ダンジョンの発生から50年、今ではダンジョンの難易度は9段階に設定されていて、最も難易度の低いダンジョンは「ノーマーク」と呼ばれ、簡単な試験に合格すれば誰でも入ることが出来るようになっていた。
東京に住む19才の男子学生『熾 火天(おき あぐに)』は大学の授業はそれほどなく、友人もほとんどおらず、趣味と呼べるような物もなく、自分の意思さえほとんどなかった。そんな青年は高校時代の友人からダンジョン探索に誘われ、遺跡探索許可を取得して探索に出ることになった。
青年の探索しに行ったダンジョンは「ノーマーク」の簡単なダンジョンだったが、それでもそこで採取できる鉱物や発掘物は仲介業者にそこそこの値段で買い取ってもらえた。
彼らが順調に探索を進めていると、ほとんどの生物が駆逐されたはずのその遺跡の奥から青年の2倍はあろうかという大きさの真っ白な動物が現れた。
彼を誘った高校時代の友人達は火天をおいて一目散に逃げてしまったが、彼は一足遅れてしまった。火天が扉にたどり着くと、ちょうど火天をおいていった奴らが扉を閉めるところだった。
無情にも扉は火天の目の前で閉じられてしまった。しかしこの時初めて、常に周りに流され、何も持っていなかった男が「生きたい!死にたくない!」と強く自身の意思を持ち、必死に生き延びようと戦いはじめる。白いバケモノから必死に逃げ、隠れては見つかり隠れては見つかるということをひたすら繰り返した。
火天は粘り強く隠れ続けることでなんとか白いバケモノを蒔くことに成功した。
そして火天はダンジョンの中で生き残るため、暇を潰すため、体を鍛え、精神を鍛えた。
瞬発力を鍛え、膂力を鍛え、何事にも動じないような精神力を鍛えた。気づくと火天は一歩で何メートルも進めるようになり、拳で岩を砕けるようになっていた。
力を手にした火天はそのまま外の世界へと飛び出し、いろいろと巻き込まれながら遺跡の謎を解明していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる