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72話 メダカと学校 その31

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そこへ、ティルとミーンが顔を出し、もうそんな時間かとソフィアが腰を上げるのをユーリが一喝して押し止め、いきなりなんですかと身を竦めるティルとミーン、ブーとソフィアが不貞腐れるもレインまでもがソフィアを非難し、結局ソフィアは黒板に向かい、その日の夕食は二人に任せる事となったらしい、二人は改めてエルマとも挨拶し、エルマはわざわざソフィアの下に教えを乞いに来ているのかと目を丸くして驚いている、先日も確かそのような事を耳にしていたがまさか毎日のように来ているとは思ってもいなかったのだ、マルルースは、

「丁度良いからあなたも習ってみる?面白い料理ばかりよ」

と微笑む有様で、確かに先程のドーナッツだけでもその価値に値する料理で、どうやら他にもあるらしく、ここ数年実家で主婦をしていたエルマとしては興味が湧かない訳が無い、結局そのまま二人と共に厨房に入るエルマであった、ソフィアは恨めし気にその背を見送り、集中せいとレインに怒鳴られ、ミナもレインの真似をする始末で、ウーウー言いながら白墨を手慰んでしまう、やがて、

「戻りましたー」

とジャネットとケイス、グルジアが飛び込んできた、

「はい、お帰りー」

ソフィアがスッと顔を上げ、レインとミナがムッとソフィアを睨みつける、ムーと唸って俯くソフィアと、ユーリ達の若干疲れた顔、マルルースの姿もあって、

「あっ、申し訳ありません」

と慌てて頭を垂れる三人である、さらにその後ろにはアニタとパウラ、ルルも続いており、なんだなんだと顔を覗かせていた、

「フフッ、皆さん御機嫌よう」

楽しそうに微笑むマルルースに生徒達は再び頭を下げた、新しい住人が来るとは聞いていたが、まさか王妃が来ているとは思っていなかった生徒達である、どうしたものかと頭を下げたままボソボソと確認しあうも、

「今日はなに?学園は早かったの?」

とユーリが話題を振った、入口で溜まっていても邪魔なだけであろう、

「あっ、はい、今日は特には、男共は忙しくしてましたけど、私達は何もなかったです」

グルジアが代表して答える、先日の広報以降、学園でも戦争の準備作業が進んでいる、特に講堂の改修やら資材の運び込み、役人や兵士等も多く出入りしており、事務長と事務員がてんやわんやと忙しそうで、授業を終える前には特に力仕事で生徒達に声がかかっていた、故に男子生徒達は午後になっても忙しく、女生徒達もまた細々とした作業を割り振られていたりする、

「そっ、じゃ、早速始めましょうか、あんたらもそれで急いで戻ったんでしょ」

「勿論です」

ジャネットとケイスが同時に顔を上げ、唱和する、

「そうよね、ほら、荷物置いてきなさい」

とユーリがさてどうすれば分かりやすいかなと腰を上げる、ハイッと気合の入った生徒達の声が響き、バタバタと動き出す生徒達である、そこへ、

「あっ、ゴメン、グルジアさんね、ちょっといい?」

タロウがその流れを堰き止めた、私ですかと?グルジアが足を止め、何だろうと他の生徒も足を止める、

「あー・・・今からあっち行くんだけど、グルジアさんはどうする?」

曖昧な問いかけであった、キョトンと生徒達はタロウを見つめ、他の面々もどういう事だと顔を上げる、

「エッ・・・あっ、えっ、今日ですか?」

「うん、なんかそうなった」

「もう少し先だったのでは・・・」

「番頭さんがね、何か張り切っちゃってさ・・・」

「あー・・・」

全てを察するグルジアである、タロウはヘルデルに転送陣を設置する件を口にしており、それがどうやらすぐに動く事となったらしい、昨日の打合せではマールテンの都合もあり、また、できれば先触れを出しておいた方が良かろうとなって先延ばしになっていた筈であった、

「そういう事・・・」

「そういう事ですか・・・」

「うん、どうする?グルジアさんも行ければ行きたいでしょ」

「はい、勿論です」

「だよね、じゃ、行くか」

タロウはニヤリと微笑む、午前中の王国とヘルデル両者を交えた会議の後、タロウはレイナウトに捕まってしまい、今日午後にも設置して欲しいと頼まれてしまった、タロウは断ることも出来ずに受けるしかなく、聞けば昨日の打合せの後、マールテンとも協議し、早ければ早い程良いとなり、さらにはクンラートもマルヘリートも乗り気となってしまったようで、そのクンラートはレイナウトの隣りで渋い顔であったが断ることは許さんとの圧をタロウにかけ続けている有様となっている、タロウとしてはまぁそういう事であればとさっそくヘルデルに飛んだ、当の商会の近く、王城が近い為貴族御用達となっている高級宿の一室を借り、転送陣を据え付けており、後はレイナウトらを連れて行くだけとなっている、短い時間であったがそれなりに動けたとタロウは自画自賛しているが、この仕事もまたこれからが本番であったりする、

「はい、あっ、どうしようかな・・・その、色々と持っていきたいものが」

快活に了承した後でワタワタと慌て始めるグルジアである、他の生徒達はなにかあるのかと訝しそうにグルジアを見つめている、

「気持ちは分かるけどね、今日はほら、そんな暇は無いだろうと思うよ、取り決めも出来たしね、それに沿って動くしかないし、まぁ、夕飯までには戻ろうか」

タロウは優しく微笑み、

「じゃ、グルジアさん借りていくから、あとよろしくー」

と階段へ向かう、

「はい、いってらっしゃい」

「お出かけー?」

「仕事だよー」

「ぶーぶー」

「はいはい、ミナはちゃんとソフィアを監督してなー」

「・・・わかったー」

ミナの非難を華麗にいなすタロウである、グルジアもこれは仕事なんだと心を入れ替えその後を追った、なにがなにやらと見送る一同である、すると、

「はいはい、あっちはあっち、こっちはこっち、あんたら気合入れないとついて来れないからね」

ユーリの講師時代を思い出される檄が飛び、こちらも慌てて動き出す生徒達であった。



それから暫く食堂は騒がしく、そろそろ良い時間だわねとマルルースとメイドは寮を辞した、ユーリが三人をイフナースの屋敷に転送陣で送り届け、その場で少しばかり歓談して戻るとサビナが作業室の椅子に座ってぐったりと項垂れていた、

「あら、お疲れ」

「お疲れ様です」

ゆるゆると顔を上げるサビナである、

「あら・・・本当にお疲れだわね」

「そう・・・ですね、すっかり、あれです、学園長に振りまわされまして」

「あら、そうなった・・・」

「はい、でもなんとかなりました」

サビナは疲れ切ってはいても満足そうな笑みを浮かべる、

「へー、良かったわね」

「はい、所長やカトカ、ゾーイさんのお陰です」

「そう、私は何もしてないけどね、カトカとゾーイには感謝だわね」

「そんな事無いですよ、この仕事を任せてくれたのは所長ですし、相談にものっていただきましたし」

「何言ってるのよ、あんたの実力でしょ、で、どうなったの?」

ここはしっかりと聞いておくべきかとユーリは近くの席に腰を下ろす、

「はい、内容については良くまとまっていると感謝されてしまいました」

「へー・・・あの先生がそう言うなら充分ね」

「はい、で、そのままメイド科の先生達にも見てもらいまして」

「あら・・・もう?」

「はい、学園長が直に反応を知りたいって事で、すんごい迷惑そうな顔してましたけど・・・」

「あー・・・あのおばさん達じゃねー」

「そんな事言わないで下さいよ」

「あら、早速取り込まれたかしらん?」

「そんなんじゃないですよ、迷惑そうな顔はしてたんですけど、学園長が熱心に解説してくれて、私はほら黙って見てるしかなかったんですが、その内、こう・・・はい、これはいいわねって感じで、皆さん真剣に読んでくれて・・・」

「・・・ふーん、あの人達も真面目だからな・・・」

「ですね、で、これは素晴らしいと・・・認めて頂けました」

「そっか、おめでとう」

「はい、ありがとうございます」

サビナは満面の笑みを浮かべ、ユーリもまた嬉しそうに微笑む、

「じゃ、そっちは一段落?」

「あっ、いいえ、それで、誤字脱字の修正が少し入りました、それと、メイド科の先生達から、美容服飾の研究も教科書にまとめるべきだって意見が出まして」

「あら・・・なんだ、あの人らも興味あったの?」

「そりゃだって、女性であればみんな興味ありますよー」

「そりゃそうか」

「そうですよ、特に爪の手入れとかなめらかクリームとか、身だしなみに関する点ですね、なので・・・」

「そうよねー・・・っていうか、あの研究会も暫くやってないわね」

「そうなんです、すっかりこっちに忙しくて、先生達も楽しみにしてるのにって・・・」

「他人事よねー」

「そう言わないで下さいよ」

「フフッ、まぁいいわ、なんのかんの言ってもあの人達は立派な先輩達なんだから仲良くやりなさいよ、あっ、で、あんたの教職の件はどうなったの?」

「はい・・・それ、なんですけど」

サビナが一転真面目な視線になる、ん?とユーリが首を傾げると、

「学園長が推薦してくれて、メイド科の先生達もそれは嬉しいって、言って頂けまして・・・」

「あらっ、なによ、勿体ぶらないでよ、認めてくれたって事でしょ、ハッキリそう言いなさい」

「えへへ・・・その、手が足りないから誰でもいいとか、これで少しは楽できるとか、でも、教科が増えるからそうはいかないとか、そんな感じで・・・」

「あー、それはあれよ、向こうもだって素直じゃないのよ、おばさんだから」

「そうですね」

「あら、そこは認めるんだ」

「認めます、みなさん、良いおばさんです」

「なによ、開き直っちゃって」

「だって、最終的には学園長をやり込めてましたもん」

「そりゃ、そうでしょ、あのおばさん方に学園長一人で太刀打ちできる訳もないわ」

「そうですね、へへ、取り合えずこんな感じです」

サビナはフスーと薄い笑みを浮かべながら満足そうに鼻を鳴らす、

「そっか・・・じゃ、そっちはあれね、あとは向こうに任せていいのかしら?」

「はい、学園長が原稿を直したら持ってきてくれって、後はこっちで動くと確約して頂きました」

「そっ、じゃ、あんたは?」

「はい、先生方の要望を受けて、研究会でやった内容をまとめようかと思います、他にも例のドレスもありますし、染髪も残ってます、調髪関係もまだ手付かずですし、あと、タロウさんの言う衣服もまだかなって・・・」

「あっ、それね、30日にやる事になったわよ」

「えっ、そうなんですか?」

「あんたが打合せ中にね、ソフィアがそう決めたのよ、タロウさんも今の内なら大丈夫かなって事だから、まぁ、周りが忙しいからね、あくまで予定よ」

「分かりました、楽しみです」

「そうよね・・・そうなると・・・そっちの方があなたの実力を示す良い機会って事になるかしら・・・」

「はい、その通りと思います」

「そうね」

「はい、今回のは学園長の助手のような仕事ですし、ここからが大事なのかなって考えてました」

「フフッ、分かってるならそれでいいわよ・・・そうなると・・・研究室とか貰えそう?」

「そこまではまだですね」

「ありゃ、せっついておくか・・・」

「そんなー、ここで私はいいですよ、便利だし・・・何かにつけて・・・」

「駄目よ、そこはしっかりしないとね、あんたも研究者兼講師になるんだから」

「そう・・・ですか?」

「そうよ、体裁ってやつはね、大人になると思った以上に大事なものよ、あんたなら分かるでしょ」

「そりゃ・・・そうですけど・・・」

「でしょ、それに・・・フフッ、あの彼氏とはどうするの?そっちも考えておかないと駄目よ」

エッと目を丸くするサビナである、

「なによ、気付いてないとでも思った?」

「・・・いや・・・その、それはまだ先かな・・・って思ってましたけど・・・」

丸い肩をさらに丸めるサビナであった、

「もう、奥手ばかりね、都会って、田舎ならね、あんたの歳で所帯を持ってない方が珍しいんだからね」

「それは分かりますけど、それを言ったら・・・」

「私はいいの、話しを逸らさない」

バッツリと言い放つユーリに、それはいかがなものかとサビナは口籠る、

「あんたもだけど、あの彼氏も新しい仕事になるんでしょ、詳しい事は知らないけど丁度いいじゃない、あんたもあの宿舎から出て独り立ちなさい、こういう時にね、エイヤで飛び込まないといつまでもグズグズする事になるんだから、そうなるとダラダラダラダラしちゃってね、踏ん切りがつかなくなって駄目になる事もあるものなのよ」

「・・・エイヤ・・・ですか?」

「そうよ、気合と決断力が大事、向こうはちゃんと手に職があるんだし、あんたもちゃんと結果を残しているんだから、いらない不安は考えないで動く事ね、まぁ、私から見ても良い人だと思うわよ、彼は・・・少々あれか、食べ過ぎるんだっけか?」

ユーリがニヤリと微笑む、

「そう・・・ですね、はい・・・そうです・・・」

恥ずかしそうにニヤケルサビナである、

「ふふっ、まっ、そういう事だから、そうね、取り敢えず、今日は、おめでとうと言わせてもらうわ、頑張ったわね」

「はい、ありがとうございます」

子弟は満面の笑みを交換すると、

「さて、お腹が空いたわね、今日もなんのかんので疲れたわ、まったく自分の仕事になりゃしない」

ユーリがブツブツ呟き腰を上げ、サビナもそうですねと立ち上がる、そこへ、

「あら、お疲れ」

「わっ、お疲れ様です」

とタロウとグルジアが転送陣の部屋から出てきた様子で、

「あらお帰り、って何それ?」

「ん、お土産?」

「はい、お土産です」

タロウは木箱を三つ重ねて持っており、それでも足りなかったようで、グルジアもパンパンに膨らんだ手提げを下げている、

「あら、っていうかアンタらどこに行ってたの?よく考えれば変な組み合わせだわよね」

「・・・まぁ色々と?詳しくは後だな、羨ましがる子も多いだろうしね」

「そう・・・ですね」

「あら・・・まっ、いいけど、お土産?」

「フフッ、干し果物と干し魚とかですよ、毛糸もあります沢山です」

「へー、干し果物はいいわね」

「干し魚も高級品じゃないですか」

「おう、それも海のだぞ」

「えっ、それこそこっちでは食べれないですよ」

「だねー、夕飯はまだ?」

「これからだと思うわよ」

「そっか、間に合ったか、腹減ったなー」

「そうねー」

とダラダラとサンダルを履き替え食堂に下りる四人であった。
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