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本編
57話 異名土鍋祭り その11
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「しかし、それは理想論であるのは分かります、状況によって難しい事も、課題によってはより難解になる事も」
ソフィアはそう続けると、
「私だって戦場の経験はありますから、あれを思い出せば如何に相手を蹂躙するか、こちらの被害を抑えるか、それだけでしたからね、でも、それはほら、リンドさんとかロキュス先生がいらっしゃればそれなりのものを構築できるものと思います、失礼ですが陛下もリンドさんが苦労したのは御存知でしょう」
「・・・それは・・・うん」
「そうだな・・・」
イフナースを除く三人が静かに頷き、従者の一人もまたうんうんと頷いている、恐らく先の大戦の折にリンドの配下にあった人物なのであろう、他の従者よりも若干年嵩に見える、
「ですので、そちらには関しては正にイフナース殿下の言う・・・ケルネーレス殿下の教えでしょうか、適材適所とタロウは呼んでいましたがそれですね、そしてそれこそ民間では手を付けてはいけない部分だと思います・・・戦場での魔法利用こそ軍の秘匿事項としなければ平民の脅威となってしまう・・・とタロウも言ってました、私も同感ですしユーリも同じです、その上でユーリは魔法を使えない人でも使える方策を研究主題にしてますし、私とタロウはそちらに関わらない事にしたのです、はっきり言えばリンドさんとアフラさん、それにゾーイさんかな、勿論ロキュス先生がいれば十分以上の成果を齎すことでしょうし、戦場での活用はやはり軍との連携が不可欠ですしね」
訥々とソフィアはその考えを吐露し、そして茶へ手を伸ばす、クロノスは初めてタロウとソフィアそれとユーリの本心を聞いた気がする、実際に大戦が終わり諸々の雑事にかまけ別れの時には軽く挨拶をする程度であった、どうせすぐに会えると当時は思い、実際にそうなってもいるのであるが、ユーリはともかくとしてソフィアとタロウがどういう思いであったのかは知り得なかったし、考えた事も無い、単にこの二人はミナの事を考えて距離を取ったものとクロノスは推察していた、それも半分は正しいのであるが、しかし、
「そこまでの意見は求めていないであろうが」
クロノスは言い過ぎだと暗にソフィアを非難する、陛下の手前もある、やや強い語気となってしまった、
「・・・いや、その通りだ」
ロキュスが片手を上げクロノスを諫める、ロキュスはソフィアの自身に対する評価を朧気ながらに理解し、そして改めて自身の在り方に気付いたのであろう、
「ソフィアさんの言いたい事は分かる、恐らくだが・・・いや、確実かな・・・儂の手元に二人を招聘した場合、その方向性での研究を託したかもしれん・・・うん、そしてそれは命令という形になるであろうし、ならざるを得ない」
「しかし、それはそれで必要な事でしょう、戦の常套手段と言って良い、一方的な殺傷能力こそが戦場では求められる」
クロノスが食い下がるが、
「いや、それこそ、なんだ・・・えっと・・・」
ロキュスがソフィアを伺い、ソフィアは、
「適材適所ですか?」
「うむ、それだ・・・あれだ、少しズレるが儂もな、リンド殿の件は未だに後悔しかなくてな、しかし、あれは運用が大変に下手であったと思うのだ、それはもう何度も反芻しているのだが・・・魔法そのものへの理解が足りない状況であると儂は思ってな、今の研究はその方向に注力しているつもりなのだが、知れば知るほど深く昏い・・・それをソフィアさんもユーリさんも好き勝手やっているように見えてな、まったく恥ずかしい限りだ・・・嫉妬じゃな・・・うん、あの頃もそうであったが・・・そして・・・人を使う事をすっかりと忘れていたのもある、人を活かすという事もだ、弟子達を叱咤する事はあってもその意見を聞く事はなかったようでな、先日も・・・ゾーイがこちらに来るときにやっと腹を割って話しが出来てな、反省する事しきりであったが・・・まったく、老いてもまるで賢くならん・・・困ったものだよ」
ロキュスはボリボリと後ろ頭を掻いた、
「・・・儂もだよ・・・」
ボニファースが悲しい笑みを見せる、
「ですか・・・そういうものなのかもしれませんな・・・うん、いや、いっそのこと誰かに任せるかとも思ったのですが、ふふっ、悲しい事に弟子達をよく知りませんでしてな・・・恥ずかしいですな・・・少し目が覚めました・・・適材適所ですか、良い言葉ですな」
ロキュスは腕を組んで瞑目する、
「まったく、で、何だっけ、話しの主題がズレてるぞ」
クロノスはやれやれと溜息を吐く、ボニファースの反応を見るにどうやらソフィアの意見を封じる必要は無いと判断したようだ、
「光柱の開発の件ですね」
イフナースが呟く、
「あぁ、それだ、ロキュス殿、ではこちらに何人か預けて貰えますか?リンドを上に置いて開発させようと考えてましてね、報告は密にと思いますが、陛下にも報告は届けます」
「それは構わん・・・そうだな、弟子達から選んで・・・いや、それこそ任せるか・・・やりたい者をそちらに向かわせよう、恐らくそれが一番良さそうだな・・・」
ロキュスはカッと目を見開いてクロノスを見つめる、
「はい、それではそのように、こちらも準備させましょう、ついでに転送陣に関してもある程度使える者を揃えたいと考えておりますが、陛下、如何いたします?」
「転送陣か・・・」
ボニファースが片目でクロノスを睨み、しかし、特に考えていなかったようで言葉は無い、
「あれはそうじゃな、発動させる方法のみを伝える手で良いかと思うぞ、構築そのものが出来なければ意味が無いからな、しかし儂でも使えん代物だからな、ゾーイは使えるようになったと聞いたが、他の弟子では少し不安だな・・・ま、なるようになるか」
「確かに、ではそうなると・・・王城と北ヘルデルは既にありますから、そちらの学園と結びますか」
「頼めるかな?」
「可能ですね」
「ありがたい」
クロノスはわざとらしく事務的な話題を振っている、ここはそうすることによってソフィアとイフナースの辛辣な指摘で冷えた脳みそを温める必要があると思ったからであった、すると、
「しかし、ソフィアさんも痛い事を言ってくれるな」
ボニファースは自ら話題を戻した、これにはクロノスもエッとばかりに目を剥く、
「そう言われましても、申し訳ありません、そういう性分なのです」
ソフィアは申し訳なさそうに返答する、
「いや、ありがたい事だよ、うん、それにイフナース」
「はい」
ボニファースのなんとも優しい視線がイフナースに向けられ、
「ケルネーレスとは何を話した?」
「何を・・・ですか?」
「うむ、あれとも・・・いや、お前ともだな、ゆっくりと話した事が無いなと思ってな、儂も儂の親父とはちゃんと話した事は無かったな・・・そういうもので、それで良いと思っていた、しかし・・・ケルネーレスがお前に何を教えたのか、気になるのだ、あれは出来過ぎるほど出来た男であったからな」
「そうですか・・・私には軍の使い方と人の使い方を、それと酒はもう暫く先だと・・・女もだと笑われましたが」
「そうか・・・ふふっ、亡くした子に叱られた気分だ・・・悲しいのか腹が立つのか・・・嬉しいのか・・・分らんな」
ボニファースはしみじみと呟くように語る、その顔は為政者のそれではない一人の老いた父親のそれに見える、しかし、
「イフナース」
と遺った息子を睨みつけた、その形相はガラリと変わり父親のそれでは無い、国王のそれである、
「はい」
「さっさと病を癒せ、いつまでも遊ばせておくほど王国は暇ではないぞ」
「はっ、はい」
イフナースは座したままであるが背筋を伸ばす、
「クロノス」
「はっ」
「イフナースの修練も良いが、儂やロキュスと同じ轍を踏むな、お前には良い友がいる、決して離してはならんぞ」
「はっ」
クロノスも座したままに背筋を伸ばした、
「ロキュス」
「はっ」
「お互いいい歳だがこうやって目が覚める事もある、若者も年寄も無い、奢る事なかれだ、お前の才はソフィアやユーリなぞに負けることは無い、儂が保証する」
「はっ、ありがたきお言葉です」
「・・・して、ソフィアさん」
強い命令口調が一転して柔らかいものになった、
「はい」
ソフィアは随分と男臭いノリだわねと呆れつつも背筋を伸ばした、
「忠告痛み入る、これからも助言を頂ければ幸いと思うぞ」
「・・・えっと、それは・・・」
「あー、時々愚痴りにくるからな、相手をしてもらえると嬉しい、ついでにクロノスとイフナースの目付も頼む」
「目付・・・ですか?・・・それはまた・・・具体的にはどのように・・・」
「ん?あー、そうだな、儂の名でどのような暴言も許そう、誹謗の類でなければ責は問わん・・・そうだな、王家の相談役とでもしておくか」
「えっと・・・それはまた・・・あの・・・めんど」
「ソフィア」
クロノスがソフィアの言葉を遮った、ソフィアが困った顔でクロノスを睨み、ボニファースはガッハッハと大笑すると、
「よいよい、めんどくさいのは重々承知だ、しかしな、そういう者も必要なのだ、少なくとも儂よりはこの二人と付き合う時間は長くなるであろう、なに、友達付き合いをすれば良い、そういう事だ」
ボニファースはニコリと微笑み、ソフィアはそういう事ならべつにと口を開きそうになるが、クロノスの黙っていろと言う強い視線を感じて静かに頷いた、
「うむ、宜しく頼む、それとな、漬物をもう少し頂けるかな?いや、持ち帰りたいな・・・ついでに作り方・・・いや、レイン嬢が手掛けるから価値があるとも思うのだが・・・」
急にゴニョゴニョと恥ずかしそうにしている、クロノスとイフナースは何を言い出すのやらとその落差に眉を顰め、ロキュスは単純に驚いている、ソフィアは、
「はい、では・・・そうですね、お持ち帰り頂けるように準備致しますね、そうだ、この後はどのような予定なのです?」
「うむ、午後から妃達が壁画を見に来る予定でな、それから祭り見物に行くらしい、そう言えば壁画もミナ嬢とレイン嬢が関わっていると聞いたが?」
「あー、少しばかり」
ソフィアは首を傾げて答えると、
「なるほど・・・国の宝が増えるな」
ボニファースはニコリと微笑み、イフナースはそれほどの作品かなと首を捻る、クロノスはまぁレインが絡むとそうなるだろうなと溜息を吐かざる得なかった。
ソフィアはそう続けると、
「私だって戦場の経験はありますから、あれを思い出せば如何に相手を蹂躙するか、こちらの被害を抑えるか、それだけでしたからね、でも、それはほら、リンドさんとかロキュス先生がいらっしゃればそれなりのものを構築できるものと思います、失礼ですが陛下もリンドさんが苦労したのは御存知でしょう」
「・・・それは・・・うん」
「そうだな・・・」
イフナースを除く三人が静かに頷き、従者の一人もまたうんうんと頷いている、恐らく先の大戦の折にリンドの配下にあった人物なのであろう、他の従者よりも若干年嵩に見える、
「ですので、そちらには関しては正にイフナース殿下の言う・・・ケルネーレス殿下の教えでしょうか、適材適所とタロウは呼んでいましたがそれですね、そしてそれこそ民間では手を付けてはいけない部分だと思います・・・戦場での魔法利用こそ軍の秘匿事項としなければ平民の脅威となってしまう・・・とタロウも言ってました、私も同感ですしユーリも同じです、その上でユーリは魔法を使えない人でも使える方策を研究主題にしてますし、私とタロウはそちらに関わらない事にしたのです、はっきり言えばリンドさんとアフラさん、それにゾーイさんかな、勿論ロキュス先生がいれば十分以上の成果を齎すことでしょうし、戦場での活用はやはり軍との連携が不可欠ですしね」
訥々とソフィアはその考えを吐露し、そして茶へ手を伸ばす、クロノスは初めてタロウとソフィアそれとユーリの本心を聞いた気がする、実際に大戦が終わり諸々の雑事にかまけ別れの時には軽く挨拶をする程度であった、どうせすぐに会えると当時は思い、実際にそうなってもいるのであるが、ユーリはともかくとしてソフィアとタロウがどういう思いであったのかは知り得なかったし、考えた事も無い、単にこの二人はミナの事を考えて距離を取ったものとクロノスは推察していた、それも半分は正しいのであるが、しかし、
「そこまでの意見は求めていないであろうが」
クロノスは言い過ぎだと暗にソフィアを非難する、陛下の手前もある、やや強い語気となってしまった、
「・・・いや、その通りだ」
ロキュスが片手を上げクロノスを諫める、ロキュスはソフィアの自身に対する評価を朧気ながらに理解し、そして改めて自身の在り方に気付いたのであろう、
「ソフィアさんの言いたい事は分かる、恐らくだが・・・いや、確実かな・・・儂の手元に二人を招聘した場合、その方向性での研究を託したかもしれん・・・うん、そしてそれは命令という形になるであろうし、ならざるを得ない」
「しかし、それはそれで必要な事でしょう、戦の常套手段と言って良い、一方的な殺傷能力こそが戦場では求められる」
クロノスが食い下がるが、
「いや、それこそ、なんだ・・・えっと・・・」
ロキュスがソフィアを伺い、ソフィアは、
「適材適所ですか?」
「うむ、それだ・・・あれだ、少しズレるが儂もな、リンド殿の件は未だに後悔しかなくてな、しかし、あれは運用が大変に下手であったと思うのだ、それはもう何度も反芻しているのだが・・・魔法そのものへの理解が足りない状況であると儂は思ってな、今の研究はその方向に注力しているつもりなのだが、知れば知るほど深く昏い・・・それをソフィアさんもユーリさんも好き勝手やっているように見えてな、まったく恥ずかしい限りだ・・・嫉妬じゃな・・・うん、あの頃もそうであったが・・・そして・・・人を使う事をすっかりと忘れていたのもある、人を活かすという事もだ、弟子達を叱咤する事はあってもその意見を聞く事はなかったようでな、先日も・・・ゾーイがこちらに来るときにやっと腹を割って話しが出来てな、反省する事しきりであったが・・・まったく、老いてもまるで賢くならん・・・困ったものだよ」
ロキュスはボリボリと後ろ頭を掻いた、
「・・・儂もだよ・・・」
ボニファースが悲しい笑みを見せる、
「ですか・・・そういうものなのかもしれませんな・・・うん、いや、いっそのこと誰かに任せるかとも思ったのですが、ふふっ、悲しい事に弟子達をよく知りませんでしてな・・・恥ずかしいですな・・・少し目が覚めました・・・適材適所ですか、良い言葉ですな」
ロキュスは腕を組んで瞑目する、
「まったく、で、何だっけ、話しの主題がズレてるぞ」
クロノスはやれやれと溜息を吐く、ボニファースの反応を見るにどうやらソフィアの意見を封じる必要は無いと判断したようだ、
「光柱の開発の件ですね」
イフナースが呟く、
「あぁ、それだ、ロキュス殿、ではこちらに何人か預けて貰えますか?リンドを上に置いて開発させようと考えてましてね、報告は密にと思いますが、陛下にも報告は届けます」
「それは構わん・・・そうだな、弟子達から選んで・・・いや、それこそ任せるか・・・やりたい者をそちらに向かわせよう、恐らくそれが一番良さそうだな・・・」
ロキュスはカッと目を見開いてクロノスを見つめる、
「はい、それではそのように、こちらも準備させましょう、ついでに転送陣に関してもある程度使える者を揃えたいと考えておりますが、陛下、如何いたします?」
「転送陣か・・・」
ボニファースが片目でクロノスを睨み、しかし、特に考えていなかったようで言葉は無い、
「あれはそうじゃな、発動させる方法のみを伝える手で良いかと思うぞ、構築そのものが出来なければ意味が無いからな、しかし儂でも使えん代物だからな、ゾーイは使えるようになったと聞いたが、他の弟子では少し不安だな・・・ま、なるようになるか」
「確かに、ではそうなると・・・王城と北ヘルデルは既にありますから、そちらの学園と結びますか」
「頼めるかな?」
「可能ですね」
「ありがたい」
クロノスはわざとらしく事務的な話題を振っている、ここはそうすることによってソフィアとイフナースの辛辣な指摘で冷えた脳みそを温める必要があると思ったからであった、すると、
「しかし、ソフィアさんも痛い事を言ってくれるな」
ボニファースは自ら話題を戻した、これにはクロノスもエッとばかりに目を剥く、
「そう言われましても、申し訳ありません、そういう性分なのです」
ソフィアは申し訳なさそうに返答する、
「いや、ありがたい事だよ、うん、それにイフナース」
「はい」
ボニファースのなんとも優しい視線がイフナースに向けられ、
「ケルネーレスとは何を話した?」
「何を・・・ですか?」
「うむ、あれとも・・・いや、お前ともだな、ゆっくりと話した事が無いなと思ってな、儂も儂の親父とはちゃんと話した事は無かったな・・・そういうもので、それで良いと思っていた、しかし・・・ケルネーレスがお前に何を教えたのか、気になるのだ、あれは出来過ぎるほど出来た男であったからな」
「そうですか・・・私には軍の使い方と人の使い方を、それと酒はもう暫く先だと・・・女もだと笑われましたが」
「そうか・・・ふふっ、亡くした子に叱られた気分だ・・・悲しいのか腹が立つのか・・・嬉しいのか・・・分らんな」
ボニファースはしみじみと呟くように語る、その顔は為政者のそれではない一人の老いた父親のそれに見える、しかし、
「イフナース」
と遺った息子を睨みつけた、その形相はガラリと変わり父親のそれでは無い、国王のそれである、
「はい」
「さっさと病を癒せ、いつまでも遊ばせておくほど王国は暇ではないぞ」
「はっ、はい」
イフナースは座したままであるが背筋を伸ばす、
「クロノス」
「はっ」
「イフナースの修練も良いが、儂やロキュスと同じ轍を踏むな、お前には良い友がいる、決して離してはならんぞ」
「はっ」
クロノスも座したままに背筋を伸ばした、
「ロキュス」
「はっ」
「お互いいい歳だがこうやって目が覚める事もある、若者も年寄も無い、奢る事なかれだ、お前の才はソフィアやユーリなぞに負けることは無い、儂が保証する」
「はっ、ありがたきお言葉です」
「・・・して、ソフィアさん」
強い命令口調が一転して柔らかいものになった、
「はい」
ソフィアは随分と男臭いノリだわねと呆れつつも背筋を伸ばした、
「忠告痛み入る、これからも助言を頂ければ幸いと思うぞ」
「・・・えっと、それは・・・」
「あー、時々愚痴りにくるからな、相手をしてもらえると嬉しい、ついでにクロノスとイフナースの目付も頼む」
「目付・・・ですか?・・・それはまた・・・具体的にはどのように・・・」
「ん?あー、そうだな、儂の名でどのような暴言も許そう、誹謗の類でなければ責は問わん・・・そうだな、王家の相談役とでもしておくか」
「えっと・・・それはまた・・・あの・・・めんど」
「ソフィア」
クロノスがソフィアの言葉を遮った、ソフィアが困った顔でクロノスを睨み、ボニファースはガッハッハと大笑すると、
「よいよい、めんどくさいのは重々承知だ、しかしな、そういう者も必要なのだ、少なくとも儂よりはこの二人と付き合う時間は長くなるであろう、なに、友達付き合いをすれば良い、そういう事だ」
ボニファースはニコリと微笑み、ソフィアはそういう事ならべつにと口を開きそうになるが、クロノスの黙っていろと言う強い視線を感じて静かに頷いた、
「うむ、宜しく頼む、それとな、漬物をもう少し頂けるかな?いや、持ち帰りたいな・・・ついでに作り方・・・いや、レイン嬢が手掛けるから価値があるとも思うのだが・・・」
急にゴニョゴニョと恥ずかしそうにしている、クロノスとイフナースは何を言い出すのやらとその落差に眉を顰め、ロキュスは単純に驚いている、ソフィアは、
「はい、では・・・そうですね、お持ち帰り頂けるように準備致しますね、そうだ、この後はどのような予定なのです?」
「うむ、午後から妃達が壁画を見に来る予定でな、それから祭り見物に行くらしい、そう言えば壁画もミナ嬢とレイン嬢が関わっていると聞いたが?」
「あー、少しばかり」
ソフィアは首を傾げて答えると、
「なるほど・・・国の宝が増えるな」
ボニファースはニコリと微笑み、イフナースはそれほどの作品かなと首を捻る、クロノスはまぁレインが絡むとそうなるだろうなと溜息を吐かざる得なかった。
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