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本編
57話 異名土鍋祭り その1
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翌日、9月10日祭日である、信仰の要となる4神が生まれた日とされ、この祭日と新年の祭りでは中心となる神は名目上存在しない、4神が同格とされるからであった、故にこの祭りは大変に盛況となる、4つの神殿がそれぞれに張り合う為であり、熱心な信者もまた我が神が一番であると譲ることが無い、その為より華美な装いや派手な催し物として平民を楽しませる、勿論のようにそれは信者の勧誘や寄進の増額を目論んでの事であるが、単純に楽しもうと思えば大変に楽しい祭りではある、しかし、見えない所では温厚で思慮深いとされる神官同士の諍いが最も多い日でもあった、担当が決まっている祭りでは他の3つの神殿は我関せずと傍観するのが習わしであり、紳士協定として暗黙の内に守られている、だがこの祭りだけは明確にしろ暗黙にしろ協定とされる約束事が無く、各神殿の競争意識はしばしば暴力行為にまで発展していた、市民はその街中で偶発的に発生する喧嘩こそこの祭りの醍醐味と楽しんでいたりもするのであるが、行政としてはたまったものでは無い、その為街の衛兵達は表面的には神官達を守るという体で、彼等を監視下に置いていたりもする、何とも奇妙な祭りであった、
「さーて、忘れ物は無いよねー」
「大丈夫です」
「ほんとかー」
ジャネットが3台の屋台を前にして同僚達に気合を入れている、普段であれば精々朝食を摂っているであろう時間であり、陽も短くなっている為に、やっと朝が始まったと感じられる頃合いであった、
「あー、ジャネット、髪飾りは?」
アニタがジャネットの髪に気付く、商会の特徴とも言える六花の髪飾りが飾られていない、他の面々の髪にはしっかりとそれは輝いていた、
「あっ、えっと、どこだっけ?」
ジャネットは慌てて腰回りを探り、指先にガラスの冷たい感触を感じて引っ張り出すと、件の髪飾りである、
「良かったー」
ホッと一息吐いたジャネットに、アニタは遠慮なくゲラゲラと嘲笑を浴びせ、リーニーやカチャーも、
「ジャネット、しっかりしてよー」
「そうだよー、寝惚けてるのー」
「顔洗う?」
と言いたい放題である、今日の屋台当番はジャネットとアニタに加えリーニーとカチャー、マフダも手伝いに加わり学生従業員も半数が参加している、リーニーとカチャーは現業を一通り経験すべきであるとしてこちらに回されており、マフダは志願しての参加である、家族に新商品やドーナッツの件を話したところ絶対に皆で行くと鼻息が荒く、これは自分も行かないと格好が付かないなとエレインとテラに頼み込んだのであった、勿論それはあっさりと認められ、マフダはホッと安堵した、店舗の方はケイスとパウラと学生従業員で終日回すこととなった、その為本日婦人部は完全に休みとなっている、祭りとなると子供を優先したいと考える者が多く、労働力が増えている事もあってこの体制となった、さらに現地ではブノワトも合流する手筈となっている、前回の祭りでしっかりと味を占めた事もあり、また、自作の細工物は当然として新商品となる鉄製の爪やすりや洗濯バサミを本格的に販売する為、それらに関して直接顧客の声を聞きたいとブノワト自身も望んでの事である、
「ええい、こういう事もあるべさー」
ジャネットは髪飾りで前髪をまとめると、フンッと鼻息を荒くし、
「うん、これで完璧」
と胸を張る、
「そうだね、じゃ、行こうか」
「おー」
アニタが微笑みつつ号令を掛け気合の入った嬌声が街路に響いた、食堂では、
「あー、ジャネットの声だー、行くってー、ねー、行くって言ってるー」
鏡の前でソフィアがレインの髪をまとめていると、その足におすましの済んだミナがしがみつき、キョロキョロと街路とソフィアの顔を見比べて何とも落ち着きが無い、
「そうねー、慌てなくても大丈夫よー」
「そうなの?ほんとに?ほんとに?」
「大丈夫、大丈夫、はい、レイン、こんな感じねー」
ソフィアがレインの髪からパッと手を離す、レインは先日の結い髪がそこそこ気に入ったらしい、若干気怠そうにしていた風であったが、ソフィアが髪を弄るかと言い出したところ、であればあれが良いと言い出し、前髪と横髪は結い上げて後ろ頭で結び、後ろ髪はそのまま後ろに垂らした、右耳の上に花の髪飾りを飾り付け、年相応のお洒落な娘の出来上がりである、
「うむ、まぁ、良しとしよう」
鏡の中でレインは満足そうに鼻を鳴らす、
「そうね、可愛いわよー」
ソフィアの笑顔に不機嫌そうな視線を向け、しかし、口元は若干嬉しそうではある、
「出来た?出来た?」
「出来たわよー、じゃ、グルジアさん後お願いねー」
「はい、じゃ、みんな行くか」
とグルジアは勢いよく腰を上げた、
「はーい」
のんびりとした、それでいて若干の興奮が感じられる返答が響きガタガタと椅子が鳴る、新入生組は完全に遊びの態勢となっていた、入学式の時に着た一張羅に身を包み、起き抜けからバタバタとお洒落に余念が無く、今もレインの支度が終わるのをミナ以上に落ち着かない様子で待っていた、何せモニケンダムでの、または都会での初めての祭りである、さらに先輩達からはその様子を過大に吹き込まれており、エレインからは何やら朝から特別な催事があるとの情報を伝えられ、それは恐らく王国でも初披露となるであろうとユーリまでもが太鼓判を押す始末であった、その催事を詳しくは聞いていないが期待に胸が高鳴るのは致し方無いと言える、
「ミナー、今日もお淑やかにするのよー」
「うん、分かってるー」
「えー、ホントにー?」
「お淑やかなの!お祭りの日は良い子なのー」
「そうなのかー」
「お淑やかって具体的にはどうなんでしょう?」
「あー、それは難しい問題だねー」
「うん、エレインさんに聞こうかな?」
「オリビアさんの方が良くない?」
「それもそうだね、厳しそうだけどなー」
「ねー」
「それと、あんまり浮かれない事、いい?変に変な事になったら楽しい事も楽しめなくなるからね、落ち着いてはしゃがずにお澄まし顔で上品になさい、慌てない事が一番大事だからね、怪我とかしたら楽しい気分がおじゃんよ」
急にソフィアの忠告が生徒達に向かい、
「はーい」
と生徒達は溌剌とした明るい声で返す、そしてその忠告をどこまで聞いているのか不安になる程にワイワイと騒ぎながら玄関へ向かった、
「まったく」
ソフィアはその背を見送って、やれやれと一息吐いた、今日は恐らくであるがのんびりできそうである、ユーリは既にブーブー言いながらも会場設営に向かい、サビナ達も休みとの事で一仕事終えた後のゾーイと三人で祭りを巡るらしい、エレインの話しによると午後から王妃達が遊びに来るらしいがそれは屋敷の方での対応となるらしく、例の壁画と光柱の見物が中心になる予定との事で、ソフィアは特に声が掛かっていない、よってそちら方面にも振り回される事は無いはずであった、ブラスからも今日の工事は休みですと昨日の内に連絡されており、つまりソフィアにとっても今日は晴れて自由の身なのであった、そうは言っても午後には生徒達は戻るであろうし、何かあればユーリか王妃達の対応で呼び出されるかもしれない、せめて今この瞬間だけでも肩に何も乗っていない無責任で自堕落な時間を楽しもう等と思って食堂に戻り、取り敢えず朝食の片付けかしらと厨房へ入った、結局何がしかと働いてしまうのが主婦の習性であり、またそれが個人に埋没する為の手段でもあったりする、それが良いのか悪いのか大変に難しい所ではあった、
「レアン様ってどんな感じの人なんですか?」
エレインとオリビアと合流し一行はのんびりと街の中心街へと向かっていた、事務所の留守番はテラのみとなる、若干手薄に感じるが何かあれば店舗対応の従業員が走る事となっていた、従業員達もまた何のかんのと慣れたものである、余程の事が無い限りは大丈夫であろうとの判断である、
「そうねー、うーん、レインちゃんとミナちゃんを足して割った感じ?」
グルジアの質問にエレインは失礼かしらと思いながらも、いつぞや聞いた記憶のある文言を頭に浮かんだそのままに口にした、
「お嬢様・・・」
オリビアがそれはどうかとエレインを睨むが、
「大丈夫よ、ユスティーナ様がそう仰って笑ってた事だから、レアン様は居なかったけどね」
「・・・そうだとしても・・・」
「そうね、でも、笑って貰えるんじゃないかな?それとも怒られるかしら?笑って怒られそうね」
「それは何とも・・・でも、想像できますね」
オリビアも渋い顔であるが認めたようである、
「えっと、それはあれですか?見た目の問題ですか?」
「あー、そういうんじゃないのよね、年齢はまだ若いから、ミナちゃんみたいに子供っぽいんだけど、レインちゃんみたいに・・・うーん、老成してる感じ?」
「子供っぽいは分かりますが、老成ですか?」
「そうね、うん、色々あってね、恐らくだけどそうやって意地を張ってたんだと思うわね、うん、詳しくは話せないんだけど、でも、そうね、大分柔らかくなった感じね・・・」
「それはまた・・・」
グルジアは何かを察しつつ、しかし詳細が分からない為に興味が沸くが、それ以上を聞くのはどうやら失礼な事であるなと判断する、
「ふふっ、ミナちゃんとレインちゃんがお友達になって、ソフィアさんのお陰だって、本人も言ってるからね、何にしろ良いお友達ですよ」
「・・・そのようですね」
グルジアは意気揚々と先頭を歩くミナを見つめる、レアンに関しては領主の娘であり伯爵家の御令嬢と説明された、そのような人物と近付きになれる事自体がグルジアのような商人としては貴重な事であるし、望んで得られる事でも無い、それをミナは当たり前の事とし、あまつさえエレインやジャネットでさえ友人のような口振りで話している、何気にグルジアの常識では測れない事ばかりで、ガラス鏡や研究所の存在を加味するとまるで別世界のような感触であった、田舎育ちであれば都会はこうだと言われれば納得してしまうであろうが、グルジアは都会育ちで、社会人経験もある、今のところは一生徒と思って甘受しているのであるが、やはりどう考えてもあまりにもあまりにもだなと感じてしまっていた、
「ま、そのうち慣れますわ」
エレインはホッホッホと機嫌良く微笑み、グルジアはハァーと溜息にも似た吐息を吐くしかなった。
「さーて、忘れ物は無いよねー」
「大丈夫です」
「ほんとかー」
ジャネットが3台の屋台を前にして同僚達に気合を入れている、普段であれば精々朝食を摂っているであろう時間であり、陽も短くなっている為に、やっと朝が始まったと感じられる頃合いであった、
「あー、ジャネット、髪飾りは?」
アニタがジャネットの髪に気付く、商会の特徴とも言える六花の髪飾りが飾られていない、他の面々の髪にはしっかりとそれは輝いていた、
「あっ、えっと、どこだっけ?」
ジャネットは慌てて腰回りを探り、指先にガラスの冷たい感触を感じて引っ張り出すと、件の髪飾りである、
「良かったー」
ホッと一息吐いたジャネットに、アニタは遠慮なくゲラゲラと嘲笑を浴びせ、リーニーやカチャーも、
「ジャネット、しっかりしてよー」
「そうだよー、寝惚けてるのー」
「顔洗う?」
と言いたい放題である、今日の屋台当番はジャネットとアニタに加えリーニーとカチャー、マフダも手伝いに加わり学生従業員も半数が参加している、リーニーとカチャーは現業を一通り経験すべきであるとしてこちらに回されており、マフダは志願しての参加である、家族に新商品やドーナッツの件を話したところ絶対に皆で行くと鼻息が荒く、これは自分も行かないと格好が付かないなとエレインとテラに頼み込んだのであった、勿論それはあっさりと認められ、マフダはホッと安堵した、店舗の方はケイスとパウラと学生従業員で終日回すこととなった、その為本日婦人部は完全に休みとなっている、祭りとなると子供を優先したいと考える者が多く、労働力が増えている事もあってこの体制となった、さらに現地ではブノワトも合流する手筈となっている、前回の祭りでしっかりと味を占めた事もあり、また、自作の細工物は当然として新商品となる鉄製の爪やすりや洗濯バサミを本格的に販売する為、それらに関して直接顧客の声を聞きたいとブノワト自身も望んでの事である、
「ええい、こういう事もあるべさー」
ジャネットは髪飾りで前髪をまとめると、フンッと鼻息を荒くし、
「うん、これで完璧」
と胸を張る、
「そうだね、じゃ、行こうか」
「おー」
アニタが微笑みつつ号令を掛け気合の入った嬌声が街路に響いた、食堂では、
「あー、ジャネットの声だー、行くってー、ねー、行くって言ってるー」
鏡の前でソフィアがレインの髪をまとめていると、その足におすましの済んだミナがしがみつき、キョロキョロと街路とソフィアの顔を見比べて何とも落ち着きが無い、
「そうねー、慌てなくても大丈夫よー」
「そうなの?ほんとに?ほんとに?」
「大丈夫、大丈夫、はい、レイン、こんな感じねー」
ソフィアがレインの髪からパッと手を離す、レインは先日の結い髪がそこそこ気に入ったらしい、若干気怠そうにしていた風であったが、ソフィアが髪を弄るかと言い出したところ、であればあれが良いと言い出し、前髪と横髪は結い上げて後ろ頭で結び、後ろ髪はそのまま後ろに垂らした、右耳の上に花の髪飾りを飾り付け、年相応のお洒落な娘の出来上がりである、
「うむ、まぁ、良しとしよう」
鏡の中でレインは満足そうに鼻を鳴らす、
「そうね、可愛いわよー」
ソフィアの笑顔に不機嫌そうな視線を向け、しかし、口元は若干嬉しそうではある、
「出来た?出来た?」
「出来たわよー、じゃ、グルジアさん後お願いねー」
「はい、じゃ、みんな行くか」
とグルジアは勢いよく腰を上げた、
「はーい」
のんびりとした、それでいて若干の興奮が感じられる返答が響きガタガタと椅子が鳴る、新入生組は完全に遊びの態勢となっていた、入学式の時に着た一張羅に身を包み、起き抜けからバタバタとお洒落に余念が無く、今もレインの支度が終わるのをミナ以上に落ち着かない様子で待っていた、何せモニケンダムでの、または都会での初めての祭りである、さらに先輩達からはその様子を過大に吹き込まれており、エレインからは何やら朝から特別な催事があるとの情報を伝えられ、それは恐らく王国でも初披露となるであろうとユーリまでもが太鼓判を押す始末であった、その催事を詳しくは聞いていないが期待に胸が高鳴るのは致し方無いと言える、
「ミナー、今日もお淑やかにするのよー」
「うん、分かってるー」
「えー、ホントにー?」
「お淑やかなの!お祭りの日は良い子なのー」
「そうなのかー」
「お淑やかって具体的にはどうなんでしょう?」
「あー、それは難しい問題だねー」
「うん、エレインさんに聞こうかな?」
「オリビアさんの方が良くない?」
「それもそうだね、厳しそうだけどなー」
「ねー」
「それと、あんまり浮かれない事、いい?変に変な事になったら楽しい事も楽しめなくなるからね、落ち着いてはしゃがずにお澄まし顔で上品になさい、慌てない事が一番大事だからね、怪我とかしたら楽しい気分がおじゃんよ」
急にソフィアの忠告が生徒達に向かい、
「はーい」
と生徒達は溌剌とした明るい声で返す、そしてその忠告をどこまで聞いているのか不安になる程にワイワイと騒ぎながら玄関へ向かった、
「まったく」
ソフィアはその背を見送って、やれやれと一息吐いた、今日は恐らくであるがのんびりできそうである、ユーリは既にブーブー言いながらも会場設営に向かい、サビナ達も休みとの事で一仕事終えた後のゾーイと三人で祭りを巡るらしい、エレインの話しによると午後から王妃達が遊びに来るらしいがそれは屋敷の方での対応となるらしく、例の壁画と光柱の見物が中心になる予定との事で、ソフィアは特に声が掛かっていない、よってそちら方面にも振り回される事は無いはずであった、ブラスからも今日の工事は休みですと昨日の内に連絡されており、つまりソフィアにとっても今日は晴れて自由の身なのであった、そうは言っても午後には生徒達は戻るであろうし、何かあればユーリか王妃達の対応で呼び出されるかもしれない、せめて今この瞬間だけでも肩に何も乗っていない無責任で自堕落な時間を楽しもう等と思って食堂に戻り、取り敢えず朝食の片付けかしらと厨房へ入った、結局何がしかと働いてしまうのが主婦の習性であり、またそれが個人に埋没する為の手段でもあったりする、それが良いのか悪いのか大変に難しい所ではあった、
「レアン様ってどんな感じの人なんですか?」
エレインとオリビアと合流し一行はのんびりと街の中心街へと向かっていた、事務所の留守番はテラのみとなる、若干手薄に感じるが何かあれば店舗対応の従業員が走る事となっていた、従業員達もまた何のかんのと慣れたものである、余程の事が無い限りは大丈夫であろうとの判断である、
「そうねー、うーん、レインちゃんとミナちゃんを足して割った感じ?」
グルジアの質問にエレインは失礼かしらと思いながらも、いつぞや聞いた記憶のある文言を頭に浮かんだそのままに口にした、
「お嬢様・・・」
オリビアがそれはどうかとエレインを睨むが、
「大丈夫よ、ユスティーナ様がそう仰って笑ってた事だから、レアン様は居なかったけどね」
「・・・そうだとしても・・・」
「そうね、でも、笑って貰えるんじゃないかな?それとも怒られるかしら?笑って怒られそうね」
「それは何とも・・・でも、想像できますね」
オリビアも渋い顔であるが認めたようである、
「えっと、それはあれですか?見た目の問題ですか?」
「あー、そういうんじゃないのよね、年齢はまだ若いから、ミナちゃんみたいに子供っぽいんだけど、レインちゃんみたいに・・・うーん、老成してる感じ?」
「子供っぽいは分かりますが、老成ですか?」
「そうね、うん、色々あってね、恐らくだけどそうやって意地を張ってたんだと思うわね、うん、詳しくは話せないんだけど、でも、そうね、大分柔らかくなった感じね・・・」
「それはまた・・・」
グルジアは何かを察しつつ、しかし詳細が分からない為に興味が沸くが、それ以上を聞くのはどうやら失礼な事であるなと判断する、
「ふふっ、ミナちゃんとレインちゃんがお友達になって、ソフィアさんのお陰だって、本人も言ってるからね、何にしろ良いお友達ですよ」
「・・・そのようですね」
グルジアは意気揚々と先頭を歩くミナを見つめる、レアンに関しては領主の娘であり伯爵家の御令嬢と説明された、そのような人物と近付きになれる事自体がグルジアのような商人としては貴重な事であるし、望んで得られる事でも無い、それをミナは当たり前の事とし、あまつさえエレインやジャネットでさえ友人のような口振りで話している、何気にグルジアの常識では測れない事ばかりで、ガラス鏡や研究所の存在を加味するとまるで別世界のような感触であった、田舎育ちであれば都会はこうだと言われれば納得してしまうであろうが、グルジアは都会育ちで、社会人経験もある、今のところは一生徒と思って甘受しているのであるが、やはりどう考えてもあまりにもあまりにもだなと感じてしまっていた、
「ま、そのうち慣れますわ」
エレインはホッホッホと機嫌良く微笑み、グルジアはハァーと溜息にも似た吐息を吐くしかなった。
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