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本編
52話 小さな出会いはアケビと共に その11
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その後協力して片付けを終え、ユスティーナとレアンは帰途に就く、ライニールが馬車で迎えに来ており、
「また明日来るぞ」
と大きく手を振ってレアンは笑顔を浮かべ、
「待ってるー」
ミナがさらに大声で答えた、学園へ光柱を見物に行く人並みが何事かと振り返るが、保護者であるソフィアが隣りに立っているのを確認し、すぐに興味を無くして視線を外す、
「さて、ミナはお休みの時間ね」
ソフィアがポンとミナの頭に手を置くと、
「やだー、皆まだなんかやってるもん」
とソフィアの手を振り切って寮へ駆け込んだ、
「まったく・・・」
とソフィアは鼻息を荒くしつつ、仕方が無いかと溜息を吐きその後を追って寮へと戻った、すると、
「あっ、ソフィアさん、油はなにがいいですか?」
食堂へ入ったソフィアに早速の質問である、
「植物油だったらなんでもいいんじゃないの?あっさりした油が良いと思うわねー」
ソフィアはのんびりと答え、
「そうですか、なら、オリーブでいいかな?」
「そうね、安いし」
「でも、高いですよ」
「比較的ってことよ」
「そうなんだー」
食堂内では寮生がこぞってドーナッツ作りである、カトカが講師役になりワイワイと楽しげであった、
「なるほど、あれですね、生地自体はスポンジケーキと大差ないですね」
「そうね、これなら慣れたものね」
「ソフィアさん曰く、黒糖はしっかり溶かして混ぜる事、それと蜂蜜でも良いらしいですよ」
「・・・なら、二つ作る?」
「そうね、甘さの調整も必要でしょうけど・・・うん、黒糖味と蜂蜜味で違いを検証したいわね、ま、明日でいいわね、今日は蜂蜜だけで」
本来はまったりと過ごす時間なのであるが、エレインがどうしてもと言い出し、ジャネットは勿論の事、テラもこれは良いと乗り気であった、丁度明日商会の給料日であり従業員全員が集まる為、その場で披露したいらしい、さらに、来月の10日には祭りがある、そこを見据えての新商品の開発も念頭にあるのだとか、ソフィアはなんとも逞しいものだと呆れるどころか感心してしまう、
「油を使うのは少々危険でしょうか」
「いえ、それこそ有効活用したいと考えていたのですよ、新しい店舗の方で、屋敷ではなく裏の店ね、そちらで油をふんだんに使った料理を提供しようかと考えていたのです、先の事になるかなと思ってましたが油料理で甘味も作れるとなれば話は変わります、従業員に油に慣れてもらう為にもこれは是非商品化しなければなりません」
「なるほど、そこまでお考えでしたか」
「そうですね、以前にもお話ししてましたね、ソフィアさんの揚げ料理は絶対に売れるって・・・」
エレインの力強い言葉をオリビアとテラは素直に受け入れ、それを横で聞いていたグルジアが目を剥いて驚いている、
「そうなのです、それはそれで別途考えようかと思っていたのですが、ドーナッツを見せられたら前倒しが必要です大変に都合が良いです」
エレインは尚鼻息が荒い、ソフィアはあー、そういう事かーと完全に他人事で微笑む、
「ですが、問題は、この魔法石のコンロですね、カトカさん何とかもう一台作る事は出来ませんでしょうか?」
「・・・どうだろう、所長と相談ですね、こちらは作るのは難しくないのですが、原料が少なくて・・・」
「そうですか・・・その原料というのは、この魔法石ですか?」
「そうですね、こちらにあるのはもう少量となってます、あー、ここで言うのはあれですが・・・基本的には向こうでの管理なので」
カトカが渋い顔で答えつつエレインでは無く、テラへと視線を合わせる、エレインはん?と少し考え、
「なるほど・・・頼む相手が違うのですね」
「そういう事です」
エレインはすぐに察して理解を示す、カトカの言う向こうとは北ヘルデルの事であろう、つまり頼む相手はユーリではなくクロノスであり、場合によってはパトリシアである、
「こんなもんかな?」
「そうだねー、カトカさん生地はこんな感じでいいですか?」
生地を捏ねていたジャネットとケイスが手を止める、その周りではルルやサレバ達がうずうずと落ち着きがない、その中には当然のようにミナが混ざりこんでいる、
「良いと思います、柔らかい程度で十分らしいので」
「分かりました、じゃ、伸ばしてくり抜くか」
「やるー、やらせてー」
ミナがピョンピョン飛び跳ねた、
「はいはい、あっ、そうだ、焼き菓子の型でつくるとどうなるんでしょう?」
ジャネットがソフィアに問う、
「いいんじゃない、面白いと思うわよ」
ソフィアはニコリと微笑むが、あっと思い出し、
「あれだ、揚げると膨らんじゃうから元の形を再現するのは難しいかも・・・」
「そっかー、膨らむのか・・・そうですよね、うん、分かる気がします」
ジャネットは先程食したドーナッツを思い出し、確かにこのまま作っていくと形が大きく変わるであろう事を想像する、
「ま、試しにやってみれば」
「そうですね、でも、基本が大事です」
生地を伸ばし終えたケイスが顔を上げ、
「そだね、うん、まずは基本を押さえよう」
「じゃ、ミナちゃん、お願いね」
「分かったー」
ミナが椅子の座面に立って腕捲りをする、その隣ではルル達もソワソワと落ち着きがない、ソフィアは今日はまだまだ長いかしらと厨房へ向かった、厨房ではユーリとサビナとレインがこちらはのんびりとアケビのジャム作りである、ユーリが鍋に向かい、レインはそれを楽しそうに覗き込んでおり、サビナはソフィアの指示に従ってアケビの皮を適当な大きさに切っては水を張った大鍋に沈めていた、
「あー、ソフィアー、ザルはどこー?」
「あ、待って、もう?」
「うん、簡単なもんよ、ほら」
ユーリが半身を避けてソフィアに鍋を確認するように促す、ソフィアはヒョイと鍋を見て、
「あら、ほんとだ、へー、これだけで分離するんだねー、不思議ー」
鍋の中には白いドロドロの物体の中に大量の黒い種がポコポコと蠢いている、ソフィアがこの場を離れる迄は鍋の中にはアケビの実の形はまだあり、大量のその実はまさに芋虫を煮込んでいるそれであった、
「ふふん、どんなもんよ」
「うわー、ムカつくわー」
「はいはい、あっ、どうする蜂蜜か黒糖入れる?何か香り付けになる果物とか」
「必要?」
「うん、甘さが足りないのよね、アケビってほらさっぱりしてるでしょ、それと香りも少ないしね、だから、うちでは蜂蜜とブドウかな?入れてたわね」
「へー、じゃどうしようかな・・・」
「ブドウならあるじゃろ」
レインが不意に口を挟む、
「いいの?」
「構わんぞ、美味くなるのであればな」
「あー、何よー、生意気ねー、この私の料理の腕を知らないくせにー」
ユーリがニヤニヤとレインを見下ろす、
「そりゃそうじゃろ、鍋に向かっているユーリは初めて見たぞ」
「あら、そうだっけ?」
「そりゃ、そうでしょ、じゃ、レイン、ブドウ貰っていい?」
「うむ、採ってくるぞ、二房もあれば良いか?」
「そうね、お願い」
「じゃ、蜂蜜はこれ」
「あっ、ありがとう」
「ザルは?」
「これでいい?」
「ん、じゃ、もう少しねー」
ユーリは鼻歌混じりで鍋に向かい、ソフィアはこれは任せていいかとサビナの隣りに座り込み、ナイフとアケビの皮を手に取った、アケビの皮は残り少なくなっていたが一人ぼうっとしているのもなんだなという感じである、
「はー、やれやれね、今日はゆっくり休めるかと思ったんだけどな・・・」
「また、そんな事言ってー、ドーナッツ美味しかったですよ」
サビナは手を動かしながらニヤついた、
「そうでしょうけど、すぐにこうなるとは思わなかったわよ、若い子達は元気があっていいわよね」
「そんな、年寄り染みた事言ってー」
「年寄なのよ、ついていくのがやっとだわ、ま、勝手にやってる分には微笑ましいけどねー」
「そうですね、エレインさん目の色変わってましたもんね」
「ねー、逞しいもんだわ」
「けしかけたのはソフィアさんでしょう、そう聞いてますよ」
「そうかもだけど、ここまでとなるとね、ま、鬱々としているよりかは遥かにましね」
「そうですね、あっ、そうだ、所長、あの話しします?」
ヒョイとサビナは顔を上げ、
「んー、何の事?」
ユーリは鍋から目を離さずに答える、
「ゾーイさんの件です」
「あー、でも、本決まりじゃないんでしょ」
「そうなんですか?」
「だって、本人の確認取れてないって言ってたじゃない」
「それもそうか」
「ん?何の事?」
「あー、ゾーイさんがね、この寮に来るかもって事ー」
「ありゃ、そりゃまたなんで?」
「職員宿舎がいっぱいなんですよ」
サビナが答える、職員宿舎とは現在カトカとサビナが住み込んでいる宿舎である、どうやらゾーイはこちらに本格的に腰を落ち着ける事が確定したらしい、
「あら、そうなの?」
「はい、なので、宿舎を増やすか、この寮に来るかと相談中らしいです」
「へー、ま、良いんじゃないの?」
ソフィアは特に考えずに適当に答える、
「いいの?もれなくロキュス大先生も毎日のように顔出すかもよ」
「えっ、マジ?」
「マジもマジ、やっぱあの先生精力的だわ、学園長も常人離れしてるけどその上を行ってるわね」
「ありゃ・・・でも、ここ女子寮よ」
「3階は研究室よ」
「あー、そういう事・・・」
「そういう事、明後日以降は私も大体こっちにいるしね、ま、なるようにしかならないわー」
ユーリがあっはっはと空笑いした所にレインがブドウを持って来る、
「ありがとう、レイン、これで美味しくなるわねー」
「うむ、楽しみじゃ」
微笑みあう珍しい取り合わせに、ソフィアは気楽なもんだわその通りなんだけど、と深く溜息を吐くしかなかった。
「また明日来るぞ」
と大きく手を振ってレアンは笑顔を浮かべ、
「待ってるー」
ミナがさらに大声で答えた、学園へ光柱を見物に行く人並みが何事かと振り返るが、保護者であるソフィアが隣りに立っているのを確認し、すぐに興味を無くして視線を外す、
「さて、ミナはお休みの時間ね」
ソフィアがポンとミナの頭に手を置くと、
「やだー、皆まだなんかやってるもん」
とソフィアの手を振り切って寮へ駆け込んだ、
「まったく・・・」
とソフィアは鼻息を荒くしつつ、仕方が無いかと溜息を吐きその後を追って寮へと戻った、すると、
「あっ、ソフィアさん、油はなにがいいですか?」
食堂へ入ったソフィアに早速の質問である、
「植物油だったらなんでもいいんじゃないの?あっさりした油が良いと思うわねー」
ソフィアはのんびりと答え、
「そうですか、なら、オリーブでいいかな?」
「そうね、安いし」
「でも、高いですよ」
「比較的ってことよ」
「そうなんだー」
食堂内では寮生がこぞってドーナッツ作りである、カトカが講師役になりワイワイと楽しげであった、
「なるほど、あれですね、生地自体はスポンジケーキと大差ないですね」
「そうね、これなら慣れたものね」
「ソフィアさん曰く、黒糖はしっかり溶かして混ぜる事、それと蜂蜜でも良いらしいですよ」
「・・・なら、二つ作る?」
「そうね、甘さの調整も必要でしょうけど・・・うん、黒糖味と蜂蜜味で違いを検証したいわね、ま、明日でいいわね、今日は蜂蜜だけで」
本来はまったりと過ごす時間なのであるが、エレインがどうしてもと言い出し、ジャネットは勿論の事、テラもこれは良いと乗り気であった、丁度明日商会の給料日であり従業員全員が集まる為、その場で披露したいらしい、さらに、来月の10日には祭りがある、そこを見据えての新商品の開発も念頭にあるのだとか、ソフィアはなんとも逞しいものだと呆れるどころか感心してしまう、
「油を使うのは少々危険でしょうか」
「いえ、それこそ有効活用したいと考えていたのですよ、新しい店舗の方で、屋敷ではなく裏の店ね、そちらで油をふんだんに使った料理を提供しようかと考えていたのです、先の事になるかなと思ってましたが油料理で甘味も作れるとなれば話は変わります、従業員に油に慣れてもらう為にもこれは是非商品化しなければなりません」
「なるほど、そこまでお考えでしたか」
「そうですね、以前にもお話ししてましたね、ソフィアさんの揚げ料理は絶対に売れるって・・・」
エレインの力強い言葉をオリビアとテラは素直に受け入れ、それを横で聞いていたグルジアが目を剥いて驚いている、
「そうなのです、それはそれで別途考えようかと思っていたのですが、ドーナッツを見せられたら前倒しが必要です大変に都合が良いです」
エレインは尚鼻息が荒い、ソフィアはあー、そういう事かーと完全に他人事で微笑む、
「ですが、問題は、この魔法石のコンロですね、カトカさん何とかもう一台作る事は出来ませんでしょうか?」
「・・・どうだろう、所長と相談ですね、こちらは作るのは難しくないのですが、原料が少なくて・・・」
「そうですか・・・その原料というのは、この魔法石ですか?」
「そうですね、こちらにあるのはもう少量となってます、あー、ここで言うのはあれですが・・・基本的には向こうでの管理なので」
カトカが渋い顔で答えつつエレインでは無く、テラへと視線を合わせる、エレインはん?と少し考え、
「なるほど・・・頼む相手が違うのですね」
「そういう事です」
エレインはすぐに察して理解を示す、カトカの言う向こうとは北ヘルデルの事であろう、つまり頼む相手はユーリではなくクロノスであり、場合によってはパトリシアである、
「こんなもんかな?」
「そうだねー、カトカさん生地はこんな感じでいいですか?」
生地を捏ねていたジャネットとケイスが手を止める、その周りではルルやサレバ達がうずうずと落ち着きがない、その中には当然のようにミナが混ざりこんでいる、
「良いと思います、柔らかい程度で十分らしいので」
「分かりました、じゃ、伸ばしてくり抜くか」
「やるー、やらせてー」
ミナがピョンピョン飛び跳ねた、
「はいはい、あっ、そうだ、焼き菓子の型でつくるとどうなるんでしょう?」
ジャネットがソフィアに問う、
「いいんじゃない、面白いと思うわよ」
ソフィアはニコリと微笑むが、あっと思い出し、
「あれだ、揚げると膨らんじゃうから元の形を再現するのは難しいかも・・・」
「そっかー、膨らむのか・・・そうですよね、うん、分かる気がします」
ジャネットは先程食したドーナッツを思い出し、確かにこのまま作っていくと形が大きく変わるであろう事を想像する、
「ま、試しにやってみれば」
「そうですね、でも、基本が大事です」
生地を伸ばし終えたケイスが顔を上げ、
「そだね、うん、まずは基本を押さえよう」
「じゃ、ミナちゃん、お願いね」
「分かったー」
ミナが椅子の座面に立って腕捲りをする、その隣ではルル達もソワソワと落ち着きがない、ソフィアは今日はまだまだ長いかしらと厨房へ向かった、厨房ではユーリとサビナとレインがこちらはのんびりとアケビのジャム作りである、ユーリが鍋に向かい、レインはそれを楽しそうに覗き込んでおり、サビナはソフィアの指示に従ってアケビの皮を適当な大きさに切っては水を張った大鍋に沈めていた、
「あー、ソフィアー、ザルはどこー?」
「あ、待って、もう?」
「うん、簡単なもんよ、ほら」
ユーリが半身を避けてソフィアに鍋を確認するように促す、ソフィアはヒョイと鍋を見て、
「あら、ほんとだ、へー、これだけで分離するんだねー、不思議ー」
鍋の中には白いドロドロの物体の中に大量の黒い種がポコポコと蠢いている、ソフィアがこの場を離れる迄は鍋の中にはアケビの実の形はまだあり、大量のその実はまさに芋虫を煮込んでいるそれであった、
「ふふん、どんなもんよ」
「うわー、ムカつくわー」
「はいはい、あっ、どうする蜂蜜か黒糖入れる?何か香り付けになる果物とか」
「必要?」
「うん、甘さが足りないのよね、アケビってほらさっぱりしてるでしょ、それと香りも少ないしね、だから、うちでは蜂蜜とブドウかな?入れてたわね」
「へー、じゃどうしようかな・・・」
「ブドウならあるじゃろ」
レインが不意に口を挟む、
「いいの?」
「構わんぞ、美味くなるのであればな」
「あー、何よー、生意気ねー、この私の料理の腕を知らないくせにー」
ユーリがニヤニヤとレインを見下ろす、
「そりゃそうじゃろ、鍋に向かっているユーリは初めて見たぞ」
「あら、そうだっけ?」
「そりゃ、そうでしょ、じゃ、レイン、ブドウ貰っていい?」
「うむ、採ってくるぞ、二房もあれば良いか?」
「そうね、お願い」
「じゃ、蜂蜜はこれ」
「あっ、ありがとう」
「ザルは?」
「これでいい?」
「ん、じゃ、もう少しねー」
ユーリは鼻歌混じりで鍋に向かい、ソフィアはこれは任せていいかとサビナの隣りに座り込み、ナイフとアケビの皮を手に取った、アケビの皮は残り少なくなっていたが一人ぼうっとしているのもなんだなという感じである、
「はー、やれやれね、今日はゆっくり休めるかと思ったんだけどな・・・」
「また、そんな事言ってー、ドーナッツ美味しかったですよ」
サビナは手を動かしながらニヤついた、
「そうでしょうけど、すぐにこうなるとは思わなかったわよ、若い子達は元気があっていいわよね」
「そんな、年寄り染みた事言ってー」
「年寄なのよ、ついていくのがやっとだわ、ま、勝手にやってる分には微笑ましいけどねー」
「そうですね、エレインさん目の色変わってましたもんね」
「ねー、逞しいもんだわ」
「けしかけたのはソフィアさんでしょう、そう聞いてますよ」
「そうかもだけど、ここまでとなるとね、ま、鬱々としているよりかは遥かにましね」
「そうですね、あっ、そうだ、所長、あの話しします?」
ヒョイとサビナは顔を上げ、
「んー、何の事?」
ユーリは鍋から目を離さずに答える、
「ゾーイさんの件です」
「あー、でも、本決まりじゃないんでしょ」
「そうなんですか?」
「だって、本人の確認取れてないって言ってたじゃない」
「それもそうか」
「ん?何の事?」
「あー、ゾーイさんがね、この寮に来るかもって事ー」
「ありゃ、そりゃまたなんで?」
「職員宿舎がいっぱいなんですよ」
サビナが答える、職員宿舎とは現在カトカとサビナが住み込んでいる宿舎である、どうやらゾーイはこちらに本格的に腰を落ち着ける事が確定したらしい、
「あら、そうなの?」
「はい、なので、宿舎を増やすか、この寮に来るかと相談中らしいです」
「へー、ま、良いんじゃないの?」
ソフィアは特に考えずに適当に答える、
「いいの?もれなくロキュス大先生も毎日のように顔出すかもよ」
「えっ、マジ?」
「マジもマジ、やっぱあの先生精力的だわ、学園長も常人離れしてるけどその上を行ってるわね」
「ありゃ・・・でも、ここ女子寮よ」
「3階は研究室よ」
「あー、そういう事・・・」
「そういう事、明後日以降は私も大体こっちにいるしね、ま、なるようにしかならないわー」
ユーリがあっはっはと空笑いした所にレインがブドウを持って来る、
「ありがとう、レイン、これで美味しくなるわねー」
「うむ、楽しみじゃ」
微笑みあう珍しい取り合わせに、ソフィアは気楽なもんだわその通りなんだけど、と深く溜息を吐くしかなかった。
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