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本編
51話 宴の始末 その7
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それから厨房ではクレオの一時の調理が始まり、
「あー、ちょっと寮見て来るね」
とジャネットが寮へ戻ると、すぐにミナとレインを連れて戻ってきた、ミナはやはりどこか暗い顔であったが、厨房と言わず事務所と言わず充満する甘い香りにソワソワとし始め、型抜き作業が始まると、
「ニャンコ、ミナ、ニャンコやる」
「えー、早い者勝ち?、じゃ、私はどれにしようかなー」
「ルルはこれ、ワンコ」
「ワンコ?ワンコは犬よね・・・これワンコなの?」
「そうなの、タレ耳のワンコなの、で、コミンは、これ、サレバはこれ、グルジアはこれー、レスタはこれー、レインはこれー」
「これは星?」
「あっ、お花かな?」
「蝶々だー嬉しー」
「・・・葉っぱなのかなこれ?」
「まったく、現金なものじゃのう」
それぞれに型を押しつけると、自分は猫の型を確保して、
「やって見せるから見てるのー」
つま先立ちで作業台に手を伸ばし、グルジアによって伸ばされた生地から次々と型を抜いていく、
「おぉー、ミナちゃん上手ー」
「うふふ、ニャンコは任せて、簡単だからみんなやるのー」
「はいはい、じゃ、どうしようか2人ずつくらいでやりますか」
やはりというべきかグルジアが作業の中心となっている、年齢的なものも大きいが社会経験のあるグルジアはこういった作業でも頼りになる、どのような簡単な作業でも中心となる人物はどうしても必要であり、そういう人物がいた方が円滑に進むものである、さらに、寮の先輩であるジャネットすらねーさん呼びで慕いだしたグルジアの言う事である、他の新入生も異論無くその指示に従っていた、しかし、グルジアはこういった作業にはそれほど慣れてはいない、何となく状況を見ながら指示しているだけであった、だが、それで充分であったりする、
「そんで、そんで、お目目はこの丸でお鼻はバツなのー」
「なるほど・・・」
「わ、可愛いなー、いいなーニャンコ、私も作りたいなー」
「むー、分かった・・・ニャンコはミナのだけど、特別に許す」
「キャー、ありがとうミナちゃん、優しいねー」
「でも、可愛く作るのー、可愛くないとやり直しなのー」
「そっかー、厳しいなー」
「そうなの、お菓子作りは厳しいの」
「えー、とっても楽しいよー」
「楽しいけど厳しいのー」
ミナが加わった事により厨房はより明るい歓声が飛び交う、ジャネットはやっぱ子供は偉大だなーと関心しつつカスタードクリームを仕上げると、
「あっ、ちゃんとあれだ、二つ組みになるように数えながら作ってねー」
と注意点も忘れない、
「あっ、そうですよね、2枚合わせにするんですもんね」
「そうそう、余っちゃってもいいけど、そしたらそしたで食べるだけなんだけどさー」
「それは何か寂しいですよー」
「まぁね、焼き菓子だけでも美味しいんだけどねー、折角だしねー」
「それもそうですね」
「蝶々は模様を入れても可愛いのよー」
「あっ、そうか、それも面白そう」
「ワンコはどうするの?」
「ワンコはこれー、三角でお鼻にするのー」
「おおー、なるほどー」
和気藹々と作業は進み、抜かれた生地は次々と焼き上げられ、さらにルルの手によってカスタードを挟んだそれが出来上がると、
「完成ー、ミナっちどう?」
ジャネットがルルから渡された一枚目を得意そうにミナへ差し出した、ミナはしげしげとその裏と表を確認し、
「む・・・色も厚さも良い感じ・・・うん、合格ー」
「もー、ミナちゃん厳しいなー」
仕上げを担当したルルがホッと一息吐いた、硬い焼き菓子に柔らかいカスタードクリームを塗りつけるのであるが、これが予想以上に難しく慣れが必要な作業のようである、その為、ジャネットに確認しながら思考錯誤しつつの作業となってしまい妙に時間がかかってしまった、しかし、それだけの価値はあったようである、
「合格かー、やったねー」
「いえー」
サレバとコミンが片手を高々と上げてその手を打ち合った、パンッという明るい音が響き、
「わっ、何それ、カッコイイ」
「えへへー、うちの田舎だと上手くいったらやるんですよー」
「いいなー、ミナっちもやろう」
「どうやるのー」
「えっとねー、片手でも両手でもいいから頭より上に上げて、それで気持ちを合わせてこうです」
サレバが目配せし、コミンがサッと両手を上げた、ニヤリと微笑んだサレバがこちらもサッと両手を上げると、再びパンッと気持ちの良い手拍子の音が響く、
「えっと、こう?」
恐る恐るとミナは小麦粉塗れの両手を上げ、ジャネットが低いなーと思いつつもその手に両手を合わせた、パンッとこちらも子気味よい音が響き、
「おお、何か気持ちいい」
「うん、楽しいー、ルルもー」
ミナは両手を上げて隣りに立つルルに向かい、
「じゃ、私は、レスタとー」
ジャネットとミナはその場にいる全員とハイタッチを繰り返し、その度に歓声が巻き起こった、そしてそれぞれが手の届く範囲でハイタッチを繰り返す、手に付着していた小麦粉が舞い散る中、心からの笑い声が厨房を満たす、しかし、
「こりゃ、焦げるぞ」
ミナとレインがハイタッチを終えた瞬間に、レインの厳しい声が飛んだ、
「あっ、やべ」
「そうだったー」
ジャネットとルルが慌てて溶岩板に取り付き、さらに大きな笑い声が起こる、
「楽しいな・・・えへへ」
レスタが静かに呟いた、同年代の友達が居なかったレスタとしては夢にも見れなかった眩しい程の状況であった、兄達が大声を上げながら山野を駆け回り、時々怒られながらも汚れた顔で輝くような笑顔を浮かべているのをいつも羨ましそうに眺めていたのであるが、今正にあの輝くような笑顔を自分も浮かべているのであろうかと考えてしまう、どうにもレスタの悪い癖なのであるが、どうしても自分を一歩引いて観察してしまうのであった、それは親に褒められた時も叱られた時も嬉しい時も泣いている時もそうであった、自分がどう見えているかとか回りの人間はどう見ているかとか、何故自分はそうしているのかとか、こうすれば何が変わるのだろうかとか、この行為に意味はあったのであろうかとか、ただ素直に感情を吐き出せば良い事には薄々気付いているのであるが素直にそう出来ない性分なのである、思慮深いとも観察力があるとも異なった意味合いのそれはレスタとしては幼少期からの癖であり、他人は感情を発露している時にどう考えているのかと勘繰った事もあったが、そのような会話が成立する相手はおらず、両親にも兄弟にも相談していない、故に自分が特殊であるか普通であるかの判断基準も持ち合わせていなかった、恐らくこの場で話題に出したら、グルジアあたりにめんどくさい性格ねと笑い飛ばされた事であろう、大人から見ればその程度の事なのであるが、レスタは自分のこの性分への対処の仕方を未だ理解していなかった、
「そうですね、楽しいですね」
グルジアも心の底から湧き上がる笑顔を抑えられずにいた、そしてそれを素直に表に出している事を幸せに感じている、実家ではどうしても暗く陰鬱としていたし、本人もそうであるが周りがそうすべきとする見えない圧力もあった、家族はそれを危惧していたが、旦那を喪って間もない状態では外面的にも何ともしようのない事でもあったのである、しかし、今日この場でやっと久しぶりに自然な笑顔を取り戻した感がある、高が菓子作りなのであるが、同年代の女性達で一つの事に取り組む事等グルジアとしては初めての行為であった、ルルやサレバ達は田舎育ちという事もあり、祭りの準備や村総出で行う植え付けと刈入れの時は駆り出される事が常であり、そうなると当然であるが子供達で出来る仕事を割り振られ、キャーキャーと騒ぎつつ怒られながら事に当たった、田舎では子供達も立派な労働力なのである、しかし都会育ちで商家のお嬢様であったグルジアは集団で何かをやる経験は少なかった、あったとしてもそれはより年嵩の身内と一緒であったり、商売関係や嫁ぎ先での嫁としての立場を纏った集まりであった、つまりある程度片意地を張らなければならない場所が多かったのである、故にグルジアは思う、この場のように純粋で他意の無い笑顔に包まれるのは貴重な事なのかもしれない、学問を志した自分の選択はこんな些細な事も含めて間違っていなかったと、
「あ、そうだ、この生地使い切っちゃっていいんですか?」
「いいよー」
「そんなに焼きます?」
「そのつもりー、ほら、ルルさんのお土産もだけど、みんなで食べる分も作っちゃっおうって、エレイン会長が言ってたからねー」
「わっ、嬉しいですー」
「ふふん、じゃ、どうしようか、いっぱい作ってみんなでお茶にしようか」
ジャネットが軽い感じで言い放ち、
「はーい」
より明るい歓声が厨房に満ちたのであった。
「あー、ちょっと寮見て来るね」
とジャネットが寮へ戻ると、すぐにミナとレインを連れて戻ってきた、ミナはやはりどこか暗い顔であったが、厨房と言わず事務所と言わず充満する甘い香りにソワソワとし始め、型抜き作業が始まると、
「ニャンコ、ミナ、ニャンコやる」
「えー、早い者勝ち?、じゃ、私はどれにしようかなー」
「ルルはこれ、ワンコ」
「ワンコ?ワンコは犬よね・・・これワンコなの?」
「そうなの、タレ耳のワンコなの、で、コミンは、これ、サレバはこれ、グルジアはこれー、レスタはこれー、レインはこれー」
「これは星?」
「あっ、お花かな?」
「蝶々だー嬉しー」
「・・・葉っぱなのかなこれ?」
「まったく、現金なものじゃのう」
それぞれに型を押しつけると、自分は猫の型を確保して、
「やって見せるから見てるのー」
つま先立ちで作業台に手を伸ばし、グルジアによって伸ばされた生地から次々と型を抜いていく、
「おぉー、ミナちゃん上手ー」
「うふふ、ニャンコは任せて、簡単だからみんなやるのー」
「はいはい、じゃ、どうしようか2人ずつくらいでやりますか」
やはりというべきかグルジアが作業の中心となっている、年齢的なものも大きいが社会経験のあるグルジアはこういった作業でも頼りになる、どのような簡単な作業でも中心となる人物はどうしても必要であり、そういう人物がいた方が円滑に進むものである、さらに、寮の先輩であるジャネットすらねーさん呼びで慕いだしたグルジアの言う事である、他の新入生も異論無くその指示に従っていた、しかし、グルジアはこういった作業にはそれほど慣れてはいない、何となく状況を見ながら指示しているだけであった、だが、それで充分であったりする、
「そんで、そんで、お目目はこの丸でお鼻はバツなのー」
「なるほど・・・」
「わ、可愛いなー、いいなーニャンコ、私も作りたいなー」
「むー、分かった・・・ニャンコはミナのだけど、特別に許す」
「キャー、ありがとうミナちゃん、優しいねー」
「でも、可愛く作るのー、可愛くないとやり直しなのー」
「そっかー、厳しいなー」
「そうなの、お菓子作りは厳しいの」
「えー、とっても楽しいよー」
「楽しいけど厳しいのー」
ミナが加わった事により厨房はより明るい歓声が飛び交う、ジャネットはやっぱ子供は偉大だなーと関心しつつカスタードクリームを仕上げると、
「あっ、ちゃんとあれだ、二つ組みになるように数えながら作ってねー」
と注意点も忘れない、
「あっ、そうですよね、2枚合わせにするんですもんね」
「そうそう、余っちゃってもいいけど、そしたらそしたで食べるだけなんだけどさー」
「それは何か寂しいですよー」
「まぁね、焼き菓子だけでも美味しいんだけどねー、折角だしねー」
「それもそうですね」
「蝶々は模様を入れても可愛いのよー」
「あっ、そうか、それも面白そう」
「ワンコはどうするの?」
「ワンコはこれー、三角でお鼻にするのー」
「おおー、なるほどー」
和気藹々と作業は進み、抜かれた生地は次々と焼き上げられ、さらにルルの手によってカスタードを挟んだそれが出来上がると、
「完成ー、ミナっちどう?」
ジャネットがルルから渡された一枚目を得意そうにミナへ差し出した、ミナはしげしげとその裏と表を確認し、
「む・・・色も厚さも良い感じ・・・うん、合格ー」
「もー、ミナちゃん厳しいなー」
仕上げを担当したルルがホッと一息吐いた、硬い焼き菓子に柔らかいカスタードクリームを塗りつけるのであるが、これが予想以上に難しく慣れが必要な作業のようである、その為、ジャネットに確認しながら思考錯誤しつつの作業となってしまい妙に時間がかかってしまった、しかし、それだけの価値はあったようである、
「合格かー、やったねー」
「いえー」
サレバとコミンが片手を高々と上げてその手を打ち合った、パンッという明るい音が響き、
「わっ、何それ、カッコイイ」
「えへへー、うちの田舎だと上手くいったらやるんですよー」
「いいなー、ミナっちもやろう」
「どうやるのー」
「えっとねー、片手でも両手でもいいから頭より上に上げて、それで気持ちを合わせてこうです」
サレバが目配せし、コミンがサッと両手を上げた、ニヤリと微笑んだサレバがこちらもサッと両手を上げると、再びパンッと気持ちの良い手拍子の音が響く、
「えっと、こう?」
恐る恐るとミナは小麦粉塗れの両手を上げ、ジャネットが低いなーと思いつつもその手に両手を合わせた、パンッとこちらも子気味よい音が響き、
「おお、何か気持ちいい」
「うん、楽しいー、ルルもー」
ミナは両手を上げて隣りに立つルルに向かい、
「じゃ、私は、レスタとー」
ジャネットとミナはその場にいる全員とハイタッチを繰り返し、その度に歓声が巻き起こった、そしてそれぞれが手の届く範囲でハイタッチを繰り返す、手に付着していた小麦粉が舞い散る中、心からの笑い声が厨房を満たす、しかし、
「こりゃ、焦げるぞ」
ミナとレインがハイタッチを終えた瞬間に、レインの厳しい声が飛んだ、
「あっ、やべ」
「そうだったー」
ジャネットとルルが慌てて溶岩板に取り付き、さらに大きな笑い声が起こる、
「楽しいな・・・えへへ」
レスタが静かに呟いた、同年代の友達が居なかったレスタとしては夢にも見れなかった眩しい程の状況であった、兄達が大声を上げながら山野を駆け回り、時々怒られながらも汚れた顔で輝くような笑顔を浮かべているのをいつも羨ましそうに眺めていたのであるが、今正にあの輝くような笑顔を自分も浮かべているのであろうかと考えてしまう、どうにもレスタの悪い癖なのであるが、どうしても自分を一歩引いて観察してしまうのであった、それは親に褒められた時も叱られた時も嬉しい時も泣いている時もそうであった、自分がどう見えているかとか回りの人間はどう見ているかとか、何故自分はそうしているのかとか、こうすれば何が変わるのだろうかとか、この行為に意味はあったのであろうかとか、ただ素直に感情を吐き出せば良い事には薄々気付いているのであるが素直にそう出来ない性分なのである、思慮深いとも観察力があるとも異なった意味合いのそれはレスタとしては幼少期からの癖であり、他人は感情を発露している時にどう考えているのかと勘繰った事もあったが、そのような会話が成立する相手はおらず、両親にも兄弟にも相談していない、故に自分が特殊であるか普通であるかの判断基準も持ち合わせていなかった、恐らくこの場で話題に出したら、グルジアあたりにめんどくさい性格ねと笑い飛ばされた事であろう、大人から見ればその程度の事なのであるが、レスタは自分のこの性分への対処の仕方を未だ理解していなかった、
「そうですね、楽しいですね」
グルジアも心の底から湧き上がる笑顔を抑えられずにいた、そしてそれを素直に表に出している事を幸せに感じている、実家ではどうしても暗く陰鬱としていたし、本人もそうであるが周りがそうすべきとする見えない圧力もあった、家族はそれを危惧していたが、旦那を喪って間もない状態では外面的にも何ともしようのない事でもあったのである、しかし、今日この場でやっと久しぶりに自然な笑顔を取り戻した感がある、高が菓子作りなのであるが、同年代の女性達で一つの事に取り組む事等グルジアとしては初めての行為であった、ルルやサレバ達は田舎育ちという事もあり、祭りの準備や村総出で行う植え付けと刈入れの時は駆り出される事が常であり、そうなると当然であるが子供達で出来る仕事を割り振られ、キャーキャーと騒ぎつつ怒られながら事に当たった、田舎では子供達も立派な労働力なのである、しかし都会育ちで商家のお嬢様であったグルジアは集団で何かをやる経験は少なかった、あったとしてもそれはより年嵩の身内と一緒であったり、商売関係や嫁ぎ先での嫁としての立場を纏った集まりであった、つまりある程度片意地を張らなければならない場所が多かったのである、故にグルジアは思う、この場のように純粋で他意の無い笑顔に包まれるのは貴重な事なのかもしれない、学問を志した自分の選択はこんな些細な事も含めて間違っていなかったと、
「あ、そうだ、この生地使い切っちゃっていいんですか?」
「いいよー」
「そんなに焼きます?」
「そのつもりー、ほら、ルルさんのお土産もだけど、みんなで食べる分も作っちゃっおうって、エレイン会長が言ってたからねー」
「わっ、嬉しいですー」
「ふふん、じゃ、どうしようか、いっぱい作ってみんなでお茶にしようか」
ジャネットが軽い感じで言い放ち、
「はーい」
より明るい歓声が厨房に満ちたのであった。
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