472 / 1,062
本編
49話 Attack on the Gakuentyo その3
しおりを挟む
ユーリは最後に残ったトレーを手にして朝食を済ませると、ケイスが気を利かせて淹れてくれた茶を口にして、
「あー、目が覚めたわー」
と伸びをしながら大きく息を吐き出した、
「もー、折角イイ感じで話してたのにー」
「そうですよー」
ジャネットとケイスは未だお冠である、
「えー、別にいいでしょー、休みなんだらゆっくりさせてよー」
「それはいいですけど、だらしなさ過ぎますよー」
「そうです、せめてみんなと同じ時間に朝食摂りましょうよ」
「えー、ケイスさんが言うのは分かるけどー、ジャネットさんに言われるとはなー」
「えーじゃないです」
「そうだよー」
ユーリ相手に一歩も引かない二人に、新入生3人はいいのかなと思いつつも羨ましそうにそのやりとりを眺めている、そこへ、
「あら、ユーリ起きたの?」
朝食の片付けを終えたソフィアが厨房から顔を出した、
「まぁねー、あっ、これから学園行くけど、あんたも来なさい」
ユーリはソフィアの顔を見た瞬間に仕事の話しのようである、楽しそうにふざけ合っていたジャネットとケイスはあらっと肩を落とした、
「?いいけど何かあった?」
「修練場の準備」
「あっ、そうね、やっちゃう?」
「明日だと忙しいわよ」
「それもそうね・・・うん、分かった」
「ん、じゃ、どうしようかな、せめて顔は洗うか」
ユーリはよいせと腰を上げ、ソフィアはではどうするかと考えつつ、
「うーんと、ジャネットさんとケイスさんは仕事?」
と、まだユーリに文句を言い足りないふうの二人を視界に捕らえる、
「留守番ならやりますよー」
ケイスが察して志願し、
「あ、私も大丈夫です」
ジャネットもそういう事かと小さく手を上げた、
「なら、お願いできるかしら?正午迄には戻れると思うけど、ダナさんが来たら対応お願いね」
「はい、あっ、でも学園に行くならダナさんに一言言っておけばいいんじゃないですか?」
ジャネットの当然の意見である、ソフィアは、
「それもそうね・・・うん、じゃ取り敢えずあれだ、留守番だけお願い」
ニコリと微笑み、二人は了解ですと笑顔で答えた。
「で、ここが修練場」
ユーリの案内でソフィアとミナとレインは人気の無い学園内を歩き、研究棟とは反対側にある赤土が踏み固められた広場の端に立った、それは学園の敷地の半分程度を占める運動場となっており、周囲は背の高い樹木と学園の建物で囲われている、その為街中にあってそこだけ隔絶された空間となっており、何とも特別感が醸し出されたある意味異質な空間となっていた、
「わー、ひろーい」
ミナはその一望に目をランランと輝かせ、
「ほう、これは良いのう」
レインも何が良いのか具体的には分からないが楽しそうである、
「ま、こんだけ広ければ多少何かあっても何とかなるだろうしね、どう?」
「どう?って言われてもだけど、うん、何とかなるんじゃない?」
ユーリの適当な確認にソフィアも適当に返しつつ、
「どうしようか、じゃ、中央付近に結界作っちゃう?」
「そうね、あっ、まって、あの旗が真ん中なんだって」
ユーリが指差す先には確かに棒が一本立っていた、風が無い為に旗かどうかの判別は難しかったがユーリがそう言うのであるなら、あれは旗なのであろう、
「へー、もしかして行軍演習とかもするの?」
「やるみたいよー、ま、せいぜい百人規模ね、学生の数がそんなでも無いし、軍の施設はもっと大きいでしょ」
「そうなんだ・・・でも、面白そうだね」
「まぁね、見てる分には面白いけど、本職とは全然違うわよ、クロノスがグチグチ言ってたけどそりゃ本職と比べちゃ駄目よね」
ユーリはヤレヤレと肩を竦めた、
「そうなの?」
「そりゃそうでしょ、向こうはだって軍役だもの、日がな一日訓練に明け暮れているのよ、学問半分で根性の入ってない学生が真似できる訳ないわ」
「随分辛辣ね」
「そりゃそうよ、現場研修でもそうだったけど、実戦を経験してない講師が多くてね、どうにも甘いのよ、正直な所この学園で変に自信を付けられても、世の中に出たときに苦労するんじゃないかって心配してるくらいにね」
「あら・・・それって結構な問題じゃない?」
「そうなんだけどね・・・今のところは何とかなっているみたいだからいいんだけど、ま、上級兵士は基本文官だしね、いきなり指揮官に就くわけではないらしいからいいんだけどさ、それも含めて向こうではしっかり対応しているみたいだし、軍の側で上手い事やっているのであればそれが一番よね」
「まぁね、軍か・・・効率第一よね」
「そ、で、現実主義で現場主義、命かかってるんだもん、当然よね」
「確かにね、ま、いいわ、で、どうする?」
ソフィアは修練場へと視線を戻す、すると、
「ソフィー」
ミナがソフィアを見上げた、ウズウズと身体を揺らし、今にも走り出しそうである、
「あー、いいけど怪我しないようにね」
ソフィアはそりゃこうなるわよねとミナを見下ろし、
「わかったー」
ミナはピョンと飛び跳ね一目散に駆け出した、特に何を目指しているわけではない様子で、旗とされる棒まで走り一度足を止めるとキョロキョロしながらソフィアに大きく手を振って、ソフィアが振り返すのを確認すらせず、そのまま対面へと駆け出す、
「あー、元気ねー」
「そうねー、広くて平らな土地って何気に貴重よね」
「そりゃそうでしょ、こんだけ広かったら田舎だと畑にしちゃうじゃない」
「それもそうよねー」
「街中だと集合住宅になっちゃうだろうしね」
「そういうもんかー」
「そういうもんでしょ」
ユーリとソフィアは適当な事を言いながら広場の中心迄歩を進めると、
「じゃ、ここでいいかしら?」
「そうね、じゃ、形状から考える?」
「今回は殿下の魔法を抑え込むのが目的だからね、どうすればいいかな?やっぱり普通に4面で壁を張る感じ?」
「うーん、それだと殿下本人が危ないのよね」
ユーリとソフィアは旗を中心にしてどうしたものかと案を出し合い、レインはそのすぐ側で何でもない赤土をサンダルの先で掘りいじっくて、どういうわけだか満足そうにニヤつきながらも二人の会話をしっかりと耳に入れている、そして、ミナは飽きたのか疲れたのか、はたまたどちらもであろうか満足した顔で二人の元に戻ってきて、
「ソフィー、楽しかったー」
ただ走り回っただけなのであるが満面の笑みでソフィアを見上げる、
「そっか、良かったわね」
「うん、広いねー、ねー、タロウとやったオニゴッコやろー」
「えっ、ここで?」
「ここでー」
「あー、私が駄目だわ、それにお仕事が先ね」
「ぶー、お仕事?」
「そうよ、レインと適当に散歩してきて」
「むー、分かったー」
ミナは不満顔でレインの元に行き、二人は取り敢えずとブラブラと歩き出す、ソフィアはその背を見ながら、
「そうね、漏斗型にして上空に逃がしましょうか・・・」
なんとなく思い付いた事を口にした、
「漏斗型?あー、でもあれって・・・威力を上げる為でしょ?」
「そう、だからその逆・・・で、光の魔法だと明るさと熱に対処すればいいはずだから・・・上下を逆さにして起点から開いている方に力を流す?」
「・・・なるほど、力を上空に拡散するって事?」
「そうね、で、前にやったのとは逆の方向性を与えてあげればそうなるはず・・・殿下にはその起点に向かって魔法を使って貰って・・・うん、試しに作ってみましょうか」
ソフィアは周囲と上空を確認しつつ中心点を旗の直上に定め、何事かをブツブツと呟きつつ両手に魔法の力場を作り出し、その両手を翳してゆっくりと旗の周りを一周した、
「ふう、こんなもんかしら?」
「はぁ・・・もう、どうしてそんな簡単にやって見せるかな・・・」
一息吐いたソフィアにユーリは溜息交じりで呆れている、
「ありゃ?何か変?」
「変ではないわよ、あんたは変だけど」
「なによそれ・・・」
「まったく、宝の持ち腐れとはあんたの事だわ、久しぶりに見たけど、どうしてこうも想像通りに作れるかな・・・」
ユーリはフルフルと頭を振って呆れ顔である、ユーリが感知する限り、旗の直上には巨大な逆さの円錐形をした結界がドカンと形成されていた、実に巨大であり陽光を受けて七色に輝いて見える、
「あら、なら良い感じなのかしら?」
ソフィアは首を傾げて微笑む、ソフィア自身には結界の姿は見えていない、ソフィアは魔力を形成し扱う事には長けているが、魔力感知についてはユーリの方が遥かに優れており、目の前に作り上げた結界をソフィアは朧げに感じる程度でありユーリのように詳細に視覚で捉えることは出来ていなかった、
「そうね、それに薄くても重みがあるわね、かなり堅固よそれに上方への流動もしっかり出来てるわ」
ユーリはなるほど漏斗状になっているわねと感心しながら見上げ、
「そ、じゃ、どうしようかしら?試して見る?」
「そうね」
ユーリは一歩進み出ると旗のすぐ上、円錐形の先端部分に光の魔法を放った、ユーリなりに遠慮の無い一撃である、光の魔法が細い管の中に顕現したと思った瞬間、ボンと大きな破裂音が響き光は一瞬螺旋状に蠢きあっという間に虚空へと吸い上げられ拡散霧散して消失した、
「おお、良い感じじゃない」
ソフィアが楽しそうに微笑み、ミナとレインが気付いてこちらに駆け寄ってくる、
「そうみたいね、うん、結構力を込めた一発だったんだけどな・・・簡単に消されちゃった」
ユーリは残念そうに虚空を睨みつける、
「なに?なにやったのー」
ミナがソフィアの足に縋りついた、
「うふふ、ちょっとした実験かしら?」
「ジッケン?」
「そうよ、もう少しやるから待っててね」
ソフィアはミナの頭を優しく撫でつけ、
「じゃ、どうしようか、結界の中心はこれでいいとして」
「そうね、じゃ、私はこいつを補強するわ」
「ん、お願い」
ユーリは虚空を睨みながらブツブツと呟き始め、ソフィアはさて他には何が必要かしらと思考を巡らせ始めた。
「あー、目が覚めたわー」
と伸びをしながら大きく息を吐き出した、
「もー、折角イイ感じで話してたのにー」
「そうですよー」
ジャネットとケイスは未だお冠である、
「えー、別にいいでしょー、休みなんだらゆっくりさせてよー」
「それはいいですけど、だらしなさ過ぎますよー」
「そうです、せめてみんなと同じ時間に朝食摂りましょうよ」
「えー、ケイスさんが言うのは分かるけどー、ジャネットさんに言われるとはなー」
「えーじゃないです」
「そうだよー」
ユーリ相手に一歩も引かない二人に、新入生3人はいいのかなと思いつつも羨ましそうにそのやりとりを眺めている、そこへ、
「あら、ユーリ起きたの?」
朝食の片付けを終えたソフィアが厨房から顔を出した、
「まぁねー、あっ、これから学園行くけど、あんたも来なさい」
ユーリはソフィアの顔を見た瞬間に仕事の話しのようである、楽しそうにふざけ合っていたジャネットとケイスはあらっと肩を落とした、
「?いいけど何かあった?」
「修練場の準備」
「あっ、そうね、やっちゃう?」
「明日だと忙しいわよ」
「それもそうね・・・うん、分かった」
「ん、じゃ、どうしようかな、せめて顔は洗うか」
ユーリはよいせと腰を上げ、ソフィアはではどうするかと考えつつ、
「うーんと、ジャネットさんとケイスさんは仕事?」
と、まだユーリに文句を言い足りないふうの二人を視界に捕らえる、
「留守番ならやりますよー」
ケイスが察して志願し、
「あ、私も大丈夫です」
ジャネットもそういう事かと小さく手を上げた、
「なら、お願いできるかしら?正午迄には戻れると思うけど、ダナさんが来たら対応お願いね」
「はい、あっ、でも学園に行くならダナさんに一言言っておけばいいんじゃないですか?」
ジャネットの当然の意見である、ソフィアは、
「それもそうね・・・うん、じゃ取り敢えずあれだ、留守番だけお願い」
ニコリと微笑み、二人は了解ですと笑顔で答えた。
「で、ここが修練場」
ユーリの案内でソフィアとミナとレインは人気の無い学園内を歩き、研究棟とは反対側にある赤土が踏み固められた広場の端に立った、それは学園の敷地の半分程度を占める運動場となっており、周囲は背の高い樹木と学園の建物で囲われている、その為街中にあってそこだけ隔絶された空間となっており、何とも特別感が醸し出されたある意味異質な空間となっていた、
「わー、ひろーい」
ミナはその一望に目をランランと輝かせ、
「ほう、これは良いのう」
レインも何が良いのか具体的には分からないが楽しそうである、
「ま、こんだけ広ければ多少何かあっても何とかなるだろうしね、どう?」
「どう?って言われてもだけど、うん、何とかなるんじゃない?」
ユーリの適当な確認にソフィアも適当に返しつつ、
「どうしようか、じゃ、中央付近に結界作っちゃう?」
「そうね、あっ、まって、あの旗が真ん中なんだって」
ユーリが指差す先には確かに棒が一本立っていた、風が無い為に旗かどうかの判別は難しかったがユーリがそう言うのであるなら、あれは旗なのであろう、
「へー、もしかして行軍演習とかもするの?」
「やるみたいよー、ま、せいぜい百人規模ね、学生の数がそんなでも無いし、軍の施設はもっと大きいでしょ」
「そうなんだ・・・でも、面白そうだね」
「まぁね、見てる分には面白いけど、本職とは全然違うわよ、クロノスがグチグチ言ってたけどそりゃ本職と比べちゃ駄目よね」
ユーリはヤレヤレと肩を竦めた、
「そうなの?」
「そりゃそうでしょ、向こうはだって軍役だもの、日がな一日訓練に明け暮れているのよ、学問半分で根性の入ってない学生が真似できる訳ないわ」
「随分辛辣ね」
「そりゃそうよ、現場研修でもそうだったけど、実戦を経験してない講師が多くてね、どうにも甘いのよ、正直な所この学園で変に自信を付けられても、世の中に出たときに苦労するんじゃないかって心配してるくらいにね」
「あら・・・それって結構な問題じゃない?」
「そうなんだけどね・・・今のところは何とかなっているみたいだからいいんだけど、ま、上級兵士は基本文官だしね、いきなり指揮官に就くわけではないらしいからいいんだけどさ、それも含めて向こうではしっかり対応しているみたいだし、軍の側で上手い事やっているのであればそれが一番よね」
「まぁね、軍か・・・効率第一よね」
「そ、で、現実主義で現場主義、命かかってるんだもん、当然よね」
「確かにね、ま、いいわ、で、どうする?」
ソフィアは修練場へと視線を戻す、すると、
「ソフィー」
ミナがソフィアを見上げた、ウズウズと身体を揺らし、今にも走り出しそうである、
「あー、いいけど怪我しないようにね」
ソフィアはそりゃこうなるわよねとミナを見下ろし、
「わかったー」
ミナはピョンと飛び跳ね一目散に駆け出した、特に何を目指しているわけではない様子で、旗とされる棒まで走り一度足を止めるとキョロキョロしながらソフィアに大きく手を振って、ソフィアが振り返すのを確認すらせず、そのまま対面へと駆け出す、
「あー、元気ねー」
「そうねー、広くて平らな土地って何気に貴重よね」
「そりゃそうでしょ、こんだけ広かったら田舎だと畑にしちゃうじゃない」
「それもそうよねー」
「街中だと集合住宅になっちゃうだろうしね」
「そういうもんかー」
「そういうもんでしょ」
ユーリとソフィアは適当な事を言いながら広場の中心迄歩を進めると、
「じゃ、ここでいいかしら?」
「そうね、じゃ、形状から考える?」
「今回は殿下の魔法を抑え込むのが目的だからね、どうすればいいかな?やっぱり普通に4面で壁を張る感じ?」
「うーん、それだと殿下本人が危ないのよね」
ユーリとソフィアは旗を中心にしてどうしたものかと案を出し合い、レインはそのすぐ側で何でもない赤土をサンダルの先で掘りいじっくて、どういうわけだか満足そうにニヤつきながらも二人の会話をしっかりと耳に入れている、そして、ミナは飽きたのか疲れたのか、はたまたどちらもであろうか満足した顔で二人の元に戻ってきて、
「ソフィー、楽しかったー」
ただ走り回っただけなのであるが満面の笑みでソフィアを見上げる、
「そっか、良かったわね」
「うん、広いねー、ねー、タロウとやったオニゴッコやろー」
「えっ、ここで?」
「ここでー」
「あー、私が駄目だわ、それにお仕事が先ね」
「ぶー、お仕事?」
「そうよ、レインと適当に散歩してきて」
「むー、分かったー」
ミナは不満顔でレインの元に行き、二人は取り敢えずとブラブラと歩き出す、ソフィアはその背を見ながら、
「そうね、漏斗型にして上空に逃がしましょうか・・・」
なんとなく思い付いた事を口にした、
「漏斗型?あー、でもあれって・・・威力を上げる為でしょ?」
「そう、だからその逆・・・で、光の魔法だと明るさと熱に対処すればいいはずだから・・・上下を逆さにして起点から開いている方に力を流す?」
「・・・なるほど、力を上空に拡散するって事?」
「そうね、で、前にやったのとは逆の方向性を与えてあげればそうなるはず・・・殿下にはその起点に向かって魔法を使って貰って・・・うん、試しに作ってみましょうか」
ソフィアは周囲と上空を確認しつつ中心点を旗の直上に定め、何事かをブツブツと呟きつつ両手に魔法の力場を作り出し、その両手を翳してゆっくりと旗の周りを一周した、
「ふう、こんなもんかしら?」
「はぁ・・・もう、どうしてそんな簡単にやって見せるかな・・・」
一息吐いたソフィアにユーリは溜息交じりで呆れている、
「ありゃ?何か変?」
「変ではないわよ、あんたは変だけど」
「なによそれ・・・」
「まったく、宝の持ち腐れとはあんたの事だわ、久しぶりに見たけど、どうしてこうも想像通りに作れるかな・・・」
ユーリはフルフルと頭を振って呆れ顔である、ユーリが感知する限り、旗の直上には巨大な逆さの円錐形をした結界がドカンと形成されていた、実に巨大であり陽光を受けて七色に輝いて見える、
「あら、なら良い感じなのかしら?」
ソフィアは首を傾げて微笑む、ソフィア自身には結界の姿は見えていない、ソフィアは魔力を形成し扱う事には長けているが、魔力感知についてはユーリの方が遥かに優れており、目の前に作り上げた結界をソフィアは朧げに感じる程度でありユーリのように詳細に視覚で捉えることは出来ていなかった、
「そうね、それに薄くても重みがあるわね、かなり堅固よそれに上方への流動もしっかり出来てるわ」
ユーリはなるほど漏斗状になっているわねと感心しながら見上げ、
「そ、じゃ、どうしようかしら?試して見る?」
「そうね」
ユーリは一歩進み出ると旗のすぐ上、円錐形の先端部分に光の魔法を放った、ユーリなりに遠慮の無い一撃である、光の魔法が細い管の中に顕現したと思った瞬間、ボンと大きな破裂音が響き光は一瞬螺旋状に蠢きあっという間に虚空へと吸い上げられ拡散霧散して消失した、
「おお、良い感じじゃない」
ソフィアが楽しそうに微笑み、ミナとレインが気付いてこちらに駆け寄ってくる、
「そうみたいね、うん、結構力を込めた一発だったんだけどな・・・簡単に消されちゃった」
ユーリは残念そうに虚空を睨みつける、
「なに?なにやったのー」
ミナがソフィアの足に縋りついた、
「うふふ、ちょっとした実験かしら?」
「ジッケン?」
「そうよ、もう少しやるから待っててね」
ソフィアはミナの頭を優しく撫でつけ、
「じゃ、どうしようか、結界の中心はこれでいいとして」
「そうね、じゃ、私はこいつを補強するわ」
「ん、お願い」
ユーリは虚空を睨みながらブツブツと呟き始め、ソフィアはさて他には何が必要かしらと思考を巡らせ始めた。
0
お気に入りに追加
156
あなたにおすすめの小説
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい
増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。
目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた
3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ
いくらなんでもこれはおかしいだろ!
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
悪行貴族のはずれ息子【第1部 魔法講師編】
白波 鷹(しらなみ たか)【白波文庫】
ファンタジー
★作者個人でAmazonにて自費出版中。Kindle電子書籍有料ランキング「SF・ホラー・ファンタジー」「児童書>読み物」1位にWランクイン!
★第2部はこちら↓
https://www.alphapolis.co.jp/novel/162178383/450916603
「お前みたいな無能は分家がお似合いだ」
幼い頃から魔法を使う事ができた本家の息子リーヴは、そうして魔法の才能がない分家の息子アシックをいつも笑っていた。
東にある小さな街を領地としている悪名高き貴族『ユーグ家』―古くからその街を統治している彼らの実態は酷いものだった。
本家の当主がまともに管理せず、領地は放置状態。にもかかわらず、税の徴収だけ行うことから人々から嫌悪され、さらに近年はその長男であるリーヴ・ユーグの悪名高さもそれに拍車をかけていた。
容姿端麗、文武両道…というのは他の貴族への印象を良くする為の表向きの顔。その実態は父親の権力を駆使して悪ガキを集め、街の人々を困らせて楽しむガキ大将のような人間だった。
悪知恵が働き、魔法も使え、取り巻き達と好き放題するリーヴを誰も止めることができず、人々は『ユーグ家』をやっかんでいた。
さらにリーヴ達は街の人間だけではなく、自分達の分家も馬鹿にしており、中でも分家の長男として生まれたアシック・ユーグを『無能』と呼んで嘲笑うのが日課だった。だが、努力することなく才能に溺れていたリーヴは気付いていなかった。
自分が無能と嘲笑っていたアシックが努力し続けた結果、書庫に眠っていた魔法を全て習得し終えていたことを。そして、本家よりも街の人間達から感心を向けられ、分家の力が強まっていることを。
やがて、リーヴがその事実に気付いた時にはもう遅かった。
アシックに追い抜かれた焦りから魔法を再び学び始めたが、今さら才能が実ることもなく二人の差は徐々に広まっていくばかり。
そんな中、リーヴの妹で『忌み子』として幽閉されていたユミィを助けたのを機に、アシックは本家を変えていってしまい…?
◇過去最高ランキング
・アルファポリス
男性HOTランキング:10位
・カクヨム
週間ランキング(総合):80位台
週間ランキング(異世界ファンタジー):43位
隠密スキルでコレクター道まっしぐら
たまき 藍
ファンタジー
没落寸前の貴族に生まれた少女は、世にも珍しい”見抜く眼”を持っていた。
その希少性から隠し、閉じ込められて5つまで育つが、いよいよ家計が苦しくなり、人買いに売られてしまう。
しかし道中、隊商は強力な魔物に襲われ壊滅。少女だけが生き残った。
奇しくも自由を手にした少女は、姿を隠すため、魔物はびこる森へと駆け出した。
これはそんな彼女が森に入って10年後、サバイバル生活の中で隠密スキルを極め、立派な素材コレクターに成長してからのお話。
異世界でお取り寄せ生活
マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。
突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。
貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。
意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。
貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!?
そんな感じの話です。
のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。
※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる