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本編
48話 モニケンダムお土産探訪 その13
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それからいつの間にやら戻ってきたオリビアが茶を点てアニタ達も一休みする事となった、じっくりと根を生やしたユーリはニマニマとマフダとケイスを視線から外さず、二人は微妙に堅い表情である、そして仕事終わりを告げる鐘が街に鳴り響いた、
「あら、もうこんな時間か・・・」
ユーリは茶を含んで寂しそうに呟く、
「そうですね、私達はもう一仕事ですわ」
エレインも茶を飲み干すと、
「じゃ、私は上に、オリビア少し休んでから報告を、先生、マフダさんを虐めないようにお願いしますね」
ニヤリとユーリに微笑みかけて席を立ち、
「大丈夫よ、私、女の子には優しいんだから」
ニヤリと返すユーリであるが、
「あー、絶対嘘だわ」
「うん、容赦無いよね」
アニタとパウラがコソコソと顔を見合わせる、
「あんですって?」
ユーリが二人を睨むも、
「ほら、厳しい」
「そうですよー、優しくないじゃないですかー」
今度は面と向かって反論する二人である、
「なによ、私の厳しさは優しさの裏返しって分んないの?」
ユーリもやり返すが、
「・・・それ自分で言っては駄目な言葉ですね」
テラがやんわりと微笑む、
「えっ、テラさん迄そんな・・・」
ユーリはワザとらしく目を剥き、
「わっ、テラさんが仲間になった」
「うん、これで百人力だ」
「いいぞ、我が軍は偉大なり」
アニタとパウラが嬉しそうにはしゃぎ出す、
「さぁ、どうかしら、では会長、私も上に」
テラはニコリと優しい笑顔を振り撒いてエレインと共に事務所を退室した、
「あー、折角の仲間がー」
二人を寂しそうに見送るアニタとパウラとケイスである、マフダはどうしたものかとキョロキョロとしており、オリビアは我関せずと涼しい顔で茶を楽しむ、
「ふふん、じゃ、どうしてあげようかしらねー」
再び怪しい笑みを浮かべるユーリである、これはどうしようもないかもとアニタが覚悟を決めた瞬間、
「センセー」
ジャネットの間の抜けた声が事務所に飛び込んできた、
「なーにー」
ユーリはつられて間の抜けた声を返す、ジャネットはヒョイと顔を出して、
「スイランズ様が呼んでますー、後今日の修練は無しだってー」
ユーリに視線を合わせ、次に仲間達を見渡す、
「あら、段取りついたのかしら?」
ユーリは面白いところだったのにと不満そうに腰を上げ、
「じゃ、そういう事で、あれだ、別に獲って食うつもりはないから、マフダさんもケイスさんも手伝って貰えたら嬉しいかしら、そのうち声かけるわね」
優しい笑みを浮かべるも、マフダとケイスからみればその笑みは先程迄の怪しい笑みと大差は無い、二人は共に苦笑いで答えとし、ユーリはパタパタと事務所を辞した、
「何かあったの?」
ジャネットが不思議そうに尋ねると、
「いろいろあったのよ・・・」
「うん、貞操の危機って感じでした」
「それは言い過ぎでしょー」
「えー、そうかなー」
「確かに命の危機よりは・・・って感じだね」
アニタ達は緊張から解き放たれて言いたい放題で笑い合う、
「ありゃ、こっちも面白かったかも・・・」
ジャネットは残念そうにしながら、
「あっ、うちの新人さんだよー」
と背後のサレバとコミンを事務所に入れて先輩風を吹かせるのであった。
ユーリが寮に戻り、1階で編み物をしているルルとミナとレインから2階へ上がるようにと声をかけられ、そのまま上がると、2階のホールにはクロノスとゲイン、さらにイフナース、御叮嚀な事にリンドとアフラが控え、ソフィアは言うに及ばず、イフナースの従者であるブレフト迄もが背後に控えていた、
「ありゃ、仰々しいわね・・・」
ユーリは思わず素直な感想が口をつき、慌てて失礼と誤魔化し笑いを浮かべる、
「全くだ、ほれ座れ」
クロノスがジロリとユーリを睨みソフィアの隣りの空いた席を顎で指す、ユーリははいはいと席に着くと、
「でだ、今朝方の話しは大方説明した」
クロノスはユーリに向けて語り出す、ユーリはそうなんだと思いつつイフナースを伺う、当の本人であるイフナースは怪訝そうな顔でしかめっ面であった、恐らくまるで実感できないのであろう、それも致し方無いとも言える、魔力に関しては自身の内側にありそれは突然に湧くものではない、常に存在するものである為に自身の魔力はおろか魔力量など自身では感じられないものなのである、感じるとすれば魔力を使用した時である、魔法を発動する事によりやっと自身の中の魔力が感じられ、訓練が必要であるがその使用量や残量等もより正確に知覚できるようになる、しかし、それらはあくまでも主体的な感覚に止まっており客観的な観測手法は確立できていない、
「学園の方はどうだ?」
続いてユーリは問われ、
「はい、先程学園長に許可を得ました、休み中であれば使って構わないと、ついでに施設長である事務長にも話しはつけてあります、問題ないとの事です」
ユーリは瞬時に口調を切り替え事務的に返答した、
「そうか、うん、では明後日に予定したいのだが、可能か?」
「明後日ですか・・・はい、可能かと思います、時刻は予定されてますか?」
「午後だな、正午を回った辺りで陛下も来る事になってな」
「げっ」
ユーリの仮面が簡単に剥がれ、下品な反応が口をつく、
「お前なー」
クロノスにジロリと睨まれ、ソフィアはクスクスと忍び笑いをし、ゲインは無表情である、
「失礼、陛下もお忙しいのにと思いまして・・・」
オホホホとあからさまな嘘笑いで誤魔化すユーリである、
「まぁな、でだ、ユーリとソフィアには修練場の段取りを頼みたい」
「それは勿論、ソフィアはいい?」
「大丈夫よ、現場見た事ないけどね、ま、何とかなるでしょ」
ソフィアはあっけらかんとしたものである、ソフィアの実力を知る面々はまぁそんなもんだろうなと理解するが、そうではないブレフトは怪訝そうな顔であった、
「そうね、じゃ、どうしようか当日の午前中から動いて・・・って段取りは付けますね」
ユーリは強く自制して段取りはいつでも良いかとクロノスへ水を向ける、
「そうだな、で、イフナース、そういう訳だ、今日と明日はゆっくりしろ」
「いやだからさ、それが分らん、魔法を使わなければいいのであろう?修練は別じゃないか」
イフナースの不興の原因はそこであるらしい、ここ数日クロノス相手の切った張ったで大分調子が良くなってきたと思った矢先の事である、事情は確かに聞いて、実感は無くとも大恩あるソフィアにまで修練を止められた、話しを聞く限りはそういう事もあろうと理解は難しいが納得は出来る、しかしそれが自分の事であるとなると別である、現時点に於いては自覚できる症状が一切無いどころか治療が進んでいる為か体調は大分良くなっている、居並ぶ面々の真剣な様子に大事である事は理解し、また自分を思っての事であることも重々承知しているのであるが、また面倒な事をと鼻白むのも詮無い事である、
「そう言うな、さっきも言ったが大事だぞ、お前その気になればこの場にいる全員を吹き飛ばす事も出来るんだからな」
クロノスはやや強い言葉でイフナースを窘める、イフナースはクロノスを薄目で睨みブスッと黙り込んだ、
「そうですね、殿下には自重願います、私やアフラ以上の魔力となるとそれこそこの街ごと崩壊させかねません」
リンドが僭越ながらと口を出し、
「はい、私も同意見です、殿下が思っている以上に大事です、クロノス様と同等となるとこれは大変に難しい状況なのです」
アフラも冷静に補足する、
「・・・わかった、重鎮二人が言うならそうなのであろうな、取り敢えず明後日迄は静かにしておくよ」
クロノスの言葉は真に受けなくてもリンドとアフラの言う事は表面上だけでも素直に受け取るらしい、ちょっとした見栄と身内である気軽さの問題である、やはりイフナースの中ではクロノスは姉の夫であり家族の一人であるとの認識なのであろう、故にこの不機嫌さは甘えの一種とも言える、
「そうですね、それでなんですが、幾つか質問しても宜しいですか?」
ユーリが落ち着いた頃合いを見計らってクロノスに確認し、クロノスは無言で頷いた、
「では、殿下の魔法に関する適正に関してですが・・・」
ユーリはイフナースから生徒に対するように魔法に関する知識とこれまでの経験を聞き出す、学園では個別面談として実施される項目であり、それは個人情報として蓄積され講師間で共有されている、得意な分野は勿論の事、普段どのように使っているか、また、今後どうしたいのか等その内容は多岐に渡る、
「なるほど・・・そうなると」
ユーリはチラリとソフィアを伺い、ソフィアも静かに頷いて、
「修練場では光の魔法を使ってもらいましょうか」
「そうね、そうなると・・・注意すべきは・・・」
ユーリとソフィアが具体的な対応策を話し合い始めた、二人の様子にクロノスはヤレヤレといった風であったが、リンドとアフラは注意深く耳を傾ける、やがて、
「うん、なんとかなりそうね、タロウさんがいれば任せるんだけどね」
「頼り切るのは駄目でしょ」
「そうだけど、まぁいいわ、こんなもんね」
ユーリはイフナースに向かい、
「取り敢えず今日明日はゆっくりして下さい、十分にそうしていらしたと思いますが、ここで変な事になっては元も子もないですから」
優しく微笑む、
「・・・そうだな、それを言われると・・・反論のしようもない・・・さてそうなると、暇だな・・・」
イフナースはやれやれと天を仰ぐ、
「そうだな、ま、最後の辛抱だ、お前の状況がソフィアやユーリの言う通りであったらそれこそ、出来る事もやるべき事も山積しているぞ」
「そうなのか?」
「そうだろう、日々の修練に加えて魔法の制御も学ばねばならん、場合によっては地獄を見るぞ」
「そうね、でも、あれはあれでしょ、ソクセイサイバイだっけ?タロウが言ってたの」
「ソクセイサイバイ?」
「あぁ、あの頃は何にしろ急いでいたからな、今回はゆっくりやれば良いのかな?」
「そうだと思います、それに一生魔法を使わないのであればそれで済む話しでもありますし」
「・・・でもな・・・」
「はい、あれば使いたがるものですから、力とはそういうものです」
ユーリはしみじみと呟き、クロノスも大きく頷き同意を示した。
「あら、もうこんな時間か・・・」
ユーリは茶を含んで寂しそうに呟く、
「そうですね、私達はもう一仕事ですわ」
エレインも茶を飲み干すと、
「じゃ、私は上に、オリビア少し休んでから報告を、先生、マフダさんを虐めないようにお願いしますね」
ニヤリとユーリに微笑みかけて席を立ち、
「大丈夫よ、私、女の子には優しいんだから」
ニヤリと返すユーリであるが、
「あー、絶対嘘だわ」
「うん、容赦無いよね」
アニタとパウラがコソコソと顔を見合わせる、
「あんですって?」
ユーリが二人を睨むも、
「ほら、厳しい」
「そうですよー、優しくないじゃないですかー」
今度は面と向かって反論する二人である、
「なによ、私の厳しさは優しさの裏返しって分んないの?」
ユーリもやり返すが、
「・・・それ自分で言っては駄目な言葉ですね」
テラがやんわりと微笑む、
「えっ、テラさん迄そんな・・・」
ユーリはワザとらしく目を剥き、
「わっ、テラさんが仲間になった」
「うん、これで百人力だ」
「いいぞ、我が軍は偉大なり」
アニタとパウラが嬉しそうにはしゃぎ出す、
「さぁ、どうかしら、では会長、私も上に」
テラはニコリと優しい笑顔を振り撒いてエレインと共に事務所を退室した、
「あー、折角の仲間がー」
二人を寂しそうに見送るアニタとパウラとケイスである、マフダはどうしたものかとキョロキョロとしており、オリビアは我関せずと涼しい顔で茶を楽しむ、
「ふふん、じゃ、どうしてあげようかしらねー」
再び怪しい笑みを浮かべるユーリである、これはどうしようもないかもとアニタが覚悟を決めた瞬間、
「センセー」
ジャネットの間の抜けた声が事務所に飛び込んできた、
「なーにー」
ユーリはつられて間の抜けた声を返す、ジャネットはヒョイと顔を出して、
「スイランズ様が呼んでますー、後今日の修練は無しだってー」
ユーリに視線を合わせ、次に仲間達を見渡す、
「あら、段取りついたのかしら?」
ユーリは面白いところだったのにと不満そうに腰を上げ、
「じゃ、そういう事で、あれだ、別に獲って食うつもりはないから、マフダさんもケイスさんも手伝って貰えたら嬉しいかしら、そのうち声かけるわね」
優しい笑みを浮かべるも、マフダとケイスからみればその笑みは先程迄の怪しい笑みと大差は無い、二人は共に苦笑いで答えとし、ユーリはパタパタと事務所を辞した、
「何かあったの?」
ジャネットが不思議そうに尋ねると、
「いろいろあったのよ・・・」
「うん、貞操の危機って感じでした」
「それは言い過ぎでしょー」
「えー、そうかなー」
「確かに命の危機よりは・・・って感じだね」
アニタ達は緊張から解き放たれて言いたい放題で笑い合う、
「ありゃ、こっちも面白かったかも・・・」
ジャネットは残念そうにしながら、
「あっ、うちの新人さんだよー」
と背後のサレバとコミンを事務所に入れて先輩風を吹かせるのであった。
ユーリが寮に戻り、1階で編み物をしているルルとミナとレインから2階へ上がるようにと声をかけられ、そのまま上がると、2階のホールにはクロノスとゲイン、さらにイフナース、御叮嚀な事にリンドとアフラが控え、ソフィアは言うに及ばず、イフナースの従者であるブレフト迄もが背後に控えていた、
「ありゃ、仰々しいわね・・・」
ユーリは思わず素直な感想が口をつき、慌てて失礼と誤魔化し笑いを浮かべる、
「全くだ、ほれ座れ」
クロノスがジロリとユーリを睨みソフィアの隣りの空いた席を顎で指す、ユーリははいはいと席に着くと、
「でだ、今朝方の話しは大方説明した」
クロノスはユーリに向けて語り出す、ユーリはそうなんだと思いつつイフナースを伺う、当の本人であるイフナースは怪訝そうな顔でしかめっ面であった、恐らくまるで実感できないのであろう、それも致し方無いとも言える、魔力に関しては自身の内側にありそれは突然に湧くものではない、常に存在するものである為に自身の魔力はおろか魔力量など自身では感じられないものなのである、感じるとすれば魔力を使用した時である、魔法を発動する事によりやっと自身の中の魔力が感じられ、訓練が必要であるがその使用量や残量等もより正確に知覚できるようになる、しかし、それらはあくまでも主体的な感覚に止まっており客観的な観測手法は確立できていない、
「学園の方はどうだ?」
続いてユーリは問われ、
「はい、先程学園長に許可を得ました、休み中であれば使って構わないと、ついでに施設長である事務長にも話しはつけてあります、問題ないとの事です」
ユーリは瞬時に口調を切り替え事務的に返答した、
「そうか、うん、では明後日に予定したいのだが、可能か?」
「明後日ですか・・・はい、可能かと思います、時刻は予定されてますか?」
「午後だな、正午を回った辺りで陛下も来る事になってな」
「げっ」
ユーリの仮面が簡単に剥がれ、下品な反応が口をつく、
「お前なー」
クロノスにジロリと睨まれ、ソフィアはクスクスと忍び笑いをし、ゲインは無表情である、
「失礼、陛下もお忙しいのにと思いまして・・・」
オホホホとあからさまな嘘笑いで誤魔化すユーリである、
「まぁな、でだ、ユーリとソフィアには修練場の段取りを頼みたい」
「それは勿論、ソフィアはいい?」
「大丈夫よ、現場見た事ないけどね、ま、何とかなるでしょ」
ソフィアはあっけらかんとしたものである、ソフィアの実力を知る面々はまぁそんなもんだろうなと理解するが、そうではないブレフトは怪訝そうな顔であった、
「そうね、じゃ、どうしようか当日の午前中から動いて・・・って段取りは付けますね」
ユーリは強く自制して段取りはいつでも良いかとクロノスへ水を向ける、
「そうだな、で、イフナース、そういう訳だ、今日と明日はゆっくりしろ」
「いやだからさ、それが分らん、魔法を使わなければいいのであろう?修練は別じゃないか」
イフナースの不興の原因はそこであるらしい、ここ数日クロノス相手の切った張ったで大分調子が良くなってきたと思った矢先の事である、事情は確かに聞いて、実感は無くとも大恩あるソフィアにまで修練を止められた、話しを聞く限りはそういう事もあろうと理解は難しいが納得は出来る、しかしそれが自分の事であるとなると別である、現時点に於いては自覚できる症状が一切無いどころか治療が進んでいる為か体調は大分良くなっている、居並ぶ面々の真剣な様子に大事である事は理解し、また自分を思っての事であることも重々承知しているのであるが、また面倒な事をと鼻白むのも詮無い事である、
「そう言うな、さっきも言ったが大事だぞ、お前その気になればこの場にいる全員を吹き飛ばす事も出来るんだからな」
クロノスはやや強い言葉でイフナースを窘める、イフナースはクロノスを薄目で睨みブスッと黙り込んだ、
「そうですね、殿下には自重願います、私やアフラ以上の魔力となるとそれこそこの街ごと崩壊させかねません」
リンドが僭越ながらと口を出し、
「はい、私も同意見です、殿下が思っている以上に大事です、クロノス様と同等となるとこれは大変に難しい状況なのです」
アフラも冷静に補足する、
「・・・わかった、重鎮二人が言うならそうなのであろうな、取り敢えず明後日迄は静かにしておくよ」
クロノスの言葉は真に受けなくてもリンドとアフラの言う事は表面上だけでも素直に受け取るらしい、ちょっとした見栄と身内である気軽さの問題である、やはりイフナースの中ではクロノスは姉の夫であり家族の一人であるとの認識なのであろう、故にこの不機嫌さは甘えの一種とも言える、
「そうですね、それでなんですが、幾つか質問しても宜しいですか?」
ユーリが落ち着いた頃合いを見計らってクロノスに確認し、クロノスは無言で頷いた、
「では、殿下の魔法に関する適正に関してですが・・・」
ユーリはイフナースから生徒に対するように魔法に関する知識とこれまでの経験を聞き出す、学園では個別面談として実施される項目であり、それは個人情報として蓄積され講師間で共有されている、得意な分野は勿論の事、普段どのように使っているか、また、今後どうしたいのか等その内容は多岐に渡る、
「なるほど・・・そうなると」
ユーリはチラリとソフィアを伺い、ソフィアも静かに頷いて、
「修練場では光の魔法を使ってもらいましょうか」
「そうね、そうなると・・・注意すべきは・・・」
ユーリとソフィアが具体的な対応策を話し合い始めた、二人の様子にクロノスはヤレヤレといった風であったが、リンドとアフラは注意深く耳を傾ける、やがて、
「うん、なんとかなりそうね、タロウさんがいれば任せるんだけどね」
「頼り切るのは駄目でしょ」
「そうだけど、まぁいいわ、こんなもんね」
ユーリはイフナースに向かい、
「取り敢えず今日明日はゆっくりして下さい、十分にそうしていらしたと思いますが、ここで変な事になっては元も子もないですから」
優しく微笑む、
「・・・そうだな、それを言われると・・・反論のしようもない・・・さてそうなると、暇だな・・・」
イフナースはやれやれと天を仰ぐ、
「そうだな、ま、最後の辛抱だ、お前の状況がソフィアやユーリの言う通りであったらそれこそ、出来る事もやるべき事も山積しているぞ」
「そうなのか?」
「そうだろう、日々の修練に加えて魔法の制御も学ばねばならん、場合によっては地獄を見るぞ」
「そうね、でも、あれはあれでしょ、ソクセイサイバイだっけ?タロウが言ってたの」
「ソクセイサイバイ?」
「あぁ、あの頃は何にしろ急いでいたからな、今回はゆっくりやれば良いのかな?」
「そうだと思います、それに一生魔法を使わないのであればそれで済む話しでもありますし」
「・・・でもな・・・」
「はい、あれば使いたがるものですから、力とはそういうものです」
ユーリはしみじみと呟き、クロノスも大きく頷き同意を示した。
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