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本編
44話 殿下が来た その4
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「まったく、心配させるんだから・・・」
「そうだよー、素直じゃないんだからなー」
「そうね、昔からよね、まったくどんくさいんだか鈍いんだかとろいんだか」
腰を落ち着けどうやらもう大丈夫そうだと安心したパトリシアとウルジュラは言いたい放題言い出し、
「昔の兄様と変わんないよねー」
「底意地の悪さは大人になっても治るものではないでしょ」
「えー、それって自分の事ー?」
「なんですって?」
ギロリとウルジュラを睨むパトリシアである、
「キャー、姉様が怒ったー、ミナちゃん助けてー」
ウルジュラは側にいたミナに慌てて抱き付き、
「むー、ユラ様を虐めちゃ駄目なのー」
ミナは毅然とパトリシアの前に立つ、
「虐めて無いですわよ、もう、ミナちゃんを盾にするのは卑怯というものですわ」
「えー、でも、ミナちゃんがクロノスから守ってくれるって言ったもーん」
「そうだよー、ミナとレインはサイキョーなのよー」
「そうですの?じゃ、私の事も守って欲しいですわね、クロノスは虐めっ子ですからね」
パトリシアがミナの標的を華麗にクロノスへ擦り付けた、
「むー、やっぱりクロノスは悪いやつだー」
「そうだ、そうだ、やっちゃえミナちゃん」
「おい、ここでは暴れるな」
「えー、ダメー?」
「駄目だ」
パトリシアとウルジュラにけしかけられたミナがクロノスへ駆け寄るが、クロノスは冷たくあしらい、ミナも素直に言う事を聞いた、あらと拍子抜けするパトリシアとウルジュラである、
「イフナース食い過ぎだ、身体に悪いぞ」
クロノスはそのままイフナースを睨み付けるが、
「これなら、ング、消化も良いと、ゴクン、仰っていたでしょう、ガブリ」
イフナースはモゴモゴと口を動かしながら両手でベールパンを掴みつつ抗議の声を上げ、
「そうだな、消化には良いかもしれんが慌てるなゆっくりだ」
国王も茶を片手に嬉しそうに微笑む、一行は落ち着く為にと裏山から事務所の貴賓室へと場所を移した、気丈にしてはいるが女性達の心労もあったし、なによりイフナース本人が強烈に空腹を訴え、その状況のあまりの落差にこれは取り敢えず飯を食わせようとなったのである、そして、すぐに用意できるものとしてベールパンを始めとした店舗の商品が運び込まれ、ソフィアも急いで作ったオートミールを供したがそれもあっという間に平らげたイフナースであった、その様を見てパトリシアとウルジュラは安心を覚え、王妃二人も、
「まったく、こういう事なら屋敷に戻っても良かったかしら・・・」
「これはこれで楽しいですよ、クロノス殿下の言う通り消化には良さそうですし、滋養もあるでしょう」
優雅に茶を嗜むエフェリーンとマルルースである、裏山では慌てた上に顔を青くしていたが喉元を過ぎた頃合いで、いつもの調子を取り戻していた、実に涼しい顔でイフナースの様子を微笑ましく見ている、
「えーと、もう少し用意させましょうか?」
エレインがイフナースではなくクロノスへと問いかけた、用意した料理は綺麗にイフナースの腹に納まったらしい、少々多いかと思っていたが、まるで足りない様子であった、
「そうだな・・・もっといるか?」
「おう、ウグ、うん、これは美味いな、エレイン嬢、各ソースを追加で一本ずつだ、それとあの冷たい菓子もあるか?」
「は、はい、ブロンパンですね、はい御用意できます」
「それも頼む、あれも美味かったな、うん、宜しく頼む」
「わかりました。では、えっと、もし良ければ皆さんにもと思いますが・・・」
エレインがパトリシアやウルジュラの様子を伺う、
「そうね、私も頂こうかしら?」
「じゃ、私もー」
「ミナも、ミナもいいー?」
「ふふ、ではそうですね、全種類を2つずつ持ってこさせます、それを皆さんで分けていただきましょう」
「あー、それいいね、賛成ー、楽しそー」
「そうね、安心したら小腹が空きましたわ」
「うふ、嬉しいー」
柔らかい笑みを浮かべ楽しそうにしている王族の面々である、ここは邪魔をするべきではないかしらと腰を上げて事務所へと降りるエレインであった。
エレインが新たに持ち込んだベールパンとブロンパンがすっかりと消えた頃合いで国王はソフィアを呼びつけた、ソフィアはまずは家族でゆっくりするのが良いであろうと事務所に下がっていたのである、エレインとアフラも同様に呼び出され、ミナはウルジュラに抱かれその足の上で遊んでおり、レインも何故かチョコンと居場所を確保している、
「で、どのような具合だ?」
国王が静かにイフナースに問う、
「はい、そうですね・・・グフッ・・・失礼、食べ過ぎましたか・・・」
イフナースは苦しそうに口を抑えた、そりゃそうだろうさとクロノスは呆れつつ、
「桶かなんか用意するか?」
「いや、大丈夫、苦しいが満足しています、満腹になる幸せは久方ぶりです」
何とか笑顔を浮かべるイフナースである、その顔を見てエフェリーンはなんとも嬉しそうに微笑み、マルルースも改めて安心したのかホッと一息吐いた、
「で、どうなんだ?」
再び問う国王である、
「はい、思考がスッキリとしています、常にこう闇の中、煙の中にいたような感じであったのですが、それが晴れた感じです、このお守りを頂いた時にも感じたのですが、それの数倍、以前は確かにこうであったとそう思えます」
イフナースが腰に下げた木工細工に触れる、
「そうか、そういうものか・・・食欲は確認するまでもないし、筋力は仕方ないとしても足取りもしっかりしたものであったな」
「そうですね」
国王とクロノスが頷き合う、イフナースは裏山から下りる時には杖代わりにしていた木剣を肩に担いで下りて来ていた、国王が言うようにその足取りは軽く、登りの際の不自由さはまるで感じられないものであった、
「他に違和感は残っているか?」
「・・・そうですね、気持ちがより前向きになっていると思います、ですが、まだ、思考と身体の間にしこりがあるような、こう、脳の中にもう一つ思考があるようなそんな感じはあります」
「・・・なるほど・・・これはどう判断するべきかな?」
国王がソフィアへと視線を移す、皆の視線も合わせてソフィアへ向けられた、ソフィアはうーんと考える素振りを見せる、ある程度の答えは既に用意していた、下山の道すがらレインからさらに詳しい状態をこっそりと聞き出し、それをどこまで口にするべきかを事務所でアフラ達とお茶を交わしながら考えていたのであった、そして、
「はい、まずは、思惑通りであったと考えます」
静かに切り出すと、
「山でもお話しましたが、殿下の中にあった精霊達が木へと移った事は確定かと、しかし、完全に無くなったわけではないと考えます、殿下の違和感がその証左になるかと思いますが、自分の思考以外の思考の存在、それこそが精霊の大元であり、呪いの本体であると考えます」
「しかし、それはあくまで予測なのであろう?」
クロノスが口を挟む、
「はい、それは否定しませんし、その点については事の最初からそうお話ししております」
「そうだな、で、その大元を完全に消し去る事は可能なのか?」
「はい、可能です、これもまた事の最初からお話しておりますように、毎日のように精霊の木に触れる事です、常に触れ続けても良いかもしれませんが、すいません、私としても話として聞いた限りなので、彼らにとっても日に一度でも良いとか、思い出したら触れるべきとか様々であったと記憶しています」
彼らとはエルフの事である、王族達はそう解釈したが、ソフィアの中では存在しないなに者かであったりする、つまり、空想の産物であった、エルフは実在し、その里にソフィア一家が滞在した事は事実であるが、今回の謀は全てレインが元になっている、それは隠しておくに越したことは無い、
「なるほど・・・そうなると期間としてはどれ位になる?もしくは完治したときの自覚症状等はあるものなのか?」
さらに国王は質問を重ねた、
「そうですね、期間は・・・難しいですね、なんとも私には・・・答えられないです、ただ、私が思っていたよりは短くなるかと・・・私は半年はこちらに滞在するべきかと思っておりましたが、この快復の様子ですともっと短くて良いかなと考えます」
ソフィアはレインから聞いた事は取り合えずと隠す事にした様子である、ここで変に期間を区切っても問題しかないと判断した、ソフィアはそのまま言葉を続け、
「それと、完治の判断ですが、これも曖昧な表現になりますが、殿下の違和感が霧消したらとそう考えるのが良いかと思います、実に奇妙な物言いに聞こえるかと思いますし、私にはその経験が無いのでなんとも難しいのですが、恐らくですが、殿下の中で感じてる別の思考、違和感の大元ですね、これが完全に無くなるのが完治の目安になるかと・・・それは恐らくこちらで生活をしている内に確実に減っていくかと思います、完全に無くなったと感じられてから精霊の木から離れて生活をして、それで違和感を感じられないのであれば完治になる・・・現時点で言えるのはこの程度でしょうか」
淡々と事務的に説明し、ソフィアは口をつぐんだ、
「・・・なるほど・・・クロノスどう思う?」
「間違ってはいないように思います、なによりも・・・そうですね、私はソフィアとユーリには何度も命を助けられました、勿論、私も何度も助けましたがね」
ニヤリと微笑むクロノスである、
「その点で信頼に値する人間であると思っております、それにこの状況を見る限りこのまま予定通りに進めるのが良いかと、この健啖ぶりを見せられれば・・・なぁ」
そう言ってイフナースへと微笑みかける、イフナースは困ったように口の端を上げ答えに代えた、
「そうだな、儂も同意見だ、イフナース、暫くはこちらで養生する事を改めて命じる、王都に戻る迄には身体も作り直しておくようにな」
「はっ、陛下、そのように」
イフナースは背筋を伸ばしてそう叫んだ、貴賓室にその大声が響き、それはとても病人の出す声とは思えないものであった、
「・・・元気になったと思ったら、これですから・・・まったく」
エフェリーンがムスッと睨み、
「ふふ、男はこうでなくては」
マルルースが頼もしそうに微笑んだ。
「そうだよー、素直じゃないんだからなー」
「そうね、昔からよね、まったくどんくさいんだか鈍いんだかとろいんだか」
腰を落ち着けどうやらもう大丈夫そうだと安心したパトリシアとウルジュラは言いたい放題言い出し、
「昔の兄様と変わんないよねー」
「底意地の悪さは大人になっても治るものではないでしょ」
「えー、それって自分の事ー?」
「なんですって?」
ギロリとウルジュラを睨むパトリシアである、
「キャー、姉様が怒ったー、ミナちゃん助けてー」
ウルジュラは側にいたミナに慌てて抱き付き、
「むー、ユラ様を虐めちゃ駄目なのー」
ミナは毅然とパトリシアの前に立つ、
「虐めて無いですわよ、もう、ミナちゃんを盾にするのは卑怯というものですわ」
「えー、でも、ミナちゃんがクロノスから守ってくれるって言ったもーん」
「そうだよー、ミナとレインはサイキョーなのよー」
「そうですの?じゃ、私の事も守って欲しいですわね、クロノスは虐めっ子ですからね」
パトリシアがミナの標的を華麗にクロノスへ擦り付けた、
「むー、やっぱりクロノスは悪いやつだー」
「そうだ、そうだ、やっちゃえミナちゃん」
「おい、ここでは暴れるな」
「えー、ダメー?」
「駄目だ」
パトリシアとウルジュラにけしかけられたミナがクロノスへ駆け寄るが、クロノスは冷たくあしらい、ミナも素直に言う事を聞いた、あらと拍子抜けするパトリシアとウルジュラである、
「イフナース食い過ぎだ、身体に悪いぞ」
クロノスはそのままイフナースを睨み付けるが、
「これなら、ング、消化も良いと、ゴクン、仰っていたでしょう、ガブリ」
イフナースはモゴモゴと口を動かしながら両手でベールパンを掴みつつ抗議の声を上げ、
「そうだな、消化には良いかもしれんが慌てるなゆっくりだ」
国王も茶を片手に嬉しそうに微笑む、一行は落ち着く為にと裏山から事務所の貴賓室へと場所を移した、気丈にしてはいるが女性達の心労もあったし、なによりイフナース本人が強烈に空腹を訴え、その状況のあまりの落差にこれは取り敢えず飯を食わせようとなったのである、そして、すぐに用意できるものとしてベールパンを始めとした店舗の商品が運び込まれ、ソフィアも急いで作ったオートミールを供したがそれもあっという間に平らげたイフナースであった、その様を見てパトリシアとウルジュラは安心を覚え、王妃二人も、
「まったく、こういう事なら屋敷に戻っても良かったかしら・・・」
「これはこれで楽しいですよ、クロノス殿下の言う通り消化には良さそうですし、滋養もあるでしょう」
優雅に茶を嗜むエフェリーンとマルルースである、裏山では慌てた上に顔を青くしていたが喉元を過ぎた頃合いで、いつもの調子を取り戻していた、実に涼しい顔でイフナースの様子を微笑ましく見ている、
「えーと、もう少し用意させましょうか?」
エレインがイフナースではなくクロノスへと問いかけた、用意した料理は綺麗にイフナースの腹に納まったらしい、少々多いかと思っていたが、まるで足りない様子であった、
「そうだな・・・もっといるか?」
「おう、ウグ、うん、これは美味いな、エレイン嬢、各ソースを追加で一本ずつだ、それとあの冷たい菓子もあるか?」
「は、はい、ブロンパンですね、はい御用意できます」
「それも頼む、あれも美味かったな、うん、宜しく頼む」
「わかりました。では、えっと、もし良ければ皆さんにもと思いますが・・・」
エレインがパトリシアやウルジュラの様子を伺う、
「そうね、私も頂こうかしら?」
「じゃ、私もー」
「ミナも、ミナもいいー?」
「ふふ、ではそうですね、全種類を2つずつ持ってこさせます、それを皆さんで分けていただきましょう」
「あー、それいいね、賛成ー、楽しそー」
「そうね、安心したら小腹が空きましたわ」
「うふ、嬉しいー」
柔らかい笑みを浮かべ楽しそうにしている王族の面々である、ここは邪魔をするべきではないかしらと腰を上げて事務所へと降りるエレインであった。
エレインが新たに持ち込んだベールパンとブロンパンがすっかりと消えた頃合いで国王はソフィアを呼びつけた、ソフィアはまずは家族でゆっくりするのが良いであろうと事務所に下がっていたのである、エレインとアフラも同様に呼び出され、ミナはウルジュラに抱かれその足の上で遊んでおり、レインも何故かチョコンと居場所を確保している、
「で、どのような具合だ?」
国王が静かにイフナースに問う、
「はい、そうですね・・・グフッ・・・失礼、食べ過ぎましたか・・・」
イフナースは苦しそうに口を抑えた、そりゃそうだろうさとクロノスは呆れつつ、
「桶かなんか用意するか?」
「いや、大丈夫、苦しいが満足しています、満腹になる幸せは久方ぶりです」
何とか笑顔を浮かべるイフナースである、その顔を見てエフェリーンはなんとも嬉しそうに微笑み、マルルースも改めて安心したのかホッと一息吐いた、
「で、どうなんだ?」
再び問う国王である、
「はい、思考がスッキリとしています、常にこう闇の中、煙の中にいたような感じであったのですが、それが晴れた感じです、このお守りを頂いた時にも感じたのですが、それの数倍、以前は確かにこうであったとそう思えます」
イフナースが腰に下げた木工細工に触れる、
「そうか、そういうものか・・・食欲は確認するまでもないし、筋力は仕方ないとしても足取りもしっかりしたものであったな」
「そうですね」
国王とクロノスが頷き合う、イフナースは裏山から下りる時には杖代わりにしていた木剣を肩に担いで下りて来ていた、国王が言うようにその足取りは軽く、登りの際の不自由さはまるで感じられないものであった、
「他に違和感は残っているか?」
「・・・そうですね、気持ちがより前向きになっていると思います、ですが、まだ、思考と身体の間にしこりがあるような、こう、脳の中にもう一つ思考があるようなそんな感じはあります」
「・・・なるほど・・・これはどう判断するべきかな?」
国王がソフィアへと視線を移す、皆の視線も合わせてソフィアへ向けられた、ソフィアはうーんと考える素振りを見せる、ある程度の答えは既に用意していた、下山の道すがらレインからさらに詳しい状態をこっそりと聞き出し、それをどこまで口にするべきかを事務所でアフラ達とお茶を交わしながら考えていたのであった、そして、
「はい、まずは、思惑通りであったと考えます」
静かに切り出すと、
「山でもお話しましたが、殿下の中にあった精霊達が木へと移った事は確定かと、しかし、完全に無くなったわけではないと考えます、殿下の違和感がその証左になるかと思いますが、自分の思考以外の思考の存在、それこそが精霊の大元であり、呪いの本体であると考えます」
「しかし、それはあくまで予測なのであろう?」
クロノスが口を挟む、
「はい、それは否定しませんし、その点については事の最初からそうお話ししております」
「そうだな、で、その大元を完全に消し去る事は可能なのか?」
「はい、可能です、これもまた事の最初からお話しておりますように、毎日のように精霊の木に触れる事です、常に触れ続けても良いかもしれませんが、すいません、私としても話として聞いた限りなので、彼らにとっても日に一度でも良いとか、思い出したら触れるべきとか様々であったと記憶しています」
彼らとはエルフの事である、王族達はそう解釈したが、ソフィアの中では存在しないなに者かであったりする、つまり、空想の産物であった、エルフは実在し、その里にソフィア一家が滞在した事は事実であるが、今回の謀は全てレインが元になっている、それは隠しておくに越したことは無い、
「なるほど・・・そうなると期間としてはどれ位になる?もしくは完治したときの自覚症状等はあるものなのか?」
さらに国王は質問を重ねた、
「そうですね、期間は・・・難しいですね、なんとも私には・・・答えられないです、ただ、私が思っていたよりは短くなるかと・・・私は半年はこちらに滞在するべきかと思っておりましたが、この快復の様子ですともっと短くて良いかなと考えます」
ソフィアはレインから聞いた事は取り合えずと隠す事にした様子である、ここで変に期間を区切っても問題しかないと判断した、ソフィアはそのまま言葉を続け、
「それと、完治の判断ですが、これも曖昧な表現になりますが、殿下の違和感が霧消したらとそう考えるのが良いかと思います、実に奇妙な物言いに聞こえるかと思いますし、私にはその経験が無いのでなんとも難しいのですが、恐らくですが、殿下の中で感じてる別の思考、違和感の大元ですね、これが完全に無くなるのが完治の目安になるかと・・・それは恐らくこちらで生活をしている内に確実に減っていくかと思います、完全に無くなったと感じられてから精霊の木から離れて生活をして、それで違和感を感じられないのであれば完治になる・・・現時点で言えるのはこの程度でしょうか」
淡々と事務的に説明し、ソフィアは口をつぐんだ、
「・・・なるほど・・・クロノスどう思う?」
「間違ってはいないように思います、なによりも・・・そうですね、私はソフィアとユーリには何度も命を助けられました、勿論、私も何度も助けましたがね」
ニヤリと微笑むクロノスである、
「その点で信頼に値する人間であると思っております、それにこの状況を見る限りこのまま予定通りに進めるのが良いかと、この健啖ぶりを見せられれば・・・なぁ」
そう言ってイフナースへと微笑みかける、イフナースは困ったように口の端を上げ答えに代えた、
「そうだな、儂も同意見だ、イフナース、暫くはこちらで養生する事を改めて命じる、王都に戻る迄には身体も作り直しておくようにな」
「はっ、陛下、そのように」
イフナースは背筋を伸ばしてそう叫んだ、貴賓室にその大声が響き、それはとても病人の出す声とは思えないものであった、
「・・・元気になったと思ったら、これですから・・・まったく」
エフェリーンがムスッと睨み、
「ふふ、男はこうでなくては」
マルルースが頼もしそうに微笑んだ。
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