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本編
41話 家門祭りは泥遊び その7
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丁度その頃、
「なるほど、確かにそうだと言われればそうだと言うしかありませんわね」
精霊の木を前にしてエフェリーンが何度か聞いた口上を呟く、
「そうですわね、立派な木である事は見ただけで分かりますし、その・・・妙な存在感はありますわね」
マルルースも精霊の木を見上げそれ以上の感想を持ちえなかった、ウルジュラと従者達もぼうっと見上げてヘーとかフーンとかと呟いている、
「あれなにー?」
ウルジュラがブランコに気付いてパトリシアに問う、一行の視線がサッとそちらへ移った、
「ミナちゃんとレインちゃんの遊び道具ですね、ブランコと呼ぶらしいですわ」
「ブランコ・・・遊び道具?」
「遊んでみます?」
ソフィアがニコニコとウルジュラに問う、
「・・・えっと・・・どうやって遊ぶのです?」
ウルジュラも子供とは言えない年齢である、少し考えて、それでも誘惑には勝てなかったようである、
「ふふ、そうですね、えっと・・・」
とソフィアは周囲を見渡してあるわけないかと呟くと、前掛けの内側から手拭を取り出しブランコの汚れを軽く払うと座面に敷いた、
「こちらに座って下さい」
ソフィアが優雅にウルジュラを誘う、
「こうですの?」
ウルジュラは恐る恐ると腰を下ろした、
「はい、では、縄をしっかり持って、足を伸ばして下さい」
ソフィアが背後からゆっくりと押し出す、
「おお、えっ」
ゆっくりと前後に揺れ出すブランコにウルジュラは自然と沸き上がる笑顔を押さえられなかった、
「そんな感じで足を前と後ろに交互に動かして下さい」
ソフィアはサッと隣りに避ける、
「こうですわね」
ウルジュラは簡単にコツを掴んだようである、足の前後運動と共に上半身も連動させて勢いをつけていった、
「まぁ、はしたない」
「えっと、良いのでしょうか?精霊の木なのですよね」
王妃二人は何とも大人らしい意見である、
「良いらしいですわ、何でも精霊の木は子供の遊んでいる時の声が好きなんだとか、なので、この場もあのように遊べる場所にしているらしいのです」
パトリシアがウルジュラの様子に微笑みつつ説明する、
「まぁ、そういう事であれば・・・」
「そうですね、我々が口を出す事ではないですわね」
エフェリーンにしてもマルルースにしてもパトリシアの説明で納得はしていない、しかし、事の中心人物であるソフィアがやっている事である、文句を付けるのも違うかしらと諸々を飲み込んだ様子であった、
「お母さま達も是非、楽しいですわよ」
「あら、パトリシアさんも遊ばれたのですか?」
「はい、少しだけ、ミナちゃんに教わりました、なかなかに気持ちよいです、ただし・・・」
「ただし?」
「あの木の板にお尻が納まればですが」
ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべるパトリシアである、
「まぁ、それは確かにそうですわね」
「でも、パトリシアさんのそのお尻が入ったのであれば私でも・・・」
マルルースの言う通りにパトリシアはお腹がだいぶ大きくなっている、それにつれて腰回りも逞しくなっているように見える、
「挑戦します?」
再び意地の悪い笑みを浮かべるパトリシアである、マルルースは受けて立つとばかりに側仕えの一人を呼ぶと手拭いを受け取り、もう一つのブランコへ近付いた、
「お母さま、これ、楽しいですわ」
ウルジュラはかなりの勢いでブランコを漕いでいる、前に後ろに風を切り、折角整えた髪が乱れているのもまるで気にしていない、
「お尻が合えばね」
マルルースは娘に聞こえないように呟くと手拭いを敷いてゆっくりと腰を下ろした、
「あら、大丈夫そうね」
2度3度もぞもぞと尻を動かして座り心地を確かめる、
「はい、では、押しますよ、しっかりと縄を掴んで下さい」
いつの間にやらソフィアが背後に立っていた、
「えっと、ゆっくりお願い致しますね」
「はい、ゆっくりですね」
ソフィアは注文通りに優しく押し出す、ユラユラと動き始めるブランコとマルルースである、
「まぁ、なるほど、これは楽しいですわ」
マルルースは素直な感想を口にした、
「でしょー、ほら、母様も足と身体を使って、体重を前と後ろにかけるんです」
「こうかしら?あらあら、分かってきましたわ」
仲の良い実の親娘である、楽しそうに二人はブランコに興じており、その様子に側仕えは大丈夫かしらと不安気な顔となり、エフェリーンも、
「まったく、いつまでも若いというか幼いというか・・・」
羨ましそうであるがそれを素直に認められないエフェリーンらしい苦言を吐く、
「ふふ、若いということですよ、エフェリーン母様もやってみたらよいのです、気持ちいいですわよ」
パトリシアがやんわりとエフェリーンの背中を押した、
「そうは言いますけど・・・」
エフェリーンは渋い顔をパトリシアに向ける、
「大丈夫ですわよ、マルルース母様のお尻も入ったのですから、ね」
ニコリと微笑むパトリシアである、
「そう言うのであれば・・・」
仕方がないですわね、まったく、と、エフェリーンはあくまでパトリシアの誘いに乗るという建前で乗る気になった様子である、
「ユラ、エフェリーン母様と代わってあげて」
パトリシアがウルジュラに大声で伝え、ウルジュラもハーイと大声で返すのであった。
その後、一行は事務所へと入った、目当てはガラス鏡である、折角綺麗にまとめあげた髪が見事に乱れてしまい側仕えがあまりにもと悲しい顔であった為、エレインが事務所の鏡を使うようにと進言したのであった、そこで、3人はそれぞれに髪をまとめ直すが、3人共に朗らかで楽しそうであった、ブランコの効果であろうか、たかが子供の遊びであるとはいえ、普段の格式ばった生活からはあまりにもかけ離れた刺激である、心の奥底から湧き出て来る明るく開放的な高揚感に、堅物のエフェリーンでさえ笑顔を抑えることは出来ない様子であった、
「お城にも作りましょうよ」
「何処にです?」
「庭園はどうでしょう?」
「そうだ、東屋の梁に縄をかけましょう」
「危ないですわよ」
「えー、でも、薔薇に囲まれた中でブランコに揺られるなんて素敵じゃないですか」
「それは素敵ね・・・陛下に頼んでみましょうか?」
「そうなると大事になりません?」
「たまには甘える事も必要ですわよ」
鏡を前にして3人は実に姦しい、ウルジュラはまだしもエフェリーンとマルルースの屈託の無い笑顔に髪を直す側仕え達も自然と顔を綻ばせる、
「そうだ、是非、こちらをお試し下さい、試作品の試作品なので、見た目は悪いのですが」
エレインがあっと思い出して3面鏡台の前に積まれた木箱を片付けだした、
「会長、私が」
とテラが慌てて駆け寄ると二人で木箱を横に除ける、祭りの準備の為に3面鏡台が物置とされていたのであった、ソフィアも気を利かして椅子を持って来る、
「エフェリーン様、さ、どうぞ、こちらへ」
ここはエフェリーンからだな、と、エレインは声をかける、
「あら、今度は何かしら?」
エフェリーンがスッと腰を上げた、特に毒吐く事も無い、完全にエレインを信用したという事なのであろう、パトリシアもその様子に安心しつつ、それもあったわねとニヤリとほくそ笑む、
「こちらなのですが、中央の板が両開きになっております、開けて見て下さい」
「ここですわね」
エフェリーンの手がスッと伸び、やや重苦しい音を立てて鏡が開かれた、
「まぁ、これは凄い」
「ほんとだー、何これー」
「面白いですわねー」
三者三様の驚きの声である、
「はい、現在開発中の3面鏡台となります、こちらであれば・・・」
「エレインさん、皆迄言わないで、なるほど、顔の側面が見えますわね、なるほど、なるほど、うん、うん」
エフェリーンがエレインの言葉を遮ると右に左にと顔向け、じっくりと自身の顔を観察する、そして、
「エレインさん」
強い口調でエレインをキッと睨む、突然の大声に、
「は、はい」
エレインは調子に乗り過ぎたかしらとピンと背筋を伸ばし、テラとソフィアもあらっと顔を強張らせた、
「これはお幾らですの、すぐにでも欲しいですわ」
「あ・・・えっと・・・」
エレインはあまりの勢いに何を言われたのかが理解できず、何度か反芻し、
「あ、良かった、すいません、こちらはまだこれだけなのです、それに御覧のように試作品でして、現在職人さん達が鋭意製作中となります」
ホッとしつつ何とか状況を説明する、
「もー、母様、大声を上げてはいけませんよ、エレインさんがびっくりされていますよ」
パトリシアが笑いを堪えつつエフェリーンを窘めた、
「まぁ・・・それはごめんなさいね、でも、これは素晴らしい品ですわ、ガラス鏡もそうでしたし、あわせ鏡もですわ、さらにこのような工夫ができるとは、まったく驚きですわよ」
「勿体ないお言葉です、エフェリーン様」
エレインはゆっくりと頭を垂れた、
「エフェリーン母様、私も」
「ウルジュラ、私が先です」
「えー、早い者勝ちですよー」
「年齢順です」
「そんなの決まってないですー」
「早い者勝ちとも決まってないですよ」
マルルースとウルジュラが可愛らしい親子喧嘩を始め、
「もうちょっとだけ、いいかしら?」
エフェリーンは改めて鏡に向かう、
「やれやれ、ビックリしたわ」
「そうですね、でも、ソフィアさんでもビックリするんですね」
「そりゃあ、するわよ、相手は王妃様よ、それなりに気を使っているんだから」
「ふふ、良かったです、ソフィアさんが普通の人で・・・」
「テラさん、何気に酷い言い草よ、それ」
ソフィアとテラはコソコソと小声で笑い合った。
「なるほど、確かにそうだと言われればそうだと言うしかありませんわね」
精霊の木を前にしてエフェリーンが何度か聞いた口上を呟く、
「そうですわね、立派な木である事は見ただけで分かりますし、その・・・妙な存在感はありますわね」
マルルースも精霊の木を見上げそれ以上の感想を持ちえなかった、ウルジュラと従者達もぼうっと見上げてヘーとかフーンとかと呟いている、
「あれなにー?」
ウルジュラがブランコに気付いてパトリシアに問う、一行の視線がサッとそちらへ移った、
「ミナちゃんとレインちゃんの遊び道具ですね、ブランコと呼ぶらしいですわ」
「ブランコ・・・遊び道具?」
「遊んでみます?」
ソフィアがニコニコとウルジュラに問う、
「・・・えっと・・・どうやって遊ぶのです?」
ウルジュラも子供とは言えない年齢である、少し考えて、それでも誘惑には勝てなかったようである、
「ふふ、そうですね、えっと・・・」
とソフィアは周囲を見渡してあるわけないかと呟くと、前掛けの内側から手拭を取り出しブランコの汚れを軽く払うと座面に敷いた、
「こちらに座って下さい」
ソフィアが優雅にウルジュラを誘う、
「こうですの?」
ウルジュラは恐る恐ると腰を下ろした、
「はい、では、縄をしっかり持って、足を伸ばして下さい」
ソフィアが背後からゆっくりと押し出す、
「おお、えっ」
ゆっくりと前後に揺れ出すブランコにウルジュラは自然と沸き上がる笑顔を押さえられなかった、
「そんな感じで足を前と後ろに交互に動かして下さい」
ソフィアはサッと隣りに避ける、
「こうですわね」
ウルジュラは簡単にコツを掴んだようである、足の前後運動と共に上半身も連動させて勢いをつけていった、
「まぁ、はしたない」
「えっと、良いのでしょうか?精霊の木なのですよね」
王妃二人は何とも大人らしい意見である、
「良いらしいですわ、何でも精霊の木は子供の遊んでいる時の声が好きなんだとか、なので、この場もあのように遊べる場所にしているらしいのです」
パトリシアがウルジュラの様子に微笑みつつ説明する、
「まぁ、そういう事であれば・・・」
「そうですね、我々が口を出す事ではないですわね」
エフェリーンにしてもマルルースにしてもパトリシアの説明で納得はしていない、しかし、事の中心人物であるソフィアがやっている事である、文句を付けるのも違うかしらと諸々を飲み込んだ様子であった、
「お母さま達も是非、楽しいですわよ」
「あら、パトリシアさんも遊ばれたのですか?」
「はい、少しだけ、ミナちゃんに教わりました、なかなかに気持ちよいです、ただし・・・」
「ただし?」
「あの木の板にお尻が納まればですが」
ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべるパトリシアである、
「まぁ、それは確かにそうですわね」
「でも、パトリシアさんのそのお尻が入ったのであれば私でも・・・」
マルルースの言う通りにパトリシアはお腹がだいぶ大きくなっている、それにつれて腰回りも逞しくなっているように見える、
「挑戦します?」
再び意地の悪い笑みを浮かべるパトリシアである、マルルースは受けて立つとばかりに側仕えの一人を呼ぶと手拭いを受け取り、もう一つのブランコへ近付いた、
「お母さま、これ、楽しいですわ」
ウルジュラはかなりの勢いでブランコを漕いでいる、前に後ろに風を切り、折角整えた髪が乱れているのもまるで気にしていない、
「お尻が合えばね」
マルルースは娘に聞こえないように呟くと手拭いを敷いてゆっくりと腰を下ろした、
「あら、大丈夫そうね」
2度3度もぞもぞと尻を動かして座り心地を確かめる、
「はい、では、押しますよ、しっかりと縄を掴んで下さい」
いつの間にやらソフィアが背後に立っていた、
「えっと、ゆっくりお願い致しますね」
「はい、ゆっくりですね」
ソフィアは注文通りに優しく押し出す、ユラユラと動き始めるブランコとマルルースである、
「まぁ、なるほど、これは楽しいですわ」
マルルースは素直な感想を口にした、
「でしょー、ほら、母様も足と身体を使って、体重を前と後ろにかけるんです」
「こうかしら?あらあら、分かってきましたわ」
仲の良い実の親娘である、楽しそうに二人はブランコに興じており、その様子に側仕えは大丈夫かしらと不安気な顔となり、エフェリーンも、
「まったく、いつまでも若いというか幼いというか・・・」
羨ましそうであるがそれを素直に認められないエフェリーンらしい苦言を吐く、
「ふふ、若いということですよ、エフェリーン母様もやってみたらよいのです、気持ちいいですわよ」
パトリシアがやんわりとエフェリーンの背中を押した、
「そうは言いますけど・・・」
エフェリーンは渋い顔をパトリシアに向ける、
「大丈夫ですわよ、マルルース母様のお尻も入ったのですから、ね」
ニコリと微笑むパトリシアである、
「そう言うのであれば・・・」
仕方がないですわね、まったく、と、エフェリーンはあくまでパトリシアの誘いに乗るという建前で乗る気になった様子である、
「ユラ、エフェリーン母様と代わってあげて」
パトリシアがウルジュラに大声で伝え、ウルジュラもハーイと大声で返すのであった。
その後、一行は事務所へと入った、目当てはガラス鏡である、折角綺麗にまとめあげた髪が見事に乱れてしまい側仕えがあまりにもと悲しい顔であった為、エレインが事務所の鏡を使うようにと進言したのであった、そこで、3人はそれぞれに髪をまとめ直すが、3人共に朗らかで楽しそうであった、ブランコの効果であろうか、たかが子供の遊びであるとはいえ、普段の格式ばった生活からはあまりにもかけ離れた刺激である、心の奥底から湧き出て来る明るく開放的な高揚感に、堅物のエフェリーンでさえ笑顔を抑えることは出来ない様子であった、
「お城にも作りましょうよ」
「何処にです?」
「庭園はどうでしょう?」
「そうだ、東屋の梁に縄をかけましょう」
「危ないですわよ」
「えー、でも、薔薇に囲まれた中でブランコに揺られるなんて素敵じゃないですか」
「それは素敵ね・・・陛下に頼んでみましょうか?」
「そうなると大事になりません?」
「たまには甘える事も必要ですわよ」
鏡を前にして3人は実に姦しい、ウルジュラはまだしもエフェリーンとマルルースの屈託の無い笑顔に髪を直す側仕え達も自然と顔を綻ばせる、
「そうだ、是非、こちらをお試し下さい、試作品の試作品なので、見た目は悪いのですが」
エレインがあっと思い出して3面鏡台の前に積まれた木箱を片付けだした、
「会長、私が」
とテラが慌てて駆け寄ると二人で木箱を横に除ける、祭りの準備の為に3面鏡台が物置とされていたのであった、ソフィアも気を利かして椅子を持って来る、
「エフェリーン様、さ、どうぞ、こちらへ」
ここはエフェリーンからだな、と、エレインは声をかける、
「あら、今度は何かしら?」
エフェリーンがスッと腰を上げた、特に毒吐く事も無い、完全にエレインを信用したという事なのであろう、パトリシアもその様子に安心しつつ、それもあったわねとニヤリとほくそ笑む、
「こちらなのですが、中央の板が両開きになっております、開けて見て下さい」
「ここですわね」
エフェリーンの手がスッと伸び、やや重苦しい音を立てて鏡が開かれた、
「まぁ、これは凄い」
「ほんとだー、何これー」
「面白いですわねー」
三者三様の驚きの声である、
「はい、現在開発中の3面鏡台となります、こちらであれば・・・」
「エレインさん、皆迄言わないで、なるほど、顔の側面が見えますわね、なるほど、なるほど、うん、うん」
エフェリーンがエレインの言葉を遮ると右に左にと顔向け、じっくりと自身の顔を観察する、そして、
「エレインさん」
強い口調でエレインをキッと睨む、突然の大声に、
「は、はい」
エレインは調子に乗り過ぎたかしらとピンと背筋を伸ばし、テラとソフィアもあらっと顔を強張らせた、
「これはお幾らですの、すぐにでも欲しいですわ」
「あ・・・えっと・・・」
エレインはあまりの勢いに何を言われたのかが理解できず、何度か反芻し、
「あ、良かった、すいません、こちらはまだこれだけなのです、それに御覧のように試作品でして、現在職人さん達が鋭意製作中となります」
ホッとしつつ何とか状況を説明する、
「もー、母様、大声を上げてはいけませんよ、エレインさんがびっくりされていますよ」
パトリシアが笑いを堪えつつエフェリーンを窘めた、
「まぁ・・・それはごめんなさいね、でも、これは素晴らしい品ですわ、ガラス鏡もそうでしたし、あわせ鏡もですわ、さらにこのような工夫ができるとは、まったく驚きですわよ」
「勿体ないお言葉です、エフェリーン様」
エレインはゆっくりと頭を垂れた、
「エフェリーン母様、私も」
「ウルジュラ、私が先です」
「えー、早い者勝ちですよー」
「年齢順です」
「そんなの決まってないですー」
「早い者勝ちとも決まってないですよ」
マルルースとウルジュラが可愛らしい親子喧嘩を始め、
「もうちょっとだけ、いいかしら?」
エフェリーンは改めて鏡に向かう、
「やれやれ、ビックリしたわ」
「そうですね、でも、ソフィアさんでもビックリするんですね」
「そりゃあ、するわよ、相手は王妃様よ、それなりに気を使っているんだから」
「ふふ、良かったです、ソフィアさんが普通の人で・・・」
「テラさん、何気に酷い言い草よ、それ」
ソフィアとテラはコソコソと小声で笑い合った。
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