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本編
38話 エレイン様は忙しい その11
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ボニファースとソフィアが事務所へ下りてくると、3面鏡の前ではパトリシアとユーリがはしゃいでおり、エレインが甲斐甲斐しく相手をしていた、クロノスはその様子を呆れたように眺めながら手にしたベールパンに噛り付いており、ボニファースに気付いたヨリックがサッと席を立つ、
「おう、なんじゃあれは」
ボニファースは早速その騒ぎに気付いて視線を向ける、
「あー、3面鏡台です、ガラス鏡の新製品の試作品です」
ソフィアがそう説明する、
「ほう、面白そうじゃのう」
ボニファースは吸い込まれるように騒ぎに合流し、ソフィアはやれやれとクロノスの座るテーブルに向かう、
「おう、何の話しだった?」
クロノスは無遠慮にソフィアに問いかける、
「あー、エルフとか精霊の木とか、そんな感じー、それとお礼とかー」
ソフィアも無遠慮に返答し、溜息を吐きながら席に着いた、
「そうか、ま、そりゃ知りたいよなー、学園長が手記にまとめろと言ってなかったか?」
「言ってたけど、そんな簡単に言われてもねー」
「なんだ、面白そうな題目じゃないか」
「私はだって、学も無いし、文章力も無いし、正直大した人間じゃないのよ」
「ユーリだって似たようなものだろう、でも、先生様だぞ、所長様だし」
「それはそれでしょ、一緒にしないでよ」
「一緒にするさ、二人で1人前ってよく言ってただろう」
「いつの話しよ、まったく」
ソフィアは鼻息を荒くし、
「あら、これ新製品?」
テーブル上に並んだ皿に視線を移す、
「そうらしい、なかなか美味いぞ、な、ヨリック」
「はい、初めて食べる食感です、フワフワでモチモチで優しい甘さですね」
見るとヨリックの前にある皿には半分程度に形を変えたベールパンが乗っている、
「それは良かったですわ、寒い時期に向けての新商品なんですよ、店舗で提供しているのは冷たい菓子なので、生徒達が冷たくない品をと思考錯誤して作り上げたのです」
ヨリックに対しては丁寧な口調のソフィアである、
「なるほど、いや、パトリシア様やアフラから聞いておりましたが、実際に食するとやはり美味しいものですね、正直驚きました、これを学生さん達が・・・うん、やはり考え方が柔軟なのでしょうな、素晴らしい」
ヨリックは素直に感心している様子である、
「ふふ、そうですね」
ソフィアが嬉しそうに微笑むと、
「どうぞ、ソフィアさんも、陛下の分もこちらで宜しいかしら?」
テラが皿を二つ手にしてソフィアの側に立った、
「わ、ありがとうございます」
「お疲れ様でした、それと、食べ過ぎには御注意下さい」
「あー、そっか、あの時のはこれかー」
「はい、そうなんです、一個で十分ですね、それ以上は大人でも多いですよ」
テラがソフィアへベールパンを供し、ボニファースの分をと空いた空間に置く、
「何だ、腹でも壊すのか」
「失礼ね、単純に食べ過ぎたのよ、試作品で作った時に、おかげで夕飯を残すもんだから、叱っただけよ」
「ふふ、そうなんです」
テラは優しく微笑み、ソフィアは早速ベールパンに手を伸ばす、
「あ、ごめん、テラさん、上片付けてない」
ソフィアは手を止めてテラを見上げ、慌てて腰を上げるが、
「大丈夫です、私やりますから」
「悪いわよ」
「何言っているんですか、ソフィアさんもここではお客様なんですから」
テラがやんわりとソフィアを押し留めパタパタと貴賓室へ向かう、
「あー、ま、いっか」
ソフィアはその言葉に甘える事とし、座り直すと改めてベールパンに手を伸ばした、
「あら、これは美味しいわね」
「うん、悪くないな」
「なによ、その言い草」
「酒の肴にはならんな、な、ヨリック」
「それはそうですが、少々失礼かと思いますよ」
「そうよ、失礼よ、つまみ料理じゃないんだから」
「そうか?・・・まぁそうだろうが・・・あ、そうだ、また、あれだ、精霊の木で夕飯にしないか?」
「?この間みたいなの?」
「うん、折角、陛下もヨリックもいるしな、シロメンと言ったか?あれと、溶岩板で肉を焼いて食いたいな」
クロノスはベールパンを大口を開けて放り込むと、嚥下した後にどうだと問う、
「・・・別にいいけど、陛下にお出しできる品かしら?」
「それは大丈夫だろ、あんなに美味いものは中々にお目にかかれんぞ、それに折角陛下がいらっしゃっているんだ、歓待したいんだよ、俺としても」
「まぁ、うーん、そういう事なら・・・時間もあるか・・・、食材が心許ないかな?」
「それは準備させるさ、ヨリック、リンドに言って、肉と野菜を持ってこさせろ、それと、城に夕飯はこちらでと連絡も入れておけ」
「はい、構いませんが、良いのですか?」
「何が?」
「はい、パトリシア様と陛下の許可をとっておりません」
「ん、じゃ、聞いて来る」
クロノスはサッと立ち上がるとボニファースを交えてキャッキャッと楽し気にしている一団へと割って入る、
「えっと、その、宜しいのですか?」
ヨリックが呆気にとられながらソフィアに問う、
「大丈夫ですよ、いつもの事です」
ソフィアはニコニコと答えた。
「うーん、今一つピンと来ませんわね」
3面鏡に座り洗濯バサミと髪留めで盛り上がっていたパトリシアとユーリとエレインであるが、アフラが合流したのを契機に今後の計画と称して本格的に打ち合わせを始めた、
「そうですね、やはり実際の建物を見ませんと」
「あー、そうなるとちゃんと時間を取らないとでしょ」
「はい、内見は事前に連絡しないとですね」
4人は事務机の側のテーブルを占有し、物件情報が記載された木簡と羊皮紙を前にして楽しそうに話し合っている、どういうわけだかユーリも積極的に参加していた、打合せに参加するはずのクロノスの姿も無い、どうやら任せてしまって良いだろうと判断した様子である、
「なら、明日にでも」
「せめて、3日前に連絡するのが常識ですよ」
「え、そういうものなの?」
「そうですよ、いきなり行って失礼どころか歓待されるのは王族くらいのものです」
「ま、そうでしたの?」
「そうなんです」
「なら、今回も・・・」
「王家の名前を出さない為の悪巧みですよね」
「悪巧みは言い過ぎですわ」
「なら、奸計と呼びましょうか?」
「どっちでもいいですよ、エレインさんの予定はどんなもん?」
「えっと、20日のお祭り迄は忙しいですね、明日は人に会う予定で、その後はお祭りの準備にかかりませんと・・・」
「そっか、なら、お祭り以降でいいんでない?」
「そうですね、それと・・・もう少し良い物件の情報も集めたいかなと思います、手元にあるのは賃貸の情報が多いのですよ」
「あら、そうだったの?」
「はい、当初は購入を希望していたのですが、やはり高価なので、ガラス店だけなら賃貸でもいいかしらと思っていたところなのです」
「まぁそうなるよねー」
「ふむ、高価というとどの程度ですの?」
「はい、少々お待ちを」
エレインは席を立って事務机を漁り数枚の羊皮紙をテーブルに並べた、
「あら、こんなもの?」
「リシア様、高価ですよ、この金額は」
「そうね、平民には一生無理ね」
「はい、下級貴族でも無理しないとですね」
羊皮紙には店舗として使用可能な部屋数と倉庫、井戸、その他の付帯条件が記され、番地と現在の所有者、それと金額が表記されている、
「そうなの?でも、なんとかなるでしょ」
「はい、予算については考えなくても良いが、そうですね、エレイン様が購入する事に無理の無い範囲を心得るようにとリンドさんから伺っています」
「そうね、そこ重要」
「むー、しかし、ですわ」
パトリシアが口をへの字に曲げて反論を展開しようとした瞬間、
「お疲れ様ー」
事務所内に明るく元気な声が響く、ジャネットであった、アニタとパウラも続いている、
「わ、リシア様だ、それにアフラさんも、御無沙汰してます」
3人はすぐに珍しい顔に気付いて頭を下げ、パトリシアとアフラも優雅に会釈をする、しかし、
「げ、ユーリ先生まで、なんですか」
「わ、何事です」
3人はその隣りにシレッと座るユーリの姿に非難の声を上げ、
「げ、とは何よ、失礼な子ねー」
「えー、だって、こっちにいるのは珍しいじゃないですか、いいんですか?研究会の方、放っておいて」
「いいのよ、あれはサビナの仕事なんだから」
「サビナさん会うたび悲鳴上げてるじゃないですかー」
「あー、それも今日明日まででしょ、取り敢えず」
「先生、冷たーい」
「うるさいわねー、大人の仕事に口出しするんじゃないわよ」
「あー、都合の悪いときの捨て台詞だー」
「子供として抗議しまーす、ユーリ先生も仕事しろー」
「そうだ、そうだ、サビナさんを虐めるなー」
「このー」
ユーリが席を立つと同時に、
「はいはい、ユーリ先生は大事な仕事中ですよ、新しい道具が増えましたからそっちを確認して下さい」
ジャネットの背後からテラが騒動を止めに入る、ジャネット達はブーブー言いながらも事務所の隅に荷物を置いてテラに従って厨房へ向かった、
「まったく」
ユーリは鼻息を荒くして座り直し、
「そうですわ、研究会の方も気になってましたの、どのような状況なのです?」
パトリシアがユーリに問う、
「どのようなと言われましても新しい事は少ないかしら、まだ始まったばかりですし、下着の普及と啓蒙が先になりますね、リシア様が興味あるのは研究室にある木簡の方ではないですか?」
「えぇ、あれにもとても興味がありますわ、それと美容の方も、勿論、下着の方もどのように発展していくかとても楽しみですのよ」
「そうですよねー、私もその点は楽しみにしております」
「あ、そうだ、陛下が御不在の間に、と言っては大変失礼なのですが、リシア様に先に披露したい品があるのです、少々お待ちを」
エレインが席を立ち玄関へと走った、
「あら、なにかしら?」
「そういえば、先日、お会いしたいとの木簡が届いておりましたね」
「あ、そうでしたわね、すっかり忘れていました」
「あー、あれだわ、たぶん・・・うん、素晴らしい品ですよ」
ユーリがニヤリと微笑んだ。
「おう、なんじゃあれは」
ボニファースは早速その騒ぎに気付いて視線を向ける、
「あー、3面鏡台です、ガラス鏡の新製品の試作品です」
ソフィアがそう説明する、
「ほう、面白そうじゃのう」
ボニファースは吸い込まれるように騒ぎに合流し、ソフィアはやれやれとクロノスの座るテーブルに向かう、
「おう、何の話しだった?」
クロノスは無遠慮にソフィアに問いかける、
「あー、エルフとか精霊の木とか、そんな感じー、それとお礼とかー」
ソフィアも無遠慮に返答し、溜息を吐きながら席に着いた、
「そうか、ま、そりゃ知りたいよなー、学園長が手記にまとめろと言ってなかったか?」
「言ってたけど、そんな簡単に言われてもねー」
「なんだ、面白そうな題目じゃないか」
「私はだって、学も無いし、文章力も無いし、正直大した人間じゃないのよ」
「ユーリだって似たようなものだろう、でも、先生様だぞ、所長様だし」
「それはそれでしょ、一緒にしないでよ」
「一緒にするさ、二人で1人前ってよく言ってただろう」
「いつの話しよ、まったく」
ソフィアは鼻息を荒くし、
「あら、これ新製品?」
テーブル上に並んだ皿に視線を移す、
「そうらしい、なかなか美味いぞ、な、ヨリック」
「はい、初めて食べる食感です、フワフワでモチモチで優しい甘さですね」
見るとヨリックの前にある皿には半分程度に形を変えたベールパンが乗っている、
「それは良かったですわ、寒い時期に向けての新商品なんですよ、店舗で提供しているのは冷たい菓子なので、生徒達が冷たくない品をと思考錯誤して作り上げたのです」
ヨリックに対しては丁寧な口調のソフィアである、
「なるほど、いや、パトリシア様やアフラから聞いておりましたが、実際に食するとやはり美味しいものですね、正直驚きました、これを学生さん達が・・・うん、やはり考え方が柔軟なのでしょうな、素晴らしい」
ヨリックは素直に感心している様子である、
「ふふ、そうですね」
ソフィアが嬉しそうに微笑むと、
「どうぞ、ソフィアさんも、陛下の分もこちらで宜しいかしら?」
テラが皿を二つ手にしてソフィアの側に立った、
「わ、ありがとうございます」
「お疲れ様でした、それと、食べ過ぎには御注意下さい」
「あー、そっか、あの時のはこれかー」
「はい、そうなんです、一個で十分ですね、それ以上は大人でも多いですよ」
テラがソフィアへベールパンを供し、ボニファースの分をと空いた空間に置く、
「何だ、腹でも壊すのか」
「失礼ね、単純に食べ過ぎたのよ、試作品で作った時に、おかげで夕飯を残すもんだから、叱っただけよ」
「ふふ、そうなんです」
テラは優しく微笑み、ソフィアは早速ベールパンに手を伸ばす、
「あ、ごめん、テラさん、上片付けてない」
ソフィアは手を止めてテラを見上げ、慌てて腰を上げるが、
「大丈夫です、私やりますから」
「悪いわよ」
「何言っているんですか、ソフィアさんもここではお客様なんですから」
テラがやんわりとソフィアを押し留めパタパタと貴賓室へ向かう、
「あー、ま、いっか」
ソフィアはその言葉に甘える事とし、座り直すと改めてベールパンに手を伸ばした、
「あら、これは美味しいわね」
「うん、悪くないな」
「なによ、その言い草」
「酒の肴にはならんな、な、ヨリック」
「それはそうですが、少々失礼かと思いますよ」
「そうよ、失礼よ、つまみ料理じゃないんだから」
「そうか?・・・まぁそうだろうが・・・あ、そうだ、また、あれだ、精霊の木で夕飯にしないか?」
「?この間みたいなの?」
「うん、折角、陛下もヨリックもいるしな、シロメンと言ったか?あれと、溶岩板で肉を焼いて食いたいな」
クロノスはベールパンを大口を開けて放り込むと、嚥下した後にどうだと問う、
「・・・別にいいけど、陛下にお出しできる品かしら?」
「それは大丈夫だろ、あんなに美味いものは中々にお目にかかれんぞ、それに折角陛下がいらっしゃっているんだ、歓待したいんだよ、俺としても」
「まぁ、うーん、そういう事なら・・・時間もあるか・・・、食材が心許ないかな?」
「それは準備させるさ、ヨリック、リンドに言って、肉と野菜を持ってこさせろ、それと、城に夕飯はこちらでと連絡も入れておけ」
「はい、構いませんが、良いのですか?」
「何が?」
「はい、パトリシア様と陛下の許可をとっておりません」
「ん、じゃ、聞いて来る」
クロノスはサッと立ち上がるとボニファースを交えてキャッキャッと楽し気にしている一団へと割って入る、
「えっと、その、宜しいのですか?」
ヨリックが呆気にとられながらソフィアに問う、
「大丈夫ですよ、いつもの事です」
ソフィアはニコニコと答えた。
「うーん、今一つピンと来ませんわね」
3面鏡に座り洗濯バサミと髪留めで盛り上がっていたパトリシアとユーリとエレインであるが、アフラが合流したのを契機に今後の計画と称して本格的に打ち合わせを始めた、
「そうですね、やはり実際の建物を見ませんと」
「あー、そうなるとちゃんと時間を取らないとでしょ」
「はい、内見は事前に連絡しないとですね」
4人は事務机の側のテーブルを占有し、物件情報が記載された木簡と羊皮紙を前にして楽しそうに話し合っている、どういうわけだかユーリも積極的に参加していた、打合せに参加するはずのクロノスの姿も無い、どうやら任せてしまって良いだろうと判断した様子である、
「なら、明日にでも」
「せめて、3日前に連絡するのが常識ですよ」
「え、そういうものなの?」
「そうですよ、いきなり行って失礼どころか歓待されるのは王族くらいのものです」
「ま、そうでしたの?」
「そうなんです」
「なら、今回も・・・」
「王家の名前を出さない為の悪巧みですよね」
「悪巧みは言い過ぎですわ」
「なら、奸計と呼びましょうか?」
「どっちでもいいですよ、エレインさんの予定はどんなもん?」
「えっと、20日のお祭り迄は忙しいですね、明日は人に会う予定で、その後はお祭りの準備にかかりませんと・・・」
「そっか、なら、お祭り以降でいいんでない?」
「そうですね、それと・・・もう少し良い物件の情報も集めたいかなと思います、手元にあるのは賃貸の情報が多いのですよ」
「あら、そうだったの?」
「はい、当初は購入を希望していたのですが、やはり高価なので、ガラス店だけなら賃貸でもいいかしらと思っていたところなのです」
「まぁそうなるよねー」
「ふむ、高価というとどの程度ですの?」
「はい、少々お待ちを」
エレインは席を立って事務机を漁り数枚の羊皮紙をテーブルに並べた、
「あら、こんなもの?」
「リシア様、高価ですよ、この金額は」
「そうね、平民には一生無理ね」
「はい、下級貴族でも無理しないとですね」
羊皮紙には店舗として使用可能な部屋数と倉庫、井戸、その他の付帯条件が記され、番地と現在の所有者、それと金額が表記されている、
「そうなの?でも、なんとかなるでしょ」
「はい、予算については考えなくても良いが、そうですね、エレイン様が購入する事に無理の無い範囲を心得るようにとリンドさんから伺っています」
「そうね、そこ重要」
「むー、しかし、ですわ」
パトリシアが口をへの字に曲げて反論を展開しようとした瞬間、
「お疲れ様ー」
事務所内に明るく元気な声が響く、ジャネットであった、アニタとパウラも続いている、
「わ、リシア様だ、それにアフラさんも、御無沙汰してます」
3人はすぐに珍しい顔に気付いて頭を下げ、パトリシアとアフラも優雅に会釈をする、しかし、
「げ、ユーリ先生まで、なんですか」
「わ、何事です」
3人はその隣りにシレッと座るユーリの姿に非難の声を上げ、
「げ、とは何よ、失礼な子ねー」
「えー、だって、こっちにいるのは珍しいじゃないですか、いいんですか?研究会の方、放っておいて」
「いいのよ、あれはサビナの仕事なんだから」
「サビナさん会うたび悲鳴上げてるじゃないですかー」
「あー、それも今日明日まででしょ、取り敢えず」
「先生、冷たーい」
「うるさいわねー、大人の仕事に口出しするんじゃないわよ」
「あー、都合の悪いときの捨て台詞だー」
「子供として抗議しまーす、ユーリ先生も仕事しろー」
「そうだ、そうだ、サビナさんを虐めるなー」
「このー」
ユーリが席を立つと同時に、
「はいはい、ユーリ先生は大事な仕事中ですよ、新しい道具が増えましたからそっちを確認して下さい」
ジャネットの背後からテラが騒動を止めに入る、ジャネット達はブーブー言いながらも事務所の隅に荷物を置いてテラに従って厨房へ向かった、
「まったく」
ユーリは鼻息を荒くして座り直し、
「そうですわ、研究会の方も気になってましたの、どのような状況なのです?」
パトリシアがユーリに問う、
「どのようなと言われましても新しい事は少ないかしら、まだ始まったばかりですし、下着の普及と啓蒙が先になりますね、リシア様が興味あるのは研究室にある木簡の方ではないですか?」
「えぇ、あれにもとても興味がありますわ、それと美容の方も、勿論、下着の方もどのように発展していくかとても楽しみですのよ」
「そうですよねー、私もその点は楽しみにしております」
「あ、そうだ、陛下が御不在の間に、と言っては大変失礼なのですが、リシア様に先に披露したい品があるのです、少々お待ちを」
エレインが席を立ち玄関へと走った、
「あら、なにかしら?」
「そういえば、先日、お会いしたいとの木簡が届いておりましたね」
「あ、そうでしたわね、すっかり忘れていました」
「あー、あれだわ、たぶん・・・うん、素晴らしい品ですよ」
ユーリがニヤリと微笑んだ。
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