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本編
37話 やっぱりニャンコな編み物とか その9
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夕食前、食堂には続々と人が集まってくる、
「あ、ジャネットさん、研究会はどうでした」
エレインが食堂へ入ると、ジャネットとケイスがミナとレインと共に鏡の前で髪留めを手にして楽しそうにはしゃいでいた、
「あ、エレイン様ーこれいいねー」
ミナがサッと振り向いてエレインへ駆け寄る、その髪には2本の異なる髪留めが刺さっており、前回よりも利便性の増したそれらをミナは大変気に入った様子である、ピョンピョンと楽しそうに跳ねた、
「まぁ、可愛い、良く似合ってますよ」
「でしょ、でしょ、ケイスがやってくれたの」
「すごい使い易くなったねー、流石ねーさんだよー」
ジャネットの頭にも髪留めが遠慮無く刺さっている、
「ジャネット、それ使いすぎ」
ケイスが笑いながらレインの髪を梳いている、レインはいつも通りの仏頂面であるが、悪い気はしていないようである、素直にケイスに髪を任せ、髪留めを着けると顔の向きをかえてはほくそ笑んでいる、
「ジャネットさん、使ってみてとは言いましたが、遊んでいいとは言ってないですよ」
エレインはその浮かれようにやや辛辣な視線をジャネットへ向けるが、
「えー、ほらー、どういう角度で止めればいいかの実験だよー」
ジャネットは鏡越しに微笑みつつさらに2本3本と髪留めを増やしている、
「まったく、で、研究会はどうでした?」
「あ、すごかったよー、実習室に入りきらなくて講堂に場所を移してさ、ね?」
「はい、学園の女性がみんな集まった感じでしたねー」
ジャネットとケイスは件の研究会に参加したようである、オリビアは店番の為早々に帰寮しており、他2人の生徒も同様であったが、研究会に参加出来ない不満を口にしていた為、オリビアに叱りつけられていた、
「そうでしたか、それはまた大変でしたわね・・・」
エレインはやれやれといつもの席に着くと、
「あー、お疲れー」
階段から心底疲れた顔をしたユーリ率いる研究所組が入ってきた、
「あら、お疲れ様です・・・って、本当に疲れてますわね」
エレインは研究所組の有様に労りの声をかけようと思うが、良い言葉が出てこなかった様子である、サビナやカトカは疲れた顔をしているのは珍しくないのだが、ユーリまでもが険のある面相である、これは思った以上に大事であったなとエレインは理解した、
「まったくよ、いや・・・想定してないこちらが未熟だったかしら・・・」
ユーリは反省の弁を呟きながら席に着き、
「そうですね、ちょっと、考えが甘かったですね」
サビナとカトカも頽れるように席に着いた、
「でも人が来るのは分かっていましたから・・・でも、あれほどとは誰も想定できませんよ、学園長のお陰でなんとかなりましたけど」
「そうね、そこは感謝するけど・・・」
ユーリとサビナは同時に溜息を吐く、
「はいはい、準備できたわよー、ほら、髪留めで遊んでないで、テラさんとオリビアさんは?」
ソフィアが手を拭いながら食堂へ入ってくる、鏡の前の面々を散らしつつ、エレインへ二人の所在を確認する、
「そろそろ来ると思います、店の締めに行きましたので」
「そっか、じゃ、給仕しちゃっていいわね、ミナ、レイン、手伝ってー」
二つの快活な返答が響き、ソフィアが食堂内をサッと見渡して、
「あら、なに?そっちはお疲れなの?」
研究所組の雰囲気に気付いたようである、
「そりゃね、想定外の事は何ともねー」
ユーリが不機嫌そうに呟くと、ソフィアはあっそーと相手にもせず厨房へ消えた、
「なによ、元凶の一人のくせして・・・」
ユーリはさらに不機嫌そうに呟きつつソフィアの背を睨みつけた。
「あら、今、気付いたけど可愛くなってるわね」
一同はいつも通りに一部を覗いて騒がしく夕食を楽しみ、スイカを平らげる頃にはその一部の機嫌もだいぶ良くなったようである、白湯を手にしたユーリはふとミナの髪の変化に気付いたのであった、
「えへへー、やっと気付いたのー、ユーリはとろくさいなー、もー」
ミナがニヤリと意地悪く微笑む、
「へー、新しいの出来たんだー」
「ふーん、昨日のあれでしょ、ニャンコはどうなったの?」
カトカとサビナもミナの頭を注視する、
「えっとね、エレイン様に貰ったの、ジャネットがいっぱい着けてるよ、ニャンコは宝物なのー」
ミナはそう言ってジャネットを指差す、3つの視線がジャネットへ向かい、
「へへー、どうでしょう?使い易くなったのですよー」
ジャネットは自慢げに振り向いた、
「あ、エレインさんもケイスさんも・・・オリビアさんも、テラさんまで・・・」
「レインちゃんもだ、あ、可愛いー」
「何だー、みんなして、大人は仲間外れかー」
3つの視線はジャネットに行きつく前にその周辺の変化に奪われたようである、ジャネットはあらっと肩を崩し、
「そうなんですよ、ブノワトさんが張り切って作ってくれたのです、それも大量に、それと、新製品もあるのですよ」
エレインがニコニコと3人に返答する、
「へー、ブノワトさんも大したもんよねー」
「そうなんですよ、髪飾りは鏡の前にあるので使ってみて下さい、是非、先生達の御意見も欲しいですしね」
エレインは鏡を指差す、
「あら、そういう事なら」
ユーリは白湯を片手に席を立つ、どうやら腹を満たしたお陰で機嫌も良くなった上に腰も軽くなった様子である、サビナとカトカも続き、鏡の前に乱雑に並べられた髪留めを手にした、
「へー、微妙に曲がっているのね」
「そうですね、形もいろいろ、なるほど、細くてもいいんだな、目立たなくていいかも・・・」
「なるほど、じっくり見ると単純な品なんですね、これは便利そうだなー」
「厚さも違いますね・・・」
3人は髪留めをじっくりと観察しつつ、それぞれに髪を整えて着用する、鏡に映しながら位置を調整し、外しては髪を整えて別の髪留めを試していく、
「わ、便利だ」
「うん、これいいですね、書類仕事の時に便利そう」
「挟むだけなのか、凄いな・・・」
「だしょー、前のと比べても段違いに使い易いんですよー」
ジャネットが先程無視された復讐とばかりにニコニコと話しに割って入ってきた、
「そうねー、でも、それは着けすぎー」
「そうですね、やり過ぎは駄目ですよー」
「人が多すぎるのもねー」
「えー、それここで言う?」
「やっと、忘れかけてたのにー」
「なんだよもー、みんなしてー」
ニコヤカに割って入ったジャネットであるがプリプリと頬を膨らませて、自身の頭から髪留めを次々と外して鏡の前に投げ置いた、
「あー、カトカ、やっぱりあんたは髪上げた方が良いわね、大人っぽくてゾクゾクしちゃうわー」
「そうですか?変わります?」
「あー、何よその余裕ー、ムカつくわー」
「また少し切ってあげようか?この髪留めがあれば、また、違う髪型も面白くなるわよー」
「そうですね、そのうちに」
「あ、そうだ、美容の方も計画だけでも立てますか、服飾だけで暫くは手一杯かなー」
「それもあったわねー」
3人はジャネットそっちのけで仲睦まじく髪留めで戯れる、ジャネットはもーと声にならない呻き声を発して自席に戻った、その様子をその他一同は生温い視線で眺めている、
「・・・お腹が空いてただけなのかしら」
「そういう事もありますよ」
ソフィアとテラがそんな3人を何とは無しに見つめ、
「そうだ、オリビア、例の物を、適当な紙も一緒に、皆さんに披露しませんと」
エレインの指示にオリビアは小さく頷いて階段へ向かった、
「?ガラスペン?」
「はい、新たな目玉商品になると思いますし、木軸のガラスペンを実際に使用して貰おうかとも思いまして」
ソフィアの問いにエレインが答えた、
「なるほど、あ、テラさん、リシア様の方って段取りついた?」
「まだですね、珍しくアフラさんもリンドさんもいらっしゃらなくて、御夫婦も共に御不在でした、何かあったんですかね」
「そうなんだ、まぁ、そういう事もあるわよ、忙しいのが普通の人達だからね、さて、ミナ、レイン、ちゃんと歯を磨くのよー」
ソフィアがやれやれと腰を上げた、あとは片付けと戸締りねーと呟く、ミナとレインもつられて腰を上げ、その途端ミナは大きな欠伸をして目尻をゴシゴシと袖で拭く、
「あ、手伝います」
テラが食器類をまとめだし、ソフィアも礼を言いつつ片付けに取り掛かるのであった。
「あ、ジャネットさん、研究会はどうでした」
エレインが食堂へ入ると、ジャネットとケイスがミナとレインと共に鏡の前で髪留めを手にして楽しそうにはしゃいでいた、
「あ、エレイン様ーこれいいねー」
ミナがサッと振り向いてエレインへ駆け寄る、その髪には2本の異なる髪留めが刺さっており、前回よりも利便性の増したそれらをミナは大変気に入った様子である、ピョンピョンと楽しそうに跳ねた、
「まぁ、可愛い、良く似合ってますよ」
「でしょ、でしょ、ケイスがやってくれたの」
「すごい使い易くなったねー、流石ねーさんだよー」
ジャネットの頭にも髪留めが遠慮無く刺さっている、
「ジャネット、それ使いすぎ」
ケイスが笑いながらレインの髪を梳いている、レインはいつも通りの仏頂面であるが、悪い気はしていないようである、素直にケイスに髪を任せ、髪留めを着けると顔の向きをかえてはほくそ笑んでいる、
「ジャネットさん、使ってみてとは言いましたが、遊んでいいとは言ってないですよ」
エレインはその浮かれようにやや辛辣な視線をジャネットへ向けるが、
「えー、ほらー、どういう角度で止めればいいかの実験だよー」
ジャネットは鏡越しに微笑みつつさらに2本3本と髪留めを増やしている、
「まったく、で、研究会はどうでした?」
「あ、すごかったよー、実習室に入りきらなくて講堂に場所を移してさ、ね?」
「はい、学園の女性がみんな集まった感じでしたねー」
ジャネットとケイスは件の研究会に参加したようである、オリビアは店番の為早々に帰寮しており、他2人の生徒も同様であったが、研究会に参加出来ない不満を口にしていた為、オリビアに叱りつけられていた、
「そうでしたか、それはまた大変でしたわね・・・」
エレインはやれやれといつもの席に着くと、
「あー、お疲れー」
階段から心底疲れた顔をしたユーリ率いる研究所組が入ってきた、
「あら、お疲れ様です・・・って、本当に疲れてますわね」
エレインは研究所組の有様に労りの声をかけようと思うが、良い言葉が出てこなかった様子である、サビナやカトカは疲れた顔をしているのは珍しくないのだが、ユーリまでもが険のある面相である、これは思った以上に大事であったなとエレインは理解した、
「まったくよ、いや・・・想定してないこちらが未熟だったかしら・・・」
ユーリは反省の弁を呟きながら席に着き、
「そうですね、ちょっと、考えが甘かったですね」
サビナとカトカも頽れるように席に着いた、
「でも人が来るのは分かっていましたから・・・でも、あれほどとは誰も想定できませんよ、学園長のお陰でなんとかなりましたけど」
「そうね、そこは感謝するけど・・・」
ユーリとサビナは同時に溜息を吐く、
「はいはい、準備できたわよー、ほら、髪留めで遊んでないで、テラさんとオリビアさんは?」
ソフィアが手を拭いながら食堂へ入ってくる、鏡の前の面々を散らしつつ、エレインへ二人の所在を確認する、
「そろそろ来ると思います、店の締めに行きましたので」
「そっか、じゃ、給仕しちゃっていいわね、ミナ、レイン、手伝ってー」
二つの快活な返答が響き、ソフィアが食堂内をサッと見渡して、
「あら、なに?そっちはお疲れなの?」
研究所組の雰囲気に気付いたようである、
「そりゃね、想定外の事は何ともねー」
ユーリが不機嫌そうに呟くと、ソフィアはあっそーと相手にもせず厨房へ消えた、
「なによ、元凶の一人のくせして・・・」
ユーリはさらに不機嫌そうに呟きつつソフィアの背を睨みつけた。
「あら、今、気付いたけど可愛くなってるわね」
一同はいつも通りに一部を覗いて騒がしく夕食を楽しみ、スイカを平らげる頃にはその一部の機嫌もだいぶ良くなったようである、白湯を手にしたユーリはふとミナの髪の変化に気付いたのであった、
「えへへー、やっと気付いたのー、ユーリはとろくさいなー、もー」
ミナがニヤリと意地悪く微笑む、
「へー、新しいの出来たんだー」
「ふーん、昨日のあれでしょ、ニャンコはどうなったの?」
カトカとサビナもミナの頭を注視する、
「えっとね、エレイン様に貰ったの、ジャネットがいっぱい着けてるよ、ニャンコは宝物なのー」
ミナはそう言ってジャネットを指差す、3つの視線がジャネットへ向かい、
「へへー、どうでしょう?使い易くなったのですよー」
ジャネットは自慢げに振り向いた、
「あ、エレインさんもケイスさんも・・・オリビアさんも、テラさんまで・・・」
「レインちゃんもだ、あ、可愛いー」
「何だー、みんなして、大人は仲間外れかー」
3つの視線はジャネットに行きつく前にその周辺の変化に奪われたようである、ジャネットはあらっと肩を崩し、
「そうなんですよ、ブノワトさんが張り切って作ってくれたのです、それも大量に、それと、新製品もあるのですよ」
エレインがニコニコと3人に返答する、
「へー、ブノワトさんも大したもんよねー」
「そうなんですよ、髪飾りは鏡の前にあるので使ってみて下さい、是非、先生達の御意見も欲しいですしね」
エレインは鏡を指差す、
「あら、そういう事なら」
ユーリは白湯を片手に席を立つ、どうやら腹を満たしたお陰で機嫌も良くなった上に腰も軽くなった様子である、サビナとカトカも続き、鏡の前に乱雑に並べられた髪留めを手にした、
「へー、微妙に曲がっているのね」
「そうですね、形もいろいろ、なるほど、細くてもいいんだな、目立たなくていいかも・・・」
「なるほど、じっくり見ると単純な品なんですね、これは便利そうだなー」
「厚さも違いますね・・・」
3人は髪留めをじっくりと観察しつつ、それぞれに髪を整えて着用する、鏡に映しながら位置を調整し、外しては髪を整えて別の髪留めを試していく、
「わ、便利だ」
「うん、これいいですね、書類仕事の時に便利そう」
「挟むだけなのか、凄いな・・・」
「だしょー、前のと比べても段違いに使い易いんですよー」
ジャネットが先程無視された復讐とばかりにニコニコと話しに割って入ってきた、
「そうねー、でも、それは着けすぎー」
「そうですね、やり過ぎは駄目ですよー」
「人が多すぎるのもねー」
「えー、それここで言う?」
「やっと、忘れかけてたのにー」
「なんだよもー、みんなしてー」
ニコヤカに割って入ったジャネットであるがプリプリと頬を膨らませて、自身の頭から髪留めを次々と外して鏡の前に投げ置いた、
「あー、カトカ、やっぱりあんたは髪上げた方が良いわね、大人っぽくてゾクゾクしちゃうわー」
「そうですか?変わります?」
「あー、何よその余裕ー、ムカつくわー」
「また少し切ってあげようか?この髪留めがあれば、また、違う髪型も面白くなるわよー」
「そうですね、そのうちに」
「あ、そうだ、美容の方も計画だけでも立てますか、服飾だけで暫くは手一杯かなー」
「それもあったわねー」
3人はジャネットそっちのけで仲睦まじく髪留めで戯れる、ジャネットはもーと声にならない呻き声を発して自席に戻った、その様子をその他一同は生温い視線で眺めている、
「・・・お腹が空いてただけなのかしら」
「そういう事もありますよ」
ソフィアとテラがそんな3人を何とは無しに見つめ、
「そうだ、オリビア、例の物を、適当な紙も一緒に、皆さんに披露しませんと」
エレインの指示にオリビアは小さく頷いて階段へ向かった、
「?ガラスペン?」
「はい、新たな目玉商品になると思いますし、木軸のガラスペンを実際に使用して貰おうかとも思いまして」
ソフィアの問いにエレインが答えた、
「なるほど、あ、テラさん、リシア様の方って段取りついた?」
「まだですね、珍しくアフラさんもリンドさんもいらっしゃらなくて、御夫婦も共に御不在でした、何かあったんですかね」
「そうなんだ、まぁ、そういう事もあるわよ、忙しいのが普通の人達だからね、さて、ミナ、レイン、ちゃんと歯を磨くのよー」
ソフィアがやれやれと腰を上げた、あとは片付けと戸締りねーと呟く、ミナとレインもつられて腰を上げ、その途端ミナは大きな欠伸をして目尻をゴシゴシと袖で拭く、
「あ、手伝います」
テラが食器類をまとめだし、ソフィアも礼を言いつつ片付けに取り掛かるのであった。
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