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本編
34話 研究会と講習会 その3
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その日の夕食はカボチャと干し肉の煮物、タマネギとマヨソースのサラダ、定番となった薄パンと初めて食卓を飾った干し茸の煮物である、
「これ、キノコ、ミナが干したやつー」
ミナが嬉しそうに干し茸を頬張り、
「そうよー、どう?美味しい?」
ソフィアが感想を聞くが、
「うんと、分かんない」
ミナは素直な感想を吐露し、一同はエッと驚きつつ笑った、
「えー、分かんないよー、美味しいと思うけど、えっと、フクザツー」
「あー、子供の舌には分からんかこの味はー」
ユーリがにやりと笑って、煮物を頬張り、
「うん、美味しいと思うよ、流石ミナだなー」
ニコリと笑顔を見せるユーリに、
「むー、ならいいー、もっと美味しくなると思ってたー」
ミナは悔しそうに顔を顰めつつ煮物に視線を落とす、
「そう?美味しいわよ、うん、普通の茸とは違うお味よね」
「そうですねー、何か味が・・・全然変わるんですね」
「うん、あれって思ったけど、これはこれで美味しいね」
「あー、ミナっち、この味はあれだ、おっさんとおばさんにしか分からない味だよ」
ジャネットが優しくミナを諭すと、
「そっかー、おっさんとおばさんかー」
ミナはなるほどと理解を示してニヤリと笑顔を浮かべ、
「ユーリはおばさんだからなー」
聞こえよがしに呟く、
「ミーナー」
冷たい視線をミナに向けるユーリ、
「えー、美味しいならいいでしょー、ミナ、子供だから分かんなーい」
「むきー、都合の良い所で子供になるんじゃないわよー」
「美味しいならいいでしょが、折角ミナとレインが作ったんだから感謝して食べなさい」
ソフィアがユーリを叱り付け、ミナはしてやったりとユーリにいやらしい笑顔を向ける、
「む、じゃ、おばさんでいいから、もっと食べたいなー」
「じゃ、ミナのあげる、代わりにカボチャ頂戴」
ミナがユーリに茸の煮物を渡し、
「ん、じゃ、交換ね」
ユーリはミナが差し出したカボチャの皿に自身のそれの半分を分けた、
「うふ、カボチャ美味しいね」
「そうですねー、あ、もしかしてこれが初物ってやつですか?」
ケイスが気付いてテラに問う、
「そうですね、はい、今年の出始めですよね、カボチャ」
「そっかー、こういう事か、確かに初物って言われると何か特別感があるよねー」
「あ、それ、分かります、でも、田舎だと暫くはカボチャばっかりなんで飽きるんですよねー」
「あー、それも分かるー」
「あれ、タマネギも初物ですよね?」
「うん、そうよー」
「マヨソースと合わせると美味しいですねー、シャキシャキしてて、辛くないのは何かコツがあるんですか?」
「切った後に水で軽く洗ってあるのよ」
「へー、それだけですかー」
「そうよー」
姦しくも楽しく夕食は進みデザートとしてメロンが供されると、
「うー、美味しいー」
「うん、ホント絶品よねー」
「えへへー、美味しいねー」
「あー、幸せー」
皆の歓喜が呻き声となって食堂を満たす、
「あ、そうだ、ソフィアさん、お時間頂けます?」
「んー、良いわよー」
エレインがメロンを頬張りつつソフィアに確認し、ソフィアは気楽に受け入れた、
「あー、じゃ、私もー」
何故かユーリが同調するが、
「えー、何かあったー」
ユーリには素っ気ないソフィアである、
「魔法石の報告書、カトカも居た方がいいかしら?」
「不備がありました?」
カトカが顔を上げる、嬉しそうな顔が一転し、不安そうな顔である、
「不備ってわけじゃなくてね、今後の対応について相談したくてさー」
「あー、そうですよね、どうします?」
「ん、今やっちゃう?」
「えー、ゆっくりメロンを楽しみたいですー」
「そうよねー」
「じゃ、明日で」
「はい」
「午後ねー」
「りょーかーい」
それから夕食が終わり、ソフィアとオリビアとテラが洗い物を済ませて食堂へ戻ると、ミナとレインは宿舎に戻り、カトカとサビナも帰ったようで、生徒達が白湯を片手にしユーリはどうやらワインを片手にして何やら話し込んでいる、
「さて、で、なに?」
ソフィアが手を拭いながら席に着くと、エレインは居住まいを正しつつ、
「はい、ガラス鏡協会の件と下着の件について報告をと思いまして」
前置きをしつつ、昼間の出来事を説明する、
「へー、着実に進んでいるのねー、大したもんだわー」
ソフィアはやはりどこか他人事のように誉め言葉を口にする、
「ありがとうございます、で、確認というか、相談かな、なんですが、下着の方なんですがそういう感じで進めていいですか?」
「そういう感じ?」
「はい、テラさんとオリビアとも相談したんですが、商売にはなりにくいのかなと思いまして、もう既に領主様とクロ・・・リシア様にはお伝えしてしまいましたしね、それと従業員にも」
「あー、そういう事」
ソフィアは小さく頷いた、
「それで、ギルドに伝えたらもう、こちらで制御できる案件では無くなると思うのですね」
「うん、ま、いいんじゃない?好きにしたらいいわよ、なんか問題ある?」
ソフィアは不思議そうにエレインに問う、
「えっと、その、ソフィアさんの取り分というか、そういうのが完全に無くなってしまうかなって、このままですと、六花商会の名前は売れますし、定期的に権利料が入る予定となっておるのですが、発案者であるソフィアさんに何の利益も無い・・・と思いまして」
「別にいいわよー、気にしてないしー」
ソフィアはあっさりとしたものである、何が問題なのと言わんばかりに小首を傾げた、
「あー、ソフィアあんたはホントそういう所がダメダメなのよー」
ユーリが口を挟み、
「折角、儲けられるんだから、儲ければいいじゃない、前にも言ったけどさー」
「そうは言うけどめんどくさいじゃない」
「そういう問題じゃないでしょ、エレインさんがイイ感じに商売してるんだから、利用すればいいのよ」
「そういうのイヤ」
「イヤってあんたねー」
いつぞやも聞いたような遣り取りである、ユーリは極めて現実的、一般的な拝金思考を有するが、ソフィアはそういった思考が皆無なのである、それがソフィアの達観した風柄に表れているのであるが、それを含めソフィア個人を尊敬しているエレインとしては、ソフィアに対して立てる所は立てなければと考えており、また、正当な報酬なり利益なりを得る資格があると思っていた、
「そう仰るとは思ってました、では、そのように進めるという事で許可して下さい」
エレインは相談の内容を変化させた、
「いいわよ、うん、でも、エレインさんの所にはどうやって利益?が入るの?」
ソフィアはあっさりと認めつつ純粋な疑問を口にした、
「はい、今日の打合せで六花商会の取り扱い商品に服飾をいれまして、それ系統の協会へ参画する事にしました、その上で下着に関する講習会を開きます、その講師料ですね、複数回になると思いますが、それなりの金額になりそうです、それとギルドの管理下で下着を販売した場合に幾ばくか権利料が入る事になります」
「へー、そんなのあるんだー」
「あくまで商工ギルドの傘下にあるお店だけですけどね」
「じゃ、良かったじゃない、あれでしょ、働かなくても利益が入って来るんでしょ」
「はい、ただ、傘下に無い店からは取れないですけどね、それと向こう5年間かな?期限付きです、それでも長いそうなんですが、ギルド側で気を使ってくれたらしくて、ですのでかなりの金額になると思いますよ」
エレインは一度言葉を区切って口元を引き締めると、
「ですが、この金額は本来ソフィアさんが受け取るべきお金だと思います」
真摯な視線をソフィアに向け、
「ですので、受け取って下さい」
エレインは言い切り、テラとオリビアもソフィアを注視する、ジャネットとケイスは押し黙り、ユーリはニヤニヤとソフィアを眺めている、
「あー、そういう事?」
ソフィアは困ったなと腕を組んで俯いた、
「いいじゃない、貰っておきなさい、お金ってやつはね、あって困るもんではないでしょ」
ユーリがカンラカンラと笑いながら助け船を出す、
「そうだろうけど・・・」
流石のソフィアもエレインの誠意にどう対応したものかと困惑している様子である、
「そうですよ、貰っておいて損は無いです、そして、受け取る権利もですが、義務もあると思います」
テラが静かにソフィアに語る、この場においては最も年長であり、経験も豊富なテラである、昼間エレインとオリビアからソフィア独特の価値観について聞いていたが、そのような人物がいるのかと懐疑的であった、しかし、その様を目にして、なるほどと納得しつつも、ソフィアの常識外れとも言える清廉さは、そういう人だからで済まない事も一般社会では多分にあるのである、
「義務ねぇ」
ソフィアはいよいよ困った顔である、
「はい、別に問題は無いと思いますよ、先程会長がお話した通り、服飾協会に席を置いて、その上でギルド会員向けに勉強会を開きます、その後は各会員独自に販売すると思われますが、その収益の一部が定期的に入るだけです、ソフィアさんが懸念するような面倒事は無いと断言できます、勉強会にしろ窓口にしろ私達が動きますので」
「それは、そうでしょうけど」
「いいから、受け取っておきなさいよ、エレインさんにも矜持ってものがあるでしょ、面子と言ってもいいかしらね、あんた、前に物がどうのこうのって言ってたけど、お金だって立派な物なのよ、そういう意味でも受け取らないのはエレインさんに失礼よ」
ユーリがやや強い口調でソフィアを説得する、ソフィアはユーリを斜めに睨みつつ、ハァーと大きく溜息を吐いて、
「あー、わかった、わかった、素直に受け取ればいいんでしょ、そうするわよ」
漸くソフィアが折れたようである、エレインはホッと溜息を吐き、ジャネット達も良かったーと小さく微笑む、
「でもあれよ、お金の管理も面倒だからそっちで貯めておいて、金額だけ時々教えてくれればいいから」
ソフィアはそれが妥協点だと言わんばかりである、
「はい、ではそのように、オリビア、お願いね」
「はい、お嬢様」
エレインはソフィアらしいなと微笑み、オリビアは静かに頷いた。
「これ、キノコ、ミナが干したやつー」
ミナが嬉しそうに干し茸を頬張り、
「そうよー、どう?美味しい?」
ソフィアが感想を聞くが、
「うんと、分かんない」
ミナは素直な感想を吐露し、一同はエッと驚きつつ笑った、
「えー、分かんないよー、美味しいと思うけど、えっと、フクザツー」
「あー、子供の舌には分からんかこの味はー」
ユーリがにやりと笑って、煮物を頬張り、
「うん、美味しいと思うよ、流石ミナだなー」
ニコリと笑顔を見せるユーリに、
「むー、ならいいー、もっと美味しくなると思ってたー」
ミナは悔しそうに顔を顰めつつ煮物に視線を落とす、
「そう?美味しいわよ、うん、普通の茸とは違うお味よね」
「そうですねー、何か味が・・・全然変わるんですね」
「うん、あれって思ったけど、これはこれで美味しいね」
「あー、ミナっち、この味はあれだ、おっさんとおばさんにしか分からない味だよ」
ジャネットが優しくミナを諭すと、
「そっかー、おっさんとおばさんかー」
ミナはなるほどと理解を示してニヤリと笑顔を浮かべ、
「ユーリはおばさんだからなー」
聞こえよがしに呟く、
「ミーナー」
冷たい視線をミナに向けるユーリ、
「えー、美味しいならいいでしょー、ミナ、子供だから分かんなーい」
「むきー、都合の良い所で子供になるんじゃないわよー」
「美味しいならいいでしょが、折角ミナとレインが作ったんだから感謝して食べなさい」
ソフィアがユーリを叱り付け、ミナはしてやったりとユーリにいやらしい笑顔を向ける、
「む、じゃ、おばさんでいいから、もっと食べたいなー」
「じゃ、ミナのあげる、代わりにカボチャ頂戴」
ミナがユーリに茸の煮物を渡し、
「ん、じゃ、交換ね」
ユーリはミナが差し出したカボチャの皿に自身のそれの半分を分けた、
「うふ、カボチャ美味しいね」
「そうですねー、あ、もしかしてこれが初物ってやつですか?」
ケイスが気付いてテラに問う、
「そうですね、はい、今年の出始めですよね、カボチャ」
「そっかー、こういう事か、確かに初物って言われると何か特別感があるよねー」
「あ、それ、分かります、でも、田舎だと暫くはカボチャばっかりなんで飽きるんですよねー」
「あー、それも分かるー」
「あれ、タマネギも初物ですよね?」
「うん、そうよー」
「マヨソースと合わせると美味しいですねー、シャキシャキしてて、辛くないのは何かコツがあるんですか?」
「切った後に水で軽く洗ってあるのよ」
「へー、それだけですかー」
「そうよー」
姦しくも楽しく夕食は進みデザートとしてメロンが供されると、
「うー、美味しいー」
「うん、ホント絶品よねー」
「えへへー、美味しいねー」
「あー、幸せー」
皆の歓喜が呻き声となって食堂を満たす、
「あ、そうだ、ソフィアさん、お時間頂けます?」
「んー、良いわよー」
エレインがメロンを頬張りつつソフィアに確認し、ソフィアは気楽に受け入れた、
「あー、じゃ、私もー」
何故かユーリが同調するが、
「えー、何かあったー」
ユーリには素っ気ないソフィアである、
「魔法石の報告書、カトカも居た方がいいかしら?」
「不備がありました?」
カトカが顔を上げる、嬉しそうな顔が一転し、不安そうな顔である、
「不備ってわけじゃなくてね、今後の対応について相談したくてさー」
「あー、そうですよね、どうします?」
「ん、今やっちゃう?」
「えー、ゆっくりメロンを楽しみたいですー」
「そうよねー」
「じゃ、明日で」
「はい」
「午後ねー」
「りょーかーい」
それから夕食が終わり、ソフィアとオリビアとテラが洗い物を済ませて食堂へ戻ると、ミナとレインは宿舎に戻り、カトカとサビナも帰ったようで、生徒達が白湯を片手にしユーリはどうやらワインを片手にして何やら話し込んでいる、
「さて、で、なに?」
ソフィアが手を拭いながら席に着くと、エレインは居住まいを正しつつ、
「はい、ガラス鏡協会の件と下着の件について報告をと思いまして」
前置きをしつつ、昼間の出来事を説明する、
「へー、着実に進んでいるのねー、大したもんだわー」
ソフィアはやはりどこか他人事のように誉め言葉を口にする、
「ありがとうございます、で、確認というか、相談かな、なんですが、下着の方なんですがそういう感じで進めていいですか?」
「そういう感じ?」
「はい、テラさんとオリビアとも相談したんですが、商売にはなりにくいのかなと思いまして、もう既に領主様とクロ・・・リシア様にはお伝えしてしまいましたしね、それと従業員にも」
「あー、そういう事」
ソフィアは小さく頷いた、
「それで、ギルドに伝えたらもう、こちらで制御できる案件では無くなると思うのですね」
「うん、ま、いいんじゃない?好きにしたらいいわよ、なんか問題ある?」
ソフィアは不思議そうにエレインに問う、
「えっと、その、ソフィアさんの取り分というか、そういうのが完全に無くなってしまうかなって、このままですと、六花商会の名前は売れますし、定期的に権利料が入る予定となっておるのですが、発案者であるソフィアさんに何の利益も無い・・・と思いまして」
「別にいいわよー、気にしてないしー」
ソフィアはあっさりとしたものである、何が問題なのと言わんばかりに小首を傾げた、
「あー、ソフィアあんたはホントそういう所がダメダメなのよー」
ユーリが口を挟み、
「折角、儲けられるんだから、儲ければいいじゃない、前にも言ったけどさー」
「そうは言うけどめんどくさいじゃない」
「そういう問題じゃないでしょ、エレインさんがイイ感じに商売してるんだから、利用すればいいのよ」
「そういうのイヤ」
「イヤってあんたねー」
いつぞやも聞いたような遣り取りである、ユーリは極めて現実的、一般的な拝金思考を有するが、ソフィアはそういった思考が皆無なのである、それがソフィアの達観した風柄に表れているのであるが、それを含めソフィア個人を尊敬しているエレインとしては、ソフィアに対して立てる所は立てなければと考えており、また、正当な報酬なり利益なりを得る資格があると思っていた、
「そう仰るとは思ってました、では、そのように進めるという事で許可して下さい」
エレインは相談の内容を変化させた、
「いいわよ、うん、でも、エレインさんの所にはどうやって利益?が入るの?」
ソフィアはあっさりと認めつつ純粋な疑問を口にした、
「はい、今日の打合せで六花商会の取り扱い商品に服飾をいれまして、それ系統の協会へ参画する事にしました、その上で下着に関する講習会を開きます、その講師料ですね、複数回になると思いますが、それなりの金額になりそうです、それとギルドの管理下で下着を販売した場合に幾ばくか権利料が入る事になります」
「へー、そんなのあるんだー」
「あくまで商工ギルドの傘下にあるお店だけですけどね」
「じゃ、良かったじゃない、あれでしょ、働かなくても利益が入って来るんでしょ」
「はい、ただ、傘下に無い店からは取れないですけどね、それと向こう5年間かな?期限付きです、それでも長いそうなんですが、ギルド側で気を使ってくれたらしくて、ですのでかなりの金額になると思いますよ」
エレインは一度言葉を区切って口元を引き締めると、
「ですが、この金額は本来ソフィアさんが受け取るべきお金だと思います」
真摯な視線をソフィアに向け、
「ですので、受け取って下さい」
エレインは言い切り、テラとオリビアもソフィアを注視する、ジャネットとケイスは押し黙り、ユーリはニヤニヤとソフィアを眺めている、
「あー、そういう事?」
ソフィアは困ったなと腕を組んで俯いた、
「いいじゃない、貰っておきなさい、お金ってやつはね、あって困るもんではないでしょ」
ユーリがカンラカンラと笑いながら助け船を出す、
「そうだろうけど・・・」
流石のソフィアもエレインの誠意にどう対応したものかと困惑している様子である、
「そうですよ、貰っておいて損は無いです、そして、受け取る権利もですが、義務もあると思います」
テラが静かにソフィアに語る、この場においては最も年長であり、経験も豊富なテラである、昼間エレインとオリビアからソフィア独特の価値観について聞いていたが、そのような人物がいるのかと懐疑的であった、しかし、その様を目にして、なるほどと納得しつつも、ソフィアの常識外れとも言える清廉さは、そういう人だからで済まない事も一般社会では多分にあるのである、
「義務ねぇ」
ソフィアはいよいよ困った顔である、
「はい、別に問題は無いと思いますよ、先程会長がお話した通り、服飾協会に席を置いて、その上でギルド会員向けに勉強会を開きます、その後は各会員独自に販売すると思われますが、その収益の一部が定期的に入るだけです、ソフィアさんが懸念するような面倒事は無いと断言できます、勉強会にしろ窓口にしろ私達が動きますので」
「それは、そうでしょうけど」
「いいから、受け取っておきなさいよ、エレインさんにも矜持ってものがあるでしょ、面子と言ってもいいかしらね、あんた、前に物がどうのこうのって言ってたけど、お金だって立派な物なのよ、そういう意味でも受け取らないのはエレインさんに失礼よ」
ユーリがやや強い口調でソフィアを説得する、ソフィアはユーリを斜めに睨みつつ、ハァーと大きく溜息を吐いて、
「あー、わかった、わかった、素直に受け取ればいいんでしょ、そうするわよ」
漸くソフィアが折れたようである、エレインはホッと溜息を吐き、ジャネット達も良かったーと小さく微笑む、
「でもあれよ、お金の管理も面倒だからそっちで貯めておいて、金額だけ時々教えてくれればいいから」
ソフィアはそれが妥協点だと言わんばかりである、
「はい、ではそのように、オリビア、お願いね」
「はい、お嬢様」
エレインはソフィアらしいなと微笑み、オリビアは静かに頷いた。
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