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本編
33話 王様たちと その8
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「えーと、パトリシアさん、どういう事なのです?」
オリビアとテラが調理に向かい、パトリシアが一行を席に着かせると、それと同時にマルルースの瞳が光り、そのままパトリシアに向けられた、
「あら、マルルース義母様、もう、気付かれました?」
「あー、私もー、ね、ね、姉様もだけどエレインさんもすんごい綺麗なんだけど、ブノワトさんもよね、それにメイド達もだし、どうしたの?」
ウルジュラがはしゃぎ、エフェリーンも気付いていたようで、鋭い眼光がエレイン達に向けられている、
「なんの事だ?」
主賓席に座った国王が急に騒ぎ出した王妃と王女へ不思議そうに視線を送る、
「あら、陛下は気付いておりませんの?」
「まぁ、では、陛下が気付くまでは答え合わせは無しにしましょうか」
パトリシアは意地の悪い笑顔を見せるが、
「えー、姉様それはどうかと」
「そうですわ、それを見せる為に招いたのですか?」
「いいえ、もっと、分かり易い物も用意してありますのよ、それはのちほど、で、陛下、お分かりになりまして?」
挑戦的な瞳を実の父である国王へ向けるパトリシア、国王は眉間に皺を刻みつつ、ウルジュラが口にした面々を観察し、おっと小さく驚いて、
「確かにな、妙に艶めいているな、ん、何が違うのだ?」
王妃達とエレイン達を無遠慮に見比べ、
「お、なるほどそうか、身体の線か?服装が違うのか?妙に美しいな、胸か・・・そういう事か?」
国王はパトリシアに問いかける、
「御明察です、陛下、ふふ、如何です?美しいでしょう」
パトリシアは妖艶に微笑み、国王はむぅと低く唸る、
「それで、それは一体どういう事なのです?」
エフェリーンは痺れを切らした様子でやや強い口調でパトリシアを詰問する、
「そうですわね」
パトリシアは余裕の笑みを浮かべて賓客達を睥睨すると、もったいぶりつつ訥々と新しい下着に関する事を掻い摘んで説明し、
「ふふ、というわけなのです、さらに言えばソフィアさんの発案ですのよ、素晴らしいでしょう」
「ほう、それは興味深いのう」
「えぇ、実に興味深いですわね」
「えー、いいなー、欲しいなー」
「全くですわね」
4人の視線がソフィアに向かい、ソフィアはソフィアで、ニコリと微笑みつつ、
「作るのは簡単ですよ、後日ゆっくりとパトリシア様に師事なさって下さい、パトリシア様がお連れになった側仕えの皆様は既に習得されております、それに私としては王家にこの下着が伝播した後にどのような発展を遂げるのか楽しみですわ」
既に他人事のようである、しかし、技術的な発展を望んでいる辺りにソフィア自身も楽しんでいることは伺い知れた、
「まぁ、では、パトリシアそのように」
「ですね、姉様だけずるいですよ」
「おほほほ、勿論ですわ久しぶりにマルルース義母様の針仕事の腕をみたいですし」
「まぁ、嬉しいことを言いますね」
「うふふ、楽しみー」
女性陣の楽しそうな様子に国王も微笑みつつ、
「そうなると、あれか、タロウとあっちこっち放浪していたと聞いたがその成果か?」
「まぁ、そんな事まで御存知でしたか」
ソフィアは笑いつつ、
「そうですね、南の方の冬の無い地方で教えてもらった下着です、こちらでも有用かなと思いましてエレインさんに教えたら、あっという間にパトリシア様に伝わってしまって」
「あら、何か悪いことのように聞こえましてよ」
パトリシアがソフィアを睨むが、
「いえいえ、このままでは、あっという間に国中に広がりそうですね、世の女性達がより美しくなるのは良いことです」
「それもそうだ、確かに美しいな、それに姿勢も良いぞ、パトリシアは子供の頃から上背があるからな猫背になるのを気にしていたが、背筋が伸びてより美しいぞ」
「まぁ、猫背はだいぶ前に直しましたわよ」
パトリシアは不満顔となり、そうであったかと国王は笑った、
「で、向こうでやっているのは何だ?友人達なのであろう?」
部屋の一角で調理に励むテラとオリビアへ視線を飛ばす、
「軽食を作って頂いています、ユラは一度見ておりますよね」
「はい、とっても美味しいのですよ、あれでよね」
「あれですよ、ですが、本日の為の特別な一品です、見た事のない品ですよ」
「まぁ、それは楽しみです」
「あれ、と言うと、以前お話ししていた冷たい菓子ですか?」
マルルースがウルジュラに問う、
「はい、それです、うふふ、エレインさんがいらっしゃるという事で期待していたのですよ」
嬉しそうに微笑むウルジュラ、
「まぁ、私も聞いておりました、それは楽しみですね」
エフェリーンも興味を持った様子である、
「そうですね、もし興味があれば実際に作る事も可能との事です、一旦頂いてから試してみてもよいと思いますよ」
「え、ホント、それは嬉しいな、楽しいよね」
ウルジュラは乗り気のようである、すると、
「こんにちわー、おっちゃん、ダレー?」
会場の前室である転送陣の置かれた前室に子供の嬌声が響き、開け放たれた扉から遠慮なくその声が漏れ聞こえる、
「あ、あの子はもー」
一同は何事かと驚き、ソフィアは慌てて立ち上がると、
「どうしたのー」
パタパタと前室に走った、
「ソフィー、いたー、あのねー、海見たのー、すんごい大きかったー」
「こら、騒がない、おしとやかな日でしょ、忘れたの?」
「忘れてないよー、あのねー、兵士のおっちゃんがカッコよかったー、後ねー、おっきいお船とちっさいお船が浮いてたー」
「そっか、良かったわね」
ミナの楽し気な大声が場を一気に朗らかに変える、
「ほっほっほ、子供の声はいいのう、明るくなるわ」
主賓である国王が悠揚に笑い、それにつられて王妃達も笑顔となる、
「あ、でね、おっちゃん、どうしたのー」
「これは失礼を」
しかしソフィアにしては珍しい慌てた上に丁寧な声音である、異常を感じてクロノスも腰を上げ前室へ向かった、やがて、ヨリックが静かに姿を表すと、
「イフナース王子、参られました」
腰を折って来客を告げる、
「まぁ、それは大変」
パトリシアも慌てて腰を上げ、
「ほう、そうか、それは良かった」
「はい、今朝は調子が良いと聞いておりました」
エフェリーンも席を立つと前室へ向かう、エレインとブノワトは何事かとキョロキョロと不安そうに浮足立つが、
「よいよい、気にするな、座っておれ」
国王自らが気にかけた事によって、エレインとブノワトは何とか平静を保つ、
「こちらですよ」
やがて、エフェリーンとクロノスに支えられて痩身長躯の若者が入ってくる、パトリシアの異母弟でウルジュラの異母兄、イフナース王子であった、
「これは、失礼を、陛下も御機嫌麗しゅう」
静かに頭を垂れるイフナース、
「うむ、よく来た」
国王は短く答え、
「さ、席に、無理をしてはいけません」
エフェリーンが促し、
「ほら、遠慮するな、抱いてやろうか?」
クロノスが軽口を叩く、
「ふ、まったく、義兄上は口が悪い」
ニコリと力の無い微笑みを浮かべるイフナース、しかし、その言葉とは裏腹に全身に力が入らないのか二人の支えを頼りにして席までたどたどしく歩を進め、静かに席に着いた、
「うむ、嬉しいのう、我が家の全員が顔を合わせるのは久方ぶりじゃな」
国王は心底嬉しそうに微笑み、
「もうしわけありません、私が不甲斐ないばかりに」
イフナースは申し訳なさそうに呟いた、イフナースは一目で分かるほどの病身である、大戦時において若輩であるにも関わらず最前線に立つ程の偉丈夫であり、長兄であるケルネーレスと共に王家の双剣とまで呼ばれた事もあった、しかし、ケルネーレスは戦死し、自身もまた原因不明の病に侵され戦線を離脱する事となった、以後、王城から外に出ることは無く、闘病生活を余儀なくされた、また、その自尊心の高さ故か実の母親であるエフェリーンと国王以外が面会する事を非常に嫌がっていた、その為、王城内でもその姿を見る事は稀な事である、
「会えて嬉しいぞ、イフナース、無理はしていないであろうな」
クロノスはやっと気兼ねなく話せる相手を得たと嬉しそうに労り、
「そうね、顔を合わせるのも久しぶりね、姉弟なのだからもっと顔を見せなさい」
パトリシアも嬉しそうに声をかける、
「ありがとうございます、義兄上、姉上」
イフナースもやっと嬉しそうに、しかしどこか寂しそうに微笑むのであった。
オリビアとテラが調理に向かい、パトリシアが一行を席に着かせると、それと同時にマルルースの瞳が光り、そのままパトリシアに向けられた、
「あら、マルルース義母様、もう、気付かれました?」
「あー、私もー、ね、ね、姉様もだけどエレインさんもすんごい綺麗なんだけど、ブノワトさんもよね、それにメイド達もだし、どうしたの?」
ウルジュラがはしゃぎ、エフェリーンも気付いていたようで、鋭い眼光がエレイン達に向けられている、
「なんの事だ?」
主賓席に座った国王が急に騒ぎ出した王妃と王女へ不思議そうに視線を送る、
「あら、陛下は気付いておりませんの?」
「まぁ、では、陛下が気付くまでは答え合わせは無しにしましょうか」
パトリシアは意地の悪い笑顔を見せるが、
「えー、姉様それはどうかと」
「そうですわ、それを見せる為に招いたのですか?」
「いいえ、もっと、分かり易い物も用意してありますのよ、それはのちほど、で、陛下、お分かりになりまして?」
挑戦的な瞳を実の父である国王へ向けるパトリシア、国王は眉間に皺を刻みつつ、ウルジュラが口にした面々を観察し、おっと小さく驚いて、
「確かにな、妙に艶めいているな、ん、何が違うのだ?」
王妃達とエレイン達を無遠慮に見比べ、
「お、なるほどそうか、身体の線か?服装が違うのか?妙に美しいな、胸か・・・そういう事か?」
国王はパトリシアに問いかける、
「御明察です、陛下、ふふ、如何です?美しいでしょう」
パトリシアは妖艶に微笑み、国王はむぅと低く唸る、
「それで、それは一体どういう事なのです?」
エフェリーンは痺れを切らした様子でやや強い口調でパトリシアを詰問する、
「そうですわね」
パトリシアは余裕の笑みを浮かべて賓客達を睥睨すると、もったいぶりつつ訥々と新しい下着に関する事を掻い摘んで説明し、
「ふふ、というわけなのです、さらに言えばソフィアさんの発案ですのよ、素晴らしいでしょう」
「ほう、それは興味深いのう」
「えぇ、実に興味深いですわね」
「えー、いいなー、欲しいなー」
「全くですわね」
4人の視線がソフィアに向かい、ソフィアはソフィアで、ニコリと微笑みつつ、
「作るのは簡単ですよ、後日ゆっくりとパトリシア様に師事なさって下さい、パトリシア様がお連れになった側仕えの皆様は既に習得されております、それに私としては王家にこの下着が伝播した後にどのような発展を遂げるのか楽しみですわ」
既に他人事のようである、しかし、技術的な発展を望んでいる辺りにソフィア自身も楽しんでいることは伺い知れた、
「まぁ、では、パトリシアそのように」
「ですね、姉様だけずるいですよ」
「おほほほ、勿論ですわ久しぶりにマルルース義母様の針仕事の腕をみたいですし」
「まぁ、嬉しいことを言いますね」
「うふふ、楽しみー」
女性陣の楽しそうな様子に国王も微笑みつつ、
「そうなると、あれか、タロウとあっちこっち放浪していたと聞いたがその成果か?」
「まぁ、そんな事まで御存知でしたか」
ソフィアは笑いつつ、
「そうですね、南の方の冬の無い地方で教えてもらった下着です、こちらでも有用かなと思いましてエレインさんに教えたら、あっという間にパトリシア様に伝わってしまって」
「あら、何か悪いことのように聞こえましてよ」
パトリシアがソフィアを睨むが、
「いえいえ、このままでは、あっという間に国中に広がりそうですね、世の女性達がより美しくなるのは良いことです」
「それもそうだ、確かに美しいな、それに姿勢も良いぞ、パトリシアは子供の頃から上背があるからな猫背になるのを気にしていたが、背筋が伸びてより美しいぞ」
「まぁ、猫背はだいぶ前に直しましたわよ」
パトリシアは不満顔となり、そうであったかと国王は笑った、
「で、向こうでやっているのは何だ?友人達なのであろう?」
部屋の一角で調理に励むテラとオリビアへ視線を飛ばす、
「軽食を作って頂いています、ユラは一度見ておりますよね」
「はい、とっても美味しいのですよ、あれでよね」
「あれですよ、ですが、本日の為の特別な一品です、見た事のない品ですよ」
「まぁ、それは楽しみです」
「あれ、と言うと、以前お話ししていた冷たい菓子ですか?」
マルルースがウルジュラに問う、
「はい、それです、うふふ、エレインさんがいらっしゃるという事で期待していたのですよ」
嬉しそうに微笑むウルジュラ、
「まぁ、私も聞いておりました、それは楽しみですね」
エフェリーンも興味を持った様子である、
「そうですね、もし興味があれば実際に作る事も可能との事です、一旦頂いてから試してみてもよいと思いますよ」
「え、ホント、それは嬉しいな、楽しいよね」
ウルジュラは乗り気のようである、すると、
「こんにちわー、おっちゃん、ダレー?」
会場の前室である転送陣の置かれた前室に子供の嬌声が響き、開け放たれた扉から遠慮なくその声が漏れ聞こえる、
「あ、あの子はもー」
一同は何事かと驚き、ソフィアは慌てて立ち上がると、
「どうしたのー」
パタパタと前室に走った、
「ソフィー、いたー、あのねー、海見たのー、すんごい大きかったー」
「こら、騒がない、おしとやかな日でしょ、忘れたの?」
「忘れてないよー、あのねー、兵士のおっちゃんがカッコよかったー、後ねー、おっきいお船とちっさいお船が浮いてたー」
「そっか、良かったわね」
ミナの楽し気な大声が場を一気に朗らかに変える、
「ほっほっほ、子供の声はいいのう、明るくなるわ」
主賓である国王が悠揚に笑い、それにつられて王妃達も笑顔となる、
「あ、でね、おっちゃん、どうしたのー」
「これは失礼を」
しかしソフィアにしては珍しい慌てた上に丁寧な声音である、異常を感じてクロノスも腰を上げ前室へ向かった、やがて、ヨリックが静かに姿を表すと、
「イフナース王子、参られました」
腰を折って来客を告げる、
「まぁ、それは大変」
パトリシアも慌てて腰を上げ、
「ほう、そうか、それは良かった」
「はい、今朝は調子が良いと聞いておりました」
エフェリーンも席を立つと前室へ向かう、エレインとブノワトは何事かとキョロキョロと不安そうに浮足立つが、
「よいよい、気にするな、座っておれ」
国王自らが気にかけた事によって、エレインとブノワトは何とか平静を保つ、
「こちらですよ」
やがて、エフェリーンとクロノスに支えられて痩身長躯の若者が入ってくる、パトリシアの異母弟でウルジュラの異母兄、イフナース王子であった、
「これは、失礼を、陛下も御機嫌麗しゅう」
静かに頭を垂れるイフナース、
「うむ、よく来た」
国王は短く答え、
「さ、席に、無理をしてはいけません」
エフェリーンが促し、
「ほら、遠慮するな、抱いてやろうか?」
クロノスが軽口を叩く、
「ふ、まったく、義兄上は口が悪い」
ニコリと力の無い微笑みを浮かべるイフナース、しかし、その言葉とは裏腹に全身に力が入らないのか二人の支えを頼りにして席までたどたどしく歩を進め、静かに席に着いた、
「うむ、嬉しいのう、我が家の全員が顔を合わせるのは久方ぶりじゃな」
国王は心底嬉しそうに微笑み、
「もうしわけありません、私が不甲斐ないばかりに」
イフナースは申し訳なさそうに呟いた、イフナースは一目で分かるほどの病身である、大戦時において若輩であるにも関わらず最前線に立つ程の偉丈夫であり、長兄であるケルネーレスと共に王家の双剣とまで呼ばれた事もあった、しかし、ケルネーレスは戦死し、自身もまた原因不明の病に侵され戦線を離脱する事となった、以後、王城から外に出ることは無く、闘病生活を余儀なくされた、また、その自尊心の高さ故か実の母親であるエフェリーンと国王以外が面会する事を非常に嫌がっていた、その為、王城内でもその姿を見る事は稀な事である、
「会えて嬉しいぞ、イフナース、無理はしていないであろうな」
クロノスはやっと気兼ねなく話せる相手を得たと嬉しそうに労り、
「そうね、顔を合わせるのも久しぶりね、姉弟なのだからもっと顔を見せなさい」
パトリシアも嬉しそうに声をかける、
「ありがとうございます、義兄上、姉上」
イフナースもやっと嬉しそうに、しかしどこか寂しそうに微笑むのであった。
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