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本編
33話 王様たちと その6
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「来たよー」
城の大広間にミナの声が響き渡り、
「待ってましたわよ」
上機嫌なパトリシアの声がミナの声を掻き消した、
「あー、元気ねー」
「ですねー」
「そうですね、もう、朝からソワソワとしてましたから」
ソフィアとブノワトが転送陣を潜り、アフラが柔らかく二人を出迎えた、
「エレインさん達はもう少しかかるって、待たせても申し訳ないから先に来たわ」
「左様ですか、では少しゆっくりしましょう」
アフラが二人を連れて大広間に向かう、設営が済んだ大広間ではパトリシアがミナとレインを前にして楽し気に立ち話しに興じている、
「でね、でね、フリフリなの、どう?どう?」
「可愛いですよ、良く似合ってます」
「ホント?ホント?あのね、今日もおしとやかなのよ、でもね、でもね、今日はね、お城とお庭で遊んでいいって言われたの、楽しみなのー」
「そうね、ゆっくり楽しんでいいですわよ、でも、もう、薔薇の季節は終わりましたから少し寂しいかもしれませんわね」
「そうなの?えっとね、菜園の薔薇はこれからなのよ、やっとつぼみが膨らんできたの、ね」
「そうだの、これからじゃな」
レインが静かに頷いた、
「そうなんですの?」
「うむ、植える時期が遅かったからな」
「うん、そうなの」
「まぁ、でもこれから楽しめるなんて嬉しいですわね」
「そうなの、楽しみなの、あと、スイカはもうちょっとで、ブドウはもう少しなの」
「ふふ、ちょっとと少しの差が分かりませんわよ」
「えっとね、ちょっとはちょっとなの、少しはもう少しなの」
「そうですか、ふふ、収穫出来たら御馳走して頂けます?」
「勿論、ね?」
「む、構わんぞ、楽しみにしているがいい」
「嬉しいですわ」
「あ、でねでね、メロン持って来たの、イチゴはエレイン様に渡したの、えっと、えっと」
ミナは勢い良くキョロキョロと周囲を見渡し、ソフィアの姿を見付けると、
「ソフィー、メロン、メロン、リシア様にメロンー」
大きく叫びピョンピョン飛び跳ねた、
「はいはい」
ソフィア達3人もパトリシアの下へ歩み寄り、優しく挨拶を交わした。
「あー、私もあっち行きたかったなー」
「そう言われましても」
ソフィアがグチグチ言い始めるが、アフラは涼しい顔で受け取った、
「海なんて久しぶりだからねー、この城からの眺めってかなり良かったよねー」
「そうですね・・・見た事あるんですか?」
「んー、ほら、魔王倒した時にさー、城壁に登った時と、クロノスがさ、魔王の首を切り落として見晴らしの良い所に行くぞって言った時かなー」
ソフィアは懐かしそうに血生臭い事を言い出した、
「まぁ、あの時ですか?でもこの城のあちこちから煙が上がってましたでしょ」
「そうなのよ、煙い中でさー、皆で上に走って行ってさ、魔族の旗を下ろしてクロノスが魔王の首を高々と掲げてねー」
「私、それ見てました、懐かしいですね」
「そっかー、でね、煙の間からね、広い海が見えてねー、魔族の船が逃げ出してたなー、大きいのも小さいのもゴチャゴチャになってね、あー、海だーって思ってさ、なんかね、疲れが一気に取れたっていうか、やっと終わったのかーって思ったなー」
ソフィアは年寄り臭いかしらと自嘲気味に笑う、
「そんな事無いですよ、たかだか2年・・・3年は経ってないですよ」
「そうだねー、2年前かー、早いわねー」
「そうですね」
「あ、今度ちゃんと手向けに行きたいなって思ってたんだけど」
「手向けですか?」
「うん、あの時の供養碑とかって何処?」
「あー、すいません、まだ建てて無いですね」
「へ?2年も経つのに?」
「はい、復興が一段落してからとクロノス様は仰っていました」
「そっかー、ま、いつ次が来るか分からないしね、仕方が無いと言えばそうよね」
「そうですね、でも、クロノス様もパトリシア様も月に一度は共同墓地に参られてますよ」
「共同墓地はあるんだ」
「はい」
「じゃ、それでいいかな?今日は無理だろうけどそのうちお邪魔するわね」
「はい、その時はご連絡下さい、対応致します」
アフラとソフィアが調理テーブルの並べられた一角に陣取り、静かに話し込んでいると、
「おう、今日はいるんだな、どうした暇そうにして」
ズカズカとクロノスが大広間に入って来る、アフラは起立し一礼するが、ソフィアは小さく手を上げて挨拶に代えたようである、
「あー、あれよ、エレインさん達を待ってるのー、ほら食材とかは彼女達の領分だしね」
「そうか、ありゃ、ちっこいのはどうした?」
「んー、お城見学、海が見えるって聞いたらはしゃいじゃってね、海見たことないって、すっ飛んでいったわ、それと最近海の生き物に凝ってるのよあの子」
「へー、そりゃまた娘らしく無いと言うか、可愛げがないというか」
「可愛げはあるわよ、タコとかイカとか見たいんだって」
「いや、それこそ可愛げが無いだろ」
「そうかしら」
ソフィアは不貞腐れたように片肘を着く、
「ん、あ、そうだ、あの下着はお前さんの発案だって?」
クロノスは思い出したように話題を変えた、
「そうよ、どうかした?」
「いや、礼を言うべきか非難するべきか困っていてな」
「なによ、それ?」
「そうだろう、城が遊女ばかりになってしまったようで落ち着かんぞ、挙句、妙に自信たっぷりな顔をしてうろつき回るしな」
「良い事じゃない、ねぇ」
ソフィアがアフラに問いかけるが、アフラは困った笑みで答えに代えた、
「そうでもないぞ、男共が妙に落ち着かなくてな、そろそろ一喝入れないとだらしなくてかなわん」
まったくと鼻息を荒くして側の椅子を引いて腰を下ろし、アフラも座り直した、
「それはそっちの問題よ、そっちというか男の?私としては快適に動きやすい下着を教えただけだわ」
「お前はそう思っているんだろうが、そう簡単に言われても困るぞ、アフラはまだそうでもないがな、メイドの中には何処を見て話せばいいのか分からん奴も出てきているんだ」
クロノスの言葉にアフラも流石にムッとした顔を見せた、
「それこそそちらの問題よ、そういう人の為の物なのよあの下着は、実際のところはね・・・あなた、デカいものを胸にぶら下げて日常業務をこなす苦労が分かる?」
ソフィアはジロリとクロノスを睨む、
「窓を拭くのも、廊下を掃くのも料理を作るのだって結構な力仕事なんだからね、はっきりいうけどそういった力仕事には邪魔なのよ、あれは」
「そうは言うがさ」
「いいえ、王太子様、よっく理解しておきなさい、女の身体は力仕事には向いてないの、子供を生んで育てる為の身体なの、特に胸はねその為に特化していると言ってもいい部分なの、あんたらを楽しませる為にあるんじゃないの、そんなに嫌で問題が大きいなら、メイドを全部男に代えなさい、そうすれば問題は解決するわよ」
「おいおい」
クロノスはソフィアの剣幕に呆れかえって言葉も無い、
「ま、言い過ぎね、ただ、ほら、あんたが言う通り、メイドさん達が自信たっぷりな顔になったんでしょ、なら良い事だわ、どんな仕事も楽しく積極的にこなしてこそ良い結果に繋がると思うわよ、それに城内が明るくなったんじゃない?女が明るくて元気だとそれだけで男共も元気になるでしょ、違う?ここで変に禁止なんてして御覧なさい、あなた、女はもとより男にも恨まれるわよ」
ソフィアの強い口調を受け、クロノスは腕を組んでしかめっ面となる、
「ま、そのうち慣れるわよ、あの下着で喜ばない女はいないと思うわよ、大きい人にとっては便利だし、それなりの人はより魅力的に見えるし、無い人でもそれなりに見せれるからね、問題があるとすれば、あ・・・」
そこでソフィアは何かを思い出して、すまなそうに誤魔化し笑いを浮かべ、
「あれだ、脱いだ時にね、その、誤魔化してる人とか、形が大きく変わる人とか出てくるかもね、そういう感じだと男としてはどうなのかなーって、思ったりなんかして・・・」
先程迄の勢いは何処へやらである、ソフィアは気まずそうに上目遣いでクロノスを見る、
「あー、それは、あれだな、詐欺だな」
クロノスは仕返しどころとニヤリと微笑む、
「やっぱり、そう思う?」
「あぁ、思うね、純粋な男ほど騙されると思うぞ」
「そっかー、そうだよねー、でも、女としてはよ、胸で男を釣った訳ではないしー、ね?」
ソフィアがアフラへ同意を求めるが、アフラは複雑な顔である、
「ふん、ま、慣れた男なら気にしないだろうがな、それこそ、気にするなだ」
クロノスは断言し、
「胸の大小で疎遠になる関係なんぞ、良い結末にはならん、それこそ、デカければそれで良いって奴もいれば、無い方が好きな奴もいるぞ、それは嗜好というもんだ、そんなもんで人生の伴侶を決めるべきではないだろう?」
「そうよねー」
「あぁ、そういうもんだ、ま、綺麗事ではあるがな」
クロノスはフンと鼻を鳴らし、
「そうなると、様子見だな、というよりもこの勢いだとあっという間に広まるだろうなあの下着は」
「そうね、ま、なるようにしかならないんじゃない?結局はね、慣れよ慣れ」
あっはっはとソフィアは明るく笑い飛ばした、
「お前はまったく、無責任が過ぎるぞ」
「そうかしら?私は女性の幸せを希求したまでよ」
ねーとソフィアはアフラに笑いかけ、アフラは無言のままに頷いた、
「そうだ、それとね、まだ作ってないんだけど、見せ下着ってのもあるかなって思っているのよ」
「見せ下着?」
クロノスはジロリとソフィアを睨み、アフラも興味があるのか身を乗り出した、
「そうよ、エレインさんには話したけどね、シルク生地かなんかで、刺繍とフリルを沢山付けて、裸の女性をより魅力的に美しく?下衆に言えばよりスケベに見えるような?夜のお楽しみ用?別に昼からでもいいんでしょうけど・・・」
ソフィアにしては珍しい色話し的な内容である、クロノスは眉間に皺を寄せつつ、
「・・・それは興味があるな」
「はい」
ズイっと身を乗り出し、アフラは熱の籠った瞳である、
「そうね、ほら、シルクもフリルも高価だから作ってないけどね、あ、それと胸の下着もだけど、お尻の方の下着もあるのよね」
「尻か?」
「パンツでは無くてですか?」
「そうね、そっちは一着・・・一枚?一本かしら、それだけ作ってテラさんに渡したんだけど、着けてるかどうかは分からないかなー、あれはあれで便利だとは思うんだけど、ま、そういう事で、まだまだ発展の余地があるわよー」
「む、そうか、それは楽し・・・」
クロノスはゴホンゴホンとわざとらしい咳払いをして、アフラは、
「すいません、もう少し詳しくお聞かせ下さい」
テーブルに覆いかぶさるほど身を乗り出した。
城の大広間にミナの声が響き渡り、
「待ってましたわよ」
上機嫌なパトリシアの声がミナの声を掻き消した、
「あー、元気ねー」
「ですねー」
「そうですね、もう、朝からソワソワとしてましたから」
ソフィアとブノワトが転送陣を潜り、アフラが柔らかく二人を出迎えた、
「エレインさん達はもう少しかかるって、待たせても申し訳ないから先に来たわ」
「左様ですか、では少しゆっくりしましょう」
アフラが二人を連れて大広間に向かう、設営が済んだ大広間ではパトリシアがミナとレインを前にして楽し気に立ち話しに興じている、
「でね、でね、フリフリなの、どう?どう?」
「可愛いですよ、良く似合ってます」
「ホント?ホント?あのね、今日もおしとやかなのよ、でもね、でもね、今日はね、お城とお庭で遊んでいいって言われたの、楽しみなのー」
「そうね、ゆっくり楽しんでいいですわよ、でも、もう、薔薇の季節は終わりましたから少し寂しいかもしれませんわね」
「そうなの?えっとね、菜園の薔薇はこれからなのよ、やっとつぼみが膨らんできたの、ね」
「そうだの、これからじゃな」
レインが静かに頷いた、
「そうなんですの?」
「うむ、植える時期が遅かったからな」
「うん、そうなの」
「まぁ、でもこれから楽しめるなんて嬉しいですわね」
「そうなの、楽しみなの、あと、スイカはもうちょっとで、ブドウはもう少しなの」
「ふふ、ちょっとと少しの差が分かりませんわよ」
「えっとね、ちょっとはちょっとなの、少しはもう少しなの」
「そうですか、ふふ、収穫出来たら御馳走して頂けます?」
「勿論、ね?」
「む、構わんぞ、楽しみにしているがいい」
「嬉しいですわ」
「あ、でねでね、メロン持って来たの、イチゴはエレイン様に渡したの、えっと、えっと」
ミナは勢い良くキョロキョロと周囲を見渡し、ソフィアの姿を見付けると、
「ソフィー、メロン、メロン、リシア様にメロンー」
大きく叫びピョンピョン飛び跳ねた、
「はいはい」
ソフィア達3人もパトリシアの下へ歩み寄り、優しく挨拶を交わした。
「あー、私もあっち行きたかったなー」
「そう言われましても」
ソフィアがグチグチ言い始めるが、アフラは涼しい顔で受け取った、
「海なんて久しぶりだからねー、この城からの眺めってかなり良かったよねー」
「そうですね・・・見た事あるんですか?」
「んー、ほら、魔王倒した時にさー、城壁に登った時と、クロノスがさ、魔王の首を切り落として見晴らしの良い所に行くぞって言った時かなー」
ソフィアは懐かしそうに血生臭い事を言い出した、
「まぁ、あの時ですか?でもこの城のあちこちから煙が上がってましたでしょ」
「そうなのよ、煙い中でさー、皆で上に走って行ってさ、魔族の旗を下ろしてクロノスが魔王の首を高々と掲げてねー」
「私、それ見てました、懐かしいですね」
「そっかー、でね、煙の間からね、広い海が見えてねー、魔族の船が逃げ出してたなー、大きいのも小さいのもゴチャゴチャになってね、あー、海だーって思ってさ、なんかね、疲れが一気に取れたっていうか、やっと終わったのかーって思ったなー」
ソフィアは年寄り臭いかしらと自嘲気味に笑う、
「そんな事無いですよ、たかだか2年・・・3年は経ってないですよ」
「そうだねー、2年前かー、早いわねー」
「そうですね」
「あ、今度ちゃんと手向けに行きたいなって思ってたんだけど」
「手向けですか?」
「うん、あの時の供養碑とかって何処?」
「あー、すいません、まだ建てて無いですね」
「へ?2年も経つのに?」
「はい、復興が一段落してからとクロノス様は仰っていました」
「そっかー、ま、いつ次が来るか分からないしね、仕方が無いと言えばそうよね」
「そうですね、でも、クロノス様もパトリシア様も月に一度は共同墓地に参られてますよ」
「共同墓地はあるんだ」
「はい」
「じゃ、それでいいかな?今日は無理だろうけどそのうちお邪魔するわね」
「はい、その時はご連絡下さい、対応致します」
アフラとソフィアが調理テーブルの並べられた一角に陣取り、静かに話し込んでいると、
「おう、今日はいるんだな、どうした暇そうにして」
ズカズカとクロノスが大広間に入って来る、アフラは起立し一礼するが、ソフィアは小さく手を上げて挨拶に代えたようである、
「あー、あれよ、エレインさん達を待ってるのー、ほら食材とかは彼女達の領分だしね」
「そうか、ありゃ、ちっこいのはどうした?」
「んー、お城見学、海が見えるって聞いたらはしゃいじゃってね、海見たことないって、すっ飛んでいったわ、それと最近海の生き物に凝ってるのよあの子」
「へー、そりゃまた娘らしく無いと言うか、可愛げがないというか」
「可愛げはあるわよ、タコとかイカとか見たいんだって」
「いや、それこそ可愛げが無いだろ」
「そうかしら」
ソフィアは不貞腐れたように片肘を着く、
「ん、あ、そうだ、あの下着はお前さんの発案だって?」
クロノスは思い出したように話題を変えた、
「そうよ、どうかした?」
「いや、礼を言うべきか非難するべきか困っていてな」
「なによ、それ?」
「そうだろう、城が遊女ばかりになってしまったようで落ち着かんぞ、挙句、妙に自信たっぷりな顔をしてうろつき回るしな」
「良い事じゃない、ねぇ」
ソフィアがアフラに問いかけるが、アフラは困った笑みで答えに代えた、
「そうでもないぞ、男共が妙に落ち着かなくてな、そろそろ一喝入れないとだらしなくてかなわん」
まったくと鼻息を荒くして側の椅子を引いて腰を下ろし、アフラも座り直した、
「それはそっちの問題よ、そっちというか男の?私としては快適に動きやすい下着を教えただけだわ」
「お前はそう思っているんだろうが、そう簡単に言われても困るぞ、アフラはまだそうでもないがな、メイドの中には何処を見て話せばいいのか分からん奴も出てきているんだ」
クロノスの言葉にアフラも流石にムッとした顔を見せた、
「それこそそちらの問題よ、そういう人の為の物なのよあの下着は、実際のところはね・・・あなた、デカいものを胸にぶら下げて日常業務をこなす苦労が分かる?」
ソフィアはジロリとクロノスを睨む、
「窓を拭くのも、廊下を掃くのも料理を作るのだって結構な力仕事なんだからね、はっきりいうけどそういった力仕事には邪魔なのよ、あれは」
「そうは言うがさ」
「いいえ、王太子様、よっく理解しておきなさい、女の身体は力仕事には向いてないの、子供を生んで育てる為の身体なの、特に胸はねその為に特化していると言ってもいい部分なの、あんたらを楽しませる為にあるんじゃないの、そんなに嫌で問題が大きいなら、メイドを全部男に代えなさい、そうすれば問題は解決するわよ」
「おいおい」
クロノスはソフィアの剣幕に呆れかえって言葉も無い、
「ま、言い過ぎね、ただ、ほら、あんたが言う通り、メイドさん達が自信たっぷりな顔になったんでしょ、なら良い事だわ、どんな仕事も楽しく積極的にこなしてこそ良い結果に繋がると思うわよ、それに城内が明るくなったんじゃない?女が明るくて元気だとそれだけで男共も元気になるでしょ、違う?ここで変に禁止なんてして御覧なさい、あなた、女はもとより男にも恨まれるわよ」
ソフィアの強い口調を受け、クロノスは腕を組んでしかめっ面となる、
「ま、そのうち慣れるわよ、あの下着で喜ばない女はいないと思うわよ、大きい人にとっては便利だし、それなりの人はより魅力的に見えるし、無い人でもそれなりに見せれるからね、問題があるとすれば、あ・・・」
そこでソフィアは何かを思い出して、すまなそうに誤魔化し笑いを浮かべ、
「あれだ、脱いだ時にね、その、誤魔化してる人とか、形が大きく変わる人とか出てくるかもね、そういう感じだと男としてはどうなのかなーって、思ったりなんかして・・・」
先程迄の勢いは何処へやらである、ソフィアは気まずそうに上目遣いでクロノスを見る、
「あー、それは、あれだな、詐欺だな」
クロノスは仕返しどころとニヤリと微笑む、
「やっぱり、そう思う?」
「あぁ、思うね、純粋な男ほど騙されると思うぞ」
「そっかー、そうだよねー、でも、女としてはよ、胸で男を釣った訳ではないしー、ね?」
ソフィアがアフラへ同意を求めるが、アフラは複雑な顔である、
「ふん、ま、慣れた男なら気にしないだろうがな、それこそ、気にするなだ」
クロノスは断言し、
「胸の大小で疎遠になる関係なんぞ、良い結末にはならん、それこそ、デカければそれで良いって奴もいれば、無い方が好きな奴もいるぞ、それは嗜好というもんだ、そんなもんで人生の伴侶を決めるべきではないだろう?」
「そうよねー」
「あぁ、そういうもんだ、ま、綺麗事ではあるがな」
クロノスはフンと鼻を鳴らし、
「そうなると、様子見だな、というよりもこの勢いだとあっという間に広まるだろうなあの下着は」
「そうね、ま、なるようにしかならないんじゃない?結局はね、慣れよ慣れ」
あっはっはとソフィアは明るく笑い飛ばした、
「お前はまったく、無責任が過ぎるぞ」
「そうかしら?私は女性の幸せを希求したまでよ」
ねーとソフィアはアフラに笑いかけ、アフラは無言のままに頷いた、
「そうだ、それとね、まだ作ってないんだけど、見せ下着ってのもあるかなって思っているのよ」
「見せ下着?」
クロノスはジロリとソフィアを睨み、アフラも興味があるのか身を乗り出した、
「そうよ、エレインさんには話したけどね、シルク生地かなんかで、刺繍とフリルを沢山付けて、裸の女性をより魅力的に美しく?下衆に言えばよりスケベに見えるような?夜のお楽しみ用?別に昼からでもいいんでしょうけど・・・」
ソフィアにしては珍しい色話し的な内容である、クロノスは眉間に皺を寄せつつ、
「・・・それは興味があるな」
「はい」
ズイっと身を乗り出し、アフラは熱の籠った瞳である、
「そうね、ほら、シルクもフリルも高価だから作ってないけどね、あ、それと胸の下着もだけど、お尻の方の下着もあるのよね」
「尻か?」
「パンツでは無くてですか?」
「そうね、そっちは一着・・・一枚?一本かしら、それだけ作ってテラさんに渡したんだけど、着けてるかどうかは分からないかなー、あれはあれで便利だとは思うんだけど、ま、そういう事で、まだまだ発展の余地があるわよー」
「む、そうか、それは楽し・・・」
クロノスはゴホンゴホンとわざとらしい咳払いをして、アフラは、
「すいません、もう少し詳しくお聞かせ下さい」
テーブルに覆いかぶさるほど身を乗り出した。
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