259 / 1,050
本編
31話 スイカとメロンと干しブドウ その10
しおりを挟む
「わー、なんですかー、エレインさん、何ですかー、それー、なんですかー」
エレインを呼びに来たパウラは、鏡の前でポーズを付けては微笑むエレインと、困った顔でそれを見詰めるオリビアとテラの一目で分かるその変化に、素直な驚きを隠さない、
「あら、どうしましたのパウラさん」
余裕の笑みを浮かべるエレイン、
「えっと、なんか、その、え、凄いカッコイーですよー、それにキレーです」
「でしょう、他には?他にもありますでしょ?」
調子に乗ったエレインの問いに、
「え、他って、あ、お胸が綺麗ですね、柔らかい感じです、それに腰の細さとか、わ、オリビアもテラさんも」
パウラの視線がオリビアとテラへと移るが、エレインはそれには気付かずに、
「ふふ、そうでしょう、そうでしょう、なるほど、ソフィアさんは流石ですわ、もう、なんと言って良いか、あー、なんていう事でしょう」
クルクルと鏡の前で舞い踊るエレイン、オリビアとテラは揃って小さく溜息を吐き、ユーリは興味無さそうに布の山を漁っている、
「パウラさん、何か?」
エレインに代わりオリビアが問う、
「あ、はい、試作品が出来たので呼びに来ました、えっと、大丈夫です?」
「分かりました、お嬢様、お仕事です」
「あら、うふふ、ジャネットさんやアニタさんにもお見せしませんとね、うふふ、グフフフフ」
とても子爵家令嬢とは思えない下卑た含み笑いである、
「あー、もー、ほら、しっかりなさって下さい」
オリビアは強引にエレインの腕を掴むと玄関へ向かう、
「あら、オリビア、どうしたんですの、もう、あなたまで慌てなくても宜しいのですよ」
「はいはい、分かりましたから、お仕事です」
「あん、オリビアの柔らかい胸が心地いいですわよ、もう、オリビアまで女の武器を扱うようになったのですわね」
「はいはい、そうですね」
引き摺られようにエレインは事務所へ向かい、
「えっと、なんなんです?」
パウラがテラに問う、
「そうですね、ちゃんと説明しますね」
テラがため息交じりにそう言って、二人も事務所へと向かった。
「わ、何だ、どうした、エレインさん、変わってない?」
「え、ホントだ、え、オリビアもテラさんも」
「ど、どうしたんですか、それ、カッコイイー」
事務所で3人を待っていたジャネットとアニタとケイスは一目でエレインの変化に気付き、さらにより凶悪なオリビアとテラの姿に驚いた、
「ふふーん、うふふ、グフフフフ」
エレインは何とも奇妙な笑顔と含み笑いで答え、
「はいはい、これは後程ゆっくりと、先にお仕事をしっかりやりましょう」
オリビアが場を治めようとするが、そうは簡単には治まらない、事務所にいた3人とパウラは一緒になって僅かの間に変身を遂げた3人を取り囲む、
「む、胸が自己主張されてますね」
「そうですね、それに腰の辺りにも変化が・・・」
「はい、とてもスラリとして見えるのに、女性的な美しさもあって」
「オリビア、あんたそんな強力なものをお持ちだったの?」
「それをいったらテラさんですよ、なんかこう人を殺せそうです」
「いや、これは、何人か殺してる、うん、テラさん白状して」
「えー、エレイン様は同類だと思ってたのになー」
「ジャネット、あなたがエレインさんと同じなわけないでしょ」
「えー、でもさー」
「エレインさんもホントのお人形さんみたいですー、あれですね、お人形さんていうかこう、芸術作品的な・・・」
「そうだねー、なんかこう、飾っておきたいくらい愛らしい」
「あー、それいいね、あれでしょ、テーブルの上にチョコンって感じで、うん、そうだよねー、理想的なお嬢様だよねー」
「でも、あれですか?お胸を綺麗に見せただけですか?その他にも何か秘訣があるんですか?」
「もしかして、これもソフィアさん?あの人何でもありだなー」
「えー、じゃあさ、じゃあさ、皆でお願いしてさ」
得意満面なエレインと対照的に顔を赤くして視線に耐えるオリビアとテラ、3人はそれぞれに沈黙を護り、それを取り巻く4人はなんとも姦しい、
「こりゃ、こっちはどうするのじゃ」
輪から離れていたレインの一喝が轟き、
「そうだよー、折角作ったのにー」
ミナの悲鳴も響いて、4人はあっと声を上げて振り向いた、
「そうですわね、先にお仕事ですわよ」
エレインは余裕の笑みを絶やさぬままに4人の包囲からするりと抜け出しテーブルに歩み寄る、
「ふぬ、何をそんなにはしゃいでおるのやら」
レインが憤慨して鼻息を荒くし、
「ぬー、早くー、溶けちゃうよー」
ミナは心配そうに皿から視線を外さない、
「そっかー、お子ちゃまには分らんかー」
ジャネットが二人の様子にヤレヤレと肩を竦めるが、
「むー、ジャネットにお子ちゃまって言われたー、ムカつくー」
「なにを、ミナっち、お子ちゃまはお子ちゃまだろー」
「むー、今日は先生なの、ジャネット嫌い」
「あー、そうだったなー、御免よー、ミナ先生、謝るよー」
「しらない、フン」
大袈裟にソッポを向いたミナ、
「まぁまぁ、それでこれが皆様の合作ですわね」
エレインがテーブル上の皿に視線を落とす、
「うん、どうだろう、良い感じに纏まったかなって思うんだけど」
アニタがスイッとエレインの隣に立った、
「確かに、良いですね、見た目も仕掛けも良いと思います、それに彩も華やかですし、ニャンコは絶対に必要なのですね」
「勿論、ニャンコは絶対なの、ミナが決めたの」
ミナがピョンと飛び跳ねた、
「なるほど、うんうん、分かりました、この品であればリシア様も満足頂けると思います」
エレインは嬉しそうに試作料理を見詰める、その皿は正に合作と呼ぶに相応しい品となっている、中央に置かれたやや大き目のミルクアイスケーキとミカンを混ぜたケーキ、ミルクアイスケーキには薄パンで小さな手が付いており、とても愛らしく感じられ、左奥にイチゴを使った花型の飾り切りと右奥に置かれたこれも花を模した薄パン、薄パンにはイチゴソースと黒糖ソースが盛られており、薄パンの薄い黄色と合わさって儚い美しさが感じられた、そしてその3品を囲むようにミカンソースの透明な黄色とアンズソースの赤みがかった黄色が皿全体の色調を整え調和を齎し、さらに皿の端に載せられた細長いパンが揚げパンの代わりとして存在感を主張し、皿の右手前にはチョコンと黒猫が描かれている、
「アニタがねー、あーでもないこーでもないって難航したんだよー」
ジャネットがニヤリと笑う、
「そりゃそうでしょ、あんたら好き勝手言うんだもん、綺麗に見えるようにまとめるのに苦労したんだから」
「そうだけどさー、味はほら変わらないじゃん」
「だから、そういう問題ではないって、もー、ミナ先生、ジャネットが分からず屋です、言ってやって下さい」
「むー、ジャネットはー、もー」
ミナの呆れたような溜息が響き、
「あー、でも、ミナ先生でしょー、ニャンコは外せないって言って駄々こねたのはー」
「ニャー、駄々こねてない、ニャンコは絶対なのー」
「だからそれが駄々こねるっていうんだよー」
「むー、でも、ニャンコ可愛いでしょ、ニャンコ大事でしょ」
ミナはすがる様にエレインを見上げた、
「そうね、ニャンコがいるとホッとしますね、可愛いですし」
エレインが優しく微笑むと、
「ほらー、エレイン様がいいって言ったいいの、確定なの」
「そっかー、じゃ、ニャンコは確定なのかー」
ジャネットはしょうがないなーと苦笑いを浮かべ、ミナはフンスと鼻を鳴らす、
「そうしますと、そうですね、オリビア、テラさん、こちらを当日に作れるように段取りをお願いできますか?」
「はい、作成は可能かと思いますね、しかし、手間が問題かと、私とテラさんで何とかなるでしょうか?」
「そうですわね、前日にアフラさんが打ち合わせにいらっしゃいますので・・・あ、テラさん大急ぎで明日訪問する旨を連絡願えますか?」
エレインは何かに気付いて大声を上げた、
「へ、あ、明日ですか?」
突然の事にテラは奇妙な顔となる、
「はい、これです、これを先にお見せしないと、大変な事になります、絶対に」
エレインは自身の胸を指差す、
「あ、そうです、そうです、これは重大です、テラさん何とかなりますか?」
オリビアも事の問題に気付いたようで大慌てとなる、
「は、はい、えっと、ユーリ先生がいらっしゃるので大丈夫かと」
「では、オリビア、木簡を、用件はお披露目会の打ち合わせで、大至急として下さい」
「はい、わかりました」
オリビアはバタバタと事務机へ走り、エレインは他に何かと考え込む、
「えっと、試作は成功でいいのかな?」
ジャネットが恐る恐るとエレインに確認すると、
「あ、はい、御免なさい、少々浮かれてましたわ、これは、リシア様に大変な失礼をする所でした、ふー、気付いて良かったですわ」
エレインは額に汗まで浮かべている、
「え、そんな、大事?」
アニタとパウラが不思議そうに首を傾げ、
「そうですね、そっか、リシア様だもんね、うん、一番大事」
ジャネットとケイスは事の本質は理解していないが、パトリシアの名前が出たことで問題の大きさは推測できたようである、
「うん、取り敢えず、そちらは任せて、そうなると」
エレインは落ち着きを取り戻しつつ、
「こちらの品を、オリビアとテラさんに落とし込んでください、あ、この皿の状態を何かに記しておけばいいかしら?」
「まったく、そうじゃのう、黒板に書いておいてやるか、それを見れば再現は簡単なもんじゃろ」
レインがヤレヤレと黒板に向かう、
「なるほど、レインさん何から何までありがとうございます、では、そちらを待ちましょうか」
「ミナも書くー」
ミナがレインと共に黒板の前に立ち、
「そうか、じゃ、ミナにはニャンコの詳細な図柄を頼もうかの、あれじゃ、ニャンコはミナのニャンコが一番可愛いからのー」
「えへへ、ホント?ホント?」
嬉しそうに白墨を手にしたミナ、
「うーん、やっぱりミナちゃんの扱いはレインちゃんが一番上手いよねー」
「そだねー」
バタバタと慌てるオリビア達を尻目にケイスとパウラはほのぼのと二人を眺めるのであった。
エレインを呼びに来たパウラは、鏡の前でポーズを付けては微笑むエレインと、困った顔でそれを見詰めるオリビアとテラの一目で分かるその変化に、素直な驚きを隠さない、
「あら、どうしましたのパウラさん」
余裕の笑みを浮かべるエレイン、
「えっと、なんか、その、え、凄いカッコイーですよー、それにキレーです」
「でしょう、他には?他にもありますでしょ?」
調子に乗ったエレインの問いに、
「え、他って、あ、お胸が綺麗ですね、柔らかい感じです、それに腰の細さとか、わ、オリビアもテラさんも」
パウラの視線がオリビアとテラへと移るが、エレインはそれには気付かずに、
「ふふ、そうでしょう、そうでしょう、なるほど、ソフィアさんは流石ですわ、もう、なんと言って良いか、あー、なんていう事でしょう」
クルクルと鏡の前で舞い踊るエレイン、オリビアとテラは揃って小さく溜息を吐き、ユーリは興味無さそうに布の山を漁っている、
「パウラさん、何か?」
エレインに代わりオリビアが問う、
「あ、はい、試作品が出来たので呼びに来ました、えっと、大丈夫です?」
「分かりました、お嬢様、お仕事です」
「あら、うふふ、ジャネットさんやアニタさんにもお見せしませんとね、うふふ、グフフフフ」
とても子爵家令嬢とは思えない下卑た含み笑いである、
「あー、もー、ほら、しっかりなさって下さい」
オリビアは強引にエレインの腕を掴むと玄関へ向かう、
「あら、オリビア、どうしたんですの、もう、あなたまで慌てなくても宜しいのですよ」
「はいはい、分かりましたから、お仕事です」
「あん、オリビアの柔らかい胸が心地いいですわよ、もう、オリビアまで女の武器を扱うようになったのですわね」
「はいはい、そうですね」
引き摺られようにエレインは事務所へ向かい、
「えっと、なんなんです?」
パウラがテラに問う、
「そうですね、ちゃんと説明しますね」
テラがため息交じりにそう言って、二人も事務所へと向かった。
「わ、何だ、どうした、エレインさん、変わってない?」
「え、ホントだ、え、オリビアもテラさんも」
「ど、どうしたんですか、それ、カッコイイー」
事務所で3人を待っていたジャネットとアニタとケイスは一目でエレインの変化に気付き、さらにより凶悪なオリビアとテラの姿に驚いた、
「ふふーん、うふふ、グフフフフ」
エレインは何とも奇妙な笑顔と含み笑いで答え、
「はいはい、これは後程ゆっくりと、先にお仕事をしっかりやりましょう」
オリビアが場を治めようとするが、そうは簡単には治まらない、事務所にいた3人とパウラは一緒になって僅かの間に変身を遂げた3人を取り囲む、
「む、胸が自己主張されてますね」
「そうですね、それに腰の辺りにも変化が・・・」
「はい、とてもスラリとして見えるのに、女性的な美しさもあって」
「オリビア、あんたそんな強力なものをお持ちだったの?」
「それをいったらテラさんですよ、なんかこう人を殺せそうです」
「いや、これは、何人か殺してる、うん、テラさん白状して」
「えー、エレイン様は同類だと思ってたのになー」
「ジャネット、あなたがエレインさんと同じなわけないでしょ」
「えー、でもさー」
「エレインさんもホントのお人形さんみたいですー、あれですね、お人形さんていうかこう、芸術作品的な・・・」
「そうだねー、なんかこう、飾っておきたいくらい愛らしい」
「あー、それいいね、あれでしょ、テーブルの上にチョコンって感じで、うん、そうだよねー、理想的なお嬢様だよねー」
「でも、あれですか?お胸を綺麗に見せただけですか?その他にも何か秘訣があるんですか?」
「もしかして、これもソフィアさん?あの人何でもありだなー」
「えー、じゃあさ、じゃあさ、皆でお願いしてさ」
得意満面なエレインと対照的に顔を赤くして視線に耐えるオリビアとテラ、3人はそれぞれに沈黙を護り、それを取り巻く4人はなんとも姦しい、
「こりゃ、こっちはどうするのじゃ」
輪から離れていたレインの一喝が轟き、
「そうだよー、折角作ったのにー」
ミナの悲鳴も響いて、4人はあっと声を上げて振り向いた、
「そうですわね、先にお仕事ですわよ」
エレインは余裕の笑みを絶やさぬままに4人の包囲からするりと抜け出しテーブルに歩み寄る、
「ふぬ、何をそんなにはしゃいでおるのやら」
レインが憤慨して鼻息を荒くし、
「ぬー、早くー、溶けちゃうよー」
ミナは心配そうに皿から視線を外さない、
「そっかー、お子ちゃまには分らんかー」
ジャネットが二人の様子にヤレヤレと肩を竦めるが、
「むー、ジャネットにお子ちゃまって言われたー、ムカつくー」
「なにを、ミナっち、お子ちゃまはお子ちゃまだろー」
「むー、今日は先生なの、ジャネット嫌い」
「あー、そうだったなー、御免よー、ミナ先生、謝るよー」
「しらない、フン」
大袈裟にソッポを向いたミナ、
「まぁまぁ、それでこれが皆様の合作ですわね」
エレインがテーブル上の皿に視線を落とす、
「うん、どうだろう、良い感じに纏まったかなって思うんだけど」
アニタがスイッとエレインの隣に立った、
「確かに、良いですね、見た目も仕掛けも良いと思います、それに彩も華やかですし、ニャンコは絶対に必要なのですね」
「勿論、ニャンコは絶対なの、ミナが決めたの」
ミナがピョンと飛び跳ねた、
「なるほど、うんうん、分かりました、この品であればリシア様も満足頂けると思います」
エレインは嬉しそうに試作料理を見詰める、その皿は正に合作と呼ぶに相応しい品となっている、中央に置かれたやや大き目のミルクアイスケーキとミカンを混ぜたケーキ、ミルクアイスケーキには薄パンで小さな手が付いており、とても愛らしく感じられ、左奥にイチゴを使った花型の飾り切りと右奥に置かれたこれも花を模した薄パン、薄パンにはイチゴソースと黒糖ソースが盛られており、薄パンの薄い黄色と合わさって儚い美しさが感じられた、そしてその3品を囲むようにミカンソースの透明な黄色とアンズソースの赤みがかった黄色が皿全体の色調を整え調和を齎し、さらに皿の端に載せられた細長いパンが揚げパンの代わりとして存在感を主張し、皿の右手前にはチョコンと黒猫が描かれている、
「アニタがねー、あーでもないこーでもないって難航したんだよー」
ジャネットがニヤリと笑う、
「そりゃそうでしょ、あんたら好き勝手言うんだもん、綺麗に見えるようにまとめるのに苦労したんだから」
「そうだけどさー、味はほら変わらないじゃん」
「だから、そういう問題ではないって、もー、ミナ先生、ジャネットが分からず屋です、言ってやって下さい」
「むー、ジャネットはー、もー」
ミナの呆れたような溜息が響き、
「あー、でも、ミナ先生でしょー、ニャンコは外せないって言って駄々こねたのはー」
「ニャー、駄々こねてない、ニャンコは絶対なのー」
「だからそれが駄々こねるっていうんだよー」
「むー、でも、ニャンコ可愛いでしょ、ニャンコ大事でしょ」
ミナはすがる様にエレインを見上げた、
「そうね、ニャンコがいるとホッとしますね、可愛いですし」
エレインが優しく微笑むと、
「ほらー、エレイン様がいいって言ったいいの、確定なの」
「そっかー、じゃ、ニャンコは確定なのかー」
ジャネットはしょうがないなーと苦笑いを浮かべ、ミナはフンスと鼻を鳴らす、
「そうしますと、そうですね、オリビア、テラさん、こちらを当日に作れるように段取りをお願いできますか?」
「はい、作成は可能かと思いますね、しかし、手間が問題かと、私とテラさんで何とかなるでしょうか?」
「そうですわね、前日にアフラさんが打ち合わせにいらっしゃいますので・・・あ、テラさん大急ぎで明日訪問する旨を連絡願えますか?」
エレインは何かに気付いて大声を上げた、
「へ、あ、明日ですか?」
突然の事にテラは奇妙な顔となる、
「はい、これです、これを先にお見せしないと、大変な事になります、絶対に」
エレインは自身の胸を指差す、
「あ、そうです、そうです、これは重大です、テラさん何とかなりますか?」
オリビアも事の問題に気付いたようで大慌てとなる、
「は、はい、えっと、ユーリ先生がいらっしゃるので大丈夫かと」
「では、オリビア、木簡を、用件はお披露目会の打ち合わせで、大至急として下さい」
「はい、わかりました」
オリビアはバタバタと事務机へ走り、エレインは他に何かと考え込む、
「えっと、試作は成功でいいのかな?」
ジャネットが恐る恐るとエレインに確認すると、
「あ、はい、御免なさい、少々浮かれてましたわ、これは、リシア様に大変な失礼をする所でした、ふー、気付いて良かったですわ」
エレインは額に汗まで浮かべている、
「え、そんな、大事?」
アニタとパウラが不思議そうに首を傾げ、
「そうですね、そっか、リシア様だもんね、うん、一番大事」
ジャネットとケイスは事の本質は理解していないが、パトリシアの名前が出たことで問題の大きさは推測できたようである、
「うん、取り敢えず、そちらは任せて、そうなると」
エレインは落ち着きを取り戻しつつ、
「こちらの品を、オリビアとテラさんに落とし込んでください、あ、この皿の状態を何かに記しておけばいいかしら?」
「まったく、そうじゃのう、黒板に書いておいてやるか、それを見れば再現は簡単なもんじゃろ」
レインがヤレヤレと黒板に向かう、
「なるほど、レインさん何から何までありがとうございます、では、そちらを待ちましょうか」
「ミナも書くー」
ミナがレインと共に黒板の前に立ち、
「そうか、じゃ、ミナにはニャンコの詳細な図柄を頼もうかの、あれじゃ、ニャンコはミナのニャンコが一番可愛いからのー」
「えへへ、ホント?ホント?」
嬉しそうに白墨を手にしたミナ、
「うーん、やっぱりミナちゃんの扱いはレインちゃんが一番上手いよねー」
「そだねー」
バタバタと慌てるオリビア達を尻目にケイスとパウラはほのぼのと二人を眺めるのであった。
0
お気に入りに追加
155
あなたにおすすめの小説
異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?
夢・風魔
ファンタジー
仕事の疲れを癒すためにソロキャンを始めた神楽拓海。
気づけばキャンプグッズ一式と一緒に、見知らぬ森の中へ。
落ち着くためにキャンプ飯を作っていると、そこへ四人の老人が現れた。
彼らはこの世界の神。
キャンプ飯と、見知らぬ老人にも親切にするタクミを気に入った神々は、彼に加護を授ける。
ここに──伝説のドラゴンをもぶん殴れるテントを手に、伝説のドラゴンの牙すら通さない最強の肉体を得たキャンパーが誕生する。
「せっかく異世界に来たんなら、仕事のことも忘れて世界中をキャンプしまくろう!」
25歳のオタク女子は、異世界でスローライフを送りたい
こばやん2号
ファンタジー
とある会社に勤める25歳のOL重御寺姫(じゅうおんじひめ)は、漫画やアニメが大好きなオタク女子である。
社員旅行の最中謎の光を発見した姫は、気付けば異世界に来てしまっていた。
頭の中で妄想していたことが現実に起こってしまったことに最初は戸惑う姫だったが、自身の知識と持ち前の性格でなんとか異世界を生きていこうと奮闘する。
オタク女子による異世界生活が今ここに始まる。
※この小説は【アルファポリス】及び【小説家になろう】の同時配信で投稿しています。
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
今日も誰かが飯を食いに来る。異世界スローライフ希望者の憂鬱。
KBT
ファンタジー
神の気まぐれで異世界転移した荻野遼ことリョウ。
神がお詫びにどんな能力もくれると言う中で、リョウが選んだのは戦闘能力皆無の探索能力と生活魔法だった。
現代日本の荒んだ社会に疲れたリョウは、この地で素材採取の仕事をしながら第二の人生をのんびりと歩もうと決めた。
スローライフ、1人の自由な暮らしに憧れていたリョウは目立たないように、優れた能力をひた隠しにしつつ、街から少し離れた森の中でひっそりと暮らしていた。
しかし、何故か飯時になるとやって来る者達がリョウにのんびりとした生活を許してくれないのだ。
これは地味に生きたいリョウと派手に生きている者達の異世界物語です。
薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ
柚木 潤
ファンタジー
実家の薬華異堂薬局に戻った薬剤師の舞は、亡くなった祖父から譲り受けた鍵で開けた扉の中に、不思議な漢方薬の調合が書かれた、古びた本を見つけた。
そして、異世界から助けを求める手紙が届き、舞はその異世界に転移する。
舞は不思議な薬を作り、それは魔人や魔獣にも対抗できる薬であったのだ。
そんな中、魔人の王から舞を見るなり、懐かしい人を思い出させると。
500年前にも、この異世界に転移していた女性がいたと言うのだ。
それは舞と関係のある人物であった。
その後、一部の魔人の襲撃にあうが、舞や魔人の王ブラック達の力で危機を乗り越え、人間と魔人の世界に平和が訪れた。
しかし、500年前に転移していたハナという女性が大事にしていた森がアブナイと手紙が届き、舞は再度転移する。
そして、黒い影に侵食されていた森を舞の薬や魔人達の力で復活させる事が出来たのだ。
ところが、舞が自分の世界に帰ろうとした時、黒い翼を持つ人物に遭遇し、舞に自分の世界に来てほしいと懇願する。
そこには原因不明の病の女性がいて、舞の薬で異物を分離するのだ。
そして、舞を探しに来たブラック達魔人により、昔に転移した一人の魔人を見つけるのだが、その事を隠して黒翼人として生活していたのだ。
その理由や女性の病の原因をつきとめる事が出来たのだが悲しい結果となったのだ。
戻った舞はいつもの日常を取り戻していたが、秘密の扉の中の物が燃えて灰と化したのだ。
舞はまた異世界への転移を考えるが、魔法陣は動かなかったのだ。
何とか舞は転移出来たが、その世界ではドラゴンが復活しようとしていたのだ。
舞は命懸けでドラゴンの良心を目覚めさせる事が出来、世界は火の海になる事は無かったのだ。
そんな時黒翼国の王子が、暗い森にある遺跡を見つけたのだ。
*第1章 洞窟出現編 第2章 森再生編 第3章 翼国編
第4章 火山のドラゴン編 が終了しました。
第5章 闇の遺跡編に続きます。
身バレしないように奴隷少女を買ってダンジョン配信させるが全部バレて俺がバズる
ぐうのすけ
ファンタジー
呪いを受けて冒険者を休業した俺は閃いた。
安い少女奴隷を購入し冒険者としてダンジョンに送り込みその様子を配信する。
そう、数年で美女になるであろう奴隷は配信で人気が出るはずだ。
もしそうならなくともダンジョンで魔物を狩らせれば稼ぎになる。
俺は偽装の仮面を持っている。
この魔道具があれば顔の認識を阻害し更に女の声に変える事が出来る。
身バレ対策しつつ収入を得られる。
だが現実は違った。
「ご主人様は男の人の匂いがします」
「こいつ面倒見良すぎじゃねwwwお母さんかよwwww」
俺の性別がバレ、身バレし、更には俺が金に困っていない事もバレて元英雄な事もバレた。
面倒見が良いためお母さんと呼ばれてネタにされるようになった。
おかしい、俺はそこまで配信していないのに奴隷より登録者数が伸びている。
思っていたのと違う!
俺の計画は破綻しバズっていく。
気がついたら異世界に転生していた。
みみっく
ファンタジー
社畜として会社に愛されこき使われ日々のストレスとムリが原因で深夜の休憩中に死んでしまい。
気がついたら異世界に転生していた。
普通に愛情を受けて育てられ、普通に育ち屋敷を抜け出して子供達が集まる広場へ遊びに行くと自分の異常な身体能力に気が付き始めた・・・
冒険がメインでは無く、冒険とほのぼのとした感じの日常と恋愛を書いていけたらと思って書いています。
戦闘もありますが少しだけです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる