248 / 1,050
本編
30話 雨を降らせた悪だくみ その10
しおりを挟む
「ソフィアいるー?」
それから暫くして、食堂内には洗髪後の若者達がだらしない姿態を並べ、当然のように洗髪されてしまったミナとレインも楽しそうにその群れの中でおしゃべりに興じている、
「わ、先生、お疲れ様です」
階段から突然現れたユーリに、生徒の一人が気付いて慌てて腰を上げた、その声を聞いて生徒達の視線がユーリに集まり食堂内は一転静寂に包まれた、特筆すべきはその生徒達の視線である、ユーリに向けられたそれは恐れと畏怖と危険な物を発見した際のそれである、どうやら彼女達の深層にユーリはしっかりと恐怖の対象として刻み込まれてしまったらしい、
「何よ、そんな目で見ないでよ、ゾクゾクしちゃうじゃない」
ユーリはニヤーと口の端を上げて艶めかしく生徒達を睥睨した、
「ユーリだー、おかえりー、ユーリも野営したのー?」
食堂内の凍てついた空気を壊したのはやはりミナである、ミナはピョンと飛び上がるとユーリの元へ駆け寄った、
「もどったよー、ミナは変わらんのー」
足下にじゃれつくミナの頭を優しく撫でるユーリ、
「えへへ、ユーリは大丈夫?みんなヘロヘロなんだってー」
「あはは、ヘロヘロかー、うん、私もヘロヘロだぞー、4日寝てないからなー」
「そっかー、ヘロヘロかー」
楽し気な二人の様子を生徒達は信じられない顔で見詰めるばかりである、
「ソフィアはいる?お土産だぞー」
「いるよー、厨房ー、お土産ってなにー?」
「ソフィアの好きな山鳥と鹿肉だぞー」
手にした革袋をミナに見せる
「わ、お肉?お肉?」
「勿論、今日はお肉料理だぞー、ミナは鹿肉好き?」
「うん、お肉ならなんでも好きー、レインも好きなんだよー」
「そっか、そっか」
笑いながら厨房へ入った二人を見送って、生徒達はホッと溜息を吐き、居住まいを正す、
「そっか、ユーリ先生と一緒なんだよね、ジャネットもケイスも凄いね」
アニタが思わずそう呟くと、
「うん、別にほら普段は良い先生じゃない?・・・かなぁ?・・・」
ジャネットが疑問形でユーリを擁護する、
「そうね良い先生よね、あのね、さっきねソフィアさんがね・・・」
ケイスが先程ソフィアに言われた事を静かに口にした、
「うわ、ソフィアさんって・・・」
パウラが絶句し、
「うん、ユーリ先生が先生でソフィアさんが寮母で良かったかも・・・って思った」
「うん、私も・・・です」
ジャネットとケイスが頷き合い、食堂には再びの静寂が訪れるのであった。
「あら、お帰り」
厨房では夕飯の仕込みが始まっているらしい、ソフィアはソフィアで疲れて帰ってきた合宿参加者を労うつもりであろうか、若干気合の入った常とは異なる食材が並んで見える、
「戻ったわ、いや、しんどいわ、もう歳ね」
ユーリが革袋をズイッとソフィアの前に差し出した、ミナが何やらニヤニヤとユーリを見上げている、
「何?」
「肉、山鳥3羽と鹿肉の美味しい所、お土産」
「へー、それは嬉しいわ、ありがとう」
ニコニコとソフィアは受け取り早速と中身を確認する、
「わ、立派ね」
「そりゃね、雷撃で仕留めたから外傷もない綺麗な肉よ」
「自分で仕留めたの?」
「勿論、あれね、生徒達は駄目でも良いけど、講師達も駄目ね、実力が無いって分かってはいたけど実地経験が無いのは致命的だったわ、やっぱり学者肌の人と叩き上げの人を別けて雇用するべきだわ、まるで示しってものがつかなくて」
ユーリはやれやれと丸椅子に腰掛けた、
「そっか、前にもそんな事言ってたわね」
「そうよー、だからあんたを先生にしようと思ったのよね、冒険者上がりの先生も結局は学者肌の人が多くてさ、せめて野外の生存術程度は身につけておいて欲しいわよね、どいつもこいつも机上論ばかりでまったく、使えないったらありゃしない、そこまでは私達でも無理ですーって、いや、お前らの実力なんぞどうでもいいわ、必要な事を叩き込むのにグチグチグチグチうるせーってのよ、まったく、ルーツの所から何人か寄越してもらおうかしら、あー、でも、あれの事だから高くつきそうよねー、はー」
これ見よがしに溜息を吐くユーリ、
「ま、冒険者って言ってもピンキリでしょ、得手不得手ってものがあるでしょう」
ソフィアは嬉しそうに山鳥を取り出しつつ、適当に話しを合わせている様子である、ミナは興味深そうに革袋の中を覗き込んでいた、
「だけどさー、あの程度出来ないで冒険者だの上級兵士だの恥ずかしくなるわよ、せめて現場に放り込まれても何とかできる程度にまで教え込みたいじゃない、時間が無くてもさー、現場で教わるとしてもさー、それがさー」
取り留めのないユーリの愚痴は収まりそうにない、
「はいはい、取り合えず夕飯は豪華にするから機嫌直しなさい、早速新鮮なお肉を頂きましょう、愚痴はその後でもいいんじゃない?あ、お湯沸かしてあるからあんたも洗髪なさいな、カトカさんとサビナさんも呼んで」
「あー、それでか、食堂のやつらがやたら良い匂いしてたのは」
「そうよー、夕飯前に洗髪して、夕飯後に身体洗いなさい、そうすればゆっくり眠れるわよ、どうせ、あんたの事だから寝てないんでしょ、いくら寝なくてもいいとはいっても、寝た方がいいのはあんたも身に染みてるでしょ、ほら、今日はちょっとだけ贅沢させてあげるから」
優しく微笑むソフィアに、ユーリは口をへの字に曲げて不満を表明するが、その言葉には同意せざるを得ない様子である、
「ねーねー、こっちは?こっちが鹿?」
ミナは革袋に顔を突っ込んでいる、
「ん、そうね、そっちが鹿肉ね、これはモモ肉?」
「そうよ、あんたモモ肉好きでしょ?」
「あら、覚えてた?」
「そりゃね、私も好きだし」
「そうよねー」
「ねーねー、モモってなーにー」
ミナが純粋な疑問を口にしてソフィアを見上げた、
「んーモモかー、モモはねー、ここじゃー」
ユーリがバッとミナに掴みかかりその足を掴む、
「キャー、ユーリ、ヤメロー」
「ここじゃ、ここがモモ肉じゃー」
ミナの太ももを弄るユーリ、
「あはは、こそばいー、ユーリのスケベー」
「なんじゃと、ミナのくせにー、ここか?ここがスケベかー」
「あはは、ヤメロー、シツコイー」
ミナはキャッキャと悲鳴とも笑い声とも取れる嬌声を上げその声は食堂まで響いて来る、
「ミナちゃんてやっぱり凄いよね」
「うん、ミナっちがいてくれるだけで癒されるわ」
「そうね、ふー、ま、いっか、取り敢えず生きてるし」
「だね」
食堂の生徒達は安心して改めて脱力した、
「まったく、こいつらは」
死んだ獣のようにのたうつ生徒達の中で、レインは一人顔を顰めるのであった。
それから暫くして、食堂内には洗髪後の若者達がだらしない姿態を並べ、当然のように洗髪されてしまったミナとレインも楽しそうにその群れの中でおしゃべりに興じている、
「わ、先生、お疲れ様です」
階段から突然現れたユーリに、生徒の一人が気付いて慌てて腰を上げた、その声を聞いて生徒達の視線がユーリに集まり食堂内は一転静寂に包まれた、特筆すべきはその生徒達の視線である、ユーリに向けられたそれは恐れと畏怖と危険な物を発見した際のそれである、どうやら彼女達の深層にユーリはしっかりと恐怖の対象として刻み込まれてしまったらしい、
「何よ、そんな目で見ないでよ、ゾクゾクしちゃうじゃない」
ユーリはニヤーと口の端を上げて艶めかしく生徒達を睥睨した、
「ユーリだー、おかえりー、ユーリも野営したのー?」
食堂内の凍てついた空気を壊したのはやはりミナである、ミナはピョンと飛び上がるとユーリの元へ駆け寄った、
「もどったよー、ミナは変わらんのー」
足下にじゃれつくミナの頭を優しく撫でるユーリ、
「えへへ、ユーリは大丈夫?みんなヘロヘロなんだってー」
「あはは、ヘロヘロかー、うん、私もヘロヘロだぞー、4日寝てないからなー」
「そっかー、ヘロヘロかー」
楽し気な二人の様子を生徒達は信じられない顔で見詰めるばかりである、
「ソフィアはいる?お土産だぞー」
「いるよー、厨房ー、お土産ってなにー?」
「ソフィアの好きな山鳥と鹿肉だぞー」
手にした革袋をミナに見せる
「わ、お肉?お肉?」
「勿論、今日はお肉料理だぞー、ミナは鹿肉好き?」
「うん、お肉ならなんでも好きー、レインも好きなんだよー」
「そっか、そっか」
笑いながら厨房へ入った二人を見送って、生徒達はホッと溜息を吐き、居住まいを正す、
「そっか、ユーリ先生と一緒なんだよね、ジャネットもケイスも凄いね」
アニタが思わずそう呟くと、
「うん、別にほら普段は良い先生じゃない?・・・かなぁ?・・・」
ジャネットが疑問形でユーリを擁護する、
「そうね良い先生よね、あのね、さっきねソフィアさんがね・・・」
ケイスが先程ソフィアに言われた事を静かに口にした、
「うわ、ソフィアさんって・・・」
パウラが絶句し、
「うん、ユーリ先生が先生でソフィアさんが寮母で良かったかも・・・って思った」
「うん、私も・・・です」
ジャネットとケイスが頷き合い、食堂には再びの静寂が訪れるのであった。
「あら、お帰り」
厨房では夕飯の仕込みが始まっているらしい、ソフィアはソフィアで疲れて帰ってきた合宿参加者を労うつもりであろうか、若干気合の入った常とは異なる食材が並んで見える、
「戻ったわ、いや、しんどいわ、もう歳ね」
ユーリが革袋をズイッとソフィアの前に差し出した、ミナが何やらニヤニヤとユーリを見上げている、
「何?」
「肉、山鳥3羽と鹿肉の美味しい所、お土産」
「へー、それは嬉しいわ、ありがとう」
ニコニコとソフィアは受け取り早速と中身を確認する、
「わ、立派ね」
「そりゃね、雷撃で仕留めたから外傷もない綺麗な肉よ」
「自分で仕留めたの?」
「勿論、あれね、生徒達は駄目でも良いけど、講師達も駄目ね、実力が無いって分かってはいたけど実地経験が無いのは致命的だったわ、やっぱり学者肌の人と叩き上げの人を別けて雇用するべきだわ、まるで示しってものがつかなくて」
ユーリはやれやれと丸椅子に腰掛けた、
「そっか、前にもそんな事言ってたわね」
「そうよー、だからあんたを先生にしようと思ったのよね、冒険者上がりの先生も結局は学者肌の人が多くてさ、せめて野外の生存術程度は身につけておいて欲しいわよね、どいつもこいつも机上論ばかりでまったく、使えないったらありゃしない、そこまでは私達でも無理ですーって、いや、お前らの実力なんぞどうでもいいわ、必要な事を叩き込むのにグチグチグチグチうるせーってのよ、まったく、ルーツの所から何人か寄越してもらおうかしら、あー、でも、あれの事だから高くつきそうよねー、はー」
これ見よがしに溜息を吐くユーリ、
「ま、冒険者って言ってもピンキリでしょ、得手不得手ってものがあるでしょう」
ソフィアは嬉しそうに山鳥を取り出しつつ、適当に話しを合わせている様子である、ミナは興味深そうに革袋の中を覗き込んでいた、
「だけどさー、あの程度出来ないで冒険者だの上級兵士だの恥ずかしくなるわよ、せめて現場に放り込まれても何とかできる程度にまで教え込みたいじゃない、時間が無くてもさー、現場で教わるとしてもさー、それがさー」
取り留めのないユーリの愚痴は収まりそうにない、
「はいはい、取り合えず夕飯は豪華にするから機嫌直しなさい、早速新鮮なお肉を頂きましょう、愚痴はその後でもいいんじゃない?あ、お湯沸かしてあるからあんたも洗髪なさいな、カトカさんとサビナさんも呼んで」
「あー、それでか、食堂のやつらがやたら良い匂いしてたのは」
「そうよー、夕飯前に洗髪して、夕飯後に身体洗いなさい、そうすればゆっくり眠れるわよ、どうせ、あんたの事だから寝てないんでしょ、いくら寝なくてもいいとはいっても、寝た方がいいのはあんたも身に染みてるでしょ、ほら、今日はちょっとだけ贅沢させてあげるから」
優しく微笑むソフィアに、ユーリは口をへの字に曲げて不満を表明するが、その言葉には同意せざるを得ない様子である、
「ねーねー、こっちは?こっちが鹿?」
ミナは革袋に顔を突っ込んでいる、
「ん、そうね、そっちが鹿肉ね、これはモモ肉?」
「そうよ、あんたモモ肉好きでしょ?」
「あら、覚えてた?」
「そりゃね、私も好きだし」
「そうよねー」
「ねーねー、モモってなーにー」
ミナが純粋な疑問を口にしてソフィアを見上げた、
「んーモモかー、モモはねー、ここじゃー」
ユーリがバッとミナに掴みかかりその足を掴む、
「キャー、ユーリ、ヤメロー」
「ここじゃ、ここがモモ肉じゃー」
ミナの太ももを弄るユーリ、
「あはは、こそばいー、ユーリのスケベー」
「なんじゃと、ミナのくせにー、ここか?ここがスケベかー」
「あはは、ヤメロー、シツコイー」
ミナはキャッキャと悲鳴とも笑い声とも取れる嬌声を上げその声は食堂まで響いて来る、
「ミナちゃんてやっぱり凄いよね」
「うん、ミナっちがいてくれるだけで癒されるわ」
「そうね、ふー、ま、いっか、取り敢えず生きてるし」
「だね」
食堂の生徒達は安心して改めて脱力した、
「まったく、こいつらは」
死んだ獣のようにのたうつ生徒達の中で、レインは一人顔を顰めるのであった。
0
お気に入りに追加
155
あなたにおすすめの小説
異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?
夢・風魔
ファンタジー
仕事の疲れを癒すためにソロキャンを始めた神楽拓海。
気づけばキャンプグッズ一式と一緒に、見知らぬ森の中へ。
落ち着くためにキャンプ飯を作っていると、そこへ四人の老人が現れた。
彼らはこの世界の神。
キャンプ飯と、見知らぬ老人にも親切にするタクミを気に入った神々は、彼に加護を授ける。
ここに──伝説のドラゴンをもぶん殴れるテントを手に、伝説のドラゴンの牙すら通さない最強の肉体を得たキャンパーが誕生する。
「せっかく異世界に来たんなら、仕事のことも忘れて世界中をキャンプしまくろう!」
ゴミスキル『空気清浄』で異世界浄化の旅~捨てられたけど、とてもおいしいです(意味深)~
夢・風魔
ファンタジー
高校二年生最後の日。由樹空(ゆうきそら)は同じクラスの男子生徒と共に異世界へと召喚された。
全員の適正職業とスキルが鑑定され、空は「空気師」という職業と「空気清浄」というスキルがあると判明。
花粉症だった空は歓喜。
しかし召喚主やクラスメイトから笑いものにされ、彼はひとり森の中へ置いてけぼりに。
(アレルギー成分から)生き残るため、スキルを唱え続ける空。
モンスターに襲われ樹の上に逃げた彼を、美しい二人のエルフが救う。
命を救って貰ったお礼にと、森に漂う瘴気を浄化することになった空。
スキルを使い続けるうちにレベルはカンストし、そして新たに「空気操作」のスキルを得る。
*作者は賢くありません。作者は賢くありません。だいじなことなのでもう一度。作者は賢くありません。バカです。
*小説家になろう・カクヨムでも公開しております。
転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~
hisa
ファンタジー
受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。
自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。
戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?
教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!!
※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく!
※第5章に突入しました。
※小説家になろう96万PV突破!
※カクヨム68万PV突破!
※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました
異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい
ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。
強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。
ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。
逆ハーレムエンドは凡人には無理なので、主人公の座は喜んで、お渡しします
猿喰 森繁
ファンタジー
青柳千智は、神様が趣味で作った乙女ゲームの主人公として、無理やり転生させられてしまう。
元の生活に戻るには、逆ハーレムエンドを迎えなくてはいけないと言われる。
そして、何度もループを繰り返すうちに、ついに千智の心は完全に折れてしまい、廃人一歩手前までいってしまった。
そこで、神様は今までループのたびにリセットしていたレベルの経験値を渡し、最強状態にするが、もうすでに心が折れている千智は、やる気がなかった。
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
婚約破棄された聖女がモフモフな相棒と辺境地で自堕落生活! ~いまさら国に戻れと言われても遅いのです~
銀灰
ファンタジー
生まれながらに、その身に聖なる女神の力を宿した現人神、聖女。
人生に酷烈たる天命を負った、神と人に献身の奉じを約束した存在――聖女ルールゥは、己の存在意義をそのようなものであると固く信じていたのだが……。
ある日ルールゥは、婚約を結んでいた皇子から婚約破棄を言い渡されてしまう。
曰く、昨今の技術発展に伴い聖女の力が必要とされなくなり、その権威が失墜の一途を辿っているからだという。
罵詈雑言と共に婚約破棄を言い渡されただけではなく――近く、聖女としての責務も解かれると宣告される。
人々に忘れ去られ、天命の意味を失い――ルールゥは追われるように国を後にする。
聖女に寄り添う神獣のミハクを旅の共に、艱難辛苦を乗り越え、住み良い辺境の地を発見し、そこで新たな生活が始まろうとしていたのだが――。
その地で待っていたのは、もふもふな相棒と過ごす、自堕落な生活だった!?
与えられた天命を捨て、心を取り戻し、新たな天命の意味を見出す物語。
働くって、クソです!?
最強陛下の育児論〜5歳児の娘に振り回されているが、でもやっぱり可愛くて許してしまうのはどうしたらいいものか〜
楠ノ木雫
ファンタジー
孤児院で暮らしていた女の子リンティの元へ、とある男達が訪ねてきた。その者達が所持していたものには、この国の紋章が刻まれていた。そう、この国の皇城から来た者達だった。その者達は、この国の皇女を捜しに来ていたようで、リンティを見た瞬間間違いなく彼女が皇女だと言い出した。
言い合いになってしまったが、リンティは皇城に行く事に。だが、この国の皇帝の二つ名が〝冷血の最強皇帝〟。そして、タイミング悪く首を撥ねている瞬間を目の当たりに。
こんな無慈悲の皇帝が自分の父。そんな事実が信じられないリンティ。だけど、あれ? 皇帝が、ぬいぐるみをプレゼントしてくれた?
リンティがこの城に来てから、どんどん皇帝がおかしくなっていく姿を目の当たりにする周りの者達も困惑。一体どうなっているのだろうか?
※他の投稿サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる