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本編
24話 お嬢様と4本フォーク その11
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「うん、美味しかったぞ、ミナ、感謝する」
完食したレアンがソーダ水に手を伸ばして吐息を吐いた、
「えへへー、感謝されちゃったー」
「私どもまですいません」
ライニールは恐縮し、ケイランは申し訳なさそうにしている、
「皆で食べるほうが美味しいってタロウが言ってたよー」
ミナもソーダ水を美味そうに飲みつつ笑顔である、
「そうだの、イチゴ摘みも楽しかったぞ、やはり、庭園にイチゴを植えたいのー」
レアンがチラリとライニールを見る、
「はい、分かりました、御館様を説得しましょう」
ライニールは真面目な顔で答える、
「うむ、そうだ、世話はどうすれば良いのだ?」
レアンがミナに問うと、
「えっとね、良い虫と悪い虫がいるから、悪い虫はやっつけて、良い虫は残すの、後、土が大事じゃってレインが、ね?」
とレインに水を向ける、
「そうじゃの、良い土と適度な水遣りじゃな、手間を惜しんではならんぞ」
「そうか、薔薇と一緒だな、心得た」
レアンはうんうんと納得し、
「ふむ、母上にも食して貰いたいが」
とポツリと呟く、
「そう言うと思って、半分は残してありますよ、お屋敷でお召し上がりください」
ソフィアがそう言って立ち上がる、
「そうか、それは、すまない、何から何まで、良いのか?」
「いいですよ、イチゴならもう暫く収穫できるでしょ?」
ソフィアがレインに問うと、
「そうじゃの、今月いっぱいはいけるの、それとメロンとスイカももうすぐじゃ、収穫に来るか?お嬢様?」
「良いのか?でも、申し訳ないの」
「いいの、スイカは美味しいのよ、メロンは食べたことないけど美味しいよ、たぶん」
ミナはニコニコと笑顔である、
「それに葡萄はその後じゃな、葡萄は渾身の出来だぞ」
「そうか、うむ、その時は呼ぶのだ、収穫を手伝うから採れたてを頂きたいぞ」
「うん、じゃ、お手伝いに来て、待ってる」
3人はキャッキャと楽しそうである、
「はい、どうぞ、このままお持ち下さい」
ソフィアが厨房から籠を持って戻りライニールの前に置いた、
「ありがとうございます、奥様も喜びます」
ライニールは神妙に頭を下げる、
「そうだ、このフォークか、これも頂きたいのだが」
レアンが4本フォークを手にしてソフィアを見る、
「あら、気に入られました?」
「うむ、これは良いぞ、使いやすいし安全だ、屋敷で試してみて、そうだの、銀で作らせてみたいのだが」
「そうですか、それも面白そうですね・・・」
とソフィアはうーんと悩み、
「はい、では使用していないものを5本お持ち下さい、それと、差し支えなければ六花商会を間に挟んで頂けないでしょうか?」
「それはどういう事だ?」
レアンは訝し気にソフィアを見る、
「一つの案として受け取って欲しいのですが」
ソフィアは前置きをしつつ、
「そちらを作って頂いた工務店がガラス鏡の製造も担っておりまして、さらに六花商会のお得意様・・・この場合は六花商会がお得意さまなのかしら?まぁ、そういう感じなのですね、で、そちらの品ですが、お嬢様のお気に召す品となれば、十分に商いになる品かと思うのです、実はそういった事は考えておりませんでしたが、何せ本日完成したばかりの品でして・・・ここはどうでしょう、お嬢様が牽引する品としてしっかりとした商品展開を考えてみては如何でしょうか」
ソフィアは静かにそう言って、レアンそれからライニールへと視線を移す、
「それは、どういう事かの?」
レアンは難しい顔となりソフィアを見て、ライニールを見る、
「失礼な言い方になるかと思いますが、レアン様の社会勉強・・・といえば失礼過ぎますか、では、レアン様肝いりの事業として展開してみると言い換えれば御理解は早いでしょうか」
ソフィアはレアンの反応を探る様に視線を合わせた、
「事業か・・・」
レアンは手にしたフォークに視線を落とす、
「なるほど、お嬢様、これは良いお話です、本日のガラス鏡の会談の折り御館様もおっしゃっていたように、新規事業の創出は地方経済にとって最も重要な事です、ガラス鏡については六花商会のエレイン様が中心として今後発展していくものと思いますが、こちらの4本フォークについてはお嬢様が中心となって展開する事が可能かと思います」
ライニールは落ち着いた声音であるが若干の興奮が表れている、
「それほどの大事か?」
レアンは眉根を寄せてライニールを見る、
「そうですね、例えばですが・・・」
ライニールは必死に頭を回転させ、
「現状、銀で作られている食器はナイフとスプーンですね、これに一部の皿とガラスコップの持ち手等ですが、統一された意匠ではないのですよ、お食事の用意をする度になんともちぐはぐだなと感じておりました、そこで」
とライニールは言葉を切って、ソーダ水に口をつける、
「スプーンとナイフとこの4本フォーク、これを一式として意匠を統一した食器を作ってみては如何でしょうか?」
雄弁に語るライニールをソフィア以外の女性陣はポカンと見つめてしまう、
「あら、ライニールさんも考えられる人だったようですね」
ソフィアはニコリと笑い、
「そこまで考えられるのであれば、いよいよ事業として楽しくなってきますよ、レアンお嬢様、ゆっくりと考えてみてください、私もエレインさんもきっとお力になりますよ」
ソフィアの言葉にレアンは難しい顔のままフォークを見つめ、ライニールは情熱的な視線をレアンに向けるのであった。
完食したレアンがソーダ水に手を伸ばして吐息を吐いた、
「えへへー、感謝されちゃったー」
「私どもまですいません」
ライニールは恐縮し、ケイランは申し訳なさそうにしている、
「皆で食べるほうが美味しいってタロウが言ってたよー」
ミナもソーダ水を美味そうに飲みつつ笑顔である、
「そうだの、イチゴ摘みも楽しかったぞ、やはり、庭園にイチゴを植えたいのー」
レアンがチラリとライニールを見る、
「はい、分かりました、御館様を説得しましょう」
ライニールは真面目な顔で答える、
「うむ、そうだ、世話はどうすれば良いのだ?」
レアンがミナに問うと、
「えっとね、良い虫と悪い虫がいるから、悪い虫はやっつけて、良い虫は残すの、後、土が大事じゃってレインが、ね?」
とレインに水を向ける、
「そうじゃの、良い土と適度な水遣りじゃな、手間を惜しんではならんぞ」
「そうか、薔薇と一緒だな、心得た」
レアンはうんうんと納得し、
「ふむ、母上にも食して貰いたいが」
とポツリと呟く、
「そう言うと思って、半分は残してありますよ、お屋敷でお召し上がりください」
ソフィアがそう言って立ち上がる、
「そうか、それは、すまない、何から何まで、良いのか?」
「いいですよ、イチゴならもう暫く収穫できるでしょ?」
ソフィアがレインに問うと、
「そうじゃの、今月いっぱいはいけるの、それとメロンとスイカももうすぐじゃ、収穫に来るか?お嬢様?」
「良いのか?でも、申し訳ないの」
「いいの、スイカは美味しいのよ、メロンは食べたことないけど美味しいよ、たぶん」
ミナはニコニコと笑顔である、
「それに葡萄はその後じゃな、葡萄は渾身の出来だぞ」
「そうか、うむ、その時は呼ぶのだ、収穫を手伝うから採れたてを頂きたいぞ」
「うん、じゃ、お手伝いに来て、待ってる」
3人はキャッキャと楽しそうである、
「はい、どうぞ、このままお持ち下さい」
ソフィアが厨房から籠を持って戻りライニールの前に置いた、
「ありがとうございます、奥様も喜びます」
ライニールは神妙に頭を下げる、
「そうだ、このフォークか、これも頂きたいのだが」
レアンが4本フォークを手にしてソフィアを見る、
「あら、気に入られました?」
「うむ、これは良いぞ、使いやすいし安全だ、屋敷で試してみて、そうだの、銀で作らせてみたいのだが」
「そうですか、それも面白そうですね・・・」
とソフィアはうーんと悩み、
「はい、では使用していないものを5本お持ち下さい、それと、差し支えなければ六花商会を間に挟んで頂けないでしょうか?」
「それはどういう事だ?」
レアンは訝し気にソフィアを見る、
「一つの案として受け取って欲しいのですが」
ソフィアは前置きをしつつ、
「そちらを作って頂いた工務店がガラス鏡の製造も担っておりまして、さらに六花商会のお得意様・・・この場合は六花商会がお得意さまなのかしら?まぁ、そういう感じなのですね、で、そちらの品ですが、お嬢様のお気に召す品となれば、十分に商いになる品かと思うのです、実はそういった事は考えておりませんでしたが、何せ本日完成したばかりの品でして・・・ここはどうでしょう、お嬢様が牽引する品としてしっかりとした商品展開を考えてみては如何でしょうか」
ソフィアは静かにそう言って、レアンそれからライニールへと視線を移す、
「それは、どういう事かの?」
レアンは難しい顔となりソフィアを見て、ライニールを見る、
「失礼な言い方になるかと思いますが、レアン様の社会勉強・・・といえば失礼過ぎますか、では、レアン様肝いりの事業として展開してみると言い換えれば御理解は早いでしょうか」
ソフィアはレアンの反応を探る様に視線を合わせた、
「事業か・・・」
レアンは手にしたフォークに視線を落とす、
「なるほど、お嬢様、これは良いお話です、本日のガラス鏡の会談の折り御館様もおっしゃっていたように、新規事業の創出は地方経済にとって最も重要な事です、ガラス鏡については六花商会のエレイン様が中心として今後発展していくものと思いますが、こちらの4本フォークについてはお嬢様が中心となって展開する事が可能かと思います」
ライニールは落ち着いた声音であるが若干の興奮が表れている、
「それほどの大事か?」
レアンは眉根を寄せてライニールを見る、
「そうですね、例えばですが・・・」
ライニールは必死に頭を回転させ、
「現状、銀で作られている食器はナイフとスプーンですね、これに一部の皿とガラスコップの持ち手等ですが、統一された意匠ではないのですよ、お食事の用意をする度になんともちぐはぐだなと感じておりました、そこで」
とライニールは言葉を切って、ソーダ水に口をつける、
「スプーンとナイフとこの4本フォーク、これを一式として意匠を統一した食器を作ってみては如何でしょうか?」
雄弁に語るライニールをソフィア以外の女性陣はポカンと見つめてしまう、
「あら、ライニールさんも考えられる人だったようですね」
ソフィアはニコリと笑い、
「そこまで考えられるのであれば、いよいよ事業として楽しくなってきますよ、レアンお嬢様、ゆっくりと考えてみてください、私もエレインさんもきっとお力になりますよ」
ソフィアの言葉にレアンは難しい顔のままフォークを見つめ、ライニールは情熱的な視線をレアンに向けるのであった。
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